家計債務の伸びが4%に縮小、新型コロナで消費に慎重姿勢

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は14日、2020年上半期の金融安定性報告書を公表した。家計債務の伸びが、前期の5.5%から4%に縮小した。新型コロナウイルス「Covid-19」の発生により消費に慎重になったため、住宅不動産と自動車の融資の伸びがそれぞれ8.5%から7.2%、マイナス0.4%からマイナス0.9%に縮小したことが影響した。
家計負債の伸びが鈍化した一方で対国内総生産(GDP)比率は、2015年の最高値(86.9%)を上回り、87.5%に上昇した。しかしこれらの債務は、値債務返済比率(DSR)の中央値が示す未払いローン(35%)および新たに承認されたローン(43%)の範囲内で借り入れされており、経済活動が改善し徐々にローンの返済が再開されることで、この比率は低下するとBNMは見ている。
政府とBNMが導入した救済措置により、水準の金融資産と流動性が高い金融資産(LFAs)はそれぞれ2.2倍と1.4倍の負債で維持した。
また主に持ち家キャンペーン(HOC)が再導入され、住宅購入に充てる借入が増加したことで、特に月収5,000リンギ未満の世帯(借り手)でレバレッジが上昇した。
BNMは、労働市場の改善が今後期待される中で、国民や企業は引き続き金銭的問題に直面する可能性が高いとした上で、政府による賃金補助や再スキルアップなどのプログラムが借り手を支援に役立つとした。

セランゴール州の感染収束、4—6週間かかる可能性も

【クアラルンプール】 14日付けで条件付き行動制限令(CMCO)が発令されたセランゴール州について疫学専門家のアワン・ブルギバ博士は、標準的運用手順(SOP)を遵守した場合であっても、新規感染者数が減少に転じるのに4—6週間かかる可能性があると指摘した。
マラヤ大学で副学長を務めるアワン・ブルギバ博士は、セランゴール州での感染速度は速いものの感染者数のベースが大きくないため新規感染者数がそれほど多くないが、新規感染件数に比べると治癒件数が少ないと指摘。現状では14日間の期限付きとなっているCMCOを解除するために必要な感染速度の低下や新規感染者数の低下の基準を見極めるのは難しいと指摘した。
また最近の感染拡大の多くがサバ州から戻った人を介したものであることについて、「多くの人が自宅における監視対象となる前の9月中にすでに戻っており手遅れ。多くが無症状のため無意識に拡散した可能性があり追跡は不可能」と言明。問題はSOPやCMCOそのものではなく住民がいかにSOPを厳しく守るかであり、全員がSOPを守ればCMCOも機能するだろうと述べた。
一方、13日にCMCOが発令されたサバ州についてはまだ感染ピークを過ぎていないとした上で、向こう2週間が非常に重要だと指摘。期間中に拡大を抑制できれば横ばいになってその後は下降に向かうとし、6—8週以内に改善がみられることが期待されると述べた。ただ重症患者が急増していることが懸念材料であり、集中治療室のキャパシティなど同州の医療体制を圧迫する可能性があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月15日)

新型コロナ感染者は新たに589人、サバ州が最多で304人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から589人(うち3人が海外で感染した帰国者)増えて、1万8,129人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(304人)▽セランゴール州(150人)▽ペラ州(52人)▽ケダ州(31人)▽ペナン島(16人)▽ネグリ・センビラン州(11人)▽クアラルンプール(KL、10人)▽ラブアン(6人)▽サラワク州(4人)▽マラッカ州(2人)▽クランタン州(2人)▽プトラジャヤ(1人)ーーとなった。新たに409人が退院し治癒者数は1万2,014人に増加した。死者数は3人増えて170人になった。
セランゴール州のぺタリン地区防災管理委員会は同日、バンダル・ウタマにある1ウタマ・ショッピング・センターが11ー12日の2日間かけて6,000人を対象に実施したスクリーニング検査において、105人の感染者を検出したと明らかにした。うち79人は警備員、18人が掃除スタッフで、8人がモールのテナントスタッフだった。感染したテナントスタッフは、カジュアルレストラン「テー・タリク・プレイス」で6人、「ダイソー」とクッキーショップの「C&Cクッキーズ」でそれぞれ1人検出された。「ダイソー」の労働者はマレーシア人で、それ以外は外国人だった。

「KL市内は一つの地区とみなす」サブリ上級相が言明

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は15日、条件付き行動制限令(CMCO)が発令されているクアラルンプール(KL)市について、KL市全体を一つの地区とみなして住民の自由な移動を認めると発表した。

  14日に発令された首都圏クランバレー(KL、セランゴール州、プトラジャヤ)を対象としたCMCOではそれぞれ地区や州を越えた移動は通勤以外は禁止されているが、KL市民から同市内の「地区」の区分に関する質問・疑問が政府に寄せられていた。

  KL市内の住民であれば市内の移動は警察などの許可証は不要。KLとセランゴール州、プトラジャヤの間を通勤する場合は雇用主が発行した証明書を提示する必要がある。

  またMCOとは異なり、KL、セランゴール州、プトラジャヤの住民は、同一地区内であれば自宅から半径10キロメートル以上離れた場所に買物に行くことも認められる。

 ■ラブアンでもCMCO発令、17日から■

  サブリ大臣はこのほか、連邦直轄地のラブアンについても感染拡大が懸念されるとして、17日から30日までの14日間、CMCOを発令すると発表した。11日のKL発ラブアン行きのマレーシア航空(MAS)便で乗客の1人から感染者が出ており、同乗した99人に対してスクリーニングを受けるよう勧告が出されていた。