昨年の破産件数5977件、若者の個人ローンなど要因

【プトラジャヤ】 マレーシア破産局によると、昨年の破産者は5,977件で、うち個人ローンを原因とするものが2,776件を占め、前年の2,225件から増加した。これにビジネスローン(1,148件)、住宅ローン(474件)が続いた。クレジットカード破産も89件に上った。

破産申告者を民族別でみると、マレー系が3,478件でトップ。これに華人(1,581人)が続いた。年齢別では35―44歳が2,402件で最も多く、45―54歳が1,695件で続いた。

M.バクリ・アブドル・マジド局長は、個人ローンを原因とする破産の中でもほとんどが25―44歳で、「贅沢なライフスタイルにあこがれ、ローンに安易に手を出し、最終的には破産に至る」と分析。こうした傾向は年利15―18%に及ぶ高いクレジットカード金利によって悪化しており、特に就職したばかりの若者にとって借金返済がますます困難になっているとして、金融機関に対し、若者が関与するローンの承認条件を厳格化するよう求めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、1月19日、統計局発表資料)

サラワク州タンジョンエンバンの新港、神戸モデルの海上港に

【クアラルンプール】 サラワク州のアバン・ジョハリ首相は22日、同州タンジョン・エンバンに計画中の新港について、神戸港をモデルにした港になるとの見方を示した。

タンジョン・エンバンはサラワク川河口に位置し、サラワク川そのものは水深が浅い。このため、アバン州首相は「既存の港近くの浅い水域では大型船や貨物の取り扱い能力が限られる」と指摘。州の経済成長促進には深海港が欠かせないが、浚渫で深くするのではなく、沖合での海上埋立建設方式で水深を確保している神戸港をモデルにすると言明した。海岸から8キロ離れた水深15―20メートルの地点になるとみられる。州営の石油・ガス企業ペトロリアム・サラワク(ペトロス)のガスターミナルも併設される。

アバン州首相は19日には、計画中の新国際空港もタンジョン・エンバンの沿岸地域に建設すると表明。これまでは内陸部で予定していたが、インドネシア領域を通る飛行ルートになる可能性があったことから、計画を変更した。新深海港と新空港を合わせ、総額1,000億リンギの巨大プロジェクトになる。
(ボルネオポスト、ダヤクデイリー、1月22日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月19日)

ダイキンマレーシア、台湾で業務用大型空調機製造の合弁設立

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ダイキン工業の100%子会社、ダイキン・マレーシアは、台湾の販売代理店である和泰興業及び産業用空調機器メーカーである力菱機電事業と、台湾の空調市場向けにエアハンドリングユニット(AHU)を製造する合弁会社を設立し、事業を開始したと発表した。

合弁会社の社名は大金(台湾)応用空調系統股份で、資本金は8億円。出資比率はダイキンマレーシアが51%、和泰興業が34%、力菱が15%となっている。事業開始にあたり1月21日に台湾の彰化県にある製造工場で開所式典を開催した。ダイキン・マレーシアは、東南アジアとオセアニア地域の業務用大型空調機事業を統括している。

ダイキン工業の声明によると、力菱は1981年の創業以来、産業用空調機器メーカーとして冷凍機やAHUの開発製造・販売を行ってきた。特に半導体市場で豊富な納入実績を持ち、優れた競争力を持つ製品群と高度な要求仕様への対応力、要素部品を自前化するノウハウ、強固な保守サービス、サポート体制を持った台湾有数のメーカーだという。

西海岸高速道セクション2が開通、1カ月通行料無料に

【クアラルンプール】 西海岸高速道路(WCE)セクション2が1月22日深夜零時に開通した。南クランバレー高速道路(SKVE)及びシャアラム高速道路(KESAS)とのインターチェンジを結ぶ7.2キロメートルの区間で、開通を記念し、2月21日深夜零時までの1カ月間、同区間の通行料金は無料となる。

昨年8月に開通したセクション1区間と合わせ、セランゴール州のシャアラムからバンティンまでの移動時間は、従来の1時間から25分に短縮される。

21日に行われた開通式に出席したアレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、各地からポートクランに直接アクセスできるようになったことを強調。「物流部門の運営コストの削減、商品配送の円滑化により、マレーシアの競争力向上にも役立つ」と述べた。

WCEはバンティンとペラ州タイピンを結ぶ全長314.5キロメートルを11のセクションに分けて進められているが、今回の開通で残る区間は3区間計45キロメートルとなり、2026年内の完全開通を目指している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、ポールタン、1月21日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%で据え置き

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は22日に今年初の定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%で据え置くと決めた。BNMは2023年5月に0.25ポイント引き上げて3.00%とした後、1年半以上据え置いている。
BNMは声明の中で、現在のOPR水準の下で金融政策のスタンスは引き続き経済を下支えしており、インフレと成長見通しの現在の評価と一致していると指摘。物価安定の中で金融政策に対するスタンスが持続可能な経済成長につながるよう監視を続けるとしている。

世界経済については世界貿易の好調を反映して2024年は予想を上回る成長だったが、今年も好調な労働市場、インフレ緩和、金融緩和により成長が持続すると予想。世界貿易も継続的な技術景気回復に支えられ概ね維持されると予想されるが、貿易および投資規制の強化をめぐる不確実性の影響を受ける可能性があり、政策の不確実性の高まりは世界の金融市場のボラティリティの増大にもつながる可能性があるとした。

