米国衛星接続サービス「スターリンク」が国内で利用可能に

【クアラルンプール】 米スペースXが提供する衛星インターネット接続サービス「スターリンク」がマレーシアで利用可能となった。スペースXは、電気自動車(EV)メーカー・米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が所有する企業。

「スターリンク」は、低遅延で高速ブロードバンド接続を提供できるのが特徴。標準プランの場合、ダウンロード速度は25ー100メガビット/秒(Mbps)、アップロード速度は5ー10Mbps。利用料金は月額220リンギだが、専用の自動方向調整衛星アンテナ・キットの購入が必要。アンテナ価格は、家庭向けの標準キットで2,300リンギ、ヘビーユーザーや企業向けのハイパフォーマンス・オプションで1万1,613リンギ。30日間サービスを試用でき、試用後にキット返却により全額返金も可能。スターリンクのウェブサイトから利用を申し込め、キットは1ー2週間で発送される。

マレーシアはスターリンクが参入した60カ国目の国で、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域ではフィリピンに次いで2カ国目。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)によると、スターリンクが提供する価値や利益を考慮した結果、商業衛星サービス事業における「外資49%以下」という規定が免除され、100%外資系企業として事業を行うことが認められた。

マレーシア宇宙産業協会(MASIC)のショーン・シー副会長は、スターリンクの参入によって地元企業が不利な立場に置かれることについて懸念を表明。国内インターネット接続率は90%を超えており、スターリンクがなくても地元企業が接続サービスを提供できているとし、スターリンク衛星によって常に監視される危険性もあると主張した。スターリンク衛星はマレーシアの規制当局による管理が行われていないため、事前に、MCMCやマレーシア国立宇宙局の方針への準拠および国家安全保障や主権にまつわる問題について慎重に検討すべきだったと述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、7月26日、マレー・メイル、ソヤチンチャウ、7月25日)

ペルリス州が宝くじ販売を禁止、販売店の閉鎖始まる

【カンガー】 イスラム原理主義政党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)が政権を握るペルリス州は賭博に繋がるとの理由から4D宝くじ販売所の営業禁止方針を決定。これに伴い営業ライセンスの更新を停止しており、期限の切れた販売所の閉鎖が既に始まった模様だ。宝くじ販売店の営業を事実上禁止するのは、▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダーーに続く4州目となる。

華字紙によると、同州には販売所がカンガーに3カ所、パダン・ベサルに2カ所、クアラ・ペルリスに1カ所の合計6カ所あり、禁止決定前に更新していなかった4カ所は7月、9月、10月にそれぞれライセンス期限が切れ、更新済みの2カ所も来年1月、3月に期限が切れることになっている。

販売店のSTMロットリーが異議申し立てを行っているが、州政府幹部は禁止の立場を変えるつもりはないとし、他業種に転換するための猶予期間は十分に与えていると反論している。

ケダ州は今年1月から45の販売店舗すべてを閉鎖し、クランタン州とトレンガヌ州はそれぞれ1990年と2020年に禁止令を出している。
(ザ・スター、7月22日)

エアアジアスーパーアプリ、慈悲プログラムに参加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 キャピタルA傘下のエアアジア・スーパー・アプリは18日、低価格の商品やサービスを提供する「慈悲(ラーマ)プログラム」に参加すると発表した。

同プログラムの下で、首都圏クランバレーのプトラジャヤ・サイバージャヤ、ブキビンタン、バンダル・サンウェイ、バングサ・サウス、モントキアラの5カ所で配車サービス「エアアジア・ライド」の料金を最安1リンギで提供する。割引料金は、月ー金曜日の午後12時以降の利用(最低予約料金は5リンギ)で、1日あたり先着3,000件の予約に適用される。予約することで、乗客は「ライド・フライ・ステイ」ラーマパッケージが利用できるようになり、ホテルおよびフライトの予約の際に利用できる50リンギの割引クーポンコード「RAHMAH50」が提供される。

キャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、同プログラムにより、約20万人が恩恵を受けるとコメント。特にサービス提供エリア5カ所周辺の学校や大学の学生たちの手助けになり、より多くの人々が予算に負担なく、シームレスな交通体験を楽しめるようになることを願っているとした。

