【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は23日、予算執行や法規制を含む新型コロナウイルス「Covid-19」対策を議会承認なしに行なえるようにするため、国家非常事態宣言を出す意向を固めた模様だ。

ムヒディン首相は午前中に臨時閣議を招集し、再び感染者が増加している新型コロナの対策のほか、国家非常事態宣言を出すかどうかに関して意見を交わした模様。夕刻にはクアンタンにいるアブドラ国王に面会して、国家非常事態宣言を出すよう提言したとみられる。

非常事態宣言が出されれば、1977年にクランタン州で起きた連邦政府と汎マレーシア・イスラム党(PAS)率いる州政府の対立に伴って出された非常事態宣言以来となる。ただ非常事態宣言の具体的な中身は不透明で、野党側からは、政権維持のための延命策に過ぎず民主主義に反するとの批判の声が上がっている。

緊急事態宣言は連邦憲法第150条(4)で定められており、連邦政府が州政府管轄の権限も含めて権限を行使できるとなっており、宣言中に国王の名によって出された緊急令措置法(EO)は法律と同じ効力を持ち、国王が取り消すまたは議会で廃止されるまで有効となる。

「ザ・スター」が消息筋の話として報じたところによると、非常事態宣言を出すことにより、政治的不安定化する中で政府の支出を安定確保する狙いがあるという。政治的に不安定なムヒディン政権は、11月6日の下院議会で2021年度予算案を上程する予定だが、与党に造反者が出た場合には最悪予算案が通らないことも予想される。新型コロナの渦中にあって解散・総選挙となることだけは避けたい思惑があるとみられる。

ムヒディン首相に対しては友党である統一マレー国民組織(UMNO)から不満の声が上がっており、与党支援を止めるべきとの声も公然と上がっている。こうしたことを背景に野党・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相(人民正義党=PKR党首)が先ごろ、寝返り組を含めて下院で過半数の支持を取り付けたと宣言。11月2日に再開される国会運営が危ぶまれていた。

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