PASが独自のスーパーアプリを発表、国内政党として初

【クアラルンプール】 イスラム原理主義野党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)は21日、国内政党として初めて、党独自のスーパーアプリ「マイワンPAS・マスターカード」を発表した。

PASのタキユディン・ハッサン事務局長は、「スーパーアプリは党のデジタル化に向けた取り組みの一環である」とし、利用者は、アプリを通じて政党に直接寄付できると述べた。寄付機能以外にも、PASが提供している保険「スキムPAS」や、礼拝の時間・方向(キブラ)の通知、ニュース、生活支援サービスなど、既存アプリの機能を統合し提供する。PAS党員以外の一般市民も利用可能。

料金収受システムのマネージペイ・システムズ(MPay)および国際クレジットカードであるマスターカードと提携し、電子ウォレットなどの決済機能も提供する。QRコード決済やマスターカードが発行するデビットカードの登録が可能。取引上限額は、電子ウォレットが2万5,000リンギ、マスターカードが1万リンギ。現時点ではアンドロイド版のみリリースされており、アイフォン版については近日利用可能となる。11月24日までにアプリの申請手続きや既存アプリの統合プロセスを完了させる予定だ。
(マレー・メイル、ワールドオブバズ、10月21日)

KLでパレスチナ支持のデモ開催、数千人が参加

【クアラルンプール】 パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織、ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、クアラルンプール(KL)のムルデカ広場で22日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの軍事行動に抗議し、パレスチナを支援するデモが行われた。

非政府組織(NGO)ビバ・パレスチナ・マレーシア(VPM)とヒューマニタリアン・ケア・マレーシア(MyCARE)が主催した「パレスチナに自由を」をテーマにした集会が午前9時から行われ、マレーシア国内に住むパレスチナ人や外国人を含む数千人が集まった。ファーミ・ファジル通信デジタル相も参加した。

参加者は、パレスチナの国旗を振り、反戦の横断幕やプラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げた。イスラム教徒、キリスト教徒、仏教徒のコミュニティーやNGOの活動家らがスピーチし、軍事行動の停止を訴えた。

集会は警察が見守る中、開催され、予定通り午後1時に平和裡に終了した。警察によると3,000人が参加したと見られる。

KLでは13日午後、パレスチナ支持を訴える超党派のグループが、イスラエルを支援する米国に対する抗議活動を行っていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月23日、アルジャジーラ、10月22日)

UMWT、新型トヨタ・アルファードとヴェルファイアを発売

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーター(UMWT)は、新型トヨタ・アルファードとヴェルファイアを正式に発売した。いずれも7人乗りの高級モデルで、5年間走行距離無制限のメーカー保証が付属する。

アルファードは、最上位モデルである「2.4Tエグゼクティブ・ラウンジ」のガソリン車をマレーシア市場に投入する。排気量2.4リットルのT24-FTSターボエンジンを搭載し、最高出力278PS、最大トルク430Nm/1,700-3,600rpmを発揮。車体カラーは、アルファード専用色のプレシャス・レオブロンドおよびパールホワイト、シルバー、ブラックの全4色。保険なしの価格は53万8,000リンギから。

ヴェルファイアでは、エントリーモデルである「2.5L」を投入する。排気量2.5リットルの2AR-FE4気筒エンジンを搭載し、最高出力182PS、最大トルク235Nm/4,100rpmを発揮。車体カラーはパールホワイト、シルバー、ブラックの3色を用意した。保険なしの価格は43万8,000リンギから。
(ザ・サン、ポールタン、10月23日)

ユニファイが5Gダウンロード速度で世界首位に=調査

【クアラルンプール】 調査会社の英オープンシグナルが発表した「2023年度5Gグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード」によると、「グループI」の「5Gダウンロード速度」指標でマレーシアのユニファイが、スウェーデンのテレノールと並び首位となった。

