投資の手続き簡略化は日本からの投資増加に繋がる=岡大使

【クアラルンプール】 在マレーシア日本大使館の岡浩大使は、新規投資に関する手続きが簡素化された場合、日本からの投資が大幅に増加する可能性があるとの見解を示した。
岡大使は、日本政府はここ最近、マレーシアへの新規投資を促進するために取り組んでいると言明。マレーシアはこれまで日本企業にとり電気・電子(E&E)の投資先であったが、新たな産業へ多様化する傾向にあると述べた。潜在的な新規投資を実現させるために、マレーシアには改善の余地があると指摘。新規投資を促進するためにワンストップ・センターの開設や、手続きの合理化や簡素化を行うことができるとの見解を示した。具体的な例として、マレーシア投資開発庁(MIDA)が投資促進機関としてワンストップ・センターとなり、新規投資家を手続きなどの面において支援することができるとした。
また岡大使は、大使館の職員が投資環境の改善などについてMIDAや通産省(MITI)と定期的に話し合っていると言明。それらの取り組みや協力により、医療機器やハラル(イスラムの戒律に則った)食品、航空産業などの新しい産業への投資に繋がっていると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、10月13日)

小売業5万店舗以上が閉店の見込み、新型コロナの影響で

【クアラルンプール】 小売セクターのリサーチ会社、リテール・グループ・マレーシア(RGM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う環境の変化に対応できない小売業者は5万1,000店舗以上となっており、今後4、5カ月内に閉店することになるとの予想を示した。
タン・ハイシン社長は、9月末で銀行の融資返済猶予期間が終了したことから、国内の小売業者の15%となる5万1,000社が閉店に追い込まれると予想。閉店する動きはすでに全国的に出ており、RGMが実施した調査によると、ショッピング・センターのテナントの5%が行動制限令(MCO)実施後に閉店したと明らかにした。閉店したのはインド系マレーシア人が経営する「ママック」レストランや、カフェ、フードコート、ファッション、ヘアサロン、ビューティーサロンなど幅広い業種の店舗が閉鎖していると指摘。新型コロナの流行前にすでに厳しい状況にあった小売業者は、永久的な店舗の閉鎖を決めることになるとの予想を示した。
RGMは、今年第4四半期小売業の成長率について、ー1.5%からー2.5%に下方修正した。また通年についてもー8.7%からー9.3%とした。年末まで給与の引き下げが行われることや今後もさらに解雇が行われること、フル稼働できないことを下方修正の理由として挙げた。
(マレーシアン・リザーブ、10月12日)

アンワル氏の政権奪取宣言、国王は各党領袖から意見聴取へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会(定数222)で過半数を超える支持を獲得したと宣言した件で、アブドラ国王は数日中に各党トップから意見聴取した上で今後の対応を決める考えだ。
13日にアブドラ国王と会見したアンワル氏は同日午後に記者会見を開き、自身が下院議会で過半数の支持を得たことを示す証拠文書をアブドラ国王に提出したと言明。アブドラ国王は憲法を尊重することを確約した上で、数日内に主要各党のトップを呼んで証拠文書の内容について確認する方針を示したと明らかにした。
アンワル氏は、ムヒディン首相が過半数の支持を失ったとして即時辞任を求めたが、自身の支持を表明した過半数を超える議員の名簿の内容については公表しなかった。支持議員の名簿については、王宮側はアブドラ国王への提示もなかったとしている。
同日午後にはさっそく、統一マレー国民組織(UMNO)の長老、テンク・ラザレイ・ハムザ元財務相が国王に呼ばれて会見した。報道によると、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長は14日、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首は15日にそれぞれ国王と会見する予定。与党・国民同盟(PN)を率いるムヒディン・ヤシン首相(統一プリブミ党=PPBM党首)、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首とも会見が予定されている。
アンワル氏は9月23日に緊急記者会見を開き、自身に対する下院議会で120人を越える支持を得たと発表し、国王との会見を経た後に自身を首班とする新政権を樹立すると宣言した。PHの現有議席は91議席。過半数を掌握するためにはあと21議席が必要となるが、アンワル氏は具体的な内訳については明らかにしておらず様々な憶測を呼んでいた。一方、PN政権側は113議席を掌握していると主張している。

