データセンター関連投資、3月時点で総額760億リンギ

【イスカンダル・プテリ】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、マレーシアのデータセンター(DC)関連投資は2021年から2023年3月に飛躍的に増加し、総額は760億リンギに達したと明らかにした。

ジョホール州ヌサジャヤ・テックパークで、中国GDS(万国数据)のDC立ち上げ式に臨席したザフルル大臣は、DC投資誘致に成功している要因として、積極的な投資促進策やコスト効率、広大な土地、22の海底ケーブル網と陸揚げ局14カ所を通じ、アジアや世界各地とシームレスに接続していることなどがあるとし、投資の増加は、「マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)地域およびアジアのDC拠点にする」という政府目標にも沿っていると述べた。

ザフルル大臣はまた、デジタル経済は2021年のマレーシア国内総生産(GDP)の23.2%、3,480億リンギを占めていたが、2025年には25.5%、3,820億リンギに達する見込みで、DC市場シェアも、2021ー2026年に20億8,000万米ドル(95億1,000万リンギ)増加し、年平均成長率が約16%になることが予想されていると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、8月11日、エッジ、ベルナマ通信、8月10日)

TNB、DC設立を支援する「グリーンレーンパスウェイ」を発表

【クアラルンプール】 電力会社の政府系テナガ・ナショナル(TNB)は9日、データセンター(DC)事業者に効率的で環境に配慮したソリューションを提供する「グリーン・レーン・パスウェイ」を発表した。

DCの設立促進を目指し、電力供給の迅速化を行う。従来は新規DCへの電力供給には36ー48カ月の準備期間が必要だったが、12カ月まで短縮する。また、データセンター投資家向けのワンストップセンター(OSC)や専用サポートサービス、24時間体制のメンテナンス支援や、各DCの要件に合わせたソリューションも提供する。

TNBのバハリン・ディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、グリーンテクノロジーを専門とする完全子会社から顧客のニーズに合わせたスマートエネルギー・ソリューションを提供するとし、ネットゼロ・エミッション(二酸化炭素排出実質ゼロ)達成を目指すことで、2050年までに脱石炭を目指す国の取り組みを支援していくと述べた。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、マレーシアは、戦略的立地と魅力的な投資環境により、グローバルDC分野で高い評価を得ているとし、市場シェアは2021ー2026年に20.8億米ドル増加し、年平均成長率は15.72%と予想されているとコメント。TNBの「グリーン・レーン・パスウェイ」は、この成長に貢献するとともに、中小企業に成長機会を提供し、高賃金の雇用機会をもたらす質の高いハイテク投資を誘致するという、「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」の目標達成も支援するものだと述べた。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月10日、マレー・メイル、ベルナマ通信、8月9日)

自動車部品のEPMB、グラブ運転手8万人の電動バイク移行を支援

【クアラルンプール】 自動車部品メーカーのEPマニュファクチャリング(EPMB)は、配車サービス「グラブ」の運転手8万人の電動バイク移行を支援すると発表した。

EPMBは子会社EPブルーシャークを通じ、グラブを運営するグラブ・カー社および中国の鲨湾科技(上海)(シャークガルフ・テクノロジー)のマレーシア現地法人ブルーシャーク・エコシステムとの間で、提携契約を締結。「R1パイロット・プログラム」として、グラブ運転手にブルーシャークの電動スクーター「R1」50台を無償で提供する。「R1」を体験してもらいそのデータを収集するとともに、燃料などのコスト削減も促進する。また、「EVプログラム」として、ブルーシャークの電動バイクをグラブ運転手に特別価格で提供する。バッテリーについても、最初の6カ月間は1カ月あたり1組79リンギ、その後は1カ月あたり1組110リンギの割引価格を適用し、バッテリー交換施設での交換サービスも3カ月間無制限で提供する

EPMBのアフマド・ラズラン・モハメド最高経営責任者(CEO)は、今回の提携は、同社がブルーシャークと共通で掲げている目標「真に利用しやすいモビリティ・ソリューションでマレーシア人に力を与える」に沿ったもので、ギグ・エコノミーで最も注目されているグラブの運転手にブルーシャークの電動バイクを提供する機会が得られると述べた。
(ザ・スター、8月9日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月8日)

サンウェイの不動産部門、セランゴール州ラワンで工業団地開発へ

【クアラルンプール】 サンウェイの不動産部門サンウェイ・プロパティーは2日、完全子会社サンウェイ・ラワン・シティ(SRCSB)を通じ、カウサー・エクイティーズからセランゴール州ラワンのクアンにある245エーカーの区画を1億1,500万リンギで取得する売買契約を締結した。工業団地の開発を目指す。

