ASEAN首脳会議、GCCと中国を交え連携強化を確認

【クアラルンプール】 クアラルンプールで開催されていた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が27日、閉幕。この日は、ASEANと、湾岸協力会議(GCC)、中国の3者による首脳会議が初開催され、アンワル・イブラヒム首相は「今日の多極化した世界において協力のパターンを再構築できたことは大きな成功」と強調した。

今回のASEAN首脳会議では、2回目となるASEAN・GCCの首脳会議、さらに中国を交えての3者での初の首脳会議が相次いで開かれた。ASEANの国内総生産(GDP)は現在、3.8兆米ドル(15.9兆リンギ)で世界第5位の経済圏で、さらにGCC、中国を合わせたGDPは25兆米ドル(104兆リンギ)に達し、総人口は21億人を超える。

アンワル首相は「すでに我々には強固な連携がある一方で、未開拓の大きな潜在力も秘めている」と述べ、それぞれの独自の特性を活かしながら、より強靭で繁栄した未来に向け、貿易、投資、持続可能な開発における3者の協力を拡大させていくとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、5月27日)

ラフィジ経済相・ナズミ天然資源相が辞任、党役員選での敗北受け

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相とニック・ナズミ・ニック・アハマド天然資源・環境持続可能性相が28日、辞表を提出した。両氏はそれぞれ23日に行われた人民正義党(PKR)副党首選、党首補選で敗北していた。

ラフィジ氏は「私は説明責任と国民の信任に基づく新しい政治文化を推進するために政界入りした。先のPKR副党首選挙での敗北は、PKRが掲げる国民のための政策を私が政府のプログラムとして実現していくための党からの信任を失ったことを意味する。民主主義の原則を掲げる国の慣例に従い、党内選挙で敗北した党幹部は、勝利者にその座を譲るべきだ」と述べた。

現職の副党首だったラフィジ氏は、党役員選でアンワル・イブラヒム首相の実娘で現職の指名党首補であるヌルル・イザ・アンワル氏に大差で敗れた。選挙に先立ってラフィジ氏は敗れた場合には閣僚職を辞任すると述べ、下院議会議員及び一般党員としての職務に注力する考えを示していた。

一方、ニック・ナズミ氏は、閣僚入りにあたってPKR党首補の経歴が考慮されたことを認識しているとした上で、「党首補のポジションを守れなかったため、大臣を辞任することにした」と辞任理由を説明した。

現職のニック・ナズミ氏は、12人が出馬した党首補選(定員4人)では得票数5位にとどまった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、5月28日)

ASEAN首脳会議開幕、今後20年間の指針のKL宣言を採択

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が26日、クアラルンプール(KL)で開幕。今後20年間の地域の発展と協力の指針となる「クアラルンプール宣言」を採択した。

会議冒頭にアンワル・イブラヒム首相があいさつ。前回クアラルンプールで開催時の2015年に合意された「ASEAN共同体」に触れながら、最近の米国による一方的な関税導入により世界貿易システムは更なる緊張にさらされているとし、今後の20年を見据え「ASEAN共同体ビジョン2045(ACV2045)」策定の重要性を強調した。

クアラルンプール宣言は「ASEAN2045:我々の共通の未来」と題されており、ASEANの団結、安定、持続可能な開発へのコミットメントを再確認した。ACV2045を核とする内容で、▽ASEANの地域的リーダーシップの強化▽デジタル経済とグリーン経済への注力▽政策立案における、女性、若者、社会的弱者などインクルージョン(包摂性)の向上▽持続可能性とレジリエンスの中心議題化――などを優先事項に設定。政治的安全保障、経済、社会文化、インフラとデジタルの連結性を4つの柱とし、それぞれの戦略計画について合意した。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、5月26日)

与党連合・人民正義党の役員選、アンワル首相実娘が副党首に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 与党連合・希望同盟(PH)の中核党・人民正義党(PKR)の党役員選挙が23日に行われ、ナンバー2である副党首選ではアンワル・イブラヒム首相の実娘で現職の指名党首補であるヌルル・イザ・アンワル氏が現職のラフィジ・ラムリ副党首(経済相)を大差で破って当選した。党首選ではアンワル首相が無投票再選を決めた。

