DHLが5カ年工程表、”マレーシアは世界ネットワークに不可欠”

【クアラルンプール】 国際輸送・物流サービスのDHLは9日、この先5年間の事業工程表「2030年戦略」を公表。マレーシアはDHLの世界ネットワークに不可欠の構成部分で、貿易の流れや供給網の多様化の恩恵を受けられる戦略的位置にあるとマレーシアの重要性を強調した。

DHLは、電子商取引処理、国際貨物急送など主要部門のうち4部門の本拠をマレーシアに置いており、データセンター、シェアードサービス(間接部門の業務集約)ハブを利用し、後方支援業務も行っている。

同戦略でDHLは、マレーシアには競争力とビジネスの潜在性があるため、業務能力、サービスをさらに強化すると表明した。

米政権が発表したマレーシアに対する一律25%の関税について、ジュリアン・ネオ代表(マレーシア・ブルネイ地区)は「関税の影響は我々が考えるほど深刻ではない。アンワル首相は新たな市場開拓を進めており、マレーシア企業も追随すべきだ。東南アジアは人口6億8,000万人の巨大市場だ」と述べ、中小企業に進出を促した。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、7月9日)

家電のKHIND、月額サブスク「RTO」の対象商品を拡充

【クアラルンプール】 マレーシアの家電メーカーKHINDは8日、毎月定額制のサブスクリプション・プログラム「レンタル・トゥ・オウン(RTO)」の対象商品を、これまでの洗濯機から、冷蔵庫やアイロンなどに拡大すると発表した。

同社のRTOは、消費者が毎月定額料金で一定期間レンタルし、期間終了後にそのまま所有できるのが特徴。購入するよりやや割高になるものの、分割払いに比べ頭金・金利不要で、手軽に所有でき、アフターサービスなども充実している。例えば、購入すると3,500リンギの洗濯機を、RTOでは月額125リンギで36カ月間払い込み、別途、手数料として1リンギのみ必要になる。

今回新たに対象になった最新のマルチドア冷蔵庫は月額95リンギ、スチーム式アイロンは70リンギからとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月9日、KHIND発表資料)

米国の25%関税、対米輸出の5割を占めるペナン州が懸念

【ジョージタウン】 米国がマレーシアからの輸入品に25%の関税を課すと発表したことで、マレーシアの対米輸出の半分以上を担うペナン州で懸念が高まっている。

チョウ・コンヨウ州首相は、今年年初5カ月でマレーシアの対米輸出総額の55%に相当する520億リンギをペナンが占めたと言明。これらの輸出の大部分はペナンで事業を展開する米国の多国籍企業によるもので、主に完成品や部品を親会社に輸出していると述べた。

ペナンの対米輸出の77%は電気機械・機器で、特に半導体産業が大きな割合を占めている。半導体は現在関税の対象外となっているものの、25%の関税賦課は依然として経済リスクをもたらすと懸念される。輸出志向の強いペナン州経済に影響を及ぼすと予想されるという。また東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の貿易のダイナミクスを歪め、地域全体の将来の投資決定に影響を与える可能性があるという。

その上でチョウ氏は、「マレーシア政府は米国と継続的に協議を行い、関税率の引き下げ交渉を進めることが急務」と指摘。マレーシアの貿易競争力を維持するためには、非関税政策や貿易障壁への対処にも注力する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月8日)

関税措置はマレーシア経済に悪影響、外相会議でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は9日、ASEAN(東南アジア諸国連合)外相会合の開幕式に出席後の会見で、米政権が発表したマレーシアに対する関税について「交渉団を米国に派遣し、貿易国であるマレーシアは関税でマイナスの影響を受けると説明した。米国との関係は維持しなければならないが、貿易国としてのマレーシアの立場も守る。このため関税率の再考を要請する」と述べた。

米国のルビオ国務長官がASEAN関連会議でマレーシアに来訪するため、10日に会談を持つという。

外相会議開幕式でアンワル氏は「大国が常に貿易を形作ってきたが、今や貿易を規定する力をますます強めている」と述べた。

米国はハラル(イスラムの戒律に則った)とブミプトラ(マレー人と先住民の総称)をかねてから問題にしており、マレーシアのハラル基準は国際基準と比べ厳しすぎると主張している。マレーシアは米国からの牛肉と鶏肉の輸入を禁止している。

外資系企業に対し、ブミプトラによる株式保有(30%)を義務付けた規定も米国は障壁とみなしている。
(ベルナマ通信、アルジャジーラ、フリー・マレーシア・トゥデー、7月9日)