メイバンク、KLパビリオンブキジャリルに新コンセプト店を開設

【クアラルンプール】 銀行最大手のマラヤン・バンキング(メイバンク)は、クアラルンプールのショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」内に、物理的な店舗とデジタルを融合させた「フィジタル(フィジカル+デジタル)」コンセプトの支店を開設した。
メイバンク・パビリオン・ブキジャリル店」は、ブキジャリル近隣の約150万人の個人・法人顧客を対象に、効率的でシームレスなバンキングサービスを提供することを目的としており、5月初旬から営業を開始している。
5フロアを占め、1階のデジタル・ラウンジでは、オンライン取引や口座開設手続きをより迅速に行うことが可能。バーチャル・エンゲージメント・ルームでは、銀行担当者から1対1でメイバンクの商品やサービスについての説明を受けられる。プレミア・センターでは、デジタル資産管理サービスや資産運用アドバイスなどを提供。大口顧客に対しては、プライバシーを確保したプライベートルームや地下専用駐車場からの直接アクセス、入館時の顔認証などのサービスを提供し、限定イベントも開催する。法人顧客向けには、コマーシャル・バンキング・センターを用意している。
カイルサレ・ラムリ最高経営責任者(CEO)兼社長は、テクノロジーとカスタマーサービスの組み合わせにより顧客の銀行体験を向上させられるとし、新店舗での取り組みが、急速な技術進化や顧客ニーズへの対応を変革すると確信していると述べた。
(ザ・サン、7月21日、ビジネストゥデイ、7月20日)ネルギー移行指数(ETI)」において、マレーシアは東南アジアで最高の35位となった。

ETIは、120カ国・地域を対象に、現在のエネルギーシステムのパフォーマンスと、それを可能にする環境の準備状況について評価したもので、年1回発表されている。マレーシアのスコアは61.7で、内訳となるシステム・パフォーマンスが70.0、準備状況が49.3だった。

東南アジア諸国では、▽ベトナムが43位(スコア58.9)▽タイが54位(55.9)▽インドネシアが55位(55.8)▽シンガポールが70位(53.7)▽ラオスが83位(52.1)▽カンボジアが84位(52.1)▽フィリピンが94位(50.2)▽ブルネイが105位(47.3)ーーだった。

世界トップは、スコア78.5のスウェーデンだった。2位はデンマーク(76.1)、3位はノルウェー(73.7)。日本は27位(63.3)で、最下位はイエメン(40.0)だった。

ラフィジ・ラムリ経済相は、今回の結果は、マレーシアが迅速で安全かつ安価なエネルギー転換に向けた正しい道筋をたどっていることを示しているとコメント。マレーシアは立地や多様な再生可能エネルギー源(RES)、高技能人材などの優位性も有していることから、国内クリーンテクノロジー分野への投資を誘致できるとし、同分野への投資額は2022年に5兆リンギに達し、今後数年間は増加を続ける見込みだと述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、7月20日)

マレーシア航空、8月にボーイング「737-8」型機の受領を開始

【クアラルンプール】 マレーシア航空(MAB)は、8月にボーイングの新型「737-8」型機の初号機を受領すると発表した。

MABの19日付けの声明によると、2026年までに同機を25機まで順次拡大する。新型機には、ワイヤレス機内エンターテイメントシステム「MHスタジオ」が搭載され、座席表面には、伝統織物のソンケットをモチーフにし、複雑な模様や鮮やかな色彩を表現したデボス加工が施される。

MABの親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)のアハマド・ルクマン最高経営責任者(CEO)は、「737-8」型機の導入により、「卓越した旅行体験を提供する」というMAGの取り組みに基づいた、思い出に残る空の旅を届けられることを嬉しく思うとし、最高の文化、先進技術、持続可能な取り組みを融合させ、比類ない空の旅を実現できると述べた。

MAGは現時点で、子会社であるMAB、ファイアフライ、MASウィングス、MASカーゴを通じ、グループ全体で100機の航空機を保有している。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月20日、エッジ、ベルナマ通信、7月19日)