サンウェイの完全子会社サンウェイ・シティとアマル・リソーシズが土地取得・開発を担当する。両社はSRCSBを合弁会社(JV)とする契約を同日締結している。

工業団地は、工場、倉庫、商業施設で構成され、最先端インフラや堅牢なインターネット接続、持続可能な機能を統合したエコシステムの確立を目指す。推定総開発価値(GDV)は20億リンギ以上。クアラルンプール(KL)ークアラ・セランゴール高速道路(LATAR)に隣接し、KL中心部から車で35分、クアラルンプール国際空港やクラン港からも1時間以内の距離にあり、既存のクアン工業地区やラワン工業団地を補完できるという。

サンウェイ・プロパティのサレナ・チア社長は、今回の土地買収は、テクノロジー、持続可能性、イノベーションを統合し、未来志向の工業団地を開発することを目的としているとし、「デジタル時代における企業の進化するニーズに対応しながら産業部門におけるイノベーション、テクノロジー、持続可能な開発を推進する」という自社の取り組みにも沿っていると述べた。工業団地の開発により、イノベーション、経済成長、雇用創出、投資誘致に貢献したいとしている。
(ザ・サン、ザ・スター、8月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、8月3日)

 

独インフィニオン、パワー半導体増産に向けクリム工場を再拡張

【クアラルンプール】 半導体大手の独インフィニオン・テクノロジーズは3日、パワー半導体製造能力増強に向け、ケダ州クリムで操業している同社工場を大幅に拡張し、世界最大規模の直径200mm炭化ケイ素 (SiC)ウエハー(基板)生産施設を増設すると発表した。

同社は2022年2月に20億ユーロ(95億リンギ)を投じ、クリム工場の第3モジュールを増設すると発表していた。第3モジュール第2期として、今後5年間に最大50億ユーロ(249億リンギ)を追加投資する。

200mmSiCへの転換により、オーストリアのフィラッハ工場と合わせ、10年以内に年間約70億ユーロの売上を見込んでいる。インフィ二オンが掲げる、「10年以内にSiC市場シェア30%を獲得」という目標にも貢献できるという。

インフィニオンのヨッヘン・ハネベック最高経営責任者(CEO)は、SiCウエハーは、自動車だけでなく、太陽光発電、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)急速充電器などにも幅広く用いられており、クリム工場の拡張により、市場のリーダーとしての地位を確立できると述べた。

アンワル・イブラヒム首相は声明で、インフィニオンをはじめとするドイツ老舗企業のマレーシアへの継続的な投資は、包括性と持続可能性を前提とした、新経済成長計画に対する信頼の証であると述べた。

インフィ二オンの今年第3四半期の売上高は、前年同期比13%増の40億9,000万ユーロ(44億7,000万ドル)。今年通年での投資額は、約30億ユーロ(149億リンギ)を見込んでいる。
(ザ・スター、8月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、ベルナマ通信、8月3日、インフィニオン発表資料)

ニシンとフードパンダ、食品配送での電動バイク利用を促進

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループの完全子会社ニ・シンEVテック(NH EVテック)は2日、食品配送サービスのフードパンダを運営するデリバリー・ヒーロー・マレーシア(フードパンダ・マレーシア)との間で、1日付けで業務提携契約を締結したと発表した。

NH EVテックが国内販売を担当する、中国東莞市台鈴車業(TAILG)製電動二輪車(EVバイク)「イーバイソン」の利用を促進する。NH EVテックはフードパンダに「イーバイソン・ボールド」を無償で2台提供し、フードパンダの配送ドライバー数万人に対し、EVバイク購入時の割引を提供する。

NH EVテックのクー・チーコン社長は、業務提携は両社にとり、環境・社会・企業統治(ESG)推進を後押しするもので、気候変動対策では、志を同じくする企業やコングロマリットと協力するのが早道だとコメント。政府も、ICE(内燃機関)バイクからEVバイクへの移行を支援しており、税制優遇措置や充電インフラの設置も進んでいるとした。

フードパンダ・マレーシアのサヤンタン・ダス最高経営責任者(CEO)は、食品配送サービスをより持続可能で環境に優しいものにしたいとし、今回の提携により、ドライバーにEVバイク利用のインセンティブを提供でき、政府目標の「2040年までに150万台のEV導入」やICE車からの脱却にも貢献できると述べた。フードパンダでは、持続可能性への取り組みとして、配達にバイクを必要としない徒歩配送プログラムも導入している。
(エッジ、8月2日)

スーパーのマイディン、全国15店舗にソーラーパネル設置へ

【ペタリンジャヤ】 スーパーマーケット「マイディン」を運営するマイディン・モハメド・ホールディングスは、全国15店舗へのソーラー・パネル設置を検討していると明らかにした。電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の太陽光発電部門GSPARXの協力を受け、2025年までに設置を完了する予定。

