希土類元素の埋蔵量は1兆リンギ相当=パハン大准教授

【クアラルンプール】 マレーシア・パハン大学のモハマド・ユスリ・ユヌス准教授は、放射性のない希土類元素(NR-REE)の国内埋蔵量は推定1,610万トンあり、1兆リンギの収入を国にもたらすことができると主張した。

代表的元素はプラセオジム、ネオジム、ジスプロシウムの3つで、電気自動車や風力タービン、家電のモーターに使われる強力磁石の生産に欠かせない。市場価格は1トン当たりそれぞれ57万7,212リンギ、59万3,336リンギ、196万リンギに上り、トレンガヌ、クランタン、ペラ、パハン、ケダの各州に埋蔵されているという。

鉱物持続可能性・資源回収センター長でもあるモハマド・ユスリ氏はウトゥサン・マレーシア紙の取材に対し、パハン州ゲベンにある豪州系ライナスの希土類加工工場の経験からマレーシアは学び、国産の加工工場を開発すべきと指摘。パハン州ガンバンや同州北部に埋蔵されている希土類元素は100年以上採掘が可能だとし、同州だけで毎年数十億ドルの収入になるため開発すべきと述べた。

アンワル・イブラヒム首相は最近、乱開発を避けるため希土類元素の輸出を禁止する方針を明らかにしている。希土類の採掘は森林保護区や環境上重要な森林では禁止されている
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、9月15日)

 

馬・中首脳会談、継続的意思疎通を図ることで合意

【南寧】 中国広西チワン族自治区の南寧で16日に開幕した第20回中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)エキスポ(CAEXPO)に出席のため同地を訪問したアンワル・イブラヒム首相は同日、中国の李強首相と会談し、南シナ海問題などを話し合った。アンワル氏によると、同問題について両首脳は、継続的意思疎通を図ることで合意した。

中国は8月末、「2023年度版標準地図」を公表したが、南シナ海の大部分を領海とし、サバ州とサラワク州沖の広範囲の排他的経済水域(EEZ)についても中国の領海と主張。マレーシア政府は正式に反論しており、フィリピンやベトナムも反発している。

アンワル氏は、会談を通じて2国間・域内・国際協力に関し、開放性、礼儀、包括性、相互尊重を原則とする未来を共有する共同体であるとのコンセプトを李首相と共有したと述べ、そうした価値はアンワル氏が掲げたバランス重視の「マレーシア・マダニ」コンセプトとも一致するものだと強調した。

また会談の中で李首相からは、地域の国際安全保障問題に取り組むためのASEAN中心性構想への支持表明があり、米国と中国の対立などから自由なASEAN圏を支持するとの発言があったという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、9月18日)

ジェトロ、食品見本市に日本食品サンプルショーケースを出展

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、マレーシア最大級の総合食品見本市「フード・ホテル・マレーシア(FHM)2023」(隔年開催)に日本食品サンプルショーケースを出展すると発表した。

前回2019年に続いて5回目の出展となる今回は、中間層市場向け商品を中心にバイヤーからニーズの高い25社、約150商品を展示紹介する。商品提案、試食提供、見本市終了後のオンライン商談などを通し、日本食品の更なる販路拡大を支援する。

主な商品は、菓子類(ビスケット、ゼリー、ケーキ、飴など)、飲料(果物ジュース、コーヒーポーション、アーモンドミルクなど)、レトルト食品(インスタントスープ、冷凍食品など)、健康食品(低糖質麺、コラーゲン飲料、グラノーラなど)、調味料(ドレッシング、ソース、つゆ、たれ、鍋スープなど)。

ジェトロは、「日本からマレーシアへの農林水産・食品輸出額は、経済成長に伴う富裕層・中間層の所得向上や健康志向の高まりを背景に、年々拡大しており、2022年には過去最高額となる234億円に達した。更なる日本産食品の市場拡大に向けては、マレーシアの人口の約6割を占めるマレー系を中心とした中間層市場のターゲット化を本格化していくことが求められている」としている。

