観賞魚養殖のシアンロンがアジアアロワナ輸出へ、大阪万博通じ

【クアラルンプール】 観賞魚養殖を手掛けるシアンロン・アクアティック(祥龍魚場)は大阪・関西万博を通じて、高級鑑賞魚アジアアロワナの日本への輸出を目指している。

アジアアロワナは、アロワナの中でも色彩が豊かで、高級品種として知られている。野生のアジアアロワナは絶滅危惧種としてワシントン条約(CITES)で商取引が禁止されている。これに対し、1978年にジョホール州で創業されたシアンロンは、1994年からアジアアロワナの商業的飼育と輸出を行う世界初のCITES登録企業として、中国にも養殖場を設立するなど国際的に事業を展開している。

日本にもかつては販売代理店があったが、現在は販売代理店がない状態。今回、大阪万博を通じて日本市場再参入に向け、複数の会社と協議を続けている。飼育には生態系などに最大限の配慮をしているという。

ン・チャーリー取締役は「アロワナは癒しの存在。もし提携が成功すれば、6桁の輸出収入を生み出す可能性がある」と説明。今後、日本だけでなく、アジア各国で販売代理店の設置に取り組んでいく。
(ベルナマ通信、7月11日)

人材開発公社、半導体業界向け産業技能開発枠組みを発表

【クアラルンプール】 人材開発公社(HRDコープ)は、半導体業界向けの産業スキル・フレームワーク(IndSF)を正式に発表した。マレーシアが世界的な半導体人材拠点を目指す国家戦略の一環であり、同分野における初の体系的なスキル開発指針となる。

同枠組みはマレーシア半導体産業協会(MSIA)および主要業界関係者とのパートナーシップにより策定された。急成長する半導体業界の即時的なニーズに対応した職業経路と訓練基準を定めている。国家半導体戦略(NSS)に整合する形で設計されており、マレーシアの産業変革と人材育成の連携を意図している。

IndSFは工学分野および技術分野の2つの主要領域に焦点を当てており、初級から専門職まで、9つの重要分野にわたるキャリア進展の道筋を提示している。これにより、教育機関や訓練提供者、現場の専門職が、業界の変化に応じた育成プログラムやキャリア開発計画を策定する際の基準として活用できるという。

MSIAのウォン・シュ―ハイ会長は、「この枠組みは国家半導体戦略の実現に不可欠であり、業界のニーズと人材育成のギャップを埋める鍵である」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、7月11日)

関税率25%は最終決定にあらず、首相がルビオ国務長官と会談

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は10日、一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)会議のため来訪したルビオ米国務長官の表敬訪問を受け、米政府がマレーシアに送付した、25%関税を盛り込んだ大統領書簡などについて意見を交換。関税について米側は「一般的手段であり、8月1日の施行までまだ交渉期間がある。マレーシアは域内で重要な貿易相手であり、マレーシアの意見を関税率決定に際し考慮する」との姿勢を示したという。

2国間関係全般についてアンワル氏は「マレーシアがすべての国との友好関係、貿易を望んでいることを米国は理解している。マレーシアはどちらかの味方をしなければならない、との意見もあるが、それは違う。米国は極めて重要な貿易相手だが、マレーシアは国民の利益のため、中国、ASEAN、そのほかの国との関係も強化しなければならない」と述べた。

中東ガザ情勢についてアンワル氏は「大虐殺は直ちに停止されなければならない」とルビオ氏に伝えた。ルビオ氏は停戦が実現するとの楽観的見通しを示したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、7月10日)

マレーシアの人口、2059年に4230万人でピ―クに到達

【クアラルンプール】 マレーシア統計局(DOSM)が2025年世界人口デーに合わせて発表した最新の報告書によると、マレーシアの人口は2059年に4,238万人でピークに達し、その後緩やかな減少期に入ると予想されている。
マレーシアの人口は着実に増加し、2030年から2060年にかけて年平均人口増加率は0.5%で緩やかに推移し、2059年にピークを迎えた後、減少に転じると予想される。2030年には3,649万人、2040年には3,978万人、2050年には4,179万人に達すると予想されるという。

民族構成にも大きな変化が見込まれており、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)比率は2030年の71.8%から2060年には79.4%に上昇すると予測される。一方、華人の割合は急激に減少し、2030年の21.1%から2060年にはわずか14.8%にまで減少する見込み。インド系の割合も30年間で6.3%から4.7%に縮小するとみられる。

