A&W店舗網の拡大を計画、PJのドライブスルー1号店は閉店へ

【クアラルンプール】 パン・マレーシア・コーポレーション(PMC)は、ファストフード・チェーン「A&W」の店舗網拡大に注力する方針で、2025年には全国に新たに12店舗をオープン、未開拓市場のサラワク州とブルネイにも目を向け、2026年までにサラワク州クチンに2―3店舗をオープンする予定だ。

PMCの取締役を兼任するA&Wのジョージ・アン最高経営責任者(CEO)によると、現在半島部に約100店舗、サバ州に4店舗を展開している。A&Wはレストランの平均売上高(ARS)が高い空港やテーマパークなどの人の往来が多い場所をターゲットにしており、特に空港での新規店舗開設を検討している。国内にはコタキナバル空港やペナン空港など、今後進出可能な空港が8―10カ所ほどあるという。

またA&Wは労働力を減らして効率性を高めるためのデジタル化も進めており、2024年末までに全店舗にデジタルキオスクを設置する方針だ。現時点でA&W店舗の約30%にデジタルキオスクがある。さらに消費者の消費習慣の変化に対応して、いくつかの店舗を24時間営業やドライブスルー形式に転換する予定。 2025年までに20店舗が24時間営業となり、そのうち12店舗はドライブスルーとする。

一方、セランゴール州ペタリンジャヤにあるマレーシア初のドライブスルー店については正式に閉店する方針だ。店舗がある1エーカーの土地にホテルを建設するという土地開発業者の計画に従ったもので、当初は2020年に閉店する予定だったが新型コロナ禍のため計画は中止されていた。同店舗は1965年に開業していた。
(ザ・スター、12月23日)

テレコムがプロドゥアと提携、デジタル革新を推進

【ペタリンジャヤ】 通信大手の政府系テレコム・マレーシアは、ダイハツ工業が出資する第2国民車メーカー、プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)と提携で合意した。電気自動車開発、デジタル革新、持続可能な企業成長を推進する。

提携分野は、▽ハイパーコネクテッド・ネットワーク▽デジタル技術推進▽顧客体験の改善▽環境持続可能性――の4つ。

テレコム・マレーシアの法人・政府関連事業子会社TMワンが、ソフトウエアを用いたディーラー向け仮想的WAN(広域通信網)、自動車用5G(第5世代移動体通信)アプリ、スマート製造技術などの提供を通じプロドゥアの生産基盤を強化する。これによりプロドゥアは生産能力を高め、データ管理を円滑にすることができるという。

TMワンはまた、クラウド、サイバーセキュリティー、データ解析、人工知能(AI)能力を活用し、プロドゥアのスマート製造、電気自動車、自律運転技術開発を支援する。

環境面ではTMワンとプロドゥアは電気自動車充電施設におけるクリーン電力使用、廃棄物削減で協力する。
(ザ・スター、12月24日、ビジネス・トゥデー12月23日)

東洋エンジニアリング、パハンの触媒回収工場の建設受注

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東洋エンジニアリング(本社・千葉市美浜区)は24日、マレーシアの子会社、トーヨー・マレーシアが、パハン州ゲベン工業団地で使用済み触媒リサイクル設備の建設を受注したと発表した。

この設備は、ジルコニウム化合物製造販売の太陽鉱工(本社・神戸市中央区)がマレーシア子会社を通じて進めているプロジェクト。石油精製などの工業プロセスで使用された触媒から有価金属を効率的に回収してリサイクルする、東南アジア初の施設になる。年間回収処理量は約7,000トン(使用済み触媒量)。

トーヨー・マレーシアは設計、調達、建設を一括で受注した。2027年第1四半期の運転開始を予定している。

アンワル首相就任2周年の支持率は54%=ムルデカ調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムルデカ・センターが行なった最新世論調査によると、就任2周年を迎えたアンワル・イブラヒム首相の業績について「満足している」との回答は54%となり、1年前の調査の50%から4ポイント、前回調査の53%から1ポイント改善し、3期連続で「不満」率を上回った。

同調査は11月27日から12月10日にかけて全国の18歳以上の1,207人に対して電話で聞き取りを行なったもので、アンワル首相の業績については▽マレーシアのイメージ向上▽外国投資の誘致▽公務員の効率改善――については「満足している」との回答が54―62%と高かったが、「国民経済強化への取り組み」は45%にとどまり、「評価しない」(44%)とほぼ同率となって評価が分かれた。

アンワル首相率いる連立政府の業績については、 「満足している」が51%となり、前年同期の46%から5ポイント、前回の47%から4ポイント改善した。「不満」も相変わらず47%と多く、評価が分かれている点についてムルデカ・センターは、「主に生活費の圧力に対する根強い懸念と、計画されている補助金削減に対する不安が原因」と指摘している。