FHM2023の会期は9月19日ー22日で、会場はクアラルンプール・コンベンション・センター(KLCC)。前回のFHM2019では、1,545社が出品し、60カ国から約3万人が来場した。

アセットカヤマス、同社初のホテル「スリーピングライオン」を開設

【クアラルンプール】 不動産開発のアセット・カヤマスは、クアラルンプール中心部のブキビンタンに3つ星ホテル「スリーピング・ライオン・スイーツ」を正式オープンした。

客室数は866室で、一人旅やカップル向けのスーペリアルームから、大家族やグループ向けのプレミア・ファミリースイートまで、10種類の客室を用意。屋上のインフィニティ・プールやジム、サウナ、スチームバス・ルーム、大小のミーティングルームなども備えている。

アセット・カヤマスのマイケル・チャイ専務取締役は、同社は12年以上高級住宅開発や首都圏での低価格高層住宅提供に取り組んできたが、「スリーピング・ライオン・スイーツ」によりホスピタリティ業界に初参入するとし、単に部屋やスペースを提供するのではなく、心身の回復のためにリフレッシュできる場を提供していくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月13日)

半導体企業の業績、下半期は改善の見通し

【クアラルンプール】半導体関連企業の業績は底を打つ可能性が高く、下半期には改善するとアナリストは予想している。7月の世界の半導体出荷額は前期比で5カ月連続して増加しており、世界半導体市場統計(WSTS)は2024年の世界半導体出荷額を前年比11.8%増の5,760億米ドルと予想している。

金融大手RHBの調査部門は、市場は来年の大幅な業績改善と新たな顧客獲得を織り込んでいると指摘する。

情報通信コンサルティング、トライデント・アナリティクスのピーター・リム最高調査責任者によれば、下半期に入り半導体業界の収益は徐々に改善している。この先、パソコン、通信機器、自動車関連の半導体メーカーは収益増が期待できるという。

RHBによれば、国内半導体関連企業の第2四半期の純利益は前年同期比48%の減少だった。内需志向の企業は堅調な需要に支えられたが、組立・テスト受託企業は工場拡張による稼働率の低下、固定経費の増加で、売り上げが減少し、利益率が縮小した。

半導体景気の下降サイクルは12カ月続いており、7月の世界半導体出荷額は前年同期比で12%減少した。7月までの今年の出荷額は同17.1%減の2,873億米ドル。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月14日)

9月19日にモンスーン移行期に突入、大雨と風に注意=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は、9月19日にモンスーン移行期に入り、11月まで続くと予想されるとして、大雨と強風に注意するよう呼び掛けた。

気象局によると、モンスーン移行期に入ることは5月15日に始まった南西モンスーンの終わりを意味する。北東モンスーンに変わるまでのモンスーン移行期には、さまざまな方向からの弱い風に見舞われ、雷雨が発生しやすくなり、たびたび短時間の大雨と強風を伴う。こうした現象は主に半島部西海岸と内陸部、サバ州西部、サラワク州西部および中部のほとんどの地域で午後遅くから夕方にかけて発生し、鉄砲水が発生する恐れがあるという。

気象局は国民に対し、モンスーン移行期間中はより警戒し、公式ウェブサイトや、モバイルアプリ「myCuaca」、公式ソーシャルメディアを通じて気象局が発する天気予報や警報に常に注意を払うよう呼びかけた。ホットライン(1-300-22-1638)でも問い合わせに応じるとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月15日、エッジ、ベルナマ通信、9月14日)

74%が学歴を重視、26%が教育制度に不満=イプソス調査

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソス(Ipsos)が実施した調査によると、マレーシア人は、東南アジアの近隣諸国と比べて、学歴と高等教育資格を依然として高く評価し、人生の成功を左右する重要な要素と考えていることが分かった。

