米国の相互関税、「国内の自動車価格上昇に繋がる」=業界

【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)のモハマド・シャムソル会長は、米国がマレーシア製品に25%の関税を課す方針を打ち出したことについて、ただちに影響は出ないものの間接的に影響を及ぼし、最終的に国内の自動車価格上昇につながる恐れがあると述べた。

上半期のMAA業績発表会に出席したシャムソル氏は、マレーシアの米国への完成車輸出はごくわずかで、 2024年にはわずか約14万2,000米ドル(60万3,000リンギ)にとどまるとした上で、真の懸念材料は1億米ドル(約4億2,500万リンギ)相当の自動車部品・アクセサリーの輸出にあると述べた。自動車部品やアクセサリーは鉄道を除く米国向け自動車関連輸出全体の約80%を占めるという。

関税引き上げの影響を受ける国からマレーシアに輸入される完全現地組立(CKD)部品の価格が上昇する可能性がある。またマレーシアの自動車部品サプライヤーは米国からの受注が減少し、国内での生産コストの上昇につながる可能性がある。これらのコスト上昇は最終的にマレーシアの消費者に転嫁され、国内の自動車価格上昇につながる可能性があるという。

シャムソル氏は、「まだ影響は感じられないが、おそらく6カ月後には感じられるだろう」と述べた。
(ザ・サン電子版、ポールタン、7月16日)

米ボーイングがKLに新オフィスを開設、重要拠点と位置づけ

【クアラルンプール】 航空機大手の米ボーイングは16日、クアラルンプール(KL)に新オフィスを開設した。

新オフィス開設について、同社は「アジア太平洋地域最大級の航空市場を有するマレーシアにおいて、顧客サポート、航空安全、持続可能性、そしてサプライチェーンへの取り組みを推進するための重要な拠点になる」と説明している。
開設式典には、リュー・チントン副投資貿易産業相らが出席。マレーシアが掲げる「航空宇宙ブループリント2030」推進におけるボーイングの継続的な支援に感謝の意を表明した。

同社は新オフィス以外に、クアラルンプール新国際空港のサービスオフィスや、東南アジア初となる完全子会社のボーイング・コンポジッツ・マレーシアを通じ、航空機モデル向け複合材部品工場をケダ州で運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、7月16日、ボーイング発表資料)

3COINS、マレーシア初店舗を8月16日にKLに開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 パルグループホールディングス(本社・大阪市中央区)は16日、クアラルンプール(KL)の三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)に生活雑貨を扱う「3COINS」(スリーコインズ)のマレーシア1号店を8月16日に開業すると発表した。

「3COINSららぽーとBBCC店」は売り場面積約129坪で、生活雑貨・服飾雑貨を主に扱う。営業時間は10ー22時。

3COINSは300円雑貨を中心にした品揃えで若い女性らに人気で、国内に359店舗(7月16日現在)を構えている。近年は食品を扱う店舗や、男性向けの店舗を増やしたり、今月は香港にも初出店するなど新たな展開を加速させている。

イオン、5億リンギを投資しセレンバン2のモールに新棟を着工

【セレンバン】 イオン・カンパニー(M)(イオンマレーシア)は15日、ネグリ・センビラン州のイオンモール・セレンバン2で新棟の起工式を行った。

新棟は、急増するセレンバンの人口を背景に、2005年に開業したモールを、約5億リンギをかけて拡張するもの。現在の建物に隣接する23.04エーカーの敷地に、4階建ての新棟を増築し、両棟を高架橋で結ぶ。オープンエアの要素を取り入れた小売エリアや、スポーツセンター、映画館、ボウリング場などの出店が計画されている。2階分は駐車場とし、障害者用を含む自動車2,000台超とバイク530台の駐車場と、電気自動車充電設備も整備される。

2027年に完成予定で、両棟を合わせると総賃貸面積72万平方フィートを超える。イオンが現在、マレーシア国内で展開する28のモールの中で、完成後は2番目に大きなモールになる。

