【クアラルンプール】 世界銀行は「世界経済見通し」報告書を発表し、2025年のマレーシアの国内総生産(GDP)成長率予測について、1月の予測から0.6ポイント下方修正し3.9%とした。

下方修正の理由は貿易障壁の上昇による予測不可能なマクロ経済への影響で、世銀は社会支出プログラムや公共投資といった財政支援が行われているにもかかわらず、これが成長を圧迫する可能性があると指摘している。また、マレーシアにおける緩やかな財政再建が継続するとの見通しも示されている。

同報告書によると、輸出志向型の製造業が大きな国の一つであるマレーシアは、貿易摩擦の再燃、貿易コストの上昇、主要国の成長鈍化といった大きなリスクにさらされている。製造業購買担当者景気指数(PMI)や財貿易指標など、製造業活動の指標は最近悪化している。

マレーシアなど、貿易依存度の高い新興市場・発展途上国(EMDE)の一部では、世界的な貿易政策の不確実性が高まる中、製造業PMIの新規輸出受注指標が11月以降大幅に低下しているという。

マレーシア以外にも、東アジア・太平洋(EAP)諸国の成長率予測が大きく下方修正されており、フィリピンとベトナムの成長率予想はそれぞれ0.8ポイント下方修正され、5.3%、5.8%となった。またタイの成長率予想は1.1ポイント下方修正され1.8%に、ミャンマーは4.5ポイント下方修正されマイナス2.5%としている。
(ザ・スター電子版、セランゴール・ジャーナル、ベルナマ通信、6月11日)