日本コンテンツの売り込みで大使館、メディアプリマと提携

【クアラルンプール】 在マレーシア日本大使館の 髙橋克彦大使は27日、大使館として総合メディア最大手のメディア・プリマを、日本産コンテンツをマレーシアに売り込むための有力な場とみなしていると発表した。

メディア・プリマは印刷媒体、ラジオ局、テレビ局を所有しており、ニュー・ストレーツ・タイムズは傘下企業。

髙橋大使は「印刷媒体とは大使館活動の報道で協力できる。ラジオは日本で起こっていることを対話形式で伝えるなどの情報拡散ができ、テレビではドキュメンタリー放映の可能性を探ることができる」と述べた。

髙橋大使によれば、1970年代、1980年代はマレーシア国外からの情報では、日本の話題、コンテンツが支配的だったが、最近はほかの国のコンテンツが優勢だ。このためマレーシア国民にさらに日本に関心を持ってもらうため、プレゼンス強化が必要だという。

日本としては東京、大阪、福岡といった著名都市だけでなく、地方を訪れる観光客の増加を望んでいるという。

メディア・プリマは共同制作、コンテンツ配給で日本の複数のテレビ局と協力したことがある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月28日)

KLー星高速鉄道計画、企業向けの説明会を開催

【クアラルンプール】 民間主導での復活を目指しているクアラルンプール(KL)ーシンガポール間の高速鉄道(HSR)建設計画について、事業推進母体のMyHSRコーポレーションが27日に情報提供依頼(RFI)に関する説明会を開催し、国内外の業界関係者700人以上が出席した。

説明会は、包括的なコンセプト提案書を提出するために必要な主要コンポーネント、提出要件、評価基準などの関連情報を関心のある企業に提供するのが目的。コンセプト提案提出スケジュールなど、RFIプロセスの概要が説明された。MyHSRによると、海外からは日本、英国、スペイン、ドイツ、オランダ、豪州、中国、韓国、香港、タイ、シンガポールから事業に関心を示す業界関係者が参加した。RFI 書類の提出期間は8月11日から11月15日までとなっている。

MyHSRによると、参加企業やコンソーシアムにはHSRプロジェクトを予算内のコスト、品質、時間で完成させるための実績、技術的専門知識、リソース、プロジェクト管理能力を示すことによってプロジェクト遂行能力を証明することが求められる。特に需要予測、コスト最適化、収益多様化、財務予測などを含む現実的な商業的予想に基づいてHSRサービスを持続的に運用する能力を実証することが要求され、政府資金への依存を最小限に抑える財務的に持続可能なモデルを開発する能力が求められる。説明会では日本、台湾、中国におけるいくつかのHSR開発と経済効果に関するケーススタディも紹介された。

MyHSRのファウジ・アブドル・ラーマン会長は、説明会は政府の希望に沿ってプロジェクトを現実化するための重要な一歩となると強調。単なる輸送ソリューション以上のものになると考えており、首都圏クランバレーとマレーシア半島南回廊の間の主要幹線を形成し、経済センター、中間都市、高価値工業団地などの開発に拍車をかけるだろうと述べた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、7月27日)

日本旅行とマレーシア政府観光局、共同プロモーション事業を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本旅行(本社・東京都中央区)は27日、6月1日から11月30日まで、マレーシア政府観光局(本局・プトラジャヤ、東京支局・東京都千代田区)と共に、マレーシアへの誘客を目的にプロモーション事業を展開していると明らかにした。

渡航制限の解除で海外旅行の需要の高まりが期待されている本年、コロナ禍で落ち込んだ日本における海外旅行需要の本格的な回復を目指し、日本旅行はマレーシア政府観光局と共同で、海外旅行プロモーションを実施している。プロモーション事業の一環として、「マレーシア旅行応援キャンペーン」を開催し、豪華賞品が抽選で当たるプレゼント企画、店頭やキャンペーンサイトを通じた情報発信、専用ツアー造成、WEBプロモーション、店頭プロモーション、教育旅行用プロモーション映像・ガイドブック制作などを行っている。送客期間は6月1日から2024年5月31日までで、送客目標を3,250人に設定している。

7月18日には、ツーリズム事業本部役員がプトラジャヤのマレーシア政府観光局本局を表敬訪問し、教育旅行分野におけるマレーシアの魅力や今後の日本マーケットでの相互連携について意見を交わした。

日本旅行はこれからも、旅を通じた国際交流や地域の魅力発信に貢献していく方針だ。

出光興産、TG2社とのマレーシア事業の協業を解消

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 出光興産(本社・東京都千代田区)は25日、マレーシアでパームヤシ空果房(EFB)からバイオマス燃料を製造するプロジェクトを欧州のベンチャー企業であるTG2社およびその関連会社と進めてきたが、今回TG2社およびその関連会社との協業を解消したと発表した。