テスラの高速充電器、パビリオンKLの地下駐車場に設置

【クアラルンプール】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、20日のマレーシア市場参入に先駆け、クアラルンプール(KL)中心部のショッピングモール「パビリオンKL」地下駐車場に、高速DC充電器「スーパーチャージャー」を設置した。

自動車関連ポータルサイト「ポールタン」が19日に報じたところによると、テスラ充電専用の充電器8基が設置されているが、充電エリアは閉鎖されており、未稼働の状態だという。

テンク・ザフルル投資貿易産業相が4月に、テスラのマレーシア進出の条件は2026年までに「スーパーチャージャー」50基を国内に設置することだと述べていた。初期段階では、10カ所への設置が予定されており、そのうち5カ所は首都圏で、KLではブキジャリルとその他2カ所、セランゴール州ではデンキルおよびペタリンジャヤに設置される予定。首都圏以外では、ペナン州イポーおよびペラ、ジョホール州イスカンダル・プテリ、ネグリ・センビラン州での設置が計画されている。

アナリストらは、テスラのマレーシア参入はEV移行を促進すると見ている。シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)のリー・ヘングイエ専務理事は、テスラがクロスオーバー・スポーツ車(SUV)「モデルY」を比較的低価格で発売するため、他高級車メーカーも価格を下げざるを得なくなるとし、実際、テスラの中国進出時には、中国の自動車メーカー間の価格競争に火がついたとコメント。また、長期的な持続可能性に向け、政府がテスラと協力して、地域のEVサプライチェーンを発展させるべきで、将来的にテスラが国内で工場を設立することを期待していると述べた。

楽天トレードのエクイティ営業部長であるビンセント・ラオ氏は、EVセクターの見通しは明るく、政府による継続的な優遇措置や環境・社会・企業統治(ESG)に対する意識の高まりから、力強い成長が期待できると述べた。フィッチ・ソリューションズは、2023年のEV販売台数が5,850台に達すると予想しているが、テスラ関連のニュースを扱うサイト「テスララティ」 は18日、テスラ・マレーシアが発売後わずか4日で「モデルY」1万台の予約を確保したと報じている。
(ザ・スター、7月20日、ポールタン、7月19日)

ゴルフ用品販売のMSTゴルフ、ペナンに「ゴルフアリーナ」開設

【ジョージタウン】 ゴルフ用品販売大手のMSTゴルフは、ペナン州の「ガーニー・パラゴン・モール」に国内3店舗目となる「MSTゴルフ・アリーナ」をオープンした。面積は2万フィート以上で、州内最大の屋内ゴルフ施設となる。

「MSTゴルフ・アリーナ」には、フォーサイトの「GCローンチモニター」が設置されたゴルフ・シミュレーターのコーナーが設置されており、あらゆるレベルのゴルファーが米ペブルビーチなど世界的に有名なゴルフ場でのバーチャルプレイを楽しむことができる。またレストランやスポーツ・バー、ラウンジで、様々な料理を味わうことができるほか、小売店舗ではG/FOREやピーターミラーなど有名ゴルフブランドのウェアの展示や、HONMAやミズノなどのゴルフ用品の販売も行われている。

オープン記念式典の挨拶で、MSTゴルフの執行会長であるKPロウ氏は、「スリー・イン・ワン」のコンセプトの下で、1カ所で買い物、プレイ、食事ができる場所を導入できたことに興奮しているとコメント。「MSTゴルフ・アリーナ」のオープンにより、より多くのゴルファーを生み出し、半島北部地域のゴルフ環境を豊かにしたいとした。また、会員を13万人に増やすことも目標に掲げているという。

「MSTゴルフ・アリーナ」はペナン店のほか、クアラルンプールのミッドバレー・シティにある「ザ・ガーデンズ・モール」とセランゴール州ペタリンジャヤにある「トロピカナ・ガーデンズ・モール」にある。
MSTゴルフは7月20日に、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場する予定だ。
(ザ・スター電子版、7月17日)

TNG、アジア諸国へのオンライン送金サービスを開始

【クアラルンプール】 交通系ICカードやイーウォレットを展開する決済サービスのタッチ・アンド・ゴー(TNG)は、イーウォレット上でのデジタル送金サービス「ゴーレミット」を開始したと発表した。

