政府機関のキャッシュレス化、セランゴールとペナン州が90%超

【クアラルンプール】 銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)によると、政府機関におけるキャッシュレス決済の導入率は、セランゴールとペナンの両州ですでに90%以上に達している。

一方、他州ではまだ導入率が低く、ケダ州が80%、ペルリス州が60%、ジョホール州が50%、ペラ州が49%にとどまっている。セランゴール州やケダ州では州首相自らがキャッシュレス決済の推進活動を行うなど、トップダウンでの導入推進が功を奏したという。公共部門全体のデジタル決済普及率は81.3%に達した。

政府機関のキャッシュレス化に協力しているペイネットのファルハン・アフマド最高経営責任者(CEO)は、キャッシュレス決済が拡大することで、2032年までに国内総生産(GDP)への貢献が2.6%増加し、雇用人数は9万2,000人増加、年間賃金上昇率0.16%、年間生産性向上率0.15%が見込まれると述べた。

100%のキャッシュレス決済導入を達成した8つの政府機関の一つである、出入国管理局のザカリア・シャアバン副局長は、キャッシュレス決済導入当初は、一般市民からの反発や地方におけるネットワーク・インフラの不足が問題となっていたが、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染が急拡大した2020年より完全導入が進み、そのおかげで、これまで悩まされてきた、小切手の不渡り、不正決済、現金損失などの問題がすべて解消したと述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月31日、マレーシアン・リザーブ、10月30日)

鶏肉の補助金が11月1日から廃止、鶏卵は維持

【クアラルンプール】 モハマド・サブ農業食糧安全相は、鶏肉への補助金及び価格統制が11月1日から廃止されるが、グレードA、B、Cの鶏卵については既存の仕組みに則って維持されると述べた。

モハマド・サブ氏は「鶏肉への補助金の打ち切りは、政府が段階的に補助金の対象を見直すというアプローチに沿ったもの」と説明。政府が今年2月までに鶏肉と卵のコストをカバーするために割り当てた補助金が、総額38億リンギに上ったと明らかにした上で、「鶏肉に対する補助金を一括で打ち切る理由は、外国人や高所得層も享受できるという補助金の抜け穴を塞ぐため」と説明した。

その上でモハマド・サブ氏は、補助金の打ち切りは鶏肉の生産コストが安定し始め、現在の市場価格が上限価格を下回っていることを念頭に置いたものだとし、現在の供給と価格の傾向も考慮していると言明。「10月22日の業界関係者との対話セッションを通じて、鶏肉価格の大幅上昇で消費者に負担をかけることがないようにする、との約束を取り付けた」と述べ、補助金撤廃後に鶏肉価格の大幅な値上げはないことを保証するとして、「パニック買い」をしないよう消費者に呼びかけた。

一方、鶏卵の補助金が維持されることについては、補助金が打ち切られた場合に鶏卵価格が1個当たり約10セン上昇すると予想されるためだと指摘。ただ養鶏業者が将来的に十分な量を提供すると保証しており、政府はその後の進展について随時発表すると述べた。

国内取引物価省のモハマド・サユティ・バカル事務次官は、国民に負担をかけない価格で鶏肉が販売されるよう、「2011年価格統制・反不法利得法」に基づき介入できると言明。ただ価格が再び上昇した場合、政府は価格統制を再度実施する可能性があるとし、今後も引き続き監視していく方針を示した。
(ザ・スター、ザ・サン、10月31日、ベルナマ通信、10月30日)

ジョホール・シンガポール経済特区、実現可能性調査を実施へ

【シンガポール】 シンガポールを訪問したマレーシアのアンワル・イブラヒム首相と、シンガポールのリー・シェンロン首相は10月30日、共同で会見を開催。ジョホール・シンガポール経済特区(SEZ)の設立に向けて合意したとした上で、両国間のエコシステムの改善を図るため実現可能性調査を実施し、調査が終わり次第、来年初めにも覚書を締結すると明らかにした。

共同声明によると、イスカンダル・マレーシア合同閣僚委員会(JMCIM)が実現可能性調査を実施する。SEZでは国境を越えた物品や投資、人々の流れを改善し、両国の補完的な強みを活用して、経済の連結性を促進する。

アンワル首相は、来年初めの覚書締結に向けて、可能な限りプロセスを迅速化するとした。

SEZの設立は9月に発表されたもので、SEZ設立に向けて、特別タスクフォースが設立されていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、10月31日、ベルナマ通信、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、10月30日)

10月31日から日本に輸出促進ミッションを派遣、16社が参加

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は10月31日ー11月8日の日程で、起業家開発協同組合省、マレーシア中小企業開発銀行(SMEバンク)と、日本への輸出促進ミッションを共催する。

マレーシア中小企業の世界市場への進出を促進する活動の一環。11月3ー5日の日程で新宿中央公園水の広場で開催される「マレーシア・フェア2023」に合わせて実施するもので、マレーシア企業16社が参加し、東京と大阪を訪問する。

マレーシアのハラル(イスラムの戒律に則った)食品、飲料、ライフスタイル(ファッション)産業を紹介することに、主眼が置かれている。

MATRADEは、東京と大阪の事務所を通じて、「マレーシア・フェア2023」への参加、ビジネスセミナー、日本のバイヤーとの1対1のビジネスマッチングなど、マレーシアの参加企業向けの一連のプログラムをコーディネートする。またマレーシア企業が日本の市場や機会について学ぶために、日本アセアン・センターや大阪国際経済振興センター(IBPC)とも協力する。

MATRADEによると、日本はマレーシアにとって4番目に大きな貿易相手国であり、2022年の二国間貿易額は前年比21.2%増の1,815億1,000万リンギだった。マレーシアの対日輸出は前年比29.6%増の982億4,000万リンギとなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、10月27日)

ブリッジ、マレーシアのデジタルマーケ支援会社を完全子会社化

【クアラルンプール】 インサイドセールスや研修などの法人営業改革支援サービスを提供するブリッジインターナショナル(本社・東京都世田谷区)は、発行済株式の10%を取得しているTKインターナショナルの残り90%分の株式を追加取得し、10月1日付で同社を完全子会社化したと発表した。TKインターナショナルは商号を「ブリッジ・インターナショナル・アジア」に変更する。

TKインターナショナルは、2014年の創業以来、マレーシアを拠点に 東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に進出する日系企業の販路開拓支援に向け、マーケティング支援やITサービス事業を展開している。顧客企業のASEAN事業モデルの構築期から事業展開・拡大期までを網羅的にカバーし、延べ100社以上の事業進出と成長をサポートしてきた。

法人営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波は世界各国に波及しており、「インサイドセールス事業」および「デジタルマーケティング事業」を取り巻く市場は、近年ASEAN地域でも急速に拡大している。ブリッジインターナショナルは今後、日本からASEAN地域に進出する企業や現地からマレーシア国内およびアジア・ASEAN地域に事業展開する多国籍企業向けに、ブリッジ・インターナショナル・アジアをサービス拠点とし、各事業による価値提供を一段と強化していく方針だ。