出光興産は、マレーシアでのEFBを利用したバイオマス燃料の製造・利用検討を引き続き実施している。マレーシアは世界第2位のパーム油生産国で、マレーシアの農園からは年間約2,000万トンのEFBが廃棄物として排出されていると推定されている。また、そのほとんどが投棄され、環境汚染と重大な温室効果をもたらすメタンガス発生の原因となっている。

出光興産は東南アジア諸国において、大量に投棄されているEFB等の農業残渣の有効活用を推進する事で、持続可能な開発目標の達成に貢献していく方針だ。

ペトロナス、日本企業が運営する鉱区の権益をシェルから取得

【ジャカルタ】 国営エネルギー会社のペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)とインドネシア国営石油会社プルタミナは25日、インドネシアのマセラ鉱区アバディ田プロジェクトの権益を英蘭シェルから取得するとの合意書に署名した。
ペトロナス子会社のペトロナス・マセラが15%、プルタミナ子会社のプルタミナ・フル・エネルギーが20%の権益を取得する。

液化天然ガス(LNG)プロジェクトで、残りの65%の権益は日本などで石油・天然ガスの権益を持つ日本の大手石油開発会社、INPEX(本社・東京都港区、インペックス)が所有している。操業主体はインペックス。鉱区はインドネシア東部アラフラ海の深海に位置する。

ペトロナスはインドネシアでは6件の生産分与協定鉱区で権益を所有しており、東ジャワ省沖の3つの鉱区では操業主体として参加している。
インペックスによると、アバディ田では最大で年間950万トンのLNGの生産・輸出が計画されている。

ペトロナス側から調印に当たったムハンマド・タウフィク社長は「LNG資産を増やすことで低炭素エネルギーに対する需要に対応する」と語った。
(ザ・サン、ザ・スター、7月26日)

藤森工業、バイオマス由来・海洋分解性樹脂プラントを竣工

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 藤森工業(本社・東京都文京区)は24日、マレーシア科学大学(USM)および投資貿易産業省(MITI)傘下のマレーシア標準工業研究所(SIRIM)と共同で、バイオマス由来且つ海洋分解性樹脂のパイロットプラントを24日に竣工したと発表した。

開設したのは、セランゴール州にあるSIRIM敷地内。同プラントでは、原材料に農業廃棄物や残渣などの未利用資源を活用し、また発酵培養・抽出・精製の工程に微生物や昆虫の自然環境における生態を利用した、環境負荷の少ない製造プロセスの実証試験を行う。2025年度に事業化を開始し、プラスチックごみの海洋流出の多い東南アジア諸国において、レストランチェーン等で使用されるカトラリーなど、シングルユースプラスチック製品の提供を予定している。同プラントでは 5トン/年の生産能力を実現し、203 年には5,000トン/年まで引き上げる計画だ。

藤森工業は、高付加価値製品の開発・量産化にも挑戦しながら、カーボンニュートラルの実現・海洋汚染軽減に取り組んでいく方針だ。

エアロジーラボ、セランゴール州でドローンの飛行試験を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 エアロジーラボ(本社・大阪府箕面市)は25日、エアロダインジャパン(本社・東京都渋谷区)と連携し、5月より、セランゴール州営のセランゴール・テストフィールドにおいて、ハイブリッドドローン「エアロレンジクアッド」の性能試験およびユースケース試験を開始したと発表した。

世界最大のドローンサービスプロバイダーであり、マレーシアに本社を置くエアロダイングループは、ドローンを活用して、同国がかかえる社会課題の解決に乗り出しており、道路インフラが未整備で、物資輸送にトラックが使えないこと、物流で多大な労力がかかることや、主力産業であるプランテーション農園のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。しかし、現在のバッテリードローンの多くは30分程度の飛行時間、数キロメートル(km)の飛行距離しかなく、長距離飛行や広大な農園での利用には適さないことから、エアロダイン社がこれらの課題解決に有用な長距離ドローンを世界中から探した結果、エアロジーラボの「エアロレンジクアッド」を発見し、今回の協業が実現した。

エアロジーラボは、具体的には、基本性能試験、目視外飛行試験(最大飛行距離、滞空時間など)、ユースケース試験(離島間物流、海上輸送、プランテーション農園での精密農業利用など)を実施している。これまでに基本性能試験を終え、現地で2時間以上の飛行も達成した。直線で最大10km飛行可能な広大なテストフィールドで飛行試験を行うことにより、実際値として最大飛行距離などの性能評価を実施する。また、機体を現地に輸出した後は、リモート会議を通してセットアップ指示やオペレーション講習、トラブルシューティングを行っており、メンテナンス性の改善やオペレーションマニュアルの改善につながる示唆を得ながら、飛行試験を実施しているという。

