東芝エネルギーシステムズ、テナガのCCS人材育成を支援

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東芝エネルギーシステムズ(本社・神奈川県川崎市)は、政府系電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の発電子会社TNBパワー・ジェネレーションとの間で、二酸化炭素(CO2)分離回収技術をマレーシアの火力発電所へ適用する検討を開始することに合意した。

両社協議の上、今年9月以降にTNBパワー・ジェネレーションの技術者を東芝エネルギーシステムズ施設に受け入れ、マレーシアの火力発電所への二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術導入を本格化させる。

今回の合意では、東芝エネルギーシステムズがこれまで発電設備を納入したTNBパワー・ジェネレーションが保有するジマイースト石炭火力発電所などを対象に、CCS設備の導入に向けた動きを推進する。具体的には、今年9月以降、TNBパワー・ジェネレーションの技術者を東芝エネルギーシステムズグループ内の関連拠点で受け入れ、CCS設備の導入・運転に関するトレーニング・人材育成支援などを行う。

本合意により、TNBパワー・ジェネレーションが火力発電所運営で培ってきた運転ノウハウと、東芝エネルギーシステムズが実証試験などで培ってきたCCS技術に関する知見および、マレーシアで築き上げてきたネットワークを有効活用し、マレーシアの火力発電所へのCCS設備導入を推進し、同国の脱炭素目標達成へ向けて貢献していく方針だ。

ジェトロKL、サンプル用いた日本食品マッチング事業開催へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、マレーシア食品市場における日本食品の新規参入・販路拡大に向けて、食品サンプルを用いたマーケティングとオンライン商談を組み合わせたマッチング事業を実施すると発表した。

特に今年度は、ハラル(イスラムの戒律に則った)市場を含む中間層市場の開拓を重点とする。また食品サンプルを用いたマーケティングを常時実施できる仕組みに加え、見本市への広報ブース出展も通じて、より重層的に商品を提案できる機会を創出する。

常時マーケティングは今年9ー11月の実施を予定しており、クアラルンプール近郊に食品サンプル展示スペースを設け、上記期間中、常時バイヤーに紹介できる場を設ける。同時に提携するコーディネーターが有望バイヤーを営業訪問し、能動的に商品提案を行う。

また「マレーシア国際ハラル・ショーケース(MIHAS)」(期間9月12ー15日)、「フード・アンド・ホテル・マレーシア(FHM)」(期間9月19ー22日)に広報ブースを設置し、日本食品サンプル(MIHASはハラル認証取得食品)を展示・紹介する。見本市終了後は常時マーケティングを通じて、継続的に商品PR支援を行う。このほかマーケティング・商品紹介を経て、関心を持ったバイヤーと随時オンラインで商談を実施する。

出品者の募集は7月7日まで行う。対象は食品全般(日本産の生鮮品、日本産原料を使用した加工品および日本国内で生産された他国産原料を使用した加工品)で、ジェトロKLは商品カタログを作成し、有望バイヤーにメルマガ等で広報するほか、申込商品はジェトロのバイヤー専用オンラインカタログサイト「JAPAN STREET」にも登録し、マレーシア国外のバイヤーにも紹介する。

電子部品のKOA、マラッカに新工場を建設へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電子部品の開発・製造・販売を行うKOA(本社・長野県上伊那郡)は26日、マラッカ州において新工場を建設すると発表した。竣工時の生産設備も含んだ総投資額はおよそ235億円。

同社の連結子会社であるKOAデンコー(マレーシア)は、主力の厚膜チップ抵抗器の生産を行っているが、今後の受注動向を総合的に判断し増産体制を構築することを決めた。既存工場と同じマラッカ州内に敷地面積8万3,718平方メートル、延床面積8万2,023平方メートルの新工場を建設し、生産性・収益性の更なる向上と安定供給を図る。環境への取り組みとして、生産棟と駐車場の屋根には太陽光パネルを設置する。今年10月に着工し、2025年3月の竣工を予定している。

 

UMWトヨタ、新型MPV「イノーバゼニックス」を発売

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーター(UMWT)は、多目的車(MPV)「イノーバ」の3代目となる「イノーバ・ゼニックス」を発売した。