このほか連立政府の業績に関しては、▽官僚の清廉さ▽民族関係の改善▽政府の効率性改善――は「満足している」が「不満」を上回ったが、「財政問題への取り組み」は同率、▽経済成長▽物価問題への取り組み▽汚職対策▽法の支配の維持――は「不満」が「満足している」を上回った。

プロトン「e.MAS」」初の正規ショールーム、IDCCに開業

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスの電気自動車(EV)ブランド「e.MAS」の初の正規ショールームが21日、セランゴール州シャアラムの「IDEALコンベンション・センター(IDCC)」に正式オープンした。プロトン初のEV「e.MAS7」は16日に発表された。

初のショールームは、プロトンがSGカーズと協力してオープンしたもので、系列会社セティア・ゲミラン・オートが運営する既存のプロトン車ショールームの隣にある。顧客ラウンジはショールーム階にあり、下層階にサービスセンターがある。顧客のためにショールームの外に充電ステーションも設置している

プロトンのEV販売子会社、プロトン・ニューエナジー・テクノロジー(プロネット)は既に全国で37のディーラーを指名しており、2024年末までに30カ所が営業を開始する予定。37のディーラーのうち36は既存のプロトン・ディーラーであるため既存店舗にEV 専用エリアを設けるという。
(ポールタン、モタオート、ポールタン、12月21日)

ライセンス取得義務のプラットフォーム、政府が8つを名指し

【クアラルンプール】 連邦政府は、「1998年通信・マルチメディア法」に基づく新たな規則の下でライセンス取得が義務付けられている主要なソーシャルメディアおよびメッセージング・プラットフォーム8つを特定した。ファーミ・ファジル通信相が明らかにした。

政府から名指しされたのは、▽ワッツアップ(WhatsApp)▽フェイスブック▽インスタグラム▽X(旧ツイッター)▽ユーチューブ(YouTube)▽テレグラム▽ウィチャット(WeChat)▽ティックトック(TikTok)――の8つのプラットフォーム。

ファーミ氏は、これらのプラットフォームはマレーシアで少なくとも800万人のユーザーを抱えており、ライセンス取得の基準を満たしていると説明した上で、特にこれらのプラットフォームを標的にしたものではないと強調した。

ファーミ氏はまた、これらのプラットフォームがマレーシア市場から得る多額の収益を、マレーシアの法律を適用すべき根拠として挙げ、ワッツアップやフェイスブック、インスタグラムを運営するメタを例示し、マレーシアで年間約25億リンギの広告収入を上げていること、フェイスブックを通じた詐欺行為でマレーシア人が4億リンギを詐取されていること、政府によって削除されたギャンブルや詐欺関連の記事18万件のうち90%を占めたこと、を指摘した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、12月20日)

半島部の電気料金、来年上半期は据え置き

【プトラジャヤ】 マレーシア半島部の電気料金は、不均衡価格転嫁(ICPT)制度の実施に伴い、2025年上半期(1―6月)中は据え置かれることが決まった。

エネルギー移行・水利転換省(PETRA)は、対象を絞った電気補助金の実施を通じて国内消費者が引き続き保護されるようにするために、政府が2023年12月13日に下した決定だと指摘。「2025年1月から6月までの政府による電力補助金の総額は23億8,800万リンギに上る」とした。

現在の料金体系では、家庭向けは600キロワット時(kWh)未満または月額請求額220リンギ未満の消費者690万人に対しては1kWhあたり2センの割引、1,500kWh未満の消費者130万人に対しては据え置き、1,500kWhを超える消費者8万5,000人に対しては1kWhあたり10センの割増し料金を課している。

一方、商業および工業ユーザーに対しては、中電圧および高電圧ユーザーには16セン/kWh、低電圧ユーザーや特定の農業セクターのユーザー、および上下水道事業者に対しては2.7セン/kWhの割増料金を課している。

政府はまた、 2025年から2027年までの第4次規制期間(RP4)の平均基本電力の設定にも同意した。インセンティブベース規制(IBR)の枠組みの下で、政府系電力会社、テナガ・ナショナル(TNB)の半島部における電気料金が引き上げられる。
(エッジ、12月20日)

子供の安全へソーシャルメディアの行動規範を発表=MCMC

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は20日、ソーシャルメディア向けの行動規範を公表した。サービスプロバイダーがオンラインの安全性とセキュリティを維持するためのベスト・プラクティス(最良の事例)などを規定したもので、子供らの安全確保を重視し、年齢確認措置などが盛り込まれた。

MCMCは今年8月から、800万人以上のマレーシア国内ユーザーを抱えるすべてのソーシャルメディアおよびメッセージ・サービスを対象に、ライセンス制導入を開始したが、行動規範でも改めて2025年1月1日からの正式施行を明記。表現の自由とプライバシーの権利を十分に考慮しつつ、有害コンテンツをタイムリーに特定、評価、削除するための明確なシステムや手順を確立するよう求めている。