14日より首都圏でCMCO、経済活動維持を保証

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は13日、首都圏クランバレー(セランゴール州、クアラルンプール=KL、プトラジャヤ)を対象に14日深夜零時付けで発令される条件付き行動制限令(CMCO)に関する詳細を発表。すべての経済活動はこれまで通り行なうことができると保証した。実施期間は27日までの14日間。

  州や地区を跨いでの移動は緊急時を除いて原則禁止。CMCO外に出ることも原則禁止となる。ただ州や地区を跨いで通勤する場合には雇用主が発行した雇用証明書を提示すれば通行可能となる。CMCO指定外からの通勤も同様で、例えばネグリ・センビラン州セレンバンからプトラジャヤへの通勤も証明書があれば可能となる。またCMCO指定外の州から別の指定外の州へ移動する際にCMCO指定域を通過する場合、最寄りの警察署で許可を取る必要がある。

  飲食店を含む事業所の営業時間については、これまで通り午前6時から午後10時まで認める。ただ飲食店で飲食する場合には1テーブルに2人までとし、デリバリーやテイクアウトを奨励する。給油所の営業は午前6時から午後10時まで。路線バスや軽便鉄道(LRT)、タクシー、配車サービスもこれまで通り認める。タクシーや配車サービスは乗客2名までとする。ただし労働者の送迎バスは通常通りの運行がみとめられる。

  公益市場は午前6時から午後2時まで、卸売市場は午前4時から午後2時までとする。政府行事や公式・非公式行事、結婚披露宴や集会などの民間のイベントの開催は認めない。礼拝所での礼拝は最大6人まで認める。

  首都圏でのCMCO実施についてムヒディン・ヤシン首相は同日、メディアと行なったバーチャル記者会見の中で、人の移動を制限することで感染拡大を防止しつつも経済活動は全面的に認めるという正しい方向性だとして、国家安全委員会(NSC)の決定を評価した。

新型コロナ感染者が新たに660人、サバ州では443人感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は13日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から660人(うち2人が海外で感染した帰国者)増えて、1万6,880人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(443人)▽セランゴール州(76人)▽ケダ州(60人)▽ペナン島(23人)▽ラブアン(19人)▽ペラ州(16人)▽ジョホール州(10人)▽クアラルンプール(KL、10人)▽ネグリ・センビラン州(2人)▽パハン州(1人)ーーとなった。新たに350人が退院し治癒者数は1万1,372人に増加した。死者数は4人増えて163人になった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によると12日時点で新たなクラスターが6つ検出された。そのうちの▽セランゴール州ぺタリンの「トロピカナ・ゴルフクラブ&カントリー・リゾート」が関連する「トロピカナ・クラスター」▽プトラジャヤの「カスツーリ・クラスター」▽KLのチェラスの「ペルダナ・クラスター」ーーの3つのクラスターは、サバ州からの入州者が関連する。感染者数は12日時点でそれぞれ23人、18人、9人となった。セランゴール州フル・ランガットとKLのチェラスが関連する「バイドゥリ・クラスター」は感染者数が18人。サバ州ケニンガウの「コロン・クラスター」とマラッカ州マラッカ・セントラルおよびジョホール州ジョホールバルが関連する「リンティング・クラスター」はそれぞれ8人に上った。
14日より条件付き行動制限令(CMCO)の対象エリアとなるセランゴール州、KL、プトラジャヤについてノール事務次官は、各地の感染者数が100人未満に止まっているが他の地域に拡散させるおそれがあるとし、感染拡大を防ぐための鍵になると言明。イエローゾーンからレッドゾーンへ引き上げる前にCMCOを実施する必要があると述べた。