起工式には岡田尚也社長やアミヌディン・ハルン州首相が出席。岡田社長は「このプロジェクトは単なる物理的な拡張ではなく、買い物、交流、そして家族と有意義な時間を過ごすためのより良い空間を創出することで、地域社会に貢献する私たちの取り組み」と述べた。
(マレーシアン・リザーブ、7月16日、ザ・スター、7月15日)

GDP成長目標は依然達成可能、四半期報告会見で貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は15日、貿易に関する第2四半期の成果報告会見の席上、世界貿易は減速の兆候が見えるが、国内総生産(GDP)の成長目標(4-5%)は達成可能との認識を示した。

ザフルル氏によれば、米国の関税猶予措置のため一部の貿易は前倒しされた可能性があるが、この先数カ月、貿易の勢いは持続が予想されるという。関税をめぐる米国との交渉では、薬品、半導体など一部の産業部門で税率が10%に下げられる可能性がある。

マレーシアは輸出市場の多様化と貿易ガバナンスの強化に引き続き取り組んでおり、政府支援の貿易イベントによる輸出総額は、2025年上半期に28億8,000万リンギに達した。5,000万リンギの補助金により、貿易額は227億リンギ増加すると見込まれている。

重要な節目となったのは、6月23日のマレーシアと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟4カ国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)との経済連携協定(MEEPA)の調印で、これにより4カ国との貿易関係が拡大した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ビジネス・トゥデー、7月15日)

KLIAターミナル1、混雑緩和に向けた改修工事が完了

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が、今年上半期に3,000万リンギを投資し進めていたクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1の改修が完了。さらに来年のマレーシア観光年に向け、予算に上限を設けることなく旅客体験の向上を目指す。

上半期の改修は、処理を迅速化し混雑緩和するのが主な目的。「上半期のKLIAの旅客数は3,010万人で、前年同期比で9.9%増加しており、空港サービスを向上させることは特に重要」と説明する。

まずモバイルチェックインユニットを備えた自動手荷物預け機5台を導入。従来のカウンターでの手続きと比較し、1時間あたり最大10倍の手荷物処理能力を備えるという。

国内線保安検査場のレーンに関しても、荷ほどき・再梱包用の専用エリアを新設したことなどで、処理能力は1時間あたり770人から1,569人に増加し、平均待ち時間は5分未満に短縮される。国際線出発にも、6つの手動によるカウンターに代わり、9つのセルフスキャン式搭乗券レーンが設置された。また最新の手荷物カート5,000台も導入された。

また乳幼児や高齢者、身体障害者らのアクセシビリティ向上にも配慮。優先レーンの入国審査カウンター2つを新設したほか、スペースを広くした専用駐車場などを整備した。おむつ交換室も2カ所開設したのに加え、8月までにさらに3カ所追加。救急救命士チームを配置し、緊急対応能力も強化した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月15日)

米国製AIチップ迂回輸出の証拠は確認されず=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国の輸出規制対象製品である高性能人工知能(AI)チップがマレーシアなどを経由して中国に密輸出されているとの疑惑について、現時点で証拠は確認されていないと述べた。

ザフルル氏は、投資貿易産業省(MITI)が税関、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)、警察、業界関係者と密接に連携して調査を進めていると説明。「現時点では証拠は見つかっていないが、米国政府や主要テクノロジー企業と連携し協力して調査を行っている。もし証拠が見つかれば、適切な措置を取る」と述べた。

ザフルル氏はまた、数百万個のチップが密輸出されているという主張を否定し、「マレーシアでのデータセンターの急成長によってAIチップの需要が高まったことが、懸念を引き起こしている可能性がある」と指摘。「マレーシアでのAIチップ需要が急増していることは否定できないこれが特にマレーシアが密輸出しているとの懸念を引き起こしているのだと思う」との見解を示した。

