日鉄エンジによるジョホールでの脱炭素事業、環境省に採択

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日鉄エンジニアリング(本社・東京都品川区)は9日、日本の環境省が公募した「令和5年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」において、同社が共同実施者として提案・応募した「イスカンダル地域における脱炭素モデルエリア構築事業(フェーズ2)(北九州市ーイスカンダル地域開発庁連携事業)」が採択されたと発表した。

日鉄エンジニアリングは、エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(本社・東京都千代田区)および北九州市などが、イスカンダル地域開発庁(IRDA)と、2021年度まで実施した都市間連携事業「イスカンダル地域における脱炭素化促進事業」に参画し、更にその検討内容を深化させるため継続された2022年度「イスカンダル地域における脱炭素化モデルエリア構築事業(フェーズ1)」においても、同地域における廃棄物発電施設導入の実現に向けた調査を担当してきた。今回採択されたフェーズ2は、2022年度の活動を踏まえ、同地域における脱炭素化社会実現に貢献する検討を継続するものであり、その中で引き続き同社は、廃棄物発電施設の導入に向けた調査・検討を担当する。

日鉄エンジニアリングは、世界トップクラスの発電効率を誇るストーカ式焼却炉の技術力と、日本国内における豊富な廃棄物処理PFI事業の運営経験を保有しているとした上で、北九州市等との連携により、日本の優れた廃棄物処理技術を同地域で展開し、廃棄物の大幅な減量化・エネルギー利用拡大と温室効果ガス排出量の削減に貢献していくことを目指す。また、これらの施策を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する環境プラントエンジニアリング企業として、持続可能な循環型社会の構築に貢献していく方針だ。

銅管製造のKMCT、マレーシア現地法人を年内に清算へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 銅管製造のKMCT(旧称・コベルコマテリアル銅管、本社・東京都新宿区)は6日、マレーシア現地法人のKMCTマレーシア(旧称・コベルコ・アンド・マテリアルズ・コッパー・チューブ・マレーシア) について、2023年12月末で製造・販売を停止し、清算手続きを開始すると発表した。

KMCTは神戸製鋼所と三菱マテリアルの銅管部門の統合により2004年に設立。生産拠点を日本、タイ、マレーシアの3カ国に構えていた。2022年4月に神戸製鋼グループを離れ、企業投資ファンドである丸の内キャピタルの傘下に入っている。

KMCTマレーシアは、1987年に神戸製鋼所の海外関係会社シンガポール・コウベの支店として設立。セランゴール州シャアラムに工場を構え、当初は銅管加工部品を生産していたが、1990年から銅管の生産も開始。空調向けのベア管、直管、加工品や極細管(キャピラリーチューブ)などの生産を行っていた。

三菱重工とTNB、技術調査や情報交換を実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三菱重工(本社・東京都千代田区)は7日、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の子会社であるTNBパワー・ジェネレーションとの間で、クリーンエネルギー技術に関する調査と情報交換を行う覚書(MOU)に調印したと発表した。このMOUは、マレーシアのエネルギー転換を促進し、2050年までのカーボンニュートラル達成という同国の目標を支持するものとなる。

同MOUにより、三菱重工はTNBパワー・ジェネレーション社と、クリーン発電に関する3つの重点分野である「水素の製造・輸送・貯蔵および関連インフラを含む水素とアンモニアのバリューチェーン構築」「火力発電所におけるカーボンフリー燃料の専焼・混焼技術」「二酸化炭素(CO2)回収」に関する共同調査を行う。またマレーシアにおけるクリーン発電の推進をはじめとする特定分野に関する経験や技術的ノウハウ、情報などを共有する。

今回の協業は、マレーシア国内でTNBパワー・ジェネレーション社が計画する、水素対応技術を備えた高効率ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)を導入する技術的実現可能性の検討から始まる。これは、両社双方の技術的な専門知識を活用し、持続可能なエネルギーソリューションの展開を図る上での先駆的なプロジェクトとなるという。

三菱重工は今後も、世界の電力業界全体のニーズである低・脱炭素化および性能向上に向けた提案に努め、電力の安定供給と環境負荷の低減に貢献していく方針だ。

 

日本の大手総合商社3社、マレーシアとの貿易拡大へ

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は、日本の総合商社がマレーシアとの貿易額を4億5,800万米ドルまで拡大することを確約したと明らかにした。

