【クアラルンプール】 7月3日から16日まで首都圏であるセランゴール州の大部分とクアラルンプール(KL)の一部が強化行動制限令(EMCO)に指定されることを受け、エコノミストからはすでに厳しい状況に置かれている経済への更なる影響を懸念する声が上がっている。
市場研究センターのカリメロ・フェリト最高責任者(CEO)は、セランゴール州とKLがマレーシアの総人口の25.5%、国内総生産(GDP)の40%を占めている点を指摘。マレーシアの経済回復力は永久に損なわれ、傷跡が長期間にわたると懸念されるとし、イデオロギー主導の政策によって孫子の代が高いコストを支払わされることになると述べた。
フェリト氏は政策は健全なトレードオフ分析に基づいて決定する必要があるとした上で、ロックダウンによる年間コストが1,750億リンギに上る一方で、新型コロナウイルス「Covid-19」患者の治療費はわずか80億リンギでしかないとの最新研究を引用。「予防・対策と速やかな治療のための医療システムへの投資はロックダウン費用のほんの一部でしかないのに、成果が期待できない多額のコストのかかる政策を推進するのはおかしいとし、もっと医療向けに資金を投じるべきだと指摘した。
またフェリト氏は、生活がかかっている点では必需品・サービスとそれ以外のセクターも同様であり、分けて対応するのをするのは止めるべきと主張。たとえ食品製造が可能であっても包装材がなかったり物流や生産機械の保守がなければ意味がなく、複雑な経済の仕組みの中で要不要の区別をつけることは無意味だと指摘した。
一方、サンウェイ大学経済学部のイア・キムレン教授は、EMCOを14日間に限って行なうならば地域経済への継続的影響を抑えられるとした上で、重要なのは政府が自立できない世帯のために救援物資、特に食料やその他の必需品を準備することだと指摘。感染が増加していることを考えると、救命救急施設が機能不全に陥るのを防ぐためにターゲットを絞った封鎖、移動の監視、ワクチン接種の迅速化が必要だとした。
マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、6月1日に始まった完全ロックダウンですでに苦しんでいる雇用主がEMCOによってさらに困難に直面するだろうと指摘。特に必需品・サービス以外の中小企業や零細企業にとって厳しい状況になるだろうとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月1日)