マレーシアは経済危機に対処できる、会見で第2財務相

【プトラジャヤ】 アミル・ハムザ第2財務相は東南アジア諸国連合(ASEAN)財務相・中央銀行総裁会合を2日後に控えた5日の記者会見で、マレーシアを含む168カ国に対する米国の相互関税措置で経済危機が発生しても、国として対処できると述べた。

アミル・ハムザ氏は「国は輸出市場の拡大を図ってきた。外国からの直接投資の誘致活動も継続する。われわれが制御できる事柄に焦点を当て、ともに強靭さを構築しよう」と国民に呼び掛けた。

アミル・ハムザ氏によれば、対外債務は政府債務の3%以下。金融機関は国債、社債購入意欲が高く、政府系投資会社もこの先5年間で計1,200億リンギの国内投資を約束している。

外国人投資家の動きでは、株式売却が見られるが、彼らは債券に資金を転じているという。アミル・ハムザ氏は「マレーシア経済の先行き見通しが良好だからだ」と説明した。

米の関税措置に対しては、外交ルート、政府高官との接触を通じ、真意を探っていると述べた。
(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月5日、マレー・メイル、4月4日)

マレーシア政府、米国の関税引き上げに報復関税実施せず

【クアラルンプール】 米国政府が2日、マレーシアを含むすべての国に高率の「相互関税」を課すと発表したことについて、マレーシア政府は米国に報復関税を課すことは考えていないと表明した。米国はマレーシアが米国からの輸入品に対して47%の関税を課していると主張しており、今後マレーシアからの輸入製品には24%の関税を課すとしている。

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は、報復関税を課す代わりに貿易投資枠組み協定(TIFA)などの二国間枠組みを通じて米国当局との連携を継続するとともに、半導体、航空宇宙、デジタル経済などの主要分野におけるハイテク協力を深めるための技術保障協定を検討していく方針だ。

MITIは声明の中で、米国の関税引き上げ発表を真剣に受け止めており、自由で公正な貿易を維持するための解決策に到達することを期待して米国当局と積極的に交渉すると言明。一方で国内需要が経済成長の主な原動力となってマレーシア経済の堅調さが引き続き維持できると期待しているとし、「内閣が最近承認した国家地経学指揮センター(NGCC)は、米国の関税引き上げの影響を評価し、我が国の経済と産業に与える影響を緩和するための包括的かつ多面的な戦略を検討する。政府は影響を受ける産業と連携しながら、企業が適応できるよう支援プログラムを模索している。 MITIは、貿易紛争を解決し相互繁栄を促進するために、対話と協力の場を開くことに引き続き尽力する」と述べた。

NGCCの議長は財務相も兼務するアンワル・イブラヒム首相で、MITIが事務局を務める。
(マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、4月3日)

米国、マレーシアに24%の「相互関税」を課すと発表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ドナルド・トランプ米大統領は2日、貿易相手国と同水準まで関税を引き上げる「相互関税」措置の詳細を発表。リストの11番目に記載されたマレーシアについては、24%の関税を課すとした。日本もマレーシアと同じ24%となっている。

「相互関税」はすべての国・地域が対象となっており、最高がレソトの50%、最低の国々でも10%となっている。表にはマレーシアが米国製品に対し47%の関税を課していると記されており、「相互関税」はその半分として計算されている。、「相互関税」は主要国では中国(34%)、欧州連合(EU、20%)、台湾(32%)、インド(26%)、韓国(25%)、スイス(31%)――などが高くなっている。

東南アジア諸国連合(ASEAN)では、カンボジアが49%と最も高く、ラオスが48%、ベトナムが46%、ミャンマーが44%、タイが36%、インドネシアが32%、ブルネイが24%、フィリピンが17%、シンガポールが10%となっている。

トランプ氏は「我々は米国経済再建と不正防止のため、他の国々に10%の最低基本関税を課す」と言明。「我々は本当に非常に裕福になれる。どの国よりもずっと裕福になれる。信じられないくらいだ。だが我々は賢くなっている」と述べた。

