KLで朝夕の路上駐車や露天商営業を禁止、交通渋滞緩和へ

【クアラルンプール】 首都圏の交通渋滞が問題となっている中、連邦直轄地省のジャラルディン・アリアス副大臣が本部長を務めるクアラルンプール(KL)交通渋滞対策本部は、KL市内の中期的・長期的渋滞緩和策を発表した。
中期的施策としては、朝夕ラッシュ時の縁石駐車を禁止し、主要道路の路上駐車についても段階的に禁止する。対象地域の詳細は今後発表される予定。
ラッシュ時の路肩での露店販売を禁止し、幹線道路脇の業者用駐車場も廃止する。露天商は人通りの多い場所に屋台を出すことが多く、車を止めて露店から買い物をする客が交通の妨げになっているのが禁止の理由だ。
交差点の停車禁止区間「イエローボックス」に停車する車の取締も強化する。停車禁止区間とされているのにも関わらず停車する車があり、車の流れを止めてしまっているからだという。さらに、現状、高速道路料金所ではタッチアンドゴー、スマートタグ、RFIDなど、支払い方法別に専用レーンが設置されているが、その代わりに複数の支払い方法が利用可能な多目的レーンを設置しピーク時には時間帯により交通流の方向を変更するタイダルフロー制を導入することも提案している。
長期的施策としては、▽公共交通の駅・バス停への接続性の改善▽高速道路事業者と交通管理の統合▽無料バス・サービス「ゴーKL」などの改善と利用促進キャンペーン▽サポートインフラの改善(地下道、屋根付き歩道など)▽バスレーン設置ーーなど、6つの提案を行っている。
今月2日には、道路交通局(RTD)が短期的な渋滞緩和策として、大型商用車の朝夕のKL市内中心部への乗り入れ禁止を発表。連邦直轄地省も、KL市役所(DBKL)を通じて改めて大型商用車の乗り入れ禁止および取締強化を発表していた。
(ポールタン、6月22日)

ホテルの宿泊税、ペナン州で7月より徴収再開

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大を受けて徴収を一時休止していたホテルの宿泊税の徴収を7月1日より再開する。
宿泊税は2014年に導入されたもので、宿泊者から1部屋1泊当たり、4つ星ホテル以上で3リンギ、格安ホテルやホステル、下宿など3つ星以下は3リンギを徴収していたが、行動制限令の発令に伴いホテルを閉鎖する必要があったことから、2020年7月1日に徴収を一時休止していた。
ペナン州観光クリエイティブ経済委員会のヨー・スーンヒン議長(国政の閣僚に相当)は22日の記者会見で、国境の再開や、同州へ観光客が再び足を運ぶようになったこと、観光部門の全面的な稼働再開が認められたことから徴収再開を決めたと説明。新型コロナ感染拡大前は、年間500万リンギの税収があったと述べた。ホテル経営者も徴収再開を支持しており、宿泊税は同州にとり観光事業促進とマーケティングに必要な資金源であると言明。宿泊税再導入に伴い、観光客から不満の声が上がることはないとの予想を示した。
(ザ・スター、6月23日)

インターコンチネンタルペナンリゾート、2025年にオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 IHGホテルズ・アンド・リゾートは、ホテル運営のトレードウィンズ子会社のTHRホテル(ペナン)と提携して、「ペナン・ムティアラ・ビーチ・リゾート」を「インターコンチネンタル・ペナン・リゾート」として2025年にオープンすると発表した。
「インターコンチネンタル・ペナン・リゾート」の客室数は、355室の客室・スイート、自然の中でプライベート空間を楽しめるヴィラ6軒の他、ヨガスタジオやリラクゼーションをテーマとしたビレッジ内にある10軒のヴィラとなる。また付帯施設として、スイミングプール3カ所、レストラン・バー5カ所、1,000平方メートルの会議・イベントスペースを併設し、高級感があるライフスタイル・ホテルとする計画だ。
IHGによると、同社は「インターコンチネンタル」のほか、「ホリーデイン」と「ホリデーイン・エクスプレス」を6カ所運営しており、「インターコンチネンタル・ペナン・リゾート」は、マレーシアでは2カ所目の「インターコンチネンタル・ホテル」となる。またペナン州では、「ホリデーイン・アンド・スイーツ・ペナン・プライ」の開業準備も進めている。

