日系企業、半数が通常通りに回復=JACTIM&ジェトロ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)とジェトロ・クアラルンプール事務所は7月30日、2020年度在マレーシア日系企業を対象とした新型コロナウイルス「Covid-19」対策に関する緊急アンケート結果を発表した。

 同調査は5月の第一回調査に続くもので、7月13日から17日にかけて会員企業585社を対象に行い、209社から回答を得た。
生産・稼働状況は、製造業、非製造業ともに約半数が「通常どおり」または「通常以上」と回答し、5月の前回調査から20ポイント以上の大幅アップ。5割未満との回答は1割を切り、前回調査と比較すると大幅な改善がみられた。ただ5—8割程度との回答も4割程度あり、完全な回復とはなっていない状況も分かった。通常以上の生産・稼働している業種としては、製造業では医療機器、電子部品、包装資材、非製造業では物流があった。
受注・調達に関しては、半数超の企業が国内外の顧客・供給先からの注文留保・減少を現状の課題に挙げた。オペレーション上の課題については、国内外の営業活動、新規ビジネス機会の減少を指摘する企業の割合が高く、「資金繰り難」、 「ワーカー不足」 、「ソーシャルディスタンスなど標準的運用手順(SOP)の確保」も多く指摘された。
売り上げに関しては、4—6月実積、7—9月見通しは5月調査に比べて全般的に回復傾向にあるが、2020年通年では製造・非製造業共に8割超が前年割れの見通しであることが分かった。
マレーシア政府による入国制限のため、入国待機・予定は673人に上り、前回調査(378人)から1.8倍に増加していることが分かった。入国制限が長期化、入国手続きの頻繁な変更や不明瞭化のためで、予定していた新規事業・取組に必要な要員が入国できず支障が出ているという声も上がった
マレーシア政府に対する要望としては、「入国制限の緩和」が最も多く、「駐在員の出国制限の緩和・撤廃」、「駐在員のビザ発給の迅速化」など入国関連の要望が多かった。同じく日本政府への要望においても、「駐在員の赴帰任、短期出張など、 ビジネスのための両国間の移動円滑化」がトップだった。

新型コロナ感染者が新たに14人、うち13人は国内感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は2日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から14人増えて8,999人になったと発表した。

新規感染者のうち1人はフィリピンからの帰国者。13人が国内で感染したマレーシア人だった。また新たに17人が退院し回復者数は8,664人に増加した。死者数は3日連続ゼロで、125人を維持した。

ケダ州のシバガンガイ・クラスタ(インドのシバガンガイから帰国した永住者が関連)について、保健省のノール・ヒシャム事務次官は1日、これまでに接触を確認した262人の検査を実施したと言明。8人が陽性(うち3人がマレーシア人)、251人が陰性、3人が結果待ちだと明らかにした。

同クラスタでは、ケダ州ジトラにあるレストランのオーナーおよび従業員が関連しており、クバン・パスのコミュニティ開発部(KEMAS)下にある幼稚園73件とデイケアセンター3件は、利用者が同レストランを訪問していたことを確認したため、閉鎖措置を取っている。

JB—星間RTS、建設費37億リンギをマレーシアが負担

【ジョホールバル】 2021年初に着工、2026年末までに開業を予定しているジョホールバル(JB)—シンガポール間の高速鉄道輸送システム(RTS)について、ウィー・カション運輸相は、総建設費約100億リンギのうち37億リンギ(39%)をマレーシアが負担すると明らかにした。
全長4キロメートル(Km)のうちマレーシアは2.7km、シンガポールは1.3kmとなる。1時間あたり片道1万人の輸送能力を持ち、1日あたり最大28万8,000人乗客輸送が可能だ。運賃については、プロジェクトがほぼ完了した時点で発表される予定で、40%の低所得者層(B40)を含むすべての人々が考慮されるという。
また、JBのブキ・チャガルとシンガポールのウッドランズにそれぞれ税関、税関・出入国管理局・検疫(CIQ)施設を建設する予定で、ブキ・チャガルのCIQには商業用スペースや1,500台が収容できる公共用駐車場を設ける。両当局が共同で管理するメンテナンスおよび運転施設は、JBのワディハナに設立する。これらの施設において少なくとも1,500人の雇用機会の創出および、プロジェクト全体で少なくとも150の裾野産業に利益をもたらすことが見込まれている。
両政府間において、▽シンガポールの首都圏大量高速輸送(MRT)トムソン・イーストコースト線(TEL)システムから軽便鉄道(LRT)システムへの変更▽マレーシア側のインフラ会社を、プラサラナからマス・ラピッド・トランジット・コーポレーションの子会社であるマレーシア・ラピッド・トランジット・システムに変更ーーの2件の変更が同意された。またシンガポールSMRT RTSープラサラナRTSオペレーション間における合弁契約の締結および二国間協定の修正の下で両国は、30年間の運転をRTSオペレーションズに指名することでコンセッション契約に合意した。
RTSについてウィー運輸相は、両国を結ぶ連絡道(コーズウェイ)の交通渋滞を緩和するために不可欠であると言明。プロジェクトが予定通りに実行されることを保証するためのコミットメントを両政府が表明したと明らかにした。
(ザ・スター、7月31日、マレー・メイル、7月30日)

