年内に生活必需品の大幅な値上げはない=国内取引物価相

【クアラルンプール】 サラフディン・アユブ国内取引物価相は、約30の団体の業界関係者と物価上昇に関する協議を行い、年内に大幅な値上げを行わないとの確約を得たと言明。値上げが行われたとしても価格を見直すよう業界関係者と交渉するとして、年内に生活必需品の大幅な値上げはないとの見解を表明した。

11日にスーパーマーケットで価格チェックを行ったサラフディン大臣は、商品の供給不足による価格上昇を危惧する声などが上がっていることに触れ、同省が実施した調査では鶏肉や鶏卵、燃料など補助金対象商品の価格は上昇しておらず、商品によっては設定価格よりも安く販売されており、市場でも商品不足は起きていないことがわかったと指摘。しかし、国民に対して、スーパーマーケットや食料品店で必需品の価格が上昇した場合は、直ちに同省に報告するよう呼びかけた。
その上で、今後も価格の監視を継続し企業が適正な価格で販売するよう、政府は食品の価格を規制するとした。

物価については、9日にクアラルンプール・セランゴール・インド商工会議所 (KLSICCI)のニバス・ラガンバン会長が、会員企業の事業コストと生産コストが今年1月から20%上昇しており、様々な商品の価格が10月までに20%上昇する可能性があると発言。また10日には野党連合・国民同盟(PN)のムヒディン・ヤシン会長(元首相)が鶏卵が供給不足であるため、自身の農場で鶏の飼育を開始したと発言。露店主からも物価上昇に関する苦情を受けたと述べていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、7月11日)

ペナンフェリーが8月から新フェリーで運航開始、1カ月は運賃無料

【ジョージタウン】 ペナン島ジョージタウンとマレー半島のバターワースを結ぶペナン・フェリーは、新型のフェリー4隻を8月7日から運航すると発表した。就航を記念し、最初の1カ月間は無料で乗船できる。

新型フェリーの定員は250人、二輪車は50台まで輸送可能。総建造費は7,200万リンギ。最高速度は12ノット(時速22.2キロ)、通常運航速度は11ノットで、ジョージタウンとバターワース間を10分で結ぶ。安全を図り従来より高いクローズド・デッキを採用し、大型客船のような横旋回も可能。船首と船尾に2基のディーゼルエンジンを搭載し、どちらの方向にも接岸できる。座席エリアにはエアコンも完備し、安全装置、火災報知器、両端の二重スロープなども装備。午前6時から午後8時半まで、30分間隔で運航する。無料乗船期間後の運賃については後日発表の予定。
新型フェリーの試乗会に参加したアンソニー・ローク運輸相は、現在毎日約3,000人がフェリーを利用しているが、最新鋭フェリーはより多くの通勤客を惹きつけられるとし、毎月約10万人の利用を期待していると述べた。新運賃についても手頃な価格に抑えるとしている。

129年以上にわたり運航しているペナン・フェリーはペナンのシンボルともなっているが、老朽化で故障が相次いだため2020年に3隻のフェリーの利用を廃止。1隻だけ残されたフェリーが現在、自転車やオートバイの輸送に使われており、旅客用には暫定的な代替手段としてスピードボート・フェリーが使われている。2022年のフェリー利用者数は120万人だったが、今年は5月時点での利用者数が10%増加している。
(ザ・スター、7月9日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、7月8日)

エルニーニョ現象、年末以降再び発生の可能性=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は、エルニーニョ現象について、90%を超える確率で2023年末から2024年初頭にかけて再び発生する可能性があるとの予報を発表した。

マレーシア気象局の発表によると、世界気象機関(WMO)の最新情報では、エルニーニョ現象は、熱帯太平洋の中部および東部の海面水温の上昇に関係して自然に発生する気候現象とされており、平均2ー7年ごとに発生し、通常9ー12カ月程度続く。エルニーニョ現象は2024年初頭にピークに達することが見込まれることから、マレーシアでは長期的に高温で、乾燥した天候が長期的に続くことが予想されている。

マレーシア気象局は、森林や泥炭地の火災を制御できなければ、気温上昇や降雨量減少、国境を越えたヘイズ(煙害)の悪化が起きる可能性があるとし、国民に対して、野焼きを止め、屋外活動を制限した上で、最新の気象情報を確認するように呼びかけた。また気象局は常に気象状況を監視するとし、最高気温が3日連続で37度を超える場合には熱波注意報を発令するとした。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、7月7日)

奇瑞汽車がマレーシア市場に再参入、24年にはEVの発表を計画

【ペタリンジャヤ】 中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)は6日、主力モデルであるスポーツ車(SUV)「瑞虎(ティゴ)8プロ」および「欧萌達(オモダ)5」を正式発表し、マレーシア市場に正式に再参入した。2024年には電気自動車(EV)を発表する予定だ。

