AI推進のための機構「AIマレーシア」発足、技術革新を推進

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)ビジネス諮問委員会(BAC)マレーシア支部の主導になる人工知能(AI)推進のための機構「AIマレーシア(AIM)」が5月30日、発足した。技術革新を推進し、デジタル領域におけるマレーシアの競争力を強化する。

マレーシアはAI戦略の段階から、広範な導入の段階に至ったとの判断に基づくもので、ナジル・ラザクASEAN-BACマレーシア議長は「AIは域内成長の次の段階で決定的な力となる。責任あるAI採用でマレーシアは域内協力を推進する」と述べた。

AIMでは重要な経済分野における技術革新の加速、生産性・競争力向上のための官民協力、AIビジネス・エコシステムの構築を図り、経済成長に貢献する。AI経済特区の創設も計画している。発足式でゴビンド・シン・デオ・デジタル相は「AIMは官民学連携強化の場であり、未来に向けた能力を構築する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、5月31日、ASEAN-BAC、セランゴール・ジャーナル、5月30日)

住友電設、設備工事会社2社の買収手続きが完了

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 住友電設(本社・大阪市西区)は5月30日、機械設備の設計・施工を手掛けるマレーシアのDY MNG及びDY MNGエンジニアリングの2社の全株式取得手続きがこのほど完了し、完全子会社化したと発表した。

住友電設は2社の設備工事会社の株式取得に向け株式譲渡契約を締結していたが、5月30日付で両社の株式の取得手続きが完了した。2社は共にペナン州に所在しており、資本金はそれぞれ200万リンギ、100万リンギとなっている。買収額については明らかにされていない。

住友電設グループでは、マレーシア現地法人のテマコン・エンジニアリングがクアラルンプールを中心に主に電気設備の設計・施工を行っており、主に機械設備の設計・施工を行っている2社の子会社化により、両社の強みを生かしたシナジー効果を創出し、グループとして電気・機械設備工事の一括受注を拡大するなど、マレーシアにおける事業拡大を目指していくとしている。

エアアジアマレーシア、台北経由福岡―コタキナバル線を8月開設

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジア・マレーシアは8月15日、福岡―台北―コタキナバル線を新規開設する。エアアジア・グループではエアアジアXが日本に就航しているが、エアアジア・マレーシアとしては初の日本乗り入れ路線となり、福岡が79番目の就航都市となる。

新規路線は、ある国を経由して第三国へ運航できる「以遠権」を活用したもので、既存のコタキナバル―台北線を延伸し、3都市間を1日1往復で運航する。福岡とコタキナバルが約7時間の所要時間で結ばれることになる。機材はエアバスA320neo型機(総座席数は186席)を使用予定。6月8日まで、就航記念運賃での予約が提供されている。

スケジュールは、コタキナバル行きAK1511便が福岡17時発で台北18時30分着(金曜のみ5分遅れ)、台北19時15分発(同)でコタキナバル着22時50分となる。福岡行きのAK1510便はコタキナバル7時40分発で台北10時55分着、台北11時55分発で福岡15時15分着になる。

またバティックエアは、週5便で運航してきたクアラルンプール―台北―那覇線を、6月3日から週6便(月火水金土日)に拡大。一方で、名古屋(中部)―高雄―クアラルンプール線を13日から運休する。
(トライシー、6月2日、エアアジア・マレーシア発表資料)

ザフルル氏がUMNOからPKRに鞍替えへ、閣僚職は当面留任

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 テンク・ザフルル・アブドル・アジズ投資貿易産業相(上院議員)が、アンワル・イブラヒム政権と共闘する統一マレー国民組織(UMNO)を離党し、アンワル首相が党首を務める人民正義党(PKR)に入党する意向を表明した。

これを受けてアンワル首相は当面、ザフルル氏を留任させる考えを示しているが、UMNO内からは共闘相手への鞍替えに対する反発の声が上がっている。アハマド・ザヒド党首は「共闘先への移籍は非倫理的」と批判。UMNO党内ではこれまで通り7つの閣僚ポストを要求する意見が強まっており、アンワル政権を支える両党間の関係悪化の懸念が出ている。

ザフルル氏は銀行家出身で、1997年にUMNOに入党。2020年3月にムヒディン・ヤシン政権で民間から財務相に起用され、これに伴い最初の上院議員の指名を受け、上院議員の身分のまま2021年8月発足のイスマイル・サブリ・ヤアコブ政権でも財務相を務めた。2022年10月の国会解散を受けて辞職。その後の総選挙を受けて12月に発足したアンワル政権では再び上院議員として通産相に起用され、省庁改変で2023年4月から投資貿易産業相に就任していた。

ザフルル氏は5月30日、UMNO指導部に正式に辞表を提出し、PKRの指導部に入党の意向を伝えたことを公表。閣僚職については去就をアンワル首相に委ねると述べていた。アンワル首相はこれを認める意向を示している。

マレーシアの内閣閣僚は上下両院いずれかの議員(上院は指名制)である必要がある。ザフルル氏の上院議員としての2期目は今年12月に終了するが、上院議員は1期(3年)で最大2期までとなっており、補欠選挙などを通じて下院議員にならない限り12月で退任することになる。