「イノーバ・ゼニックス」は、インドネシアからの輸入完成車(CBU)で、外観デザインがスポーツ車(SUV)風のスタイルとなっているのが特徴となっており、独自開発のトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)の「GA-C」プラットフォームを採用した。排気量2.0リットル自然吸気ガソリンエンジン搭載の「2.0V」および2.0リットルのガソリンエンジンとモーターを搭載するハイブリッドの「2.0HEV」の2バリアントを用意。「2.0V」は最高出力174PS/6,600rpm、最大トルク205Nm/4,500-4,900rpmを発揮する。「2.0HEV」のガソリンエンジンは単独で152PS/188Nm、モーターは206Nmを発揮し、システム総出力は186PSとなる。予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティ・センス(TSS)」の最新版であるTSS3.0を搭載し、車体カラーはともに全5色。保険なしの価格は「2.0V」が16万5,000リンギ、「2.0HEV」が20万2,000リンギ。5年間走行距離無制限のメーカー保証および「2.0HEV」にはバッテリーパックを対象とした走行距離無制限の8年保証が付属する。

UMMTは、2021年2月に発売した2代目「イノーバ」についても、「イノーバ・ゼニックス」と並行して販売を継続するとしている。
(ポールタン、6月22日、トヨタマレーシア発表資料)

HSSとインデックスストラテジー、優先パートナー契約を締結

【クアラルンプール】 エンジニアリング・プロジェクト管理コンサルのHSSエンジニアズは、官民連携(PPP)プロジェクト管理に携わる日本企業インデックスストラテジー(本社・東京都港区)との間で、優先的パートナーシップ協力に向けた覚書(MoU)を締結した。

両社は、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、中東・北アフリカ地域などでのインフラ整備事業において協力する。HSS子会社のHSSエンジニアリングとインデックスストラテジーは、交通、水資源、公共インフラ分野におけるPPP投資を通じて、スマートシティ、病院、大学、公共住宅などの社会・土木インフラ整備事業に参加していく方針だ。

インデックスストラテジーは、日本の建設業界におけるプロジェクト管理の経験を有し、公共、民間、サービス利用者の要件やニーズに応じた、様々なプロジェクトの計画、調整、実施を専門としている。ガーナ、ベトナム、フィリピンなどにもPPP事業を展開している。

HSSエンジニアリングのクナ・シッタムパラム取締役副会長は、プロジェクト管理の専門家であるインデックスストラテジーとMoUを締結することで、大量高速輸送機関や汎ボルネオ高速道路プロジェクトなど、影響力の大きい国家プロジェクトで重要な役割を果たしているHSSの専門知識をさらに活用できると述べた。

HSSは、2022年にオリエンタルコンサルタンツグローバル、八千代エンジニヤリング、自然・インターナショナルという日本企業3社と同様のMoUを締結しており、今回が4社目の提携となる。
(ザ・サン、ザ・スター、6月23日)

マレーシア人訪日者数、5月も大幅増の3万4000人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年5月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万4,000人となり、前年同月比で20.8倍となったが、前月比では15.4%減となった。

JNTOによると、日本の水際規制緩和、スクールホリデーの影響等もあり、訪日外客数は大幅に増加した。また、2019年同月比ではマイナス20.2%となった。クアラルンプールー成田間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1ー5月では17万2,200人となり、前年同期比で48.1倍となったものの、2019年比では17.0%減となった。

5月の世界全体の訪日者数は、前年同月から12.9倍の189万8,900人となったものの、2019年同月からは31.5%減となった。年初5カ月では863万8,500人となり、前年同期比22.3倍、2019年比マイナス37.2%となった。

JNTOは、新たな観光立国推進基本計画等を踏まえ、観光立国の復活に向けて、観光地・ 観光産業について持続可能な形で「稼ぐ力」を高めるとともに、地方誘客や消費拡大を促進しつつ、インバウンドのV字回復を図る必要があると指摘。国内関係者が連携し、海外旅行会社等へのセールス強化や情報発信を通じた高付加価値旅行、アドベンチャートラベルの推進、ミーティング、報奨旅行、国際会議、展示会(MICE)誘致等の取組を強化していくことが求められるとした。

イオンクレジット、AI活用で高リスク顧客を削減へ

【クアラルンプール】 消費者向け総合金融サービスのイオンクレジットサービス(マレーシア)は、人工知能(AI)技術を活用し、高リスク顧客を現在の30%から20%程度まで削減すると発表した。

リー・シウテー最高財務責任者(CFO)は、高リスク顧客には若年層や低所得層で信用度の低い顧客が含まれており、特に25歳以下で可処分所得が2,500リンギ以下の顧客が返済困難に陥る傾向があるとし、三井物産とソニーネットワークコミュニケーションズの合弁会社(JV)であるグローバルエーアイイノベーションズラボラトリー(本社・東京都港区、GAILABO)と提携し、Alベースの信用スコアリングサービスを導入すると述べた。回収実績向上に向け、高リスク顧客に焦点を当てたリスクベースの回収アプローチも採用しており、GAILABOへの投資額は200ー300万リンギになるとした