鶏肉価格、7月1日以降1キロ10ー12リンギに上昇の見込み

【プトラジャヤ】 7月1日以降、鶏肉価格は10ー12リンギまで上昇すると予想されている。6月30日に鶏肉価格を1キログラム当たり8.90リンギに抑える上限価格制が撤廃されるためだ。
アレクサンダー・ナンタ・リンギ国内取引消費者行政相は、畜産農家連合から「12.5リンギ以上にはならない」と聞いているとし、10リンギ以上になると想定されるが、具体的な数字はわからないとした。一方、市場の監視を開始しており、過度な値上げや価格吊り上げのための買いだめなどの違反行為に対しては躊躇なく措置を講じると述べた。
ロナルド・キアンディ農業・食品産業相も鶏肉価格は11リンギ以上になると予想するが、価格は需要および市場原理により決定されると言明。上限価格が2月に設定されて以来、政府は養鶏業者に2億リンギ近い補助金を支給してきたが、今後、鶏肉小売価格が市場原理により決定されるようになるため、国内市場の需要に見合った鶏肉生産の回復に役立つと述べた。供給は安定しており、養鶏業者も1日当たり180ー200万羽の国内需要に対して十分に供給できることを保証しているという。
ロナルド大臣はまた、政府は、鶏の飼料価格の高騰、病気、労働力不足など、養鶏業者から提起された問題を調査しているとし、今後2ー3週間のうちに鶏肉の輸出停止措置を見直すと述べた。全養鶏業者がフル稼働すれば需要分の供給が可能なため、需給の動向を観察した上で、国内需要が満たされるようであれば、鶏肉輸出の再開を許可するとした。
ロナルド大臣によると、国内養鶏業界がフル稼働した場合の自給率は106%で、近隣諸国に6%分の輸出が可能だという。現在の鶏肉供給不足は、労働力不足や飼料価格上昇に伴うコスト高騰など、いくつかの要因により発生している。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月21日)

豪雨もたらすラニーニャ現象、年末まで続く予想=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局のムハンマド・ヘルミ局長は、集中豪雨をもたらすラニーニャ現象は年末まで続くという予想を明らかにした。
ヘルミ局長によると、現時点では、中程度の穏やかなラニーニャ現象によってマレーシアを含む西太平洋の湿度が高くなっており、例年より降水量も増加している。5月中旬より南西モンスーンが発生しており、9月中旬まで続くと予想されるが、モンスーン・ブレイクが高湿度をもたらしているという。モンスーン・ブレイクでは全体的に風が弱くなり降水量も減少する一方、風や雨が特定の狭い地域に集中するため、特にマレー半島の北部、西部、サラワク州、サバ州西部で雨が多くなる。へルミ局長は、天候が急激に変化することが多いため、オンラインで最新の天気予報を確認する必要があると注意を喚起した。
ヘルミ局長はまた、6月末には降雨回数は減少すると予想されるものの、マレー半島の西海岸、サラワク北部、サバの西部では、午前中に雷雨が発生する可能性があると述べた。
一方、気候を専門とするアジザン・アブ・サマー教授は、「シンガポールの東南アジア諸国連合(ASEAN)専門気象センターの予報によると、マレーシアとASEAN南部地域全体が6月から8月にかけて例年以上の降雨に見舞われる予想だ」と述べた。3ー9月は通常、比較的雨の少ない乾季だが、ラニーニャ現象により東風が強まることで南西モンスーンが乱され、モンスーン・ブレイクの頻度が高まっている。モンスーン・ブレイクは一度発生すると4ー5日間は続くという。
アジザン教授はまた、ラニーニャ現象が年末まで続いた場合、11月に始まる北東モンスーン期の寒波が降雨量を10ー20%増加させるラニーニャ現象によって増幅されることになり、東海岸地域に大規模な洪水を発生させる可能性があると警鐘を鳴らした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、6月21日)

ウォルドーフ・アストリア・ホテル、24年にKLでオープン

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 国際的にホテルやリゾートを展開する米ヒルトンは、最上級ラグジュアリーブランドの「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ・アンド・リゾーツ」を、2024年にクアラルンプール (KL)でオープンすると発表した。同ブランドの進出はマレーシア初となる。
ヒルトンが15日に発表した声明によると、ホテル運営のトレードウィンズが開発・所有し、ヒルトンが運営する。「ウォルドーフ・アストリア・KL」は、KLの主要なショッピングモールや観光地へのアクセスの良いブキ・ビンタンにオープンする。今年第3四半期に着工する予定だ。客室数は、広さ76平方メートル以上のスイートルーム279室。付帯設備は、レストラン5軒、ウェルネスセンター、面積3,390平方メートルの会議室など。
ヒルトンはマレーシアにおいてホテル12カ所を運営しており、現在は9カ所のホテルの開業準備を進めている。また「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ・アンド・リゾーツ」については、アジア太平洋地域で14カ所を運営・建設中だ。

自動車購入に対するSST減免措置、予定通り6月末で終了

【プトラジャヤ】 財務省は20日、2020年6月に発表した自動車購入に対する売上・サービス税(SST)減免措置について、再延長はしないと発表した。SST減免措置は業界の要望で3回にわたり延長されていた。

