【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)のノル・シャムシア総裁は11日、マレーシアが来年、景気後退に陥ることはないとの予想を示した。


2022年第3四半期(7ー9月)の国内総生産(GDP)成長率を発表したノル・シャムシア総裁は記者会見で、インフレ率は今後も引き続き上昇する可能性があるものの、経済成長率の改善が見込めるとした上で、景気後退に陥らないと述べた。インフレ率が高まることで、国民の購買力や貯蓄への影響が出るため、中銀は段階的に政策金利の調整を実施していると説明。緩やかな政策が経済に完全に反映されるまでは時間がかかる可能性があるとした。急激な政策金利の上昇は家庭や企業に打撃を与えることになるとして、物価の安定と持続可能な成長のために複数の政策を実施していると説明。インフレ率は第3四半期に4.5%でピークを迎えた可能性が高いとしたが、今後も高止まりするとの見方を示した。


 一方で、通貨リンギが対米ドルで下落していることについて、ノル・シャムシア総裁は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが米ドル高に繋がっているだけであり、マレーシア経済が危機に瀕しているという意味ではなく、域内の通貨も同じように下落していると説明。米ドル高が今後も続く可能性があるものの、マレーシアの経済ファンダメンタルズを反映した水準に調整されるとの予想を示した。