環境への配慮および社会的責任や環境・社会・企業統治(ESG)の推進を目的とした同社の「マイディン・プリハティン・#フォー・フューチャー」プログラムの一環。

1日に開催された、同プログラムの立ち上げ式典に臨席したニック・ナズミ環境天然資源気候変動相は、マイディンの取り組みを称賛。持続可能な未来の実現に向けた重要な一歩であるとし、より良い未来と市場競争力を両立させるマイディンのESGを重視した取り組みが、他組織の模範になることを願っていると述べた。

マイディンのアミール・アリ・マイディン社長は、ソーラーパネル設置は「2030年までにエネルギー消費量と炭素排出量を15%削減する」という同社の目標達成に貢献するとし、マイディンではプラスチック使用量を減らすことで「2030年までに廃棄物量50%削減」も目指していると述べた。
(ザ・スター、8月2日)

サイパーク、再生エネ事業でセランゴールFCと提携

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)のサイパーク・リソーシズは、プロサッカークラブであるセランゴールFCの投資部門、RGFCベンチャーズと合弁で特別目的会社を設立すると発表した。合弁会社の資本金や設立日時、会社名などは明らかにされていない。

サイパークがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、合弁会社にはサイパークが80%、RGFCが20%出資する。サイパークはRGFCと、先に発表された「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」に沿って、セランゴール州内でのRE発電所の開発、ネットメータリング(NEM、太陽光発電と消費電力を相殺する仕組み)を通じた太陽光エネルギー住宅事業などの事業機会を探るための事業探求覚書(MOBE)を締結した。

両社はまた、セランゴール州内の環境・社会・企業統治(ESG)関連のエンジニアリング調達・建設の機会を模索し、太陽光発電所、廃棄物発電所、住宅用RE設備などのプロジェクトの実施を共同で行う意向だ。
RGFCにとっては、セランゴールFCがサッカー以外の収入を得ることで財政の持続可能化を図るメリットがある。
(ザ・スター、8月2日、エッジ、8月1日、サイパーク発表資料)

独ボッシュ、ペナンに半導体のテストセンターを開所

 【ペナン=マレーシアBIZナビ】 独系ロバート・ボッシュは、半導体とセンサーのテストを行うバックエンドサイトをペナン州バトゥ・カワン工業団地に開設した。投資額は6,500万ユーロ(3億2,320万リンギ)。さらに今後10年半をかけて段階的に2億8,500万ユーロ(14億リンギ)を追加投資する計画だ。
テストセンターの床面積は1.8万平方フィートで、主に半導体の最終テストを実施する。同社は現在、半導体の最終テストを、ドイツのロイトリンゲン、中国の蘇州、ハンガリーで行っており、同センターはボッシュにとり東南アジアで最初のテスト施設となる。2030年代半ばまでに最大で400人分の雇用創出が見込まれている。

ボッシュは、ペナンにはサプライヤーや半導体企業があり、半導体のエコシステムがあること、半導体に関する高レベルの知識を持った熟練労働者がいること、ビジネスパートナーや顧客との距離が近く配送時間を短縮できることなどから投資先にペナンを選んだ。

 1日に開催された開所式に参加したペナン州のチョウ・コンヨウ首相によると、ボッシュはこれまでにペナンで、自動車エレクトロニクス、電動工具、自動車のステアリングの生産施設を開設しており、今回開所したテストセンターは、4カ所目の施設となった。

マクドナルドマレーシア、100店舗に太陽光発電設備を設置へ

【クアラルンプール】 マクドナルド・マレーシアは、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の太陽光発電部門であるGSPARXと提携し、2024年12月までに100店舗に屋根置き太陽光発電(PV)設備を設置する計画だ。

同社は28日、GSPARXとの間で再生可能エネルギー(SARE)供給契約を締結した。GSPARXは発電容量2.5メガワット時(MWh)のPVシステムを管理する。これにより、マクドナルドは電気料金をおよそ700万リンギ節約できるようになるという。店舗へのPV設備の設置は、今年6月からスタートしており、39カ所の店舗に設置した。設置費用は300万から400万リンギ。

マクドナルドは2017年に、炭素排出量を削減するため5カ年計画を開始。PV設備以外にも太陽熱温水器、発光ダイオード(LED)街路灯などの設置を実施している。そのほかには廃棄物管理システムも導入しており、使用済みの食用油をバイオディーゼル燃料に精製し、配送トラックの燃料として利用しているという。

今後の取り組みとしてマクドナルドは、電気自動車(EV)充電ステーションの開発を計画しており、GSPARXと協力して2024年12月までに導入する計画だ。
(マレーシアン・リザーブ、7月28日)