リンギ安は経済基礎的要因を反映せず=中銀・金融市場委

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラの金融市場委員会(FMC)は27日、リンギ為替に影響を与えている最近の金融市場の動向について議論するための会合を開催。「現在のリンギ安はマレーシア経済のファンダメンタルズを反映しておらず、行き過ぎている」とする声明を発表した。

FMCは、2022年に世界でも最高水準となる国内総生産(GDP)成長率(+8.7%)を記録したマレーシアの成長の勢いが継続的な国内投資活動、労働市場状況の改善、観光業の活況に支えられ、より緩やかなレベルではあるものの2023年も継続すると予想されるとした上で、 マレーシアの広範かつ多様な経済構造は、世界経済の減速による影響を和らげるのに貢献していると指摘した。

また、リンギと中国元の強い相関関係は馬・中両国の強い貿易関係によるものだとした上で、マレーシアの対外部門は製品セグメントと貿易相手国の両方で多様性を保っていることに留意することが重要だと指摘。 この点がリンギと中国元の間の緊密な協調運動を緩和するのに役立つとみていると指摘した。

さらにFMCは、リンギのボラティリティは地域通貨のボラティリティと同じく上昇しているものの、ボラティリティの上昇幅は不釣り合いに高く、これまでの相対的な動きから乖離していると指摘。 にもかかわらず、オンショア金融市場は依然として強固な基盤を維持しており、 リンギ為替のボラティリティは依然として地域の同業諸国の中で最も低いとした。

また債券市場については、MGS債の非居住者保有率は長期平均値の23.5%に近い水準で推移しているが、 重要なのはMGSがプラスの実質利回りを維持し続けていることであり、マレーシア債券市場に対する外国人投資家の関心が維持していることにあると指摘した。

その上でFMGは今後について、マレーシアの強力な経済ファンダメンタルズに加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利の出口政策がより明確化し、中国の景気刺激策から明るい兆しが見えれば、リンギや他のアジア通貨全般を下支えする可能性があると考えているとし、年末までに米ドルに対して広範な回復が続くとのアナリストやエコノミストによる最近の予測を引用した。

バティックエア、台湾経由でのKLー那覇線を8月就航へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 航空会社バティック・エア(旧称・マリンド・エア)は8月16日付けで、台北(桃園)経由でのクアラルンプール(KLIA)ー那覇線を就航すると発表した。

使用機材はボーイング「737-8MAX」型機。運航スケジュールは、月・水・金・日曜日の週4便で、「OD882」はKLIA発7時20分、台北着が12時15分。台北発が13時15分、那覇着が15時35分。「OD883」は那覇発16時35分、台北着17時20分。台北発18時20分、KLIA着23時5分。運賃は就航記念キャンペーン価格で片道1,419リンギからとなっている。

バティック・エアは、直行便の東京(成田)線、台北経由での札幌(新千歳)線および大阪(関空)線を運航しており、那覇線は4路線目となる。また、韓国・仁川線のデイリー運航も6月23日より開始している。

マレーシアでは7割が非接触型決済を利用=調査

【クアラルンプール】 決済カードブランド運営のビザが発表した「ビザ消費者決済実態調査」によると、マレーシアではおよそ70%が「非接触型決済を利用した」と回答し、前年の56%から増加したことがわかった。

非接触型の決済方法を利用する場所は、スーパーマーケットが53%と最も多く、2番目が小売店舗(46%)、3番目がレストラン(44%)となった。

また、92%が「クレジットカードやデビットカードを使用した」、86%が「現金を使った」と回答。4人中3人が「キャッシュレス決済を試したことがある」と回答し、67%が「数日以上キャッシュレス決済を試したことがある」と答え、キャッシュレス化が進んでいることが明らかになった。

ビザによると、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年には同社の決済取引件数のうち10件に3件が非接触型決済だったが、10件中8件に増加し、アジア太平洋域内で最も非接触型決済が成長した国の一つとなっているという。

同調査は、ビザがCLEARに委託して、昨年10月に18ー65歳の1,000人を対象に行ったもので、マレーシアの他、カンボジアやインドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムでもそれぞれ調査が実施された。
(ザ・サン、6月28日)