「ゴーレミット」は東南アジア5カ国(インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)および、アジア諸国(バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ)の合計10カ国に安全に送金できるサービス。
事前にオンライン上での本人確認(eKYC)が必要となる。送金先として、銀行口座、イーウォレット、現金ピックアップ・ポイントへの送金が選択できる。現時点でバングラデシュのbKash、GCash、フィリピンのPayMayaといったイーウォレットに対応している。

TNGイーウォレットを運営するTNGデジタルのアラン・ニ最高経営責任者(CEO)は、TNGではマレーシアで働く多くの外国人労働者のニーズを満たす競争力のある為替レートや包括的ソリューションを提供しているとし、海外留学中の子どもへの送金や、外国人労働者の母国への仕送り送金などに利用できるとコメント。「ゴーレミット」を導入することで、銀行を代替するサービスを提供できるとし、将来的には提携パートナーを増やし、より多くの国にサービスを拡大する予定だと述べた。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月18日)

中国のチョコレート菓子「唇動」、ウェルスパイアが独占販売へ

【クアラルンプール】 ウェルスパイア・ホールディングスの食品輸出入子会社ウェルスパイア・グローバル・トレーディングは、中国の食品企業である唇動食品との間で、マレーシア、シンガポール、タイにおける唇動製品の独占販売代理店契約を締結した。
ウェルスパイアが13日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、契約期間は2023年7月13日から2026年7月12日まで。販売対象製品は、唇動のチョコレート・コーティング・ケーキ製品および3つのフレーバー(チョコレート、ミルク、ストロベリー・ラズベリー)ケーキなどとなる。
ウェルスパイアは今年1月、ブルサ・マレーシアのACE市場に上場。75.01%子会社バイ・リー・エンタープライズが、2月には中国洽洽食品とタイにおける販売代理店補足契約を更新し、3月には、香港企業のHHインターナショナル・エンタープライズとの間でも同じくタイにおけるスナック製品の販売契約を締結した。ウェルスパイア・グループの今年第1四半期(1ー3月)の売上高は3,405万リンギ、純利益は90万リンギだった。
(エッジ、ビジネス・トゥデー、7月13日)

有料テレビのアストロ、3億リンギをローカルコンテンツに投資

【クアラルンプール】 有料テレビ放送のアストロ・マレーシア・ホールディングスは、2024年度(2023年2月ー2024年1月)に3億リンギ以上をローカルコンテンツに投資すると明らかにした

ユアン・スミス最高経営責任者(CEO)は国営「ベルナマ通信」の取材に対し、2023年度には前年度比11%増の3億800万リンギをローカルコンテンツに投資し、1万300時間分のコンテンツを制作したと言明。アストロでは、主要ローカル番組、スポーツのライブ中継、世界的な人気番組、ブロードバンド接続をひとつにまとめたリーズナブルなサービスを提供することに重点を置いており、視聴者の多様な嗜好に応えられるように動画配信サービスも3種類用意していると述べた。

スミスCEOは、同社の独自の制作能力により、マレーシア人の興味を惹く、マレーシアならではのコンテンツ提供に全力を注いでおり、マクロ経済の逆風が家計や企業に影響を与えているが、変わらず顧客に価値や体験を提供していくとした。
スミスCEOによると、顧客の約25%がストリーミング動画配信とブロードバンド接続がセットになった新サービスを選んでおり、その結果、今年度第1四半期のユーザー1人当たりの月間平均売上高は、前年同期比1.3リンギ増の98.7リンギとなった。また、2022年3月にサービスを開始したブロードバンド接続サービス「アストロ・ファイバー」は、2023年の顧客数が前年比28%増加し、引き続き好調が続いているとした。

アストロは2023年2月、マレーシア・フットボールリーグ(MFL)と提携契約を締結し、2023ー2025年の3年間、マレーシア・リーグを放送すると発表。MFLのチャリティー・シールド(スルタン・ハジ・アフマド・シャー杯)、スーパーリーグ、FAカップ、マレーシア・カップにより構成されるマレーシア・リーグの公式放送局となっている。
(ザ・サン、7月14日)