第600回 イスラム銀行強度ランキングを分析

Q: イスラム銀行上位100行にマレーシアは何行ランクインしていますか?

A: ある国のある市場の成熟度を測る際には、市場規模のみならず参入している事業者数も重要な指標となる。例え市場規模が大きくとも、独占や寡占の状態では、市場の健全な発展を阻害する要因となりうる。多くの企業による競争状態から、底堅い発展やイノベーションが生まれると期待できる。この点について、マレーシアのイスラム銀行市場をみてみたい。

シンガポールの金融情報リサーチ会社であるTABインサイツ社は、昨年末に「世界のイスラム銀行の強度トップ100行」を発表した。これは、イスラム銀行の総資産や融資残高、預金残高、売上高、ROAなど14項目について独自の点数化を行い、ランキング形式でまとめたものである。これによると、マレーシアは13位のメイバンク・イスラミックを筆頭に16行がランクインした。ひとつの国で16行がランクインしたのは、マレーシアが最多であり、2位のインドネシアの11行を引き離した。イスラム金融大国で国内に多くのイスラム銀行が存在する国をみてみると、パキスタンとバングラデシュがそれぞれ9行、トルコとUAEがそれぞれ6行、サウジアラビアは4行にとどまった。市場の独占や寡占は、市場の草創期の育成段階では必要な措置とみることもできるが、やはり底堅い健全な発展には企業間の競争が必要だろう。

マレーシアの16行の内訳をみると、いわゆる8大民間金融グループそれぞれのイスラム銀行、専業銀行であるバンク・イスラム、バンク・ムアーマラート、MBSB銀行、外資系のうちサウジ資本のアル・ラジヒ銀行、イギリス資本のHSBCとスタンダード・チャータード銀行、シンガポール資本のOCBC銀行、および政府系の協同組合銀行(バンク・ラクヤット)である。国内資本のイスラム銀行が軒並みランクインする一方、一部の外資系はランク外となった。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。