また、親が子供のオンライン活動を監視および管理するためのツールを実装することも求められる。これらのツールには、画面時間を制限し、有害または年齢にふさわしくないコンテンツをブロックするオプションが含まれている必要がある。

サービスプロバイダーは、有害コンテンツの削除記録を保持し、コンプライアンスを評価するために定期的な監査を実施し、MCMCに半年ごとの安全性レポートを提出することも義務付けている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、12月20日)

【総点検・マレーシア経済】第511回 データセンター市場で飛躍するマレーシア

第511回 データセンター市場で飛躍するマレーシア

12月6日付けのThe Edge Web版に「躍進を続けるマレーシアのデータセンターハブ(The rise and rise of the Malaysian data centre hub)」と題した記事が掲載されました。2018年から23年にかけて年率70%で成長するASEAN5カ国(マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)のデータセンター市場の中でも、マレーシアはその成長を主導しているとのことです。

マレーシアには過去2年間で990億リンギット(217億米ドル)のデータセンター投資が発表され、さらに1,490億リンギットの投資が計画されていること、アマゾンは2038年までに292億リンギの投資を表明し、GoogleとMicrosoftもそれぞれ20億ドル以上の投資を計画しているとThe Edgeは伝えています。

マレーシアがデータセンターのハブとして選択される最大の理由は、運用コストの安さです。図はシンガポールを100とした場合のASEAN各都市の電気料金、水道料金、工業団地賃料、中堅エンジニアの賃金を示したものです。各都市には一長一短がありますが、クアラルンプールは総合的にコストが安く、特にデータセンターの運用コストの30〜40%を占めると言われる電力料金の安さが目立ちます。

旺盛なデータセンターの建設需要に対し、ジョホール州は今年1月~5月に申請された14件の建設申請のうち4件を電力・水の節減策が不十分として却下したと伝えられています。マレーシアのデータセンター建設はより良いものを選別するフェイズに入っています。

さて、マレーシアのデータセンター誘致を仕切っているのはマレーシア・デジタルエコノミー公社(Malaysia Digital Economy Corp.: MEDC)ですが、この組織は以前はマルチメディア開発公社(Multimedia Development Corp.: MDC)と呼ばれていました。1996年に開始されたマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)計画を統括していたためです。プトラジャヤに隣接するサイバージャヤもこの時に情報産業の中核都市となるべく建設が開始されました。その後、MSCは必ずしも最先端のIT企業を誘致することはできていませんでしたが、ここにきて地域のデータセンターハブというかたちでその努力は花開くことになりました。

もう一つ、アジア通貨危機で半島部の光ファイバーを持つTime dotCom社が破たんしたとき、SingTelによる資本参加をマハティールが認めず、結局、政府系のカザナ・ナショナルが買い取ったという経緯があります。光ファイバーを自国資本で確保したこの時の判断は、今となっては間違いではなかったと言えるかもしれません。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

【人生の知恵・仕事の知恵】Why are you in Malaysia ?

Why are you in Malaysia ?

★果たして日本の海外展開は成功だったのか?

1985年のプラザ合意による円高容認以降、海外に多くの日本企業が進出しました。特にマレーシアは、電器関係を中心として、日本に次ぐ第二の生産拠点の勢いで、生産移管が行われたことを、懐かしく思い出します。

赴任する日本人は青雲の志を抱き、また日本企業で働き始める現地社員は、日本企業から少しでも技術を覚えようという謙虚さに満ち溢れていました。その後、多くの生産拠点は中国に移管されるかもしくは縮小されました。

今、シャアラムやPJの周辺を車で移動していると往時を思い出しつつ、果たして日本企業の

海外展開は成功だったのだろうか、想いに馳せることがしばしばあります。

 

★日本企業が苦しんだマレーシアパターン

日本企業を苦しめたのは、マレーシア独特の、言って見れば、マレーシアパターンでした。日本人が大切にしてきたガンバリズムが最終的に否定され、現地社員自身から声の上がる「やはりマレーシアでは無理だ」という諦めというか割り切りにも似たような結論づけに、マレーシアの日本企業は、苦しめられてきた面があります。

また 「日本企業は自動的に給料が上がり、昇格できる」と信じている現地社員の声は、日本企業の貢献を考えると不当に軽んじられてきたように思います。

 

★日本企業にとってのマレーシア2.0

一方で、マレーシアの若い現地社員と話していると、上述したような日本企業を不当に軽んじる声は少なくなっているように映ります。

むしろ、どの企業で働くかよりも、自らの力を最大限に発揮できることに優先順位が高いという印象を受けます。そして、地元意識が高いです。

日本企業が迎えるマレーシア新時代は、意外と当初、多くの日本企業が思い描いたその国に貢献する産業報國にあるのかもしれません。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)