【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 資金繰り問題に直面している格安航空会社エアアジア・グループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、財務強化に向けて金融機関などと融資に関する話し合いを行なっていることを公表。現時点で総額10億リンギ超の融資提案を受けていることを明らかにした。
一部は3月27日に発表された、新型コロナウイルス「Covid-19」の打撃を受けた大企業の運転資金を支援するための政府保証スキームの適用を受ける。同スキームは3月27日に発表された2,500億リンギ規模の追加経済対策に盛り込まれたもので、予算500億リンギが割り当てられた。80%の政府保証がつく。
フェルナンデスCEOは、「十分な手持ち現金を確保するにあたり流動性強化の重要性を理解している」と言明。「社内的には航空需要の回復への期待を踏まえ、無駄のない業務に向け合理化に着手している」とし、全社的に15—75%の一時的給与カットを行なうほか、融資返済の繰り延べや燃料ヘッジ見直しなどを通じて今年通年で50%の経費削減が実現できるとの見通しを示した。
また航空需要についても6月にはロードファクター(座席利用率)がグループ全体で60%、マレーシア単独で65%に回復しているとし、7月には運航座席数を3倍に増やすものの70%のロードファクターが達成できるとの見通しを示した。
エアアジアはキャッシュフローに窮しており、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の上場基準を満たすことができず、早急な経営改善が求められる「PN17」指定銘柄に入れられる可能性が浮上。先日は外部監査法人アーンスト&ヤングが懸念を示す注記をつけていた。