12人が出馬した党首補選(定員4人)では、現職のアミルディン・シャリ (セランゴール州首相)、アミヌディン・ハルン氏(ネグリ・センビラン州首相)、チャン・リーカン氏(科学技術革新相)と新人のR.ラマクリシュナン氏(副起業家開発共同組合相)が当選した。ニック・ナズミ・ニック・アハマド氏(天然資源・環境持続可能性相)は落選した。党首補の定員は4人だが、党最高評議会からの指名で増員されるため復活する可能性がある。

青年部部長は現職のムハンマド・カミル・アブドル・ムニム氏が無投票で当選を決めた。婦人部部長選は、現職のファドリナ・シデク氏(教育相)がロズィア・イスマイル氏(アンパン地区選出下院議員)を破って当選した。

マレーシアとGCCがFTA交渉を開始へ、1年内の締結目指す

【クアラルンプール】 マレーシアと湾岸協力会議(GCC)の間の自由貿易協定(FTA)交渉が、5月27日に正式に開始される見通しだ。テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相が明らかにした。

GCCは、▽サウジアラビア▽アラブ首長国連邦(UAE)▽カタール▽クウェート▽バーレーン▽オマーン――の6カ国で構成されている。ザフルル氏は「FTA交渉の正式な開始に向けて準備を進めており、まもなく共同意向表明が発表される見込みだ」とし、サウジアラビアのGCC事務局を最近訪問したことで、交渉プロセスを加速させる基盤が築かれた述べた。

マレーシアは現在、7つの二国間FTAと9つの多国間FTAを締結している。GCCとは1年以内のFTA締結を目指している。協議はまだ初期段階だが、ザフルル氏はマレーシアは既に半導体、電気・電子(E&E)、石油化学、石油・ガス、化学など、いくつかの有望なセクターを特定していると言明。ハラル(イスラムの戒律に則った)経済、デジタル経済、再生可能エネルギー(RE)、人工知能といった新興産業も対象になると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、5月25日)

マレーシアとベトナム、ASEAN送電網などで協力強化

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は25日、ベトナムのファム・ミン・チン首相と2国間会談を行い、エネルギー協力強化で合意。アンワル首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に関するベトナムの協力に謝意を示した。

エネルギー協力には、政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)と、マレーシアの国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)、ベトナム石油ガス・グループ(ペトロベトナム)による協力などが含まれる。特に、両首相の立ち会いのもと、TNBと、ベトナム国営企業のベトナム電力公社(EVN)のAPG協力に関する覚書(MoU)の締結が行われた。ベトナムの再生可能エネルギー送電網を、ASEAN電力網に接続する海底ケーブルを介してマレーシア、さらにシンガポールへ接続する計画で、アンワル首相は共同記者会見で、今回のASEAN首脳会議における主要な成果の一つと位置付けた

このほか、マレーシア国民大学 (UKM)とベトナム国家大学の教育と地域統合に関する意向書交換も両首相の立ち合いで行われた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、ザ・スター、5月25日)

海底トンネルに替えて架橋計画を検討=ペナン州政府

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、本土と島部と結ぶ第3のルートとしてこれまで進めてきた海底トンネル計画を破棄して、第3橋の建設に切り替えることを検討している。同州インフラ・交通・デジタル委員会のザイリル・キル・ジョハリ議長(国政の閣僚に相当)が州議会演説で明らかにした。

ザイリル氏によると、架橋計画が実現すれば、島北部のプラウ・ティクスと本土側のバガン・アジャムを結ぶ可能性が高いという。橋の建設案やその他の代替案を含む実現可能性調査は2023年にすでに完了しており、新たな設計の調査がまもなく完了し、最終設計が確定する予定で、調査終了後、交通影響評価などが実施される。

海底トンネルプロジェクトは、島部ジョージタウン―本土側バターワース間全長7.2キロメートルをトンネルで結ぶというもので、ペナン州交通マスタープラン(PTMP)の一環として2011年に初めて提起された。しかし業者を巡る汚職疑惑の浮上や巨額な建設費(約63億リンギ)、海洋環境への影響懸念などから長らく進展せず、このため当初から建設費が海底トンネルに比べて半分程度と安い架橋計画への変更を期待する声も上がっていた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、5月21日)

対象を絞ったレギュラーガソリン補助金、管轄を財務省に移管

【クアラルンプール】 下半期の実施が見込まれる対象を絞った「RON95」レギュラーガソリン補助金合理化の管轄について、経済省は財務省に正式に移管した。ラフィジ・ラムリ経済相が明らかにした。これを受け長らく発表が待たれていた補助金合理化の実施が間近に迫っているとの観測が強まっている。

