完全回復は来年11月の見込み=MATTA副会長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア旅行代理店協会(MATTA)のシンティア・タン・アウトバンド担当副会長は、「マレーシアBIZナビ」の取材に対し、新型コロナウイルス「Covid-19」の落ち込みから回復するのは来年4月以降、完全回復は来年11月を見込んでいると述べた。
タン副会長は、MATTAに訪日旅行を売り込みたい日本側から日本の観光業界における感染防止の取り組みなどをマレーシア側に紹介するウェビナーを開催したい旨のオファーが寄せられていることに触れ、「こうしたポスト・コロナの取り組みを積極的に発信していこうというのは日本が初めて」と歓迎する意向を表明した。
その上でタン副会長は、訪日観光ウェビナーをマレーシアで行うのであれば復興に向けた行動制限令(RMCO)が明けた来年1月か2月が望ましく、その際にはマレーシアの地元メディアを使ったPRするのが好ましいと言明。それを踏まえた上で4月頃にメディアを連れて観光視察旅行(FAMツアー)を実施するとさらに効果的ではないかとの考えを示した。
またタン副会長はマレーシア人訪日旅行の傾向について、今後は4泊程度の短期間になっていくとの見方を示し、中部地方で1カ所に絞った旅行が選ばれる傾向にあると指摘。美しい景色、ショッピング、グルメのほかマレーシアで決して出会えない特別な体験、ユニークな製品、美しい景色、新しい体験が人気を博すだろうと述べた。

家計債務の伸びが4%に縮小、新型コロナで消費に慎重姿勢

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は14日、2020年上半期の金融安定性報告書を公表した。家計債務の伸びが、前期の5.5%から4%に縮小した。新型コロナウイルス「Covid-19」の発生により消費に慎重になったため、住宅不動産と自動車の融資の伸びがそれぞれ8.5%から7.2%、マイナス0.4%からマイナス0.9%に縮小したことが影響した。
家計負債の伸びが鈍化した一方で対国内総生産(GDP)比率は、2015年の最高値(86.9%)を上回り、87.5%に上昇した。しかしこれらの債務は、値債務返済比率(DSR)の中央値が示す未払いローン(35%)および新たに承認されたローン(43%)の範囲内で借り入れされており、経済活動が改善し徐々にローンの返済が再開されることで、この比率は低下するとBNMは見ている。
政府とBNMが導入した救済措置により、水準の金融資産と流動性が高い金融資産(LFAs)はそれぞれ2.2倍と1.4倍の負債で維持した。
また主に持ち家キャンペーン(HOC)が再導入され、住宅購入に充てる借入が増加したことで、特に月収5,000リンギ未満の世帯(借り手)でレバレッジが上昇した。
BNMは、労働市場の改善が今後期待される中で、国民や企業は引き続き金銭的問題に直面する可能性が高いとした上で、政府による賃金補助や再スキルアップなどのプログラムが借り手を支援に役立つとした。

セランゴール州の感染収束、4—6週間かかる可能性も

【クアラルンプール】 14日付けで条件付き行動制限令(CMCO)が発令されたセランゴール州について疫学専門家のアワン・ブルギバ博士は、標準的運用手順(SOP)を遵守した場合であっても、新規感染者数が減少に転じるのに4—6週間かかる可能性があると指摘した。
マラヤ大学で副学長を務めるアワン・ブルギバ博士は、セランゴール州での感染速度は速いものの感染者数のベースが大きくないため新規感染者数がそれほど多くないが、新規感染件数に比べると治癒件数が少ないと指摘。現状では14日間の期限付きとなっているCMCOを解除するために必要な感染速度の低下や新規感染者数の低下の基準を見極めるのは難しいと指摘した。
また最近の感染拡大の多くがサバ州から戻った人を介したものであることについて、「多くの人が自宅における監視対象となる前の9月中にすでに戻っており手遅れ。多くが無症状のため無意識に拡散した可能性があり追跡は不可能」と言明。問題はSOPやCMCOそのものではなく住民がいかにSOPを厳しく守るかであり、全員がSOPを守ればCMCOも機能するだろうと述べた。
一方、13日にCMCOが発令されたサバ州についてはまだ感染ピークを過ぎていないとした上で、向こう2週間が非常に重要だと指摘。期間中に拡大を抑制できれば横ばいになってその後は下降に向かうとし、6—8週以内に改善がみられることが期待されると述べた。ただ重症患者が急増していることが懸念材料であり、集中治療室のキャパシティなど同州の医療体制を圧迫する可能性があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月15日)