イベント産業、新型コロナの影響で18億リンギの損失

【クアラルンプール】 マレーシア会議・展示会業協会(MACEOS)は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴い1,250件以上のイベントが中止や延期されており、損失額は17.5億リンギに上っていると明らかにした。
ビンセント・リム会長は、新型コロナの流行により、イベント産業の成長は止まったと言明。昨年はビジネスイベントや会議、展示会などで海外から54万人が訪れ、92億リンギの経済効果をもたらしたことを明らかにした。
MACEOSはマレーシア・ビジネスイベント委員会(BECM)と共同で策定したビジネスイベント開催に関するガイドラインを発表したが、ビンセント氏はイベントや展示会、会議が安全であることを保証し国民からの信頼を得る必要があると言明。全ての業界関係者と共に予防措置を講じて参加者の安全と健康を確保すると述べた。
MECMのアラン・プライヤー会長は、政府の支援も受け、イベント業界は回復できると確信していると述べた。政府とオープンな協議を続け、同産業の回復に向けて積極的に協力し合っていきたいとした。
(マレーシアン・リザーブ、7月28日)

ナジブ元首相有罪判決、野党連合「国民の大きな勝利」

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ナジブ・ラザク元首相が28日、国営投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)巨額資金不正流用事件に関連して高裁で禁固12年、罰金2.1億リンギの有罪判決を受けたことについて、各方面から様々な反応が上がっている。
ナジブ氏の汚職を追及してきた野党連合・希望同盟(PH)の構成党党首会議は、公正な裁判を評価した上で、国民にとって大きな勝利と宣言。国民戦線(BN)政権時期の政治的堕落を繰り返さないために包括的な制度改革が行われなければならないとした。
ナジブ氏の部下であった与党・国民連盟(PN)構成党・統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド・ハミディ総裁(元副首相)は、判決後にナジブ氏から「これで終わった訳ではない」と上訴の意向を示されたことを明らかにし、党として近く何らかの重大決定を行なう方針を示した。
一方、かねてから党の長老支配に異を唱えていたカイリー・ジャマルディン前UMNO青年部長(科学技術革新相)は、「ナジブ氏を支持する権利は誰にでもあるが、私はこの裁判に党が引きずられないことを望んでいる」と言明。これを機に党の若返りを図るべきだと述べた。
PN政権を率いるムヒディン・ヤシン首相は、「友人たち(ナジブ氏支持者)の感情は理解するが、政府は常に法の支配の原則を支持する」と述べるにとどまった。
■控訴審では逆転のチャンスある=首席弁護人■
首席弁護人のムハンマド・シャフィー・アブドラ弁護士は、「ナジブ氏の失敗は過度に1MDBやSRCの役員たちを信頼し過ぎたこと。彼は1MDBの内情や送金に関する実情は知らなかった」と主張。判決に関しては「合理的な疑いがある場合には棄却しなければならない」という刑法の原則を裁判官が理解していないと批判し、控訴審では十分に逆転するチャンスがあると述べた。
在宅起訴されていたナジブ氏はただちに控訴する方針を示しており、裁判所は100万リンギの保釈金を条件に保釈を認めた。同氏の国会議員の資格は判決が確定するまで維持される。

新型コロナ感染者が新たに13人、うち8人は帰国者

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は29日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から13人増えて8,956人になったと発表した。

新規感染者のうち8人は海外で感染した帰国者(うち4人がマレーシア人)。残り5人は国内で感染したマレーシア人(3人)と外国人(2人)だった。また新たに5人が退院し回復者数は8,612人に増加した。死者数は4日連続ゼロで、124人を維持した。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、28日にケダとサラワク州で2つのクラスタ検出された。ひとつ目のクラスタは感染の疑いがあるとして検査中の患者(PUI)であったインドのシバガンガイから帰国したケダ州の永住者(8,937人目の感染者)で、入国時の検査では陰性だったが再検査で陽性だったことが分かった帰国後自宅隔離下に置かれていたが規則に従わず感染が拡大した。保健省はこれまで28人の接触者を追跡し、うち5人の感染を確認した。感染者は、1人が感染者の家族、4人がレストランで働く外国人労働者だった。

もうひとつのクラスタは、サラワク州サトクにある市場から検出された。検査を実施した229人のうち4人が陽性で、感染者は全員無症状だという。

他に▽サラワクのセントーサ(新規9人、合計30人)▽クチン医療施設の従業員(新規4人、合計8人)▽マンボン(新規1人、合計6人)▽メルボルンからの帰国者(新規1人、合計3人)ーー4つのクラスタで新規感染者が確認された。28日時点の国内のクラスタは、現在25つに上る。