ラフィジ氏は、補助金合理化の管轄を財務省に移管する決定は内閣が行ったとした上で、「経済省としては、同問題を内閣に4回提起しており、現在は財務省の対応を待っている状況だ。今後は財務省が補助金合理化のプロセス全体を管理することになる」と言明。 詳細については「公式発表を待つ必要がある」と述べた。

ラフィジ氏によると、RON95補助金合理化は2段階で実施される。第1段階はガソリンスタンドでの業務遂行を含むフロントエンド段階、第2段階はB85グループ(所得下位85%)の受給資格の認定を含むバックエンド段階で、「バックエンド」プロセスは引き続き経済省が担当する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、5月19日)

ASEANサミット、首都圏主要道路が23―28日に断続的閉鎖

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)で開催される第46回東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットに合わせ、首都圏クランバレーの高速道路を含む複数の道路が5月23日から28日まで断続的に閉鎖される。

ブキ・アマン警察本部・交通捜査執行局(JSPT)のモハメド・ユスリ・ハッサン・バスリ局長が明らかにしたところによると、閉鎖されるのは6本の主要高速道路と25本の幹線道路で周辺で迂回措置が取られる。特にクアラルンプール市内中心部が影響を受けるという。

影響を受ける高速道路は、▽南北高速道路中央リンク(ELITE)▽マジュ高速道路(MEX)▽新クランバレー高速道路(NKVE)▽クアラルンプール・セレンバン高速道路▽南北高速道路(NSE)▽ガスリー回廊高速道路(GCE)――。一般道では▽ジャラン・スルタン・イスマイル▽ジャラン・トゥン・アブドル・ラザク▽ジャラン・アンパン▽ジャラン・ブキ・ビンタン▽ジャラン・パーリメン――などが影響を受ける。

本格的な閉鎖措置は5月23日から26日にかけて行われ、各首脳が滞在するホテル、クアラルンプール新国際空港(KLIA)、スバン空港、KLCC、イスタナ・ネガラ間の移動に際して実施される。交通規制は車列が通過する30分前から開始され、サミット期間中は毎日午前8時から午後8時まで、道路封鎖と迂回措置が実施される。5月21、22日には、車列のリハーサル、会場警備、プール業務を含む完全な予行演習も実施される。

交通警察は789人が各地に配備される予定で、一般人に対しては規制ルートを避けて代替道路を利用し、現場の警察官の指示に従うよう求めるほか、▽軽便鉄道(LRT)▽首都圏大量高速輸送(MRT)▽KLモノレール▽バス――などの公共交通機関を優先して使うよう呼びかけている。
(マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、5月19日)

アンワル首相、プーチン大統領とMH17便問題で協議

【モスクワ】 ロシアを訪問したアンワル・イブラヒム首相は、14日にモスクワで行われたウラジーミル・プーチン大統領との会談の際に2014年にウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空MH17便に関して協議したことを明らかにした。

これに先立つ12日、国際民間航空機関(ICAO)理事会は撃墜の責任はロシアにあると認定。これについてアンワル氏は、マレーシア国民、特に犠牲者の遺族の代表として、二国間協議の際にプーチン氏にMH17便の責任問題を提起したという。

プーチン氏は犠牲者の遺族に同情と哀悼の意を伝えた上で、徹底的かつ包括的、政治的に偏らない調査を求める姿勢を改めて強調。「当初から独立した詳細な調査を求めており、報告書の信頼性を確保するためにロシアは全面的に協力する用意がある」と強調した。これに対しアンワル氏は、プーチン氏の見解を犠牲者の遺族に伝えると述べたという。

アンワル氏は、「プーチン氏が協力する意思がないと言ったのは事実ではない。しかし彼は独立性がないと考えるいかなる機関とも協力することはない」と述べた。

アムステルダム発クアラルンプール行きのMH17便は2014年7月14日、親ロシア派分離主義者とウクライナ軍の戦闘の中、ロシア製の対空ミサイルで撃墜され、乗員乗客298人が死亡。それぞれ196人、38人の国民が犠牲となったオランダとオーストラリアの両国が2022年、ロシアを相手取ってICAOに提訴していた。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、5月15日)