マレーシア経済については、昨年の全体的な成長率は予想内だったとした上で、堅調な国内支出に牽引されて2025年も勢いが持続すると見込まれると指摘。雇用と賃金の伸び、最低賃金と公務員給与引き上げが家計支出を下支えするとした。また投資活動も民間部門と公共部門の両方における複数年プロジェクトの進捗、承認済み投資案件の継続的な高い実現性、国家マスタープランに基づくイニシアチブの継続的な実施によって持続されるとし、投資に支えられた輸出も世界的な技術セクターの好転、非電気・電子製品の継続的な成長、観光客の支出増加によって支えられると予想した。

一方で成長見通しは、貿易および投資制限のリスクが高まる中、主要貿易相手国の経済減速、予想を下回る商品生産による下振れリスクにさらされていると指摘した。

祝祭シーズン中の高速道路無料化を廃止、新方式を導入へ

【クアラルンプール】 連邦政府は、これまで祝祭シーズン中に行ってきた高速道路の通行料金の無料化措置について、今年は実施しない方針だ。補助金合理化の一環で、よりターゲットを絞った方法に変更する方針という。29日からの旧正月連休も無料化されない見通し。

政府はこれまで、旧正月、ハリラヤ(断食月明け大祭)、ディパバリ、クリスマスの期間中、有料道路の通行料を無料化し、有料道路運営業者に補助金を提供してきた。アレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、通行料の無料化は富裕層や外国人にも恩恵をもたらすため、低所得のマレーシア国民などに限定した方法を検討中で、近く発表すると言明した。

2023年のハリラヤ期間中は、33の主要高速道路の無料化により9,300万リンギ、直近では昨年12月23、24日の両日で3,800万リンギの公的負担が生じたという。専門家らからも、無料化は渋滞も招くため、公的負担分を公共交通機関ネットワークの改善などにあてるべきという声が上がっているとしている。
(ザ・スター、マレー・メイル、ベルナマ通信、1月21日)

マレーシア人訪日者数、12月は7万超、通年では過去最高


【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年12月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は7万1,600人となり、前年同月比で17.8%増となった。通年でも前年比21.9%増の50万6,800人を記録し、過去最高だった2019年の50万1,562人を上回る結果となった。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行の人気の高まり、機材繰りなどに伴う一部航空会社の運航規模縮小などあるものの、リンギ高騰などの影響で、7万人超に達したとみられる。

また、世界全体の12月の訪日者数は348万9,800人で、1964年の統計開始以来、単月として初めて340万人を突破した。通年では3,686万9,900人で、これまでの過去最高だった2019年の3,188万2,049人を500万人近く上回った。マレーシアを含めた東南アジアからの観光客の伸びが大きく寄与した。2025年は大阪・関西万博が開催されることもあり、市場動向を分析しながらさらに戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくという。

無印良品、東マレーシア初店舗をクチンで開業

【クアラルンプール】 総合生活用品の「無印良品」は17日、サラワク州クチンの商業施設「ザ・スプリングショッピングモール」に新店舗を開業した。東マレーシア初進出となり、今後店舗展開を加速させていく方針だ。

新店舗の広さは2万平方フィート。これまでオンラインで購入していた東マレーシアの顧客から、出店を望む声が多く寄せられていたという。

Mujiマレーシアの早川正樹代表は「パンデミック以降、マレーシアでの事業拡大に力を入れてきた当社にとって、東マレーシアは長い間滞在的な市場であった」とし、3月にサバ州コタキナバルで、5月にはクチン2店目の開業も予定されている。
(ボルネオポスト、1月17日)

欧州連合との自由貿易協定交渉再開、EC委員長と合意

【クアラルンプール】 マレーシアと欧州連合(EU)は2012年にとん挫した、自由貿易協定(FTA)交渉を再開する。EU本部があるブリュッセルを19、20の両日訪問したアンワル・イブラヒム首相がウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会(EC)委員長と会談し合意した。

マレーシア首相府は20日の声明で「マレーシアとEUとのFTAはマレーシアの多くの産業部門に利益をもたらすとともに、重要分野における世界サプライチェーンの強化にもなる」とした。包括的協定を目指すという。

またマレーシアからEUへの電気・電子製品、パーム油・同関連品などの輸出が増加し、EUからマレーシアのグリーンエネルギー、先端製造業への投資が期待できるとした。

EUはマレーシアにとり4番目の貿易相手国・地域で、23年の貿易額は約2,000億リンギ。

交渉再開についてテンク・ザフルル投資貿易産業相とマロシュ・シェフチョビッチ欧州グリーンディール担当副委員長は共同声明を出し、「地政学の状況が変わりつつある現在、新たな提携を構築し、協力を深め、新たな機会を探ることは極めて重要だ」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月21日、ビジネス・トゥデー、1月20日)

 

セブン銀行、マレーシアのセブンイレブン店舗にATM設置

【クアラルンプール】 セブン・イレブン・グループのセブン銀行は、マレーシアのセブン・イレブン店舗へのキャッシュ・リサイクリング・マシン(CRM)設置を開始した。

年内にクアラルンプール、セランゴール州、ジョホール州、ペナン州の店舗に100台設置する。CRMにはATM(現金自動預け払い機)機能と小切手預入機能が備わっている。セブン銀行の松橋正明社長は、26年にはサバ州、サラワク州、および郊外を中心に全国規模でCRMを設置すると述べた。

マレーシアへの進出は、米国、インドネシア、フィリピンに続き4カ国目。マレーシアには現在、セブン・イレブン店舗が2,600店ある。

決済ネットのペイネットが22年に行った調査によると、国民の78%が依然、現金での支払いを好んでいる。調査会社イプソスによる24年調査でも、国民の45%は支払いに現金のみ利用している。

セブン銀行の永嶋恒雄常務執行役員は「マレーシアはデジタル化が進展しているが、現金が依然、支払いの重要部分を占めている。特に都市部以外でそれが顕著だ」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、1月21日、エッジ、1月20日)