南北高速道路に初のEVトラック対応の充電ハブ開設

【クアラルンプール】 高速道路で初となる電気トラック(EVトラック)対応の充電ハブが、ジョホール州北部の南北高速道路タンカック料金所近くのピットストップに開設された。

運営するのは、石油・ガス(O&G)のインソン傘下のチャージEV。北行きと南行きの両方からアクセスでき、乗用EVも含め8台分のスペースが確保されている。DC急速充電で最大出力は400キロワット。EVトラックでクアラルンプールとシンガポール間を安心して走行できるようになるという。周辺にはフードコートなども整備されている。利用料金は1キロワット時(kWh)あたり1.6リンギ。蓄電容量400メガワット時(MWh)のバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)も備えられている。
(ポールタン、2月27日)

高度医療の病院、KL中心部に隣国企業が開設へ

【ペタリンジャヤ】 シンガポールを拠点とする投資コンサルティング会社、ブラック・グループ・インベストメント・ホールディングはクアラルンプール中心部に最先端の医療施設を整備する。投資額は1億シンガポールドル(約3億3,145万リンギ)。9月の開業を目指している。

アラン・リー最高投資責任者によると、医療観光に軸足を置いた病院で、アンチエイジング医療  再生医療、細胞治療(欠損した細胞や病気の細胞を補うために健康な細胞を体内に移植する治療)などの高度医療サービスと、もてなしを組み合わせる。従来型病院とは異なるという。

高級サービスアパート用に建設された商業施設を買収し、医療ホテルに改装する。マレーシア参入に備えブラック・グループは1月、クアラルンプールを中心に商業不動産の売買、管理を手掛けるマレーシア企業ブラック・ダイヤモンド・アセット・マネジメントを買収していた。

リー氏は「このプロジェクトは医療業界の新たな基準になり、医療観光の目的地としてのマレーシアの地位強化になる」とした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月27日)

軽便鉄道シャアラム線が99%完成、9月30日に開業へ

【クアラルンプール】 首都圏軽便鉄道シャアラム線(LRT3)の工事進捗率が98.63%に達し、7月31日にターンキー請負業者によって公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアに引き渡される予定だ。以前の発表通り9月30日に開業する見通し。

アンソニー・ローク運輸相によると、安全性を確保するため無乗客での試運転を2段階で実施する。

第1段階の試運転(TR)と無故障運転(FFR)は、主契約者であるセティア・ウタマLRT3によって、2025年4月中旬から6月下旬まで75日間にわたって実施される。試験期間中、公共陸運局(APAD)が安全性、コンプライアンス、システムの信頼性を評価する。

第2段階の試運転は第1段階のTRとFFRテストが完了しAPADによる承認が出た後に行われるもので、セティア・ウタマLRT3の技術サポートを受けて、LRT3運営会社のラピッド・レールによって2025年7月から8月までの60日間にわたって実施される。

LRT3はセランゴール州ペタリンジャヤのバンダル・ウタマとクラン地区のジョハン・セティアを結ぶ全長37.8キロメートルの路線で、途中のシャアラムやクランを含む26駅が設置される。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、2月27日)

JB―シンガ鉄道リンクの運賃は為替レートを考慮、発表は来年

【クアラルンプール】 ジョホールバル(JB)とシンガポールを結ぶ高速輸送システム(RTS)リンクの運賃はマレーシアとシンガポールの為替レートなどさまざまな要因を考慮して決定され、2026年に政府首脳によって発表される見通しだ。開業は2027年1月を予定している。

RTSリンクの運行会社、RTSオペレーション (RTSO) のアハマド・マルズキ最高経営責任者(CEO)は、RTSプロジェクトの最新動向に関するメディア向け説明会の中で、RTSリンク・プロジェクト全体の進捗率は50%に達していると言明。線路の設置も予定通りに進んでおり、線路ライニング、レールトラックの設置、および両方のコンポーネントを固定クリップで固定する作業を含め、作業の65%以上が完了していると述べた。

線路工事は今年7月に完成する予定。電源コンポーネント、信号および通信システムの設置を含むシステム関連作業は3月に開始されるという。

RTSOはマレーシアの鉄道資産保有会社プラサラナ・マレーシアとシンガポールのSMRTコーポレーションの合弁会社RTSリンクはマレーシアとシンガポールを結ぶ4キロメートルの通勤鉄道で、ジョホールバルのブキ・チャガル駅とシンガポールのウッドランズ・ノース駅の2駅間を結ぶ。1時間あたり最大1万人の乗客を運ぶことができ、1日の乗客数は約4万人になると予想されている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月26日)

地圏環境テクノロジー、マレーシア国立水理研究所と提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 水問題に関する技術コンサルティング会社の地圏環境テクノロジー(本社・東京都千代田区)は26日、マレーシアの防災や水資源に寄与するため、マレーシア国立水理研究所(MAHRIM)と意向表明書(LOI)を締結したと発表した。

この締結は、次世代型の洪水早期警報システムの構築を目指すもの。レーダー雨量計情報や水文観測データなどを活用し、洪水や渇水の可能性の予測や水資源の監視をするデモシステムを開発しており、マレーシアでの実装を図る。また、マレーシア政府はMAHRIMを通じ、防災や水資源の保全に関する「ASEANウオーターハブ」の設立を予定しており、地圏環境テクノロジーが技術的サポートを行うという。

18日の締結に合わせ、デモシステムなどを説明するワークショップを開催。経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金を受けており、MAHRIMや、エネルギー移行・水利転換省、投資貿易産業省、マレーシア気象局などから参加があった。