ン・エンキアット会長は、AIに代替された業務に従事していた従業員については、再教育の上配置転換するとし、最近の金利上昇やインフレ傾向は、同社ビジネスにも悪影響を与える可能性があるとコメント。競合他社の新規参入などにより競争も激化すると見込まれるが、不測の事態がない限り、今年は一桁台半ばから後半の成長を見込んでいると述べた。オートバイ融資、個人向け融資、中古車融資が成長に寄与するとしている。
(ザ・サン、6月22日、エッジ、ベルナマ通信、6月21日)

マレーシアで日本酒商談会、ジェトロKLが7月26日に開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、7月26日に「日本酒商談会2023inマレーシア」をKL市内で開催すると発表した。6月30日まで日本側の参加企業の募集を行っている。募集企業数は40社程度を予定している。

日本吟醸酒協会の協力を得て行うもので、農林水産省補助事業として実施される。マレーシアへの日本酒輸出を目指す事業者がブースを設置し、マレーシアの輸入事業者、レストラン事業者、小売店事業者とフリーマッチング形式で対面にて商談を行う。

対面商談は、現地輸入パートナーを有さずマレーシア向け新規商流構築を目指す事業者と、現地輸入パートナーを有しマレーシア向け商流拡大を目指す事業者とで午前と午後に分けて実施する。

また現地参加を希望しない事業者については、商談会場にサンプル展示ブースを設置し、JETROがバイヤーに商品紹介や試飲提供を行う。現地バイヤーに商談希望先をヒアリングし、オンライン商談を後日、個別アレンジする。

ジェトロKL事務所は、2022年のマレーシア向け日本酒輸出額が前年比1.87倍となる6.25億円を記録したと指摘した上で、「日本酒はマレーシアの富裕層・中間層の所得拡大を背景に需要が急拡大しており、更なる市場拡大が期待される有望商品。その一方、マレーシアのアルコール市場における日本酒のマーケットシェアは僅か1%未満に留まっており、市場開拓の余地が大きい」としている。

JALとANAの日マ間の航空燃油サーチャージ、8月より値下げ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本航空(本社・東京都品川区、JAL)と全日本空輸(本社・東京都港区、ANA)は、日本ーマレーシア間の8ー9月発券分の燃油特別付加運賃(サーチャージ)を発表。両社とも国土交通省に申請中だが、認可された場合には片道2,000円程度の値下げとなる見込みだ。

JALの日本発着区間設定額(旅行開始国が日本、片道)は、6ー7月の1万7,900円から8ー9月には1万5,000円に値下げする。旅行開始国が日本以外の場合、6ー7月の121米ドルから8ー9月は102米ドルとなる。日本ータイ、シンガポール、ブルネイ、ロシアも同額となる。

ANAの8ー9月の日本発着区間設定額(旅行開始国が日本、片道)は1万3,000円で、6ー7月の1万5,500円から引き下げる。旅行開始国が日本以外の場合、6ー7月の105米ドルから8ー9月は80米ドルとなる(欧州、英国以外で購入の場合)。日本ータイ、シンガポール、ミャンマー、カンボジアも同額。

燃油サーチャージは、ジェット燃料価格に応じて国際線の運賃に上乗せする特別料金。2カ月ごとに見直しされており、2022年には燃料価格の高騰や円安の影響を受け、両社とも過去最高額となっていた。

日本デザイナー学院マレーシア校、3Dアニメーション学科が開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア初の日本のカレッジである日本デザイナー学院マレーシア校で、新設学科である3Dアニメーション学科が6月に正式に開講した。

同カレッジは呉学園グループが2022年6月にセランゴール州スバン・ジャヤのショッピングモール「サンウェイ・ジオ・アベニュー」に開校したもので、マンガやアニメ、イラストなど、日本発のクリエイティブに関して実践的な教育を行う高等教育機関。同分野で世界を舞台に活躍できる国際的なクリエイターの育成を目標としている。

3Dアニメーション学科は、アニメーション制作会社と共同で開発された実践的なカリキュラムに重点を置いており、先進的なアニメーション業界のニーズを理解し、技術的・芸術的スキルに基づいたストーリーテリングで才能を育成することを方針としている。卒業後の主な進路としては、CGI映画、テレビ番組、広告、ゲーム業界、エクステンデッドリアリティの分野での就職が見込まれている。また、3Dアニメーション学科設置にあわせて、公式キャラクターとして「富ちゃん」も発表された。