同社の「教育モニター」と題する、29カ国・地域を対象とした国際調査で、マレーシア人の74%が、「大学や専門学校の学位は計り知れない価値があり、人生の成功に不可欠である」ということに「強く同意する」と回答し、3位となった。世界平均は60%で、1位はインド(80%)、2位はシンガポール(79%)。日本は49%で、英国と並び9位だった。

自国の教育制度に対して「とても良い、やや良い」と回答したのは37%(世界平均は33%)、「とても悪い、やや悪い」が26%(同36%)、「どちらでもない」が36%(同29%)だった。一方、「自分が学生だった頃と比べて、教育制度が改善されている」と回答したのは41%だった(同30%)。

イプソス・パブリック・アフェアーズのシニア・リサーチ・マネージャーであるアザマット・アババキロフ氏は、マレーシア人の多くは、大学や専門学校の学位を取得することを人生の成功における重要な要素として重視しており、自国の教育制度に大きな期待を寄せているため、60%以上が最適な状態ではないと評価しているとし、教育の質には改善が見られるものの、技術活用が限られていること、教育の不平等、不十分なインフラ、時代遅れのカリキュラムなど、教育システムが直面している課題を認識していると述べた。

本調査は2023年5ー7月に、イプソスのオンライン調査プラットフォームを通じて実施され、29カ国から2万3,248人が回答。そのうちマレーシア人は500人だった。
(マレー・メイル、9月14日、イプソス発表資料)

独自のカーボンクレジットの導入、ジョホール州が計画

【イスカンダル・プテリ】 ジョホール州政府は州議会に、州独自のカーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減証明)の導入案を提出した。一定の水準を超え二酸化炭素を排出する事業体に、超過分を税として納入することを求める内容だ。税収増が狙い。

提出に当たった気候変動災害対策特別委員会のアヌアル・アブド委員長によると、徴収した税は気候変動がもたらす災害への対策費として利用する。納税先は州政府に限定せず、連邦政府になる可能性もあるという。

アヌアル氏によると、特別委員会はまた、マレーシア気象局が州内全域に、気象データを自動的に集める測候所を設置できるよう、気象局に資金を出すことも提案している。
(マレー・メイル、9月14日)

プロトンが「X90」をリコール、配線の欠陥で発火の恐れ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは13日、今年5月に発売した同社初のハイブリッド車であるスポーツ車(SUV)「X90」について、配線の欠陥で発火する恐れがあるとしてリコールすると発表した。「X90」は8月末までに累計2,944台が販売された。

プロトンは、社内調査でアース接続の一つに問題がある事が判明したとした上で、「継続的に大きな電流が流れると接続部分が過熱し、防音材に近いため熱事故が発生する可能性がある」と説明。懸念の声が上がっていた車載の48ボルト・マイルドハイブリッドバッテリーが原因ではないと強調した。

「X90」の所有者には、プロトンのディーラーから個別に連絡があり、車両を検査のために持ち込むよう指示がある。必要に応じて、熱リスク排除のためにサービス・センターによる修理作業が行われるという。
(マレー・メイル、ポールタン、9月13日)

GSTの再導入前に、富裕層の補助金削減が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、物品・サービス税(GST)について、GSTは最も効率的かつ透明性の高い税制であると認めたものの、導入時期については、もう少し時間が必要だとし、まずは富裕層の補助金を削減しなければならないとの見解を示した

シンクタンクの米ミルケン研究所が開催した「第10回アジアサミット」において、ブルームバーグのインタビューに応じたアンワル首相は、マレーシアはアジアの中で補助金支出額が最も高い国の一つであるとした上で、政府は出来るだけ早く補助金を削減する必要があるとした。

一方で投資について、アンワル首相は、1990年代に成功した例を挙げて、誘致を確実にするため政策を明確にすることに重点を置いているとコメント。適切な政策と明確な経済政策により1990年代よりも良い結果を出すことができると述べた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、9月13日)