四方大使、累計投資額1千億リンギ超などの取り組みを強調

【クアラルンプール】 四方敬之 駐マレーシア日本大使は26日に行われた地元メディアらとの記者会見で、日本からの累計投資額は1,000億リンギを超え、マレーシアにとって重要な経済パートナーであることを強調。今後、エネルギー安全保障分野、持続可能な社会に向けた取り組みでもますます関係が強化されるだろうと述べた。

四方大使は先月の石破茂首相の来馬などを踏まえながら、日本はマレーシアにとって第4位の貿易相手国でもあり、さらなる二国間協力の重要性などに言及した。

また、昨年のマレーシアから日本への訪日観光者数が過去最高の50万6,800人に達したことや、新型コロナウイルスの影響で一時減っていた日本人居住者が回復傾向にあることなど、両国の交流のさらなる活発化について期待を示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、2月26日)

マレーシアの電動車両の販売台数、昨年は30.4%増加

【クアラルンプール】 2024年の電動車両(xEV)の販売台数は4万6,239台となり、前年比30.4%増加し自動車販売台数全体の5%を占めた。xEVにはハイブリッド車(HEV)とプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池電気自動車(FCEV)が含まれる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相が下院議会質疑で書面回答した。バッテリー式電気自動車(BEV)については3万8,369台に大幅増加したと指摘。「2023―24年の傾向に基づき、政府は2030年までに路上を走るxEVの累計台数が乗用車と商用車合わせて少なくとも40万台に達すると予想している」と述べた。

ザフルル氏はまた、政府がxEVの年間販売比率の目標を2030年までに20%、2040年までに50%、2050年までに80%に設定したと述べた。

ザフルル氏によると、2024年12月31日時点でマレーシアのxEV登録車両は合計11万9,000台に達し、EV充電施設についてはDC充電器が1,095基、AC充電器が2,516台で合計3,611台となっている。政府の目標は2025年までにAC充電器が8,500台、DC充電器が1,500台、合計1万台の標を維持している。

政府はBEVの購入を促進するために税制優遇措置を導入しており、2025年12月31日まで輸入完成車(CBU)に対する輸入税と物品税が免除、2027年12月31日まで国内製造BEVに対する輸入税、物品税、売上税が免除される。
(ザ・スター電子版、ポールタン、2月26日)

アブラヤシガラ利用の電力を全国送電網に、農園省が主導

【クアラルンプール】 農園一次産業省は、全国送電網を所有するテナガ・ナショナル(TNB)およびエネルギー委員会(EC)の協力の下、パーム油産業で生産される再生可能エネルギー(RE)由来の電力を全国送電網に取り入れる計画だ。ジョハリ・アブドル・ガニ大臣が25日、パーム油会議の席上、発表した。

搾油の際、生じるヤシガラを燃料とし生産した電力のうち余剰分をTNBに卸してもらう方式で、1時間当たりのアブラヤシ処理能力を60トンとして、1工場当たり5-7メガワット(MW)の発電が可能と想定している。国内に450あるパーム油工場がすべてこの方式を採用すれば、2,000MWの電力供給が可能だという。

この先10年以内に、すべての搾油・精油工場がREに移行するよう促す。ネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)への貢献が狙い。これに伴い政府は石炭火力発電への依存を減らす意向で、44年までの全廃を目指している。既にユナイテッド・プランテーションズがヤシガラを利用した発電に乗り出している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、2月25日)

KLの渋滞緩和に向け「渋滞税」導入を検討=首相府相

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の慢性的な交通渋滞緩和策として、「渋滞税」の導入が検討されている。「KL交通マスタープラン2040(PITKL2040)」に盛り込まれている渋滞対策の1つで、現在有効性評価に向けた調査が行われている。

ザリハ・ムスタファ首相府相(連邦直轄地担当)は下院議会の答弁の中で、最終決定が下される前に、調査結果を道路交通渋滞に関する内閣委員会(JKMKJR)に提出し、さらに検討すると言明。「マレーシア交通安全研究所(MIROS)とマレーシア・グリーン技術・気候変動公社(MGTC)は現在、渋滞税導入の有効性に関する調査を実施している」と述べた。

ザリハ氏は、KLの交通渋滞に対処するには、国民の公共交通機関利用を促す包括的なエコシステムを開発する必要があると強調。「2020年に公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアが実施した調査では、交通渋滞により200億リンギの損失が発生したことが明らかになった」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、2月25日)

パリバゲット、初のハラル認証生産拠点をジョホール州に開業

【クアラルンプール】 韓国系ベーカリーチェーン「パリバゲット」は25日、初のハラル(イスラムの戒律に則った)認証を取得した生産拠点をジョホール州のヌサジャヤ・テックパークに開業した。

2億6,000万リンギをかけた生産拠点は、7つの生産ラインで、年間1億個のベーカリー製品を生産できる。

開業式典にはジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ首相や、パリバゲットの親会社で、大手食品・菓子メーカーSPCグループのホ・ヨンイン会長らが出席。生産拠点はジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)内にも位置しており、ホ会長は「戦略的な拠点として、東南アジア、中東などに広がるハラル市場の20億人の消費者に健康的でおいしい味を提供することを目指す」と述べた。

1988年創業のパリバゲットは、2004年から海外進出を進め、現在、欧米や中国、東南アジアなどで約4,000店舗を運営している。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、2月25日)