編集後記 07.30

わたしの友人は、マレーシアで働きながら週末に東南アジアを旅行するバックパッカーで、月に1、2回は海外を飛び回っています。昨年は東南アジア地域だけでなくヨーロッパにも訪れていました。マレーシアーヨーロッパ間の航空券も、オフシーズン(?)であれば日本からよりもかなり安いようです。
行動制限令(MCO)発令中「旅行に行けない!」と嘆いていましたが、州間旅行が解禁され、早速ジョホールに遊びに行っていました。そんな彼女を見習って、わたしも今年こそはタイやインドネシアへ行こう!と計画していたのですが、新型コロナウイルスの影響で年内の海外旅行は厳しそうですね。
わたし、マレーシアに来て1年半以上が経ちますが一度も国外旅行をしたことがないんです…!早く国境が開放され、旅行を楽しめる日が来ることを切実に願っています。そして来年こそはたくさん旅行したいです!(み)

銀行ローンの返済猶予、一部を対象に3カ月延長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は29日、テレビ演説を行ない、9月いっぱいで終了する銀行ローンの返済猶予措置について、失業者など特定のグループを対象に3カ月延長すると発表した。

失業者は、さらに3カ月のローン返済猶予措置を受けることができる。その後、各人の状況に基づきさらに猶予措置の延長を受けることが可能となる。

また勤務は続けているものの給与カットを受けた者についても、ローンの種類と給与減額の幅に応じて月々の分割払い金額を削減する。同措置は6カ月間だが、状況に応じて延長申請も可能としている。

個人もしくは中小企業(SME)についても銀行側は支援を約束しており、返済繰り延べや金利分だけ返済する方式など、借り手の財務状況が安定するまで支援が受けられる。

対象者は8月7日から銀行に申請することが出来る。

政府は新型コロナウイルス「Covid-19」抑制に向けた行動制限令(MCO)発令に伴い、銀行ローンの返済猶予措置を4月1日付けで6カ月の時限措置として発効していた。7月20日現在、770万人の個人が総額383億リンギ相当、中小企業24万3,000社が207億リンギ相当の融資に関する返済猶予措置をそれぞれ受けている。

銀行ローンの返済猶予措置期間が9月いっぱいで終了することに関して、マレーシア製造業者連盟(FMM)は、多くの中小企業が存続できなくなる恐れがあるとして措置延長を訴えていた。

観光産業は改善の兆しを見せている=観光芸術文化相

【クアラルンプール】 ナンシー・シュクリ観光芸術文化相は、6月10日に復興のための行動制限令(RMCO)が施行され、観光事業の営業が再開されたことから、国内の観光産業は改善の兆しを見せていると明らかにした。
国会の質疑で、新型コロナウイルスの感染拡大後の国内の観光促進キャンペーンについて質問を受けたシュクリ大臣は、複数のシティホテルやリゾートの平均宿泊率は改善しているとした。特に島やビーチ、高原など自然に特化した場所で回復していると言明。週ごとの宿泊率も前の週に比べて増加を示しており、大幅ではないものの前向きな傾向を見せていると強調した。一方で、格安航空会社エアアジアが6月10ー28日の間に実施した国内旅行促進キャンペーンでは7月ー9月の航空券が18万枚売れたと言及。ホテルや航空券、旅行パッケージ、入場券など、魅力的なキャンペーンを実施したことで結果は出ていると説明した。
一方で、インバウンド旅行促進キャンペーン「ビジットマレーシア2020(VM2020)」については、中止となったため次のキャンペーンには9,000万リンギを割り当てる予定だと言明。対象としては、グリーンゾーンを考えているとし、状況を見守っているとした。
(ベルナマ通信、7月27日)

日本M&Aセンター、マレーシアに駐在員事務所を開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 大手合併・買収(M&A)仲介会社の日本M&Aセンター(本社・東京都千代田区)は27日、近年増加しているクロスボーダーM&Aの中でも特にニーズが強い東南アジアへの対応強化を目的として、3月10日にマレーシア駐在員事務所を開設したと発表した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)でのカバー率を上げることで、日本とASEANのクロスボーダーM&A案件の情報量・成約件数の増加を図る。事務所は、所長1人と現地スタッフ1人の2人体制で運営する。
同社は、日本企業の海外進出および海外子会社の売却などに伴うクロスボーダーM&A案件の需要増加に対応するため2013年4月に海外支援室を設置、2016年4月には中小企業(SME)のM&Aで強いニーズのあるASEAN向けにシンガポール・オフィスを開設した。その後インドネシア駐在員事務所とベトナム現地法人をそれぞれ2019年10月と2020年2月に設立した。