財務省が同日発表した声明の中でテンク・ザフルル財務相は、SST減免でこれまでに自動車の販売台数は86万8,422台に上り、47億リンギの税収減が発生したと明らかにした。
 ザフルル大臣は16日にも、ラブアン国際ビジネス金融センターの行事における記者会見で、SST減免で大幅な税収減となっていると表明。国民の必需品購入支援に活用できる額であり、精査が必要な事柄だと述べ、「再度3カ月延長すれば少なくとも12億リンギ、6カ月延長なら25億リンギの税収減になる。物価上昇の中、国民への支援を増やすためには、より多くの歳入が必要だ」と再延長に否定的な姿勢を示していた。

米連邦準備制度理事会(FRB)による0.75ポイントの利上げについてザフルル氏は「米国のインフレは8%超で、利上げは予想されたところ」とした上で、マレーシアの金利は低く、物価高騰から国民を守るため、金融・財政措置を検討する必要があると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポール・タン、6月20日ザ・スター、6月17日、ベルナマ通信、6月16日)

首都圏公共交通料金を1カ月間無料化、MRT2開業受け

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は16日、同日から首都圏の主要公共交通サービスの乗車料金を1カ月間無料にすると発表した。
首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線(MRT2)の第1期の正式開業を受けてのもの。対象となるのは、ラピッドKLが運営する、MRT、軽便鉄道(LRT)、バス高速輸送(BRT)、モノレール、ラピッドKLバスの全路線およびマレー鉄道(KTM)が運営するKTMコミューター。
イスマイル首相は、国民が現在直面している生活費上昇の影響を緩和するためのものであると言明。予算として1億5,500万リンギを用意し、そのうち1億4,000万リンギをラピッドKLに、1,500万リンギをKTMに配分すると述べた。
MRT2第1期(全長17.5キロメートル、クワサ・ダマンサラ-カンポン・バトゥ間の全12駅)は、16日午後3時に運行を開始。第2期(全長17.5キロメートル、クワサ・ダマンサラ-カンポン・バトゥ間の全12駅)は2023年1月の運行開始を予定している。
(マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ポールタン、6月16日)

JBとシンガポール間鉄道「シャトルテブラウ」、19日に運行再開

【ジョホールバル】 マレーシア国鉄(KTMB)は、ジョホール州のジョホールバル(JB)・セントラルとシンガポールのウッドランドを結ぶ国際列車「シャトル・テブラウ」の運行を6月19日より再開する。新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い2020年3月24日に運行を停止していた。
ウィー・カション運輸相によると、JB・セントラルーシンガポール・ウッドランド間を1日18本、ウッドランドーJB・セントラル間を13本、計31本運行する。運行間隔は30分。1日当たりおよそ7,000人の利用を見込んでいる。運賃はJB・セントラルーシンガポール・ウッドランド間が5リンギ、ウッドランドーJB・セントラル間が5シンガポール・ドル(15.86リンギ)。
ウィー・カション運輸相は13日、ジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)の現場視察を行った。工事の進捗率は17%で、2026年12月の完成、2027年1月の営業開始に向けて順調に進んでいるとした。
(ザ・スター、6月14日、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、6月13日)

食品の変動制上限価格制度、政府が導入方針固める

【クアラルンプール】 連邦政府は、食糧安全保障の強化に向けて食品の変動制上限価格制度を導入する方針を固めた。イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相が13日、明らかにした。同日に開催された経済行動評議会(EAC)会議で決定した。

変動制上限価格は、サプライチェーンにおける様々な価格決定要因に基づいて調整されることになるという。イスマイル首相は食糧価格高騰に苦しむ貧困層に的を絞って直接支援を行うという政府の計画に沿ったものと説明した。
EACはまた会議の中で、耕作面積増加による食料の輸入依存軽減に向け、連邦政府と州政府間の協力強化が必要という点で合意。また農産物の国産率を上げるためのスマート農業アプローチを奨励するほか、農業の近代化に関する官民パートナーシップの強化でも合意した。
イスマイル首相は、家禽産業を例に挙げて、政府機関がエコシステムに関与できれば、飼料や輸送、マーケティングなどに遡って鶏肉の供給やコストを管理できるとした。マレーシア政府は、政府関連企業(GLC)、政府関連投資会社(GLIC)、政府機関が主導するサプライチェーンにおいて農産物のエコシステムの拡大を目指しているという。
同日のEAC会議では、国内におけるビジネス環境の改善や電気・電子(E&E)セクターの労働力不足対策についても話し合われ、政府はエンジニア1,000人と技術者1,000人を対象としたトレーニングと配置プログラムの実施で同意した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、6月13日)