2059年以降の人口減少の一因として男女比の不均衡の加速が挙げられており、男女比は2030年の女性100人に対する男性112人の比率から、2060年には女性100人に対する男性比率は114人に増加すると予想され、2060年にはマレーシアの人口は、男性2,250万人、女性1,980万人になるとみられる。

マレーシアはまた、急速な高齢化社会に直面しており、平均年齢は2030年の32.8歳から2060年には40.7歳に上昇する見込み。若年層(0―14歳)の割合が19.9%から16.0%に、生産年齢人口(15―64歳)が70.8%から65.7%にそれぞれ減少する一方、65歳以上の高齢者人口は、2030年の9.3%から2060年には18.3%へと急拡大する見通しだ。

州レベルでは、セランゴール州が2060年も810万人でマレーシアで最も人口の多い州になる見込み。これにジョホール州(499万人)、サバ州(489万人)が続く。クアラルンプールは、2060年までに若年人口の割合がわずか9.1%と最も低くなる見込みで、高齢人口の割合は26.2%と最も高くなると予想されている。
(ボルネオポスト、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、7月11日)

微細藻類のバイオマスプロジェクトでサバ州政府系企業など提携

【コタキナバル】 サバ州政府系企業SAIPと、CCEパワー・ホールディングスは10日、同州キマニスの農業工業地区における微細藻類を原料とするバイオマスプロジェクトの開発で覚書を締結した。

プロジェクトでは、まず日本企業と協力して、100ヘクタールの土地に微細藻類を栽培。日光を必要としない閉鎖タンク式で培養され、5―7日で収穫できるという。その後1,000ヘクタールへの拡大も予定している。

さらに主に2つの生産ラインを備えた施設を建設。1つは微細藻類から産出される油から、持続可能な航空燃料(SAF)などを生産するためのもので、もう1つは微細藻類を乾燥させてバイオマス燃料として30メガワットを発電する施設になる。バイオマス発電所は3段階に分けて進められる予定で、年内にも始まる第1フェーズではパーム油由来のバイオマスを100%使用。第2フェーズではパームバイオマスと微細藻類を混合し、第3フェーズでは微細藻類を70%、パームバイオマスを30%使用する予定という。

州産業開発・起業家支援相で、SAIP会長も務めるフーン・ジンジャ氏は「サバ州は国内で最も有数の藻類産業拠点の一つとなる可能性を秘めている」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオポスト、7月10日)

大阪万博は日馬の関係強化の絶好の機会=ジェトロ

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、開催中の大阪・関西万博が日本とマレーシアの経済関係強化に向けた絶好の機会と捉え、脱炭素化、再生可能エネルギー、デジタル技術などにおける投資のさらなる拡大を見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を示した。

高野所長は、大阪万博を通じた投資が好調なことに触れながら、既存の信頼関係を強化することが、今後の両国の貿易関係の潜在能力を最大限に引き出すために最も重要なステップであるとした。

さらに、今年10月にマレーシアで開催予定の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会議を踏まえ、協力は加速されるだろうと予測。マレーシアにおける日本の環境技術の適用機会拡大に向け、温室効果ガス削減に関する二国間クレジット制度(JCM)交渉の進捗にも期待感を示した。

ジェトロとしても脱炭素化に貢献する企業のカタログを作成するなど、日本企業のマレーシア市場への進出を積極的に支援していることを強調。また労働力問題は両国共通の課題で、人材育成などでも互いの長期的なコミットメント、継続的な対話、政策協調が重要とし、「今後も両国の協力の架け橋としての役割を担っていく」と付け加えた。
(ベルナマ通信、7月10日)

マハティール元首相が100歳、「権力で記憶されたくない」

【プトラジャヤ】 マハティール・モハメド元首相が7月10日で100歳を迎え、これに合わせて配信されたポッドキャスト「Dr. M」で政治家人生における過去の出来事を振り返り、現在の心境などを語った。

マハティール氏は首相になることを夢見たことは一度もなく、首相就任はタイミングと状況によるものだと説明。首相在任中、常に国民に奉仕し権力の濫用を避けることに尽力してきたと強調し、「国民に私の強大な権力で記憶されたくない。ただ国民により良い生活を与えたいとだけ希望している」と述べた。