MITIは14日、米国からの高性能AIチップの輸出、積み替え、通過に関わるすべての活動が、即日「戦略貿易許可証」取得義務の対象となると発表した。2010年戦略貿易法(STA2010)第12条(キャッチオール規制条項)に基づく措置。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)

外国資本制限ある業種の規制緩和を検討=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国との貿易交渉の一環として、現在外国資本制限が課せられている業種について規制緩和を検討する可能性があると述べた。ただこの問題については影響を受ける業界と協議する必要があるとし、具体的な対象分野は明らかにしなかった。

マレーシアは、製造業などではほぼ自由化されているが、金融サービスや通信など、戦略的とみなされる分野における外資規制を設けている。米国との交渉ではこうした非関税障壁が重要な争点となっており、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証や政府調達など、マレーシアの国益に関わる重要な問題が対立軸論となっている。

ザフルル氏によると、特定分野において外資株主に対する出資制限を設けている問題は、貿易交渉の中で提起された。今月初め、米国はマレーシア産品すべてに25%の輸入関税を課すと発表したが、8月1日の発効前に交渉の余地があることも示唆している。

ザフルル氏は、「多くの機関や省庁が関わる問題なので、時間が必要だ」と述べ、先週の米国貿易代表との会議では新たな条件は提示されなかったものの、非関税障壁が依然として懸念材料であると強調した。
(ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)

トクヤマ、サラワクで半導体用多結晶シリコン製造工場建設

【クチン】 総合化学工業メーカーのトクヤマ(本部・東京都千代田区)は、サラワク州における高純度の半導体用多結晶シリコンの製造プロジェクトを本格化させる。

同社は2023年からマレーシアでの生産に向け準備を進めてきたが、今月8日、製造販売を手掛ける合弁会社としてOCIトクヤマ・セミコンダクター・マテリアルズ(OTSM)を設立。トクヤマと、韓国OCIホールディングスのマレーシア法人OCIテラサスが出資金9億2,200万リンギを50:50で拠出した。

プロジェクトでは、20億リンギを投資し、同州ビントゥルのサマラジュ工業団地内の13.7ヘクタールの敷地に新工場を建設。16日に起工式が予定されている。年間8,000トンの半導体グレードのポリシリコン生産能力を持つ。OTSMのスティーブ・チョイ最高経営責任者(CEO)によると、工場は2027年第1四半期に完成し、段階的に生産を増強し、2029年1月までにフル生産体制になる予定という。

同製品は、データセンターやスマートフォン、電気自動車、人工知能(AI)技術などの重要な基盤となるチップの製造に使用される。現在の世界需要は年間5万トンで、その約6分の1を生産する世界有数の主要プレーヤーとしての地位確立を目指していく。主に日本、韓国、台湾へ供給する。

また、州営電力会社サラワク・エナジーと10年間の電力購入契約を締結。工場への電力供給の70%を再生可能水力発電、残りの30%をガス火力および石炭火力発電所からの供給が見込まれている。
(ザ・スター、ボルネオポスト、7月14日、トクヤマ発表資料)

東海岸への高速電車サービス延伸計画なし=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、現在半島西海岸を縦断している高速電車サービス(ETS)を東海岸地域に延伸する計画は当面ないと明言した。

東海岸地域における既存の鉄道路線が単線で電化されていないためで、現在マレーシア国鉄(KTMB)がディーゼル機関車(DMU)による客車運行を行っている。

ローク氏は「その代わり東海岸鉄道線(ECRL)プロジェクトによって、この地域が高速鉄道サービスを受けることになる」と言明。ETSについては引き続き西海岸に重点を置き、ペルリス州パダン・ベサルとジョホール州ジョホールバルを結ぶ路線を運行すると述べた。

ローク氏はまたKTMBの通勤、ETS、貨物サービスは未だ完全な収益性を達成していないため、改善の必要性があると言明。ただ政府系企業(GLC)であるKTMBは、利益よりも社会責任を最優先に考えていると指摘した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月14日)