両モデルともにケダ州クリムのイノコム工場で組み立て生産されたもの。「ティゴ8プロ」は7人乗りで、排気量2.0リットルのターボチャージャーを装着した4気筒ガソリンエンジンが搭載されている。価格は15万9,800リンギ。一方で「オモダ5」は5人乗りで、排気量1.5リットルのターボチャージャーを装着した直列4気筒エンジンが搭載されており、価格は10万8,800リンギからとなっている。

マレーシア子会社、チェリー・マレーシアのショーン・シュー社長は、マレーシアの自動車市場の将来性の高さを強く信じているとし、マレーシアの自動車産業と共に成長するために取り組むとコメントマレーシアは有利な地理的位置にあり経済環境も備わっている戦略的な市場であり、非常に重視していると述べた。

「ティゴ8プロ」および「オモダ5」の正式発表に臨席したテンク・ザフルル投資貿易産業相は、チェリー自動車が1億7,000万リンギの初期投資を表明していると言明。これにより今後5年間で4,000人分の高収入かつ高度の専門的知識を有する雇用機会の創出に繋がるとの見解を示した。
(ザ・サン、7月10日、ジグ・ホイールズ、7月7日、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月6日)

豪スーパーのコールス、ジャヤグローサーと提携

【クアラルンプール】 豪州スーパーマーケット・チェーンのコールス・スーパーマーケッツは6日、現地スーパー・チェーンのジャヤ・グローサーと提携し、マレーシア市場に参入すると発表した。同日、ジャヤ・グローサー店舗でのコールス商品200種類の販売を開始している

提携発表会に参加した、ジャヤ・グローサーのダニエル・テン副最高経営責任者(CEO)は、ジャヤ・グローサーは、9日まで全国の43店舗で豪州フェアを実施しており、これに合わせてコールスとの提携を開始したと述べた。フェア期間中のみではなく、5ー10年の長期にわたりコールス商品を扱い、商品数も増加させていくとしている。

コールスのウィル・マルホランド輸出・生鮮担当部長は、同社は現在世界30カ国以上に輸出しており、高品質な商品に対する需要が高いマレーシア市場にサービスを提供できることを誇りに思うとし、今後もオーストラリアの生産者を支援し、自社ブランド事業をグローバルに展開していくと述べた。

コールスは豪州で800店舗以上を展開。生鮮食品、食料品、酒類などを店舗やオンラインで販売している。
(ザ・スター、7月7日、エッジ、7月6日)

ジャヤグローサーとグラブ、慈悲プログラム参加で低価格商品提供

【クアラルンプール】 スーパーマーケット・チェーンを展開するジャヤ・グローサーとその親会社である 配車・宅配サービス大手のグラブは6日、低価格商品を提供する「慈悲(ラーマ)プログラム」に参加すると発表した。

グラブは、食品配達サービスで、限定メニュー3食分をまとめて18リンギで購入できる「慈悲パッケージ」を提供する。ジャヤ・グローサーはグラブアプリ上で日用品や限定商品を最大40%割引する「慈悲セール」を実施する。また、障害を持つ運転手に対し生活必需品ボックスを定期的に贈るという

慈悲プログラムは、食品価格の高騰に対する短期的な解決策として今年1月から始まったものだが、現在では、食品以外にも低価格商品を提供する動きが全国に広がっており、国内取引物価省が支援している。

プログラム発表会に参加したサラフディン・アユブ国内取引物価相は、慈悲プログラムは生活費上昇に苦しむ庶民の負担軽減を目的としており、国内取引物価省はこのような取り組みにより支出を促進する小売セクターについても支援を行っていくと述べた。同省は慈悲プログラムの発展形として慈悲経済イニシアチブも計画しており、アンワル首相が掲げている「年内に極貧層を撲滅する」という目標に沿い、国家経済政策の目標達成を支援し、国内総生産(GDP)にも貢献していくと述べた。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、7月6日)

ディスカウント店のエコショップが20周年、店舗網拡大目指す

【クアラルンプール】 ジョホール州を本拠に全商品2.40リンギ均一の雑貨店を展開するエコショップ・マレーシアは、現在240店舗を展開している店舗網のさらなる拡大を計画している。

ジェシカ・ン最高執行責任者(COO)は、1万アイテム以上の商品を取り扱っているが、さらに商品の提供を強化し、消費者により幅広い選択肢を提供するため、店舗の開設先の選定を行っているとコメント。ショッピングモールに行くと駐車場料金やガソリンなどのお金がかかることから、同社の戦略の下で、顧客により便利な場所に出店できるように努めているとした。