また1998年のアジア金融危機の際に通貨リンギのペッグ制を敷いたことに触れ、国際的な批判をものともせず大胆な措置を取ったことは国を救うために必要だと判断したからだと説明。「国家危機においては、たとえ国際社会の意見に反することになっても迅速な行動を取らなければならない」とリーダーの心構えを示した。

さらに学生時代を振り返り、常にクラスでトップを目指し他の優秀な生徒と熾烈な競争を繰り広げていたと強調。「勉強で遅れを取っても諦めてはいけない。何度も復習しさらに努力しなさい」と若者にアドバイスした。

最後にマハティール氏は、国民からの祝福や贈り物に感謝の意を表し、生涯を通じて真実を語り続けると述べ、アンワル・イブラヒム首相からも100歳の誕生日を祝う手紙が届いたことを明らかにした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月10日)

DHLが5カ年工程表、”マレーシアは世界ネットワークに不可欠”

【クアラルンプール】 国際輸送・物流サービスのDHLは9日、この先5年間の事業工程表「2030年戦略」を公表。マレーシアはDHLの世界ネットワークに不可欠の構成部分で、貿易の流れや供給網の多様化の恩恵を受けられる戦略的位置にあるとマレーシアの重要性を強調した。

DHLは、電子商取引処理、国際貨物急送など主要部門のうち4部門の本拠をマレーシアに置いており、データセンター、シェアードサービス(間接部門の業務集約)ハブを利用し、後方支援業務も行っている。

同戦略でDHLは、マレーシアには競争力とビジネスの潜在性があるため、業務能力、サービスをさらに強化すると表明した。

米政権が発表したマレーシアに対する一律25%の関税について、ジュリアン・ネオ代表(マレーシア・ブルネイ地区)は「関税の影響は我々が考えるほど深刻ではない。アンワル首相は新たな市場開拓を進めており、マレーシア企業も追随すべきだ。東南アジアは人口6億8,000万人の巨大市場だ」と述べ、中小企業に進出を促した。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、7月9日)

家電のKHIND、月額サブスク「RTO」の対象商品を拡充

【クアラルンプール】 マレーシアの家電メーカーKHINDは8日、毎月定額制のサブスクリプション・プログラム「レンタル・トゥ・オウン(RTO)」の対象商品を、これまでの洗濯機から、冷蔵庫やアイロンなどに拡大すると発表した。

同社のRTOは、消費者が毎月定額料金で一定期間レンタルし、期間終了後にそのまま所有できるのが特徴。購入するよりやや割高になるものの、分割払いに比べ頭金・金利不要で、手軽に所有でき、アフターサービスなども充実している。例えば、購入すると3,500リンギの洗濯機を、RTOでは月額125リンギで36カ月間払い込み、別途、手数料として1リンギのみ必要になる。

今回新たに対象になった最新のマルチドア冷蔵庫は月額95リンギ、スチーム式アイロンは70リンギからとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月9日、KHIND発表資料)

米国の25%関税、対米輸出の5割を占めるペナン州が懸念

【ジョージタウン】 米国がマレーシアからの輸入品に25%の関税を課すと発表したことで、マレーシアの対米輸出の半分以上を担うペナン州で懸念が高まっている。

チョウ・コンヨウ州首相は、今年年初5カ月でマレーシアの対米輸出総額の55%に相当する520億リンギをペナンが占めたと言明。これらの輸出の大部分はペナンで事業を展開する米国の多国籍企業によるもので、主に完成品や部品を親会社に輸出していると述べた。

ペナンの対米輸出の77%は電気機械・機器で、特に半導体産業が大きな割合を占めている。半導体は現在関税の対象外となっているものの、25%の関税賦課は依然として経済リスクをもたらすと懸念される。輸出志向の強いペナン州経済に影響を及ぼすと予想されるという。また東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の貿易のダイナミクスを歪め、地域全体の将来の投資決定に影響を与える可能性があるという。

その上でチョウ氏は、「マレーシア政府は米国と継続的に協議を行い、関税率の引き下げ交渉を進めることが急務」と指摘。マレーシアの貿易競争力を維持するためには、非関税政策や貿易障壁への対処にも注力する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月8日)