マレーシア航空やファイアフライ、7月から機内で無料Wi-Fi提供

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、7月1日から傘下の全航空会社の航空機内で無料Wi-Fiを提供すると発表した。MAGはマレーシア航空、ファイアフライ、MASウィングスを所有している。
MAGの声明によると、マレーシア発の航空機では初の試みとなり、マレーシア民間航空局からの承認を得た。従来は、航空機搭乗時にスマホ、パソコンなどの携帯電子機器(PED)の電源をオフにする必要があったが、今後は「機内モード」にするだけで搭乗直後から機内Wi-Fiに接続が可能となる。
MAGのアハマド・ルクマン最高経営責任者(CEO)は、Wi-Fiを搭載した航空機の数を拡大し、機内体験の向上を目指すと言明。今後も変化するニーズに応え、快適なフライトを提供するため、革新的な技術やサービスへの投資を続けていくとした。
MAGは機材の近代化計画に沿い、持続可能性への取り組みとともに、運航効率を高める新しい航空機や技術を導入する方針だ。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、6月27日)

ペトロナス、三井物産や仏トタルとCSS事業で契約を締結

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は27日、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業に向けて、三井物産(本社・東京都千代田区)および仏トタルエナジーズ・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズとの間で共同開発契約を締結したと発表した。

今回の契約は、2022年に交わした覚書に盛り込まれたイニシアチブをさらに推進するために締結したもので、CO2貯留に適したマレー半島沖合の枯渇油田や塩水帯水層の技術評価をもとにした開発計画の策定、潜在顧客の特定、商業的・法的枠組みの確立、液化二酸化炭素船による輸送や港湾設備の設計等を含むロジスティクスの最適化までCCS開発に向けたあらゆる分野で取り組みを実施する。今回の提携により、アジア太平洋地域初の統合型CCSソリューション提供に向けて道を拓くことができると期待されている。

三井物産の代表取締役専務執行役員である松井透氏は、同社が持つ石油・ガスの上流部門における専門知識とビジネス・ネットワークを活用して、トタルエナジーズやペトロナスと共にマレーシアにおけるCCSバリュー・チェーン事業に取り組んでいくとコメント。CCS事業の世界展開を通して、環境に優しい社会の実現に貢献すると述べた。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月28日、ボルネオポスト、6月27日、三井物産発表資料)

中古電化製品とゲームの英CeX、マレーシア1号店を開設

【クアラルンプール】 テクノロジー、コンピュータ、ビデオゲームに特化した中古品チェーンの英コンプリート・エンターテイメント・エクスチェンジ(CeX)は、マレーシア1号店をセランゴール州プトラジャヤの「IOIシティモール」にオープンした。

CeXはこれまで、アイルランドやスペイン、ポルトガル、メキシコ、豪州、インドなど10カ国に630店舗を展開している。マレーシア1号店はマスター・フランチャイジーであるヌオボライフ社がオープンしたもので、東南アジアの拠点となる。
ヌオボライフは今年、首都圏クランバレーにおいてCeXの店舗を拡大することを計画しており、8月にはセランゴール州チェラスにある「マイタウン」に2号店をオープンする。来年は首都圏以外に店舗を開設する計画だ。

ヌオボライフのザイマン・マルズキ最高経営責任者(CEO)は、マレーシアの店舗は英国のビジネスモデルを引き継いでおり、中古品の買取も行うとコメント。確実に事業を軌道に乗せていくため、電話やタブレット、ラップトップなどの一般的な家庭用電化製品、ビデオゲームや関連アクセサリ、カメラ、オーディオ機器などの1万点を超える在庫を用意しているとした。
(ソヤ・チンチャウ、6月25日)

東芝エネルギーシステムズ、テナガのCCS人材育成を支援

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東芝エネルギーシステムズ(本社・神奈川県川崎市)は、政府系電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の発電子会社TNBパワー・ジェネレーションとの間で、二酸化炭素(CO2)分離回収技術をマレーシアの火力発電所へ適用する検討を開始することに合意した。

両社協議の上、今年9月以降にTNBパワー・ジェネレーションの技術者を東芝エネルギーシステムズ施設に受け入れ、マレーシアの火力発電所への二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術導入を本格化させる。

今回の合意では、東芝エネルギーシステムズがこれまで発電設備を納入したTNBパワー・ジェネレーションが保有するジマイースト石炭火力発電所などを対象に、CCS設備の導入に向けた動きを推進する。具体的には、今年9月以降、TNBパワー・ジェネレーションの技術者を東芝エネルギーシステムズグループ内の関連拠点で受け入れ、CCS設備の導入・運転に関するトレーニング・人材育成支援などを行う。

本合意により、TNBパワー・ジェネレーションが火力発電所運営で培ってきた運転ノウハウと、東芝エネルギーシステムズが実証試験などで培ってきたCCS技術に関する知見および、マレーシアで築き上げてきたネットワークを有効活用し、マレーシアの火力発電所へのCCS設備導入を推進し、同国の脱炭素目標達成へ向けて貢献していく方針だ。

ジェトロKL、サンプル用いた日本食品マッチング事業開催へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、マレーシア食品市場における日本食品の新規参入・販路拡大に向けて、食品サンプルを用いたマーケティングとオンライン商談を組み合わせたマッチング事業を実施すると発表した。

特に今年度は、ハラル(イスラムの戒律に則った)市場を含む中間層市場の開拓を重点とする。また食品サンプルを用いたマーケティングを常時実施できる仕組みに加え、見本市への広報ブース出展も通じて、より重層的に商品を提案できる機会を創出する。

常時マーケティングは今年9ー11月の実施を予定しており、クアラルンプール近郊に食品サンプル展示スペースを設け、上記期間中、常時バイヤーに紹介できる場を設ける。同時に提携するコーディネーターが有望バイヤーを営業訪問し、能動的に商品提案を行う。

また「マレーシア国際ハラル・ショーケース(MIHAS)」(期間9月12ー15日)、「フード・アンド・ホテル・マレーシア(FHM)」(期間9月19ー22日)に広報ブースを設置し、日本食品サンプル(MIHASはハラル認証取得食品)を展示・紹介する。見本市終了後は常時マーケティングを通じて、継続的に商品PR支援を行う。このほかマーケティング・商品紹介を経て、関心を持ったバイヤーと随時オンラインで商談を実施する。

出品者の募集は7月7日まで行う。対象は食品全般(日本産の生鮮品、日本産原料を使用した加工品および日本国内で生産された他国産原料を使用した加工品)で、ジェトロKLは商品カタログを作成し、有望バイヤーにメルマガ等で広報するほか、申込商品はジェトロのバイヤー専用オンラインカタログサイト「JAPAN STREET」にも登録し、マレーシア国外のバイヤーにも紹介する。

新興格安航空MYエアライン、28日にバンコク線就航

【セパン】 新興格安航空会社のMYエアラインは、同社初の国際線として6月28日にクアラルンプール新国際空港第2ターミナル(KLIA2)ーバンコク線を就航する。

バンコクではスワンナプーム国際空港とドンムアン国際空港の両方に乗り入れる。スワンナプーム線は6月28日から、ドンムアン線は7月1日からの就航となる。

当初は2路線共に1日1往復で、スワンナプーム線はKLIA2発が10時20分、スワンナプーム着が11時45分。スワンナプーム発は12時45分、KLIA2発が16時15分となっている。またドンムアン線はKLIA2発が18時40分、ドンムアン着が20時00分。ドンムアン発は21時00分、ドンムアン着が翌日未明の0時20分となっている。

MYエアラインのレイナー・テオ最高経営責任者(CEO)は、同社はバンコクの2つの異なる空港に乗り入れる初の航空会社になると強調。徐々に1日4便に増やす予定だと述べた。

MYエアラインは昨年12月1日の初便就航以来、KLIA2とコタキナバル、クチン、コタバル、ランカウイ、ペナン、シブ、タワウ、ミリを結ぶ路線を開設し、6月初めに累計旅客数100万人を達成した。現在7機の航空機で運航しており、平均搭乗率は91%。バンコク線に8機目を投入する。

今後、プーケット、クラビ、チェンマイなどタイ国内への路線の拡大を計画しており、バリやジャカルタを中心としたインドネシア、ベトナム、シンガポールへの就航も計画している。
(ベルナマ、6月27日、MYエアライン発表資料)

電子部品のKOA、マラッカに新工場を建設へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電子部品の開発・製造・販売を行うKOA(本社・長野県上伊那郡)は26日、マラッカ州において新工場を建設すると発表した。竣工時の生産設備も含んだ総投資額はおよそ235億円。

同社の連結子会社であるKOAデンコー(マレーシア)は、主力の厚膜チップ抵抗器の生産を行っているが、今後の受注動向を総合的に判断し増産体制を構築することを決めた。既存工場と同じマラッカ州内に敷地面積8万3,718平方メートル、延床面積8万2,023平方メートルの新工場を建設し、生産性・収益性の更なる向上と安定供給を図る。環境への取り組みとして、生産棟と駐車場の屋根には太陽光パネルを設置する。今年10月に着工し、2025年3月の竣工を予定している。