MATRADEによると、テンク・ザフルル投資貿易産業相率いる貿易・投資促進使節団が5月29日ー6月2日に訪日し、伊藤忠商事、住友商事、三井物産などと会談。エネルギーや持続可能なグリーン製品、パーム油、木材製品、化学製品、日用消費財(FMCG)、ハラル(イスラムの戒律に則った)製品、ヘルスケアサービス、デジタルサービスなどについて、マレーシアからの輸入を拡大することに合意したという。

MATRADEはまた、日本貿易振興機構(ジェトロ)との間での協力覚書(MoC)について、来年4月まで1年延長することで合意したと発表。両機関はハラル、情報通信技術(ICT)、電子商取引関連の貿易の促進や相互理解・友好の深化、両国の貿易発展への寄与を目的としたMoCを2021年から締結している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月7日)

訪日貿易使節団、230.7億リンギの投資誘致を確保

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は2日、5月29日ー6月2日に訪日した貿易・投資促進使節団がばね製造のニッパツ(日本発条、本社・神奈川県横浜市)、電気機器製造のオムロン(本社・京都府京都市)、石油開発の石油資源開発(JAPEX、本社・東京都千代田区)との間で総額230億7,000万リンギの投資を確保したと発表した。

1994年以降マレーシアで生産を行っているニッパツは、ネグリ・センビラン州で金属ベースプリント配線板(PWB)の生産拠点を拡大する。新工場・施設は今年12月に完成の予定。

オムロンは、再生可能エネルギー(RE)を利用した製品づくりに注力する、今後の事業投資計画を発表。RE投資を通じてマレーシアの低炭素経済への移行や技術的進歩を支援していく。

二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)でマレーシア国営エネルギー会社であるペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)と協業しているJAPEXは、2022年1月に発表したペトロナスとの共同スタディにおいて地中貯留の実施を視野に入れた適地調査や技術的な検討を行っているとし、CCSソリューションの開発を目指すとした。

使節団は、テンク・ザフルル投資貿易産業相が率い、投資貿易産業省(MITI)、マレーシア投資開発庁(MIDA)、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)の代表者が参加した。5日間の日程で、電気自動車(EV)部品、電気・電子(E&E)、機械部品、環境・社会・企業統治(ESG)、金属、化学製品などの日本企業と会談を行った。

MIDAによると、2023年第1四半期の投資誘致額(認可ベース)は714億リンギ(162億米ドル)。そのうち日本による製造業、サービス業のプロジェクトは14件。投資総額は4,700万米ドルで第7位を占め、653人の雇用を創出する見込み。

機械製造のCKD、ケダ州の新工場の不動産取得を完了

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 機械製造を手掛けるCKD(本社・愛知県小牧市)は1日、5月8日付で発表したケダ州クリム・ハイテク・パークの工場用地・建物の取得申請を州当局が承認し取得完了したとともに、マレーシア投資開発庁(MIDA)から製造ライセンスを付与されたと発表した。

CKDは、敷地面積8万平方メートルを超える本工場の取得により、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域における機器製品の生産体制を強化し、成長市場を含む製造業全般の堅調な需要拡大に対応し、顧客ニーズに高レスポンスで対応していく方針だ。

マレーシア政府による「2023年日本貿易投資ミッション」において、テンク・ザフルル投資貿易産業相とMIDAのウィラ・アルハム最高責任者(CEO)が来日し、2023年5月29日にCKDと会談を行った。

ウィラ・アルハムCEOは、「CKDがマレーシアの工場を取得したことは、マレーシアの活気ある半導体と機械のビジネス環境への信頼の証しである。マレーシアは、機器供給、組み立て、エンジニアリングサポートサービスなど、主要な事業者による強固なバリューチェーンを誇っている。注目度の高いビジネスをサポートできる優れた人材プールと相まって、CKDのマレーシアにおける存在感は永続的なインパクトを与え、技術的な進歩を先導し、トップクラスの投資先としての地位を固めるだろう。MIDAは、CKDの事業拡大を全面的に支援し、先駆的な成果を生み出すための環境づくりに尽力している」と述べた。

またCKD代表取締役会長(CEO)梶本一典氏は、「本工場は、ASEANにおけるメイン生産拠点として、顧客のグローバルサプライチェーン構築に対応するとともに、マレーシアの産業発展にも貢献していきたい」と述べた。

