【クアラルンプール】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、20日のマレーシア市場参入に先駆け、クアラルンプール(KL)中心部のショッピングモール「パビリオンKL」地下駐車場に、高速DC充電器「スーパーチャージャー」を設置した。

自動車関連ポータルサイト「ポールタン」が19日に報じたところによると、テスラ充電専用の充電器8基が設置されているが、充電エリアは閉鎖されており、未稼働の状態だという。

テンク・ザフルル投資貿易産業相が4月に、テスラのマレーシア進出の条件は2026年までに「スーパーチャージャー」50基を国内に設置することだと述べていた。初期段階では、10カ所への設置が予定されており、そのうち5カ所は首都圏で、KLではブキジャリルとその他2カ所、セランゴール州ではデンキルおよびペタリンジャヤに設置される予定。首都圏以外では、ペナン州イポーおよびペラ、ジョホール州イスカンダル・プテリ、ネグリ・センビラン州での設置が計画されている。

アナリストらは、テスラのマレーシア参入はEV移行を促進すると見ている。シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)のリー・ヘングイエ専務理事は、テスラがクロスオーバー・スポーツ車(SUV)「モデルY」を比較的低価格で発売するため、他高級車メーカーも価格を下げざるを得なくなるとし、実際、テスラの中国進出時には、中国の自動車メーカー間の価格競争に火がついたとコメント。また、長期的な持続可能性に向け、政府がテスラと協力して、地域のEVサプライチェーンを発展させるべきで、将来的にテスラが国内で工場を設立することを期待していると述べた。

楽天トレードのエクイティ営業部長であるビンセント・ラオ氏は、EVセクターの見通しは明るく、政府による継続的な優遇措置や環境・社会・企業統治(ESG)に対する意識の高まりから、力強い成長が期待できると述べた。フィッチ・ソリューションズは、2023年のEV販売台数が5,850台に達すると予想しているが、テスラ関連のニュースを扱うサイト「テスララティ」 は18日、テスラ・マレーシアが発売後わずか4日で「モデルY」1万台の予約を確保したと報じている。
(ザ・スター、7月20日、ポールタン、7月19日)