同アワードは、「5Gの可用性」、「5Gダウンロード速度」、「5Gゲーム体験」、「5Gビデオ体験」という4つの指標から5G体験についてランキングしたもの。国土の大きさにより5G展開の難易度が異なるため、国土面積が20万平方キロメートルを超える国・地域である「グループI」とそれ以下の「グループII」に大別し、ランク付けを実施した。マレーシアやスウェーデン、日本などは「グループI」に属している。

ユニファイとテレノールの5Gダウンロード速度は、ともに407.4ー421.7メガビット/秒(Mbps)だった。マレーシアのDigiも、384.1Mbpsで4位となった。Digiは「5Gゲーム体験」では日本のソフトバンクと並んで首位に立ち、100点満点で89.7ー90.2点を獲得。セルコムが89.3点で3位、ユーモバイルが88.3点で4位となった。

オープンシグナルは、5Gが本格的に導入されている国・地域では、4Gと比較して平均ダウンロード速度が3ー6倍向上し、動画ストリーミングやゲーム体験も顕著に向上していると説明。ユニファイのダウンロード速度の向上は、5G時代におけるマレーシアの進歩を示しているとした。
(マレー・メイル、10月19日、オープンシグナル発表資料)

プロトン「イゾラ」生産終了か、発売から14年

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスのCセグメント多目的車(MPV)「イゾラ」が、18日で生産終了した模様だ。20日午後4時時点で、プロトンは公式発表を控えている。

工場で撮影されたとみられる、最後の車体の写真がソーシャルメディア上に流出した。最後の車体のボンネットには「14年」、「最後のMPVイゾラ」、「ありがとう、プロトン」などと書かれ、台数を示す番号と日時が書かれている。

「イゾラ」は、プロトンがベースモデルなしに完全独自開発した初のMPVで、2009年4月に発売され、14年間の累計販売台数は19万6,583台に達した。当時子会社だった英ロータスと共同開発した「CamPro」エンジンを搭載。2011年からは「CamPro」CFEターボ・エンジンが搭載されたが、オイルクーラーホース(OCH)のトラブルに度々悩まされ、2016年には大規模リコールに発展した。

2023年式の保険なし価格は、「1.6TエグゼクティブCVT」が6万2,800リンギ、「1.6TプレミアムCVT」が6万9,800リンギだった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月19日、ポールタン、10月18日)

格安航空エアアジアX、経営難銘柄の指定解除ならず

【クアラルンプール】 ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)は18日付けの文書で、キャピタルAグループ傘下のエアアジアXから出されていた、経営難に陥った企業を対象とする「PN17」銘柄指定の解除申請を却下したことを明らかにした。エアアジアXは不服申し立てを検討する。

ブルサは拒否の理由を明らかにしていないが、投資アナリストは、新興格安航空のMYエアラインが12日、運航を開始してからわずか10カ月で資金難を理由に営業を停止した事案を背景に、審査が厳しくなった可能性を指摘した。

新型コロナウイルス「Covid-19」の世界的流行による航空需要の低迷で債務超過に陥ったキャピタルAも「PN17」指定を受けており、再建計画をブルサから拒否されている。

キャピタルAとエアアジアXは、エアアジアXがキャピタルA傘下のマレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンの航空事業を買収・統合する再編を計画しており、同アナリストによると、キャピタルAにとってはまずエアアジアXの「PN17」指定解除が必要だ。

証取はエアアジアXに再建計画提出の期限延長を2度認めており、今回は来年1月17日までの延長を認めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月20日)

米テスラが「モデル3ハイランド」を発売、新ショールームも開設

【クアラルンプール】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは19日、小型EVセダン「モデル3」のフェイスリフト版「ハイランド」を正式に発売開始した。

「ハイランド」のスタンダードモデルとなる後輪駆動車の価格は18万9,000リンギから、デュアルモーターの全輪駆動車が21万8,000リンギから。納車は年内に開始される予定。

テスラは、クアラルンプールのショッピングモール「パビリオン・ダマンサラ・ハイツ・モール」内に3,000平方フィートの面積を有する旗艦エクスペリエンス・センター(ショールーム)も開設したと発表した。「ハイランド」とクロスオーバー・スポーツ車(SUV)「モデルