セブンイレブン、常温倉庫を年内に全面稼働

【クアラルンプール】 セブン・イレブン・マレーシア・ホールディングスは、サプライチェーンのインフラ強化に向け、同社初となる自社常温倉庫を年内に全面稼動する計画だ。

同社がブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、倉庫面積は30万平方フィート。在庫保管モデルに基づき出荷作業を自動化することで、納期短縮、棚可用性やピッキング精度の向上などを図り、国内2,000店舗への流通効率化を目指す。

同社の2023年第3四半期(7ー9月)の売上高は、前年同期から7.1%増の7億531万リンギ。純利益も5.3%増の1,438万リンギとなった。祝祭シーズンに支えられコンビニ部門が好調で、店舗当たりの客数や平均売上高が増加した。一方、年初9カ月間の売上高は前年同期比14.4%増の20億8,928万リンギ、純利益は同13.1%減の5,543万リンギにとどまった。

セブン・イレブンは今後について、世界的なサプライチェーンの混乱、労働力不足、最低賃金引き上げ、金利上昇、インフレを背景としたコスト圧力などの下振れリスクについて引き続き注視していくと述べた。コンビニ部門では、淹れたてのコーヒーやホットスナックを提供する「7カフェ」の展開に引き続き注力する。セントラルキッチンを年内にフル稼働させ、首都圏1,000店舗に食品を提供していく。7月に発表した、傘下企業ケアリング・ファーマシー・グループの売却については、売却で得られる現金収入をコンビニ部門の戦略的取り組みに再投資するとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月24日、セブン・イレブン発表資料)

サステナブルフードアジア、フードテック企業イベントを開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東南アジアのフードテック企業と日本企業を繋ぎ、サステナブルな食材の研究開発を支援するサステナブル・フード・アジア(本社・東京都渋谷区)は22日、アジアのフードテック産業の推進を促し、食品業界の地球課題解決にビジネスで挑む、第2回「サステナブル・フード・キャンプ(SFC)2024」を2024年2月28・29日に開催すると発表した。

マレーシア・サイバージャヤに位置するスタートアップのインキュベーション施設「レカスケープ」に約100社200人が集結し、ミッション「サステナブルフードの創造と拡大」に繋がる新プロジェクトの創出を目指す。

「SFC」では、アジアフードテック産業と日本企業の連携を奨励し、パネルディスカッション、食に関するキーテーマを複数設けたラウンドテーブル、参加企業が研究・開発する食材や料理の試食会等、通常のカンファレンススタイルとは異なる多彩なプログラムを行い、最終的には目指す未来を実現するための事業構想ディスカッション・ピッチを実施する。なお、2023年2月に開催した第1回SFCである「SFC2023」からは、複数の食にまつわる共創に向けた取り組みがスタートしている。

イベント前日の2月27日には、2022年末にオープンしたマレーシア味の素社の見学を含むファクトリー・マーケットツアーも計画されている。現在、「SFC2024」への参加企業を募集しており、最新情報は特設サイトやSNSを通じて随時発信していく。

第一三共が反論、IHHからの損害賠償訴訟受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 第一三共(本社・東京都中央区)は22日、マレーシアの病院経営大手、IHHヘルスケアから起こされている損害賠償訴訟に言及し、問題となっているIHH子会社によるインド医療会社の買収に際して、第一三共側が違法な妨害を行った事実はないと主張。裁判で正当性を主張していく考えを示した。

IHH子会社のノーザンTKベンチャーズ(NTK)は、2018年にインドの医療会社フォルティス・ヘルスケアを買収するため株式の公開買い付けを行おうとしたが、第一三共が不当に妨害したと主張。200億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。

第一三共は声明の中で、NTKによるフォルティスの公開買付停止は、2016年4月29日付のランバクシー元株主に対する仲裁判断に基づき、適正な手続にしたがってインド最高裁判所の指示でなされたものだと主張。13日付けで訴状を受け取っているが、NTK側はインド最高裁判所やインド市場規制当局に対しても、公開買付を認めるよう申し立てを行っているが認められていないと指摘し、NTK側の主張には根拠がないとした。

関連記事:三井出資のIHHヘルスヘア、第一三共を相手取り損害賠償訴訟

KDDI、コメ栽培の脱炭素化でNCIAやアグロクラウドを支援

【クアラルンプール】 KDDI(本社・東京都千代田区)は、マレーシア現地法人KDDIマレーシアを通じ、マレーシアにおけるコメ栽培の脱炭素化を支援すると発表した。

具体的には、アグリテック(革新的農業技術)企業のアグロクラウドおよび北部回廊経済圏(NCER)の推進母体であるマレーシア北部回廊実行庁(NCIA)と協力し、新たなコメ栽培手法を取り入れることで、水田からのメタン放出量削減を目指す。

アグロクラウドはクラウドサービスのキーアライアンスグループの子会社で、2017年に設立。IoT(モノのインターネット)、衛星、ドローンなどを統合した作物別意思決定支援システム(DSS)を開発している。

KDDIマレーシアは、本プロジェクトでアドバイザーの役割を担い、マレーシアおよび地域全体でプロジェクトを拡大するために必要なソフトウェア開発に対し、技術知識を提供する。プロジェクト期間は1年半の予定。

KDDIマレーシアの松浦真樹社長は、マレーシアの低炭素経済への移行を支援しているとし、本プロジェクトでは、農作業で排出される温室効果ガスを削減する技術の開発・実施を目指すと述べた。具体的には、代替湿潤乾燥技術や直接播種米の採用、バイオ炭の使用、メタン集約度の低い新品種の導入などだとしている。

アグロクラウドのヴィシュヌ・ナイール社長は、脱炭素化は国の持続可能な開発目標の達成に向けた重要なステップであるとし、本プロジェクトは、温室効果ガスの排出を削減するだけでなく、炭素クレジットの販売により、コメ農家に新たな収入の道を開くことになると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月22日)

豆腐の染野屋、 KLに日本式豆腐店「大江戸豆富」を開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 豆腐小売老舗の染野屋(本店・茨城県取手市)は20日、同社の海外第2号店としてクアラルンプール(KL)に日本式の豆腐工場を開設。今月より試運転・テスト販売を開始したと発表した。

昨年始動したスペイン・バルセロナ店に続くもので、ブランド名は「大江戸豆富」。染野屋とマレーシア在住の実業家恵島良太郎氏との合弁会社(JV)であるスリー・ビジン・シスターズにより運営される。恵島氏はKL在住12年で、飲食店やアプリ開発などの事業運営を手掛けている。

スリー・ビジン・シスターズ代表である恵島真理子氏は、プレ販売では日本人だけでなくマレーシア人からの反応もよく、本物の豆腐に対する需要があることが確認できたと言明。今後は、豆腐・豆乳を使用したスイーツやフードを提供するカフェを作り、さらなる市場拡大を目指す意向で、将来的には健康美容に良い豆腐から派生した、化粧品やサプリなどの製造販売まで事業を展開していきたいと述べた。

日系3社、ペトロナスとCCS事業化の基本契約を締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 石油資源開発(JAPEX、本社・東京都千代田区)、日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)、川崎汽船(本社・東京都千代田区)の3社は20日、マレーシアにおける二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)の事業化実現に向けた検討の実施で国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)子会社のペトロナスCCSベンチャーズ(PCCSV)と合意し、9月22日、基本契約を締結したと発表した。

マレーシアCCSの事業化は2022年1月にペトロナスとJAPEXにより開始され、同年7月の日揮子会社である日揮グローバルと川崎汽船の参加後は4社で進めてきた。4社による共同スタディにおける、CO2地下貯留能力、CO2排出源からの海上輸送や圧入方法などの調査を踏まえ、マレーシア海域の枯渇油ガス田群および付帯する塩水帯水層を貯留対象とすることが、CO2圧入の実効性、早期の事業実現可能性を極大化すると判断、事業化検討実施を決めた。

今後、2024年の基本設計作業開始とその後の建設作業を視野に入れた具体的な準備作業に着手し、マレーシア国内で排出されるCO2に加え、日本など海外で回収されたCO2を船舶輸送し、海底下への圧入・貯留を2028年末に開始することを目指し、マレーシア国内のCO2を収集する陸上設備からのCO2輸送パイプラインの敷設、船舶輸送される液化CO2の受入設備、海洋圧入設備など、必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームなどの詳細な検討を進めていく。

PCCSVと日本側3社は、2020年代中盤の事業化決定と2028年末の操業開始を目指しており、目標とするCO2圧入量は、事業開始時点でマレーシア国内および日本を含む同国外からの輸送分を合わせ年間約200万トン以上、2030年には同約500万トンとし、さらに2030年代前半には同1,000万トン以上への拡大も視野に入れている。
また、日本側3社は、JFEスチールと本年6月から進めている、日本を起点としたCCSのバリューチェーン構築の共同検討を引き続き進めることにより、今回の事業化検討との連携を図っていく。

