【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 大阪ガス(本社・大阪市中央区)は10日、IHI(本社・東京都江東区)、マレーシア国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の技術ソリューション部門ペトロナス・グローバル・テクニカル・ソリューションズとの間で、マレーシアにおいて未利用森林資源や農業残渣を活用したe-メタン(合成メタン)製造事業の基本設計実施判断に向けた詳細検討を開始するための覚書を締結したと発表した。

同事業では、バイオマスガス化技術とメタン合成技術を組み合わせた新たな方式により、再生可能エネルギー電力の価格に影響されないe-メタンの製造を目指す。

e-メタンは、既存の都市ガスインフラや消費機器が活用でき、スムーズなカーボンニュートラル社会への移行と社会コストの抑制が可能で、発電分野、輸送分野での利用も期待されている。

従来、e-メタンの製造方法は、再エネ電力をエネルギー源にして製造された水素を原料に用いて合成する方式が知られているが、再エネ電力の価格が製造コストの大きな割合を占めるため、再エネ電力の価格に影響されない、バイオマスをエネルギー源としたe-メタン製造を目指し、新たな方式の実現に向けた検討を行い、2030年に製造したe-メタンをペトロナスがLNG基地で液化し、日本などに輸出することを目指す。また、副産物として得られるバイオマス由来の二酸化炭素(CO2)を地中に貯留する場合、大気中のCO2除去も可能となるため、その可能性についても検討する。

大阪ガス関係会社により構成されるダイガス・グループでは、今後も脱炭素社会実現に向けて、「カーボンニュートラルビジョン」や「エネルギートランジション2030」の下、脱炭素社会に貢献する技術・サービスの開発に取り組み、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努め、暮らしとビジネスの「さらなる進化」に役立つ企業グループを目指す方針だ。