マレーシアやタイ、ベトナムなど共に米国との貿易黒字が巨大な国であることから、先ごろベッセント米財務長官が「ダーティ15」貿易相手国として挙げた国に入っていた。マレーシアと米国の二国間貿易額は2024年に3,249億リンギに達し、マレーシア貿易額の11.3%を占め、米国はマレーシアにとり第3位の貿易相手国となっている。

住宅でできるRE活用の新ガイドラインを発表=エネルギー委員会

【クアラルンプール】 エネルギー移行・水利転換省傘下のエネルギー委員会(EC)は3月28日、再生可能エネルギー(RE)に関する新たなガイドラインを発表した。エネルギー会社は、住宅の屋上でできた太陽光エネルギーを集約して、販売することが可能になる。

ガイドラインは、コミュニティ再生可能エネルギー集約メカニズム(CREAM)という名称で、企業向けRE供給スキーム(CRESS)の住宅版。エネルギー会社は住宅の屋上スペースを借りて太陽光パネルを設置し、規定の5キロメートル圏内の商業および家庭の消費者に電力を販売できる。住宅所有者は収入を得ることができるメリットがある。政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)の配電ネットワークを利用するなどの条件がつけられている。

マレーシアの建物は屋上に太陽光パネルを設置することで、3万4,000メガワットのエネルギー発電能力があるとされている。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、3月28日)

クアラトレンガヌ市、商業施設に31日の休業を指示

【クアラルンプール】 トレンガヌ州のクアラトレンガヌ市議会(MBKT)は、市内の商業施設に対し、ハリラヤ初日になると見込まれる3月31日を休業、あるいは半休するよう指示した。

フェイスブックに投稿された指示によると、営業形態によって全日休みと、午前零時から午後1時までの半休に分けられている。全日休みになるのは、ショッピングモールやスーパーマーケット・ハイパーマーケットなどの大型店。半休になるのは、コンビニエンスストア、ファストフード店などの小売り店になる。違反した場合、法的措置もとられるという。

トレンガヌ州は3月30日を臨時の公休日とすると発表しており、クランタン州も同様に3月30日を公休日にすると宣言している。
(ワールド・オブ・バズ、3月27日)

上院が閉幕、改正EPF法など10法案を承認

【クアラルンプール】 上院は26日、複数の法案を承認して会期を終了した。承認した法案は全部で10本。これには従業員積立基金(EPF)法改正案、憲法改正案が含まれる。

改正EPF法は全ての外国人労働者にEPFへの加入を義務付ける内容で、加入者は55歳に達すると積立金の一部、またはすべてを引き出すことができる。加入義務付けは外国人の社会保障を考慮したもので、アミル・ハムザ第2財務相は、国籍を問わずすべての外国人給与所得者を平等に扱い、社会保障を提供するものだと説明した。

経営者にマレーシア人の雇用を促す効果も見込んでおり、賃金上昇につながると政府は期待している。社会保障のポータビリティーとして、財務省とEPFは、外国人がEPF積立金を母国での年金に移転できるようにする研究も行う。

3月20日の憲法改正案審議にはアンワル・イブラヒム首相が出席した。上院は行政サービス効率化委員会法も承認した。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、3月26日)

タバコ製品の陳列禁止、4月1日より施行=保健省

【プトラジャヤ】 保健省は、全国5万1,000カ所に上るタバコ販売店舗におけるタバコ製品陳列禁止措置を4月1日付けで施行すると発表した。最終的にタバコの陳列場所を密閉式キャビネットに切り替えさせる方針で、今年10月1日に完了する予定だ。

昨年10月1日に施行された「2024年公衆衛生のための喫煙製品管理法」に基づく措置で、陳列禁止措置については「2024年公衆衛生のための喫煙製品管理(販売管理)規則」第6条で記述されている。すべての販売施設は適切なカバーを使用してタバコ製品を公衆の目に触れないようにしなければならない。