三菱モーターズ、公式中古車プログラムを開始

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は、公式中古車プログラム「マックス・サーティファイド」を開始した。全国の三菱ディーラー店舗で中古三菱車の売買を行う。

MMMによると、公式中古車はすべて、車齢7年以下で下取り時の走行距離が18万キロメートル以下のもの。純正部品を使用し、公式サービスセンターでの整備記録も完備。大事故や水没の記録がなく、専門技術者による150項目の検査を受けている。エンジン、トランスミッション、ステアリング、電気部品の機械的故障の修理・交換をカバーする1年保証や定期点検時にMMMの公認サービスセンターで利用可能な500リンギのクーポンが付属する。

池田真也 最高経営責任者(CEO)は、「マックス・サーティファイド」は中古車市場における三菱ブランドの強化や残存価値の構築に加え、既存顧客との関係性向上や再購入を目指すものだとし、より総合的なサービスを提供したいと考えていると述べた。MMMは引き続き新型モデルを導入していくが、中古車購入に興味を持つ人々に対しても、より身近で信頼できる購入機会を提供するとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月1日、エッジ、ベルナマ通信、5月31日)

パナソニック製造、シャアラムで製造部門2カ所を閉鎖

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 パナソニック ・マニュファクチャリング・マレーシア(PMMA)は1日、合理化と事業再編を3月31日までに完了したと発表した。セランゴール州シャアラム1(SA1)工場の2つの製造部門を閉鎖した。ただしマレーシアでの操業は今後も続けていくとしている。

PMMAはブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明の中で、ますます複雑化する環境下で事業を行うにあたり、事業効率を最大化し、会社を持続的に成長させるために、どのように適応し、舵取りするのが最善かを常に検討してきたとした上で、従業員に関するあらゆる決定は、最大限の配慮と熟慮のもとに行われると述べた。また、閉鎖された2部門以外には影響は及ぼさないとしている。

PMMAによると、閉鎖された2部門の一部の従業員には相互退職スキーム(MSS)の選択肢が与えられ、かなりの割合が受け入れた。MSSを選択しなかった残りの従業員については、人事部がPMMA内の他部署への異動を提案したという。

ゲオ、「セカンドストリート」をセランゴール州にオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ゲオホールディングス(本社・愛知県名古屋市)は3日、総合リユースショップ「セカンドストリート」をセランゴール州ペタリンジャヤのタマン・デサ・メンタリにオープンする。

同社が5月30日に発表した声明によると、店舗名は「セカンドストリート・デサ・メンタリ」で、衣料品やバッグ・靴・アクセサリーなどの服飾雑貨、生活雑貨・家具・家電・趣味用品・スポーツ用品・キッズ用品など、生活に関わるあらゆる商品の買取・販売を行う。売り場坪数は120坪で、営業時間は10時ー22時となる。

ゲオホールディングスは、2018年6月に「セカンドストリート」のマレーシア1号店をオープン。今回の新店舗開設により、マレーシア国内で直営する店舗数は13店舗となる。

同社はマレーシア以外にも2018年1月に米国、2020年8月に台湾にそれぞれ1号店を出店。現在は、米国で25店舗、台湾で20店舗を運営している。

マレーシア味の素、23年3月期通年決算は増収減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア味の素は、2023年3月期通年(2022年4月ー2023年3月)の決算を発表した。売り上げは前年比24.6%増の6億375万リンギ、純利益は61.8%増の2,749万リンギだった。

第4四半期(2023年1ー3月期)の売り上げは前年同期比26.0%増の1億5,792万リンギ。純利益は2,310万リンギで、前年同期の1,742万リンギの赤字から黒字化した。

「味の素」の販売量増加と、国内・輸出市場における販売価格の改定により、コンシュマー事業部門の売り上げが34.4%増加したこと、業務用調味料の販売価格改定に伴い、工業事業部門の売り上げが3.8%増加したことがそれぞれ貢献した。また営業利益も、販売量の増加と原材料価格の低下により前年同期から2.5倍の1,060万リンギとなった。

今後の見通しについてマレーシア味の素は、コスト上昇圧力や高金利、インフレが家計を圧迫し、購買力に影響を及ぼすと予想。今後もサプライチェーンを引き続き監視し、消費者の期待や満足に応えるためのマーケティングや商品流通を行い、マーケットシェア拡大を目指すと同時にコストの管理も継続していくとした。