エアロジーラボは、ここまでの基本性能試験および長距離飛行の性能評価について総括を行った上で、今後は実際のユースケースに即した飛行試験を行い、「エアロレンジクアッド」の適性の評価を行う予定だ。

毎年恒例の盆踊り大会が開催、3万人以上が来場

【シャアラム】 クアラルンプール(KL)日本人会や日本人学校、在マレーシア日本大使館が主催する恒例の盆踊り大会が22日、セランゴール州シャアラムのコンプレックス・スカン・ネガラ・シャアラム (パナソニック)で開催され、3万人以上が参加した。

午後7時からの開催にもかかわらず、午後4時30分の開場直後より大勢の人が詰めかけ、浴衣に身を包んだ人々が、歌や太鼓の音に合わせ盆踊りを踊る姿が見られた。セランゴールのソブラン・サリダンスや和太鼓パフォーマンス、和服展示や屋台による日本食販売なども行われた。

在マレーシア日本大使館の髙橋克彦大使も参加し、記者会見で盆踊りの毎年の成功はマレーシアと日本、両国の協力によるものだとし、マレーシア人がこのような日本文化イベントに参加するのをいつでも、可能な限り支援していくと述べた。

盆踊り大会は、1977年から長年開催されており、日本国外で最大規模とも言われている。昨年は汎マレーシア・イスラム党(PAS)所属の当時のイドリス・アハマド首相府相(宗教問題担当)が「イスラムが否定する多神教の要素が含まれている」と主張し、ムスリムに対して参加しないよう呼びかけたことで騒ぎとなった。最終的にセランゴール州スルタン、シャラフディン・イドリス・シャー殿下が介入し、州当局に開催を認めるよう求めたことで騒動が収束に向かった。今年は同様の主張は行われず、スムーズに開催された。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月24日、ザ・スター、7月23日)

セブンイレブン、傘下のケアリングをBIGファーマシーに売却へ

【クアラルンプール】 セブン・イレブン・マレーシア・ホールディングスは21日、傘下企業である、ドラッグストア運営のケアリング・ファーマシー・グループについて、BIGファーマシー・ヘルスケアからの買収提案を受け入れたと発表した。ケアリング・ファーマシーの株式75%を6億3,750万リンギで売却する。

セブン・イレブンがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、完全子会社コンビニエンス・ショッピング(サバ)がBIGファーマシーから6月28日付けで受け取った、拘束力のあるタームシートについて、取締役会が受け入れを決定した。

買収提案には、「ケアリング」、「ジョージタウン」、「ウェリングス」ブランドのドラッグストア事業を所有・運営するケアリングの全子会社・関連会社および国内における自社製品の製造・販売事業の買収が含まれるが、ケアリングが50.1%出資する間接合弁会社エラ・ケアリング・インドネシアおよび49.9%出資の間接合弁会社エラ・ファーマ・インドネシアがインドネシアで運営する事業は除外される。

セブン・イレブンは今後、コンビニエンスストア事業の成長に経営資源を振り向ける予定だ。売却で得た資金の用途については詳細確定後に発表する予定。

BIGファーマシーは、今回の買収は、自社が掲げる「ヘルスケア品質や入手性、値ごろ感を向上させる」というミッションに完全に一致したものであり、BIGファーマシーの有する専門知識・リソースを組み合わせることで、優れた医療体験を提供し、地域社会にも貢献していくと述べた。

発表に先立ち、セブン・イレブン・マレーシアの21日の株取引は午後2時30分から停止された。取引停止前のセブン・イレブン株は木曜終値から7セン(3.29%)高の2.20リンギで取引され、グループの時価総額は25.8億リンギとなった。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月22日、エッジ、マレーシアン・リザーブ、7月21日)

マレーシア味の素、首都の土地を売却し特別配当を実施

【クアラルンプール】 マレーシア味の素社はクアラルンプールに保有する土地を4億800万リンギで不動産投資のパラゴンTSLに売却する。約3億5,700万リンギの売却益を想定しており、1億2,900万リンギを特別配当に充当し株主に報いる。

パラゴンTSLは製鋼、不動産、鉱業などを手掛けるTSラウ・グループの企業で、グループのラウ・ティエンセン会長が主要株主。

土地はそれぞれ隣接する6区画で構成されており、本社ビルとハラル(イスラムの戒律に則った)うま味調味料の生産工場として利用されてきたが、生産能力拡大の余地がないため売却を決めた。

売却益の一部は運転資本、借入金の返済、譲渡所得税(推定3,516万リンギ)の納入に充当する。残りの1億2,889万リンギが特別配当用で、1株当たり2.12リンギ。

売却手続きは2024年第1四半期に完了の予定。売却収入は3月期の財務諸表に反映される。市場は土地売却を好感。マレーシア味の素の20日の株価は上昇した。
(ザ・スター、ニュー・ストレート・タイムズ、7月21日、マレーシアン・リザーブ、7月20日)