保健省は「他国における有効性と実用性を考慮すると、陳列禁止を実施する最も適切な方法は、布製やキャンバス製のカバーをかけるのではなく、密閉されたキャビネットを使用することだ。引き続き小売業者と協力し、密閉式キャビネットが仕様どおりに設置され、遵守状況を厳重に監視する」との声明を発表した。

マレーシアに先駆けてタバコ陳列禁止措置をとっている国では、キャビネットをカーテン状の布製カバーで覆っているケースもある。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、3月25日)

自動車用エンジンオイル、4月7日から認証義務化

【クアラルンプール】 政府は4月7日から、自動車用エンジンオイルの認証取得と表示を義務づける。アルミザン・アリ国内取引物価相が20日、明らかにした。

偽造品の製造・販売防止が狙いで、国内生産品か輸入品かを問わず、すべてのエンジンオイル製品は、主要な試験、検査、認証機関である SIRIM QASインターナショナルの認証取得が義務づけられる。取引表示法を改正するもので、すでに2024年10月11日からオイルメーカーに対して官報で公示している。

2019年1月から今年2月までに、エンジンオイルに関する苦情が240件寄せられた。うち36件が処分され、押収額は115万4,198リンギだったという。
(ベルナマ通信、ポールタン、3月20日)

4月導入の外国人投資家パス、最長1年滞在と数次入国可能に

【クアラルンプール】 マレーシア出入国管理局駐在者サービス課(ESD)は15日、4月1日から導入される投資家パス(ビザ)の詳細を発表した。

投資家パスは、ビジネス訪問者または外国人投資家の円滑な活動を目的としたマルチエントリービザ (MEV)になる。特に、投資機関または関連当局を通じてマレーシアへの投資を約束した人を対象とするという。6カ月間滞在でき、さらに6カ月間延長することができる。

申請時にマレーシア国外にいる必要があり、ESDの申請システム「エクスパッツ・ゲートウェイ」を通じて必要な書類が提出されると、5営業日以内に処理されるという。家族向けの扶養家族パス(DP)は申請することができない。

外国人投資家に対しては現在、出身国の規定に応じ、14―90日間のソーシャルビジットパスしかなく、中長期滞在できるビザが求められている。クアラルンプールの市場教育センター(CME)の最高責任者で、イタリア人実業家のカルメロ・フェルリト氏は「(投資を促すための)正しい一歩」と評価しつつ、「投資家の定義が不明確」と指摘。またマレーシアのアイルランド商工会議所のドナル・クロッティ会長の発言として、導入前に各国の商工会議所などと詳細を協議するよう提案している
(フリー・マレーシア・トゥデー、3月18日、ESD発表資料)

大型車両、高速道での追い越し車線走行を禁止へ

【クアラルンプール】 運輸省 (MOT) は、大型車両に対して高速道路走行の際の追い越し車線使用を禁止する方針だ。 ジャナ・サンティラン事務次官によると、同規則は2015年に公布されていたがこれまで実施されていなかったため、実施提案書を運輸大臣に提出するという。

商用車、特にトラックとバスに対する運行規則の厳格化のための5つの改善策の1つで、追い越す場合のみ2番目の走行車線を利用し、追い越しが終わった段階で左端の車線に戻る必要がある。追い越し車線はいかなる場合も走行してはならない。

他の4つの改善策は、▽速度制御装置の設置義務▽全地球測位システム (GPS) 追跡設置▽11の高速道路での高速走行時重量測定 (HS-WIM) 検出器設置▽追加の自動執行システム (AES) カメラ設置――。速度を時速80―90キロメートルに制限する速度制御装置はすでに新しいトラックには装備されており、GPS設置規則は3月中に施行される。またHS-WIMも2026年第1四半期に完了する予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、3月18日)