コメ流通のベルナス、輸入白米を9月より36%値上げ

【クアラルンプール】 コメの流通を手掛けているパディベラス・ナショナル(ベルナス)は、1日付けで輸入白米の価格を従来の1トンあたり2,350リンギから3,200リンギに36%値上げしたと発表した。

ベルナスは、この価格調整はコメの世界的な価格設定に沿ったものだとし、気候変動、為替レートの下落、営業コストの高騰、地域紛争といった予測不可能な要因により、上半期は厳しい状況に直面し、さらにインドが発表した白米輸出禁止措置によって状況が悪化したと説明。ここ数年は価格上昇を吸収してきたが、今後の状況も不透明であり、持続可能な事業運営や業界の安定性確保の必要性を考慮した結果、値上げは必要かつやむを得ないものだと判断したとした。一方、政府や海外取引先と協力の上、コメの安定供給は可能だとしている。

モハマド・サブ農業食糧安全相はベルナスの発表を受け、7日にも同社およびコメ農家と会合を開き、コメの国内供給について協議すると明らかにした。同氏は、以前の鶏卵の供給問題と同様、関係者全員で協力し合えば問題は克服できるとし、国内産米の輸入米偽装への厳しい措置を行い、また、連邦農産物マーケティング庁(Fama)が業界関係者と協力の上、供給不足に陥っている地域にコメを送るとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月3日、ザ・スター、9月2日)

星ーマレーシア間の豪華列車、来年運行再開へ

【クアラルンプール】 観光列車サービスのイースタン・アンド・オリエンタル・エクスプレス (E&O) は4年間の運休を経て、2024年にシンガポールーマレーシア間の豪華列車の運行を再開する。

シンガポールのウッドランズ駅を出発し、ペナン、ランカウイ、タマンネガラ国立公園などを巡った後、再びシンガポールに戻る。 11月ー2月に「エッセンス・オブ・マレーシア」、3月ー10月に「ワイルド・マレーシア」という3泊4日の2コースを提供し、料金は1人あたり3,410米ドル(食事やエンターテインメント、アクティビティなどを含む)からとなる。

同列車はパンデミックの影響で2020年に運行を停止していたが、マレーシア国鉄(KTMB)が今年2月、運行再開に向け、E&O運営会社である英ベルモンドと協力契約を締結していた。

業界関係者によると、ベルモンドは、パンデミック後に飛行機に代わる環境に優しい交通手段への需要が高まっていることから、利用客数増加について楽観視している。シンガポールーマレーシア間の運行を開始した後、タイのバンコクにも路線を拡大する計画で、KTMBは、鉄道産業強化や国内観光の復活に向け、より多くの路線の運行を目指しベルモンドと協議を継続しているという。

KTMBは1991年からE&Oと提携。E&Oの豪華列車は1993年に運行を開始し、シンガポールからバンコクまで乗客を運んでいた。再開後にはスタイルが一新され、寝台車8両、食堂車2両、ピアノバー、オープンエアの展望車が連結される。客室は3つのタイプから選ぶことができ、すべて専用バスルームが付属する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月1日、ベルモンド発表資料)

大量遅延発生でマレーシア航空謝罪、機内食契約打ち切りで

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)が8月31日付けで機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシズ(BFS)との契約を打ち切った影響から翌9月1日には大量のフライト遅延が発生し、マレーシア航空が謝罪する騒ぎとなった。

マレーシア航空によると、機内食の問題により約20%のフライトが予定通り離陸できず、フライトが遅延した。雨天とクアラルンプール新国際空港(KLIA)の駐機場の変更によって問題がさらに悪化したという。マレーシア航空は「調整上の問題が発生したが、関連パートナーと積極的に対処している」としており、同日午後12時の時点で、ほぼ80%の便が予定通り離陸したと明らかにした。

これに続きマレーシア航空は3日、影響が出ている便に関しては特別食の対応ができないため乗客による食事の機内持ち込みを認めると発表した。ただし自己加熱式の食事やハラル(イスラムの戒律に則った)以外の食事の持ち込みは禁止で、液体は100ミリリットル以下といった航空会社の既存の持ち込み規定に従う必要があるという。

マレーシア航空はBFSとの契約打ち切りに当たり、新たな機内食サービスへの移行のために影響を受ける一部の便では当面、クラスとフライト時間に応じて事前にパックされた代替食が支給されると発表。影響を受ける乗客に対し、電子メールやショート・メッセージ・サービス(SMS)で最新情報を受け取ることができるよう、自社ウェブサイト上の「マイ・ブッキング」で連絡先を更新するよう促した。なおBFSと関係のないその他の便は現在、機内食を提供しているポス・アビエーションが引き続きサービスを提供するとしている。