同社は2.40リンギと低価格で商品を販売しているが、ンCEOは今後5年間は現在の価格を維持すると言明。世界的に商品の価格は上昇しているが、エコショップは、幅広い商品を、誰もが手に入れやすい手頃な価格で提供することを目指しているため値上げはしないと説明した。

今年創立20周年を迎えるエコショップは5日、「ショッピング・ギラギラ」キャンペーンの実施と、購入によってポイントが貯まるアプリの導入を発表した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月6日、プレビウ、7月5日)

アイルセランゴール、水道料金値上げの意向

【ペタリンジャヤ】 首都圏で水道運営を行うアイル・セランゴールは、水道料金の見直しについて、国家水道委員会(SPAN)と協議したと明らかにした。

アバス・アブドラ最高経営責任者(CEO)代理は持続可能性報告書発表会で、昨年は24億5,000万リンギの収入があったものの、運営コストや老朽化した設備の整備費用を賄うには不十分で、収入不足が長期的な運営に影響を与えるため、17年間据え置いてきた家庭向け水道料金の値上げを検討したいと述べた。水道規制当局であるSPANと協議の上、年内に値上げの決定がなされる見込みだとし、政府からの補助金などもないため、持続可能な用水供給のために3年に1度の頻度で段階的な値上げを行いたいとしている。

アイル・セランゴールは、昨年8月に産業向け水道料金を、1立方メートルあたり2.07リンギから2.62リンギまで値上げした。一方、家庭向け料金は1立方メートルあたり57センのまま維持されている。

■年内に無収水率(NRW、漏水や盗水の割合を示す指標)を0.26%削減へ■
アイル・セランゴールは声明で、NRWを2022年の27.76%から2023年には27.5%まで0.26%削減することを目指していると述べた。NRW削減プログラムの実施、NRW評価調査、スマートメーター2,393台の設置などを通じ、NRW削減目標に向けて引き続き取り組んでいくとしている。総額1億1,300万リンギ相当の配管交換工事を年内に開始し、来年9月に完工する予定。NRWは2018年の31.7%から2019年には29.7%、2020年には28.6%、2021年には27.93%に減少している。また、平均貯水率は12.02%で、2030年には17.7%まで上昇する見込みだ。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、7月4日)

LRTシャアラム線、25年3月に運行開始の見込み=運輸相

【クラン】 アンソニー・ローク運輸相は4日、首都圏クランバレー軽便鉄道3号線(LRT3、LRTシャアラム線)について、2025年3月1日に運行を開始する見込みだと述べた。

セランゴール州にあるジョハン・セティア車庫を視察したローク運輸相は、工事の進捗度は86%で、建設工事はほぼ完了し、現在は信号システムなどの設置・テストに取り組んでいると言明。LRT3は、首都圏西部に居住する200万人以上にサービスを提供し、クランやシャアラムの住民の公共交通機関利用が促進できると述べた。

LRTシャアラム線は、クランのジョハン・セティアとペタリンジャヤのバンダル・ウタマ間の20駅を結ぶ全長37キロメートル(km)の路線。計画開始当初は26駅を建設予定だったが、2018年に予算削減のため1駅の建設を中止。5駅は暫定駅とされたが、今後内閣承認を待って建設再開の予定で、その場合は全25駅となる。バンダル・ウタマ駅で首都圏大量高速輸送(MRT)カジャン線、グレンマリー駅でLRTケラナジャヤ線と接続する。運行開始後には3両の車両を22編成配備し、時速80kmでの走行により毎時1万8,630人の乗客を運ぶ。暫定駅建設費用を除く事業費は約160億リンギになる見込み。
(ザ・スター、7月5日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月4日)

国内EV充電大手3社、充電施設の横断利用を開始

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは3日、完全子会社ジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、電気自動車(EV)充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)と提携し、3社が提供する充電施設の横断利用を開始したと発表した。

3社が提供するモバイルアプリのいずれか1つを利用することで、全国600カ所以上での充電および支払いが可能となる。600カ所は国内全EV充電施設の約60%に相当し、内訳は、ジェンタリが約150カ所、ジョムチャージが約100カ所、YGTが運営するチャージEVが約320カ所となっている。3社は3月にEVインフラでの協業に向け、三者間契約を締結していた。

ジェンタリ・グリーン・モビリティのシャー・ヤン・ラザリ最高経営責任者(CEO)は声明で、EVへの移行には、充電インフラへのアクセスのしやすさや利便性が不可欠だとし、今回の協業により、広範なEV充電網へのアクセスが可能となり、航続距離に対する不安をなくすことができるとコメント。3社の協業により、1社では困難なペースで充電施設を増加させることが可能になると述べた。
(ザ・サン、7月4日、ポールタン、7月3日)