新型コロナ感染者は新たに589人、サバ州が最多で304人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から589人(うち3人が海外で感染した帰国者)増えて、1万8,129人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(304人)▽セランゴール州(150人)▽ペラ州(52人)▽ケダ州(31人)▽ペナン島(16人)▽ネグリ・センビラン州(11人)▽クアラルンプール(KL、10人)▽ラブアン(6人)▽サラワク州(4人)▽マラッカ州(2人)▽クランタン州(2人)▽プトラジャヤ(1人)ーーとなった。新たに409人が退院し治癒者数は1万2,014人に増加した。死者数は3人増えて170人になった。
セランゴール州のぺタリン地区防災管理委員会は同日、バンダル・ウタマにある1ウタマ・ショッピング・センターが11ー12日の2日間かけて6,000人を対象に実施したスクリーニング検査において、105人の感染者を検出したと明らかにした。うち79人は警備員、18人が掃除スタッフで、8人がモールのテナントスタッフだった。感染したテナントスタッフは、カジュアルレストラン「テー・タリク・プレイス」で6人、「ダイソー」とクッキーショップの「C&Cクッキーズ」でそれぞれ1人検出された。「ダイソー」の労働者はマレーシア人で、それ以外は外国人だった。

「KL市内は一つの地区とみなす」サブリ上級相が言明

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は15日、条件付き行動制限令(CMCO)が発令されているクアラルンプール(KL)市について、KL市全体を一つの地区とみなして住民の自由な移動を認めると発表した。

  14日に発令された首都圏クランバレー(KL、セランゴール州、プトラジャヤ)を対象としたCMCOではそれぞれ地区や州を越えた移動は通勤以外は禁止されているが、KL市民から同市内の「地区」の区分に関する質問・疑問が政府に寄せられていた。

  KL市内の住民であれば市内の移動は警察などの許可証は不要。KLとセランゴール州、プトラジャヤの間を通勤する場合は雇用主が発行した証明書を提示する必要がある。

  またMCOとは異なり、KL、セランゴール州、プトラジャヤの住民は、同一地区内であれば自宅から半径10キロメートル以上離れた場所に買物に行くことも認められる。

 ■ラブアンでもCMCO発令、17日から■

  サブリ大臣はこのほか、連邦直轄地のラブアンについても感染拡大が懸念されるとして、17日から30日までの14日間、CMCOを発令すると発表した。11日のKL発ラブアン行きのマレーシア航空(MAS)便で乗客の1人から感染者が出ており、同乗した99人に対してスクリーニングを受けるよう勧告が出されていた。

フェイクニュース、「政治関連」が37%占める

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は、フェイクニュースで最も多いのが政治に関するもので全体の37%を占めていると明らかにした。

フェイクニュースの追跡調査を行なっている「Sebenarnya.my」によると、生活費支援計画(BSH)や国民支援計画(BPN)などの政策に関するニセ情報、公文書の流出、公的ソーシャルメディアのなりすましといった政府絡みのものが最も多かった。

次いで多かったのは犯罪及び保健衛生に関するもので、犯罪に関するものは詐欺や誘拐、臓器売買に関するもの、保健衛生に関するものは新型コロナウイルス「Covid-19」やその感染者に関するニセ情報が多かった。

また消費者情報に関するものも13%と多く、ハラル(イスラムの戒律に則った)や食品汚染、無許可製品に関するニセ情報が多かった。

「Sebenarnya.my」は2017年3月に立ち上げられ、月平均480万件の閲覧を記録した。一般市民からも1万1,000件を超える情報提供を受けているという。