国内最高層ビル「ムルデカ118タワー」、70%の入居が決定

【クアラルンプール】 国内最高層であり、ドバイのブルジュ・ハリファに次いで世界で2番目に高いビルとなる商業ビル「ムルデカ118タワー」の約70%で、入居企業がすでに決まっている。所有企業である政府系PNBムルデカ・ベンチャーズのアブ・アジズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

アジズCEOはメディア向け視察会で、親会社の国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)が年内に入居し、その後、銀行最大手のマラヤン・バンキング(メイバンク)などが1年以内に入居すると説明。アンカー・テナントであるメイバンクは33フロアを占有する予定だとした。

ムルデカ118タワーは、複合開発「ムルデカ118」の一部で、賃貸可能面積は約170万平方フィート。現在97.8%が完成している。8ー96階がオフィススペースとなり、97ー112階に5つ星ホテルの「パークハイアット・クアラルンプール」が入居する。115階と166階には展望台「ザ・ビュー・アット118」、117階にはカンファレンスセンター、118階には多目的イベントスペースを設ける。
アジズ氏はまた、ムルデカ118開発の一環として、65階建てのムルデカ・レジデンス・イースト・タワーと63階建てのムルデカ・レジデンス・ウエスト・タワーの住宅棟2棟と、サービスアパートであるオークウッド・プレミアの建設を来年までに開始し、2027年の完成を目指すと述べた。
(エッジ、8月29日)

KLIAセントラルでのマレーシア航空のチェックインを再開

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール(KL)の「KLセントラル」とクアラルンプール新国際空港(KLIA)を結ぶ高速鉄道KLIAエクスプレスを運営するエクスプレス・レール・リンク(ERL)は、9月1日よりKLセントラル駅で、マレーシア航空(MAS)利用者のチェックインおよび受託手荷物の搬送サービスを再開する

チェックイン・カウンターは、KLセントラル駅構内のKLIAエクスプレス出発ロビーにあり、受託手荷物のX線検査を受けてから、チェックイン・カウンターで手続きを行うことができる。手続きは空港と同様で、チェックイン後に搭乗券を受け取る。

オンラインでチェックインを済ませている場合は、受託手荷物をカウンターで預けるだけで、自動的に手荷物はKLIAへ運ばれる。当面はMASのみが対象となるが、他の航空会社の手続きも可能になる見通しだ。

ERLは、同サービスの手続き再開を記念して今年12月31日まで、KLセントラルでチェックインをした顧客に、ERLのチケット購入に使用できる10リンギのクーポンを贈呈する。

IJMコープ、2本の高速道路でオープン決済の試験運用を開始

【クアラルンプール】 建設・不動産開発のIJMコープの高速道路料金部門は、同社が運営するスンガイベシ高速道路と新パンタイ高速道路(NPE)で、クレジットカードやデビットカードでも通行料金を支払うことができるオープン決済システムの試験運用を開始した。

チュア・ライフン最高執行責任者(COO)は、26日に始まった試験運用は、高速道路利用者に対して、代替の支払方法を提供するという政府の取り組みに沿ったものであると説明。オープンシステムの導入により、利用者は既存の支払い方法であるタッチ・アンド・ゴー(TnG)、スマートタグ、無線自動認識(RFID)に加え、デビットカードやクレジットカード、プリペイド・カードも利用できるようになったとした。

またチュアCOOは、利用者に対してカードの残高を確認するよう呼びかけた。特定のバンク・カードでの決済ができなかった場合も他の銀行のバンク・カードやTnGも使用できるという。
(ザ・サン、8月28日)

サバ州、年内に州独自の航空会社を設立へ

【ペタリンジャヤ】 サバ航空(SAASB)のケニー・チュア会長は、サバ州政府独自の地域内航空会社が来年までに設立される見込みだと明らかにした。年内にエアバスやボーイングなど、航空機3機のリース契約を締結する予定だとしている。

チュア会長は、交渉は段階的に進んでいるとし、同様に州独自の航空会社設立を目指し、マレーシア航空(MAS)傘下のMASウィングスの買収を決定したサラワク州よりも早く就航できる可能性があると言明。サバ州はかつて連邦政府の資金に頼りすぎていたが、今では外国からの投資を誘致できるとし、ライセンスや航空技術者、パイロット、空港も準備できているため、航空会社と貨物ターミナル・ハブがあれば運航が開始できると述べた。新航空会社の名称としてサバ航空、エア・ボルネオ、ボルネオ航空という3つの名称を検討しているという。

チュア会長は、新航空会社では既存の航空会社と競争できる、ローコストなビジネスモデルを採用するとし、クアラルンプールーコタキナバル間は現在、マレーシア航空、ファイアフライ、エアアジア、MYエアラインが就航しているが、サバ州住民、特に学生や公務員は、割引価格で新航空会社を利用することができるようにするとした。また、SAASBはコタキナバルのタンジュン・アルにあるエアアジア・ターミナル2を引き継いで貨物ターミナルとして再利用する予定だが、その前に土地問題の解決の必要があるとしている。