特殊詐欺グループ7人、クアラルンプールで逮捕

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)ブキ・アマンの警察本部は20日、マレーシアを拠点に日本人をターゲットにした特殊詐欺を行ったという容疑で日本人7人を逮捕したと発表した。

商業犯罪捜査局(CID)のラムリ・モハメド局長によると、7人の逮捕は在マレーシア日本大使館からの通報を受けたもので、KL市内のコンドミニアムに潜伏していた23歳から41歳の容疑者を逮捕。犯行に使ったとみられる携帯電話11台、モデムなどを押収した。

通話アプリ「スカイプ」やメッセージ・アプリを用いて日本人被害者に詐欺の電話をかけていたとみられる。銀行員になりすまして被害者に口座に問題があると伝え、詐欺グループが用意した別の口座に資金を移すよう要求していたという。

日本大使館には、容疑者の1人から「仕事のオファーに騙されて来馬し、マレーシアに到着して初めて特殊詐欺の仕事だと気づいた」との訴えが寄せられたという。
最近、東南アジアを拠点とした特殊詐欺の摘発が相次いでおり、今月に入ってからはカンボジア・プノンペンで25人、タイ・バンコクで2人が逮捕されている。
(ベルナマ通信、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、11月20日)

国税庁、スパークリング日本酒の商談会を開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本国税庁は21日、炭酸入りのスパークリング日本酒に焦点を絞った商談会、「awa酒協会ビジネス商談会inマレーシア2023」をクアラルンプール(KL)市内で開催した。

二次発酵による自然発泡のスパークリング日本酒を製造する蔵元が結成するawa酒(あわさけ)協会と連携して開催したもので、awa酒協会会員を含めて16の蔵元が来馬しブースを設置。招待された日本酒の輸入業者や小売業者、飲食店など70ー80社あまりに対し、試飲を交えながら合計22銘柄を紹介した。

今回の商談会に協力したawa酒協会は、厳格な品質基準と第三者機関での検査をクリアした銘柄だけを「AWA SAKE」と認定し、品質向上と普及促進、市場の拡大を目的として2016年11月に設立された。現在は32社が会員となっている。

水産庁がマレーシアなどの輸入業者を招待、三陸・常磐を視察

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本の水産庁は、三陸・常磐6県(青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉)の水産業の本格的な復興を目指し、11月19―26日の日程でマレーシアを含むアジア・中東・米国9カ国の有力輸入業者39社、53人を招いて、日本の生産現場を視察するための招待ツアーを実施している。

「三陸・常磐水産加工品輸出促進商談会」と題する今回の招待ツアーには、マレーシアからは日本産水産物の輸入実績のある有力な水産物輸入業者5社と、乾物の買付先を模索している漢方薬輸入業者1社から合計7人が参加。

20日には仙台市内のホテルにて、他のアジア・中東・米国からの招待者と合同で、終日商談会を行い、21日からはマレーシアからの招待者は、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の水産加工品会社や物産センターを視察する予定。福島県双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」も訪問する。

神戸製鋼所、マレーシアのFLNG向け熱交換器を日揮から受注

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 神戸製鋼所(本社・兵庫県神戸市)は17日、日揮グローバル(本社・神奈川県横浜市)から、マレーシアに新規設置される浮体式液化天然ガス生産プラント(FLNG)向けに、同社のマイクロチャネル熱交換器(製品名・DCHE)を受注したと発表した。

DCHEは、神戸製鋼所の50年以上にわたる熱交換器の設計・製造に関する知見を活かし、2012年に製品化されたもの。ステンレスのプレートに幅1ー2ミリメートル(mm)の微細な流路を加工・積層し、拡散接合(材料同士を密着させ、高温で加熱しながら加圧し、原子レベルで結びつける接合)を行うことで、一般的なシェルアンドチューブ構造(2重管式)のものと比較し、広い伝熱面積、コンパクト性、超高圧への耐性を有しているのが特長。その特長から水素ステーション向けの熱交換器として、世界で高いシェアを有している。

今回はFLNG用途として、大型プラント向けDCHEを受注した。神戸製鋼所は洋上浮体式設備向けにDCHEの拡販を進めていく予定で、今後も個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづける方針だ。