(ザ・スター、10月11日)

首都圏でのCMCO発令、経済下ぶれリスクに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 首都圏クランバレー(セランゴール州、クアラルンプール=KL、プトラジャヤ)とサバ州で条件付き行動制限令(CMCO)が施行されたことを受け、エコノミストらは経済の下ぶれリスクになるとみている。
CGS-CIMBは、CMCOに指定された地域がマレーシアの国内総生産(GDP)の46.6%を占めている点(セランゴール州24.2%、KL&プトラジャヤ16.4%、サバ州6.0%)を指摘。2週間のCMCOが、個人消費の減少により企業収益の回復が遠のくとの懸念から市場心理を悪化させるとした。
CGS-CIMBによると、影響を受けそうな業種は、醸造業者(販売減)、建設(工事の中断)、消費関連(客足減少、外食減少、コンビニの営業時間短縮)、公営賭博・宝くじ(売上減少、旅行制限によるゲンティンハイランドへの客足減少)、不動産投信(REIT、ショッピングモールの客足減少、テナントの売上減少、ホテル予約キャンセル)、運輸(国内旅行の回復の鈍化)、銀行(OPRの更なる引き下げ可能性)。
一方MIDFリサーチは、影響を受ける業種についてはほぼ同意見だが、eコマース、宅配サービス、eウォレットやオンラインバンキングなどのオンライン・サービスの利用拡大によって促進されるオンライン購入の増加によって、個人消費が下支えされると指摘。第4四半期のGDPに与える影響は限定的だとして現状の通年GDP成長予想(マイナス4.8%)を維持するとした。

来年度予算は経済的弱者の支援などに注力=ムヒディン首相

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は、2021年度予算案について「新型コロナウイルス感染拡大の影響を被った経済的に脆弱なグループに的を絞った支援など4つの項目に注力する」と明らかにした。予算案は11月6日に下院議会に提出される予定。

 ムヒディン首相はテレビ討論形式で行なわれた記者会見の中で、政府が約3,000億リンギにのぼる様々な経済対策を実施したものの多くのグループが新型コロナの影響を受けたと指摘。「来年度予算はこうしたグループに別の形の支援を提供することになる」と述べた。
また弱者支援措置が実施された後には、二番目の注力項目としてインセンティブを通した産業支援を行なうとし、それにはサービス提供の強化と持続可能な生活環境の発展が含まれると指摘。世帯所得下位の40%(B40)が貧困レベルに落ち込むのを防止するための協力なセーフティネットを構築するとした。
ムヒディン首相はその上で、予算の焦点はこれまで通り国民の命と生計を救うことにあるとし、国民支援、ビジネス支援、経済の継続的な強化——という3つの主要な柱に焦点を当てるとした。
(ベルナマ通信、10月13日)

新型コロナ感染者は新たに660人、サバ州では429人が感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は14日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から660人(うち6人が海外で感染した帰国者)増えて、1万7,540人になったと発表した。
州別の感染者数は▽サバ州(429人)▽ケダ州(113人)▽セランゴール州(68人)▽ペナン島(17人)▽クアラルンプール(KL、12人)▽ラブアン(8人)▽ジョホール州(3人)▽ペラ州(3人)▽サラワク州(3人)▽マラッカ州(2人)▽ネグリ・センビラン州(1人)▽プトラジャヤ(1人)ーーとなった。新たに233人が退院し治癒者数は1万1,605人に増加した。死者数は4人増えて167人になった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、国内で発生している23つのクラスターが、サバ州からの入州者に関連していることが分かった。保健省は9月22日ー10月13日間において、サバ州からの入州者1万8,478人のスクリーニング検査を実施。うち394人の感染者を検出した。感染者の228人(57.9%)は9月22日ー27日間、残り166人は9月28日以降にそれぞれ確認された。
保健省は9月27日からすべてのサバ州からの入州者に対して、検査受診および結果が出るまでの自宅隔離措置を発令し、10月11日以降においては14日間の自宅隔離を命じている。