英字紙「ボルネオ・ポスト」によると、今年5月にサバ州独自の航空会社設立に向けた動議がサバ州議会に提出されたという。アジズ・カプラウィ元副運輸相も新航空会社設立を歓迎し、サバ州の観光産業の成長を促進し、中国や台湾などとの接続性も改善できると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月27日)

星ストアハブ、セルフストレージ施設を8カ所オープンへ

【クアラルンプール】 シンガポールのセルフストレージ・サービス大手のストアハブは、向こう2年間でセルフストレージ施設をマレーシアに8カ所オープンする計画だ。

24日にはマレーシアで4カ所目となるセルフストレージ施設「ストアハブ・オールド・クラン・ロード」をクアラルンプール(KL)のプチョンにオープンした。これによりマレーシアにおけるストレージユニット数は1,000ユニットを超え、総床面積は8万5,000平方フィートに達している。

デビット・チン最高投資責任者によると、首都圏クランバレー、ペナン州、ジョホール州南部を含む地域での開設を計画している。ストアハブが提供するストレージの広さは10ー400平方フィート以上で、月額料金は95.50リンギからとなっている。

同社グループは、事業拡大の一環として、マレーシアのセルフストレージ企業であるフレキシ・ストレージの過半数株を取得し、フレキシ・ストレージの施設を「ストアハブ・ストレージ・マレーシア」に変更している。

ストアハブはシンガポールで18カ所の施設を運営しており、日本や豪州、中国、香港、韓国、タイなどの15都市に進出している。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月25日、ベルナマ通信、8月24日)

経営難にある碧桂園のジョホール開発事業、とん挫の可能性

【クアラルンプール】中国の不動産開発大手、碧桂園の経営難が報じられており、マレーシア子会社のカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV)がジョホール州で手掛ける3件の住宅開発事業が途中挫折する可能性が出てきた。

碧桂園は8月6日に期限を迎えた約33億円相当の社債の利払いを履行できなかった。30日間の猶予期間内に支払わなければデフォルトになる。8月10日には1ー6月期の純損益が450億ー550億元(1元=20円)の赤字になる見通しも示した。

CGPVはフォーレスト・シティー、ダンガ・ベイなど3件の集合住宅を建設中だが、碧桂園は海外事業を処分する動きに出ており、シンガポールのテレビ局チャンネル・ニュース・アジアがジョホール州の不動産関係者の話として報じたところによると、建設が停止される可能性がある。

フォーレスト・シティーでは一部で入居が始まったが、ゴーストタウン化しており、住宅所有者によれば、住宅価値は70万リンギから40万リンギに下がった。ダガン・ベイの物件も売り出し時より50ー60%値下がりしたという。

ダガン・ベイでは住宅購入者の区分所有権登録が円滑に行われておらず、碧桂園が破たんした場合、購入者は所有者であることを示す証拠の提出という余分な手間が必要になりそうだ。
(マレー・メイル、8月23日)

ジョホールバルの不動産価格が上昇、シンガポールの需要を受け

【ペタリンジャヤ】 RHBリサーチは、ジョホール州ジョホールバルでは駅周辺地域の不動産価格やショッピングモールの賃貸料が上昇し始めていると明らかにした。

RHSリサーチは、不動産コンサルの英ナイト・フランクの報告書を引用し、ジョホールバルの高層不動産取引価格は、首都圏と同等レベルの1平方フィートあたり900ー1,100リンギに達しているとし、ジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)開発やシンガポールドル高の影響を受けていると述べた。シンガポールで賃貸料が高騰しており、またシンガポールドル高であることが、ジョホールバル中心部の賃貸需要を牽引しているという。RTS駅周辺の開発用地が不足していることから、既存地区の再開発を試みる業者もおり、現在の空き戸数の約57%にあたる7万1,000戸のサービスアパート供給など、多様なプロジェクトが計画されている。

RHBリサーチはまた、リンギ安に後押しされたシンガポール人の旺盛な消費力が、ジョホールバル小売業の業績やご来店者数を大きく押し上げていると言明。イオンモール・テブラウシティやミッドバレー・サウスキーなどのショッピングモールは、シンガポール人に人気があり、特に学校が休みの期間は満員になることが多いとした。ジョホールバルの小売スペースは現在2,000万平方フィートで、さらに今後2年間で180万平方フィートが供給される見込みだという。

ジョホールバル市内のホテル客室数については、過去6年間大きく変化していないが、客室料金は特に5つ星ホテルで大幅に上昇しており、シンガポール観光客数の増加だけでなく、国内需要の回復もその要因になっているとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月22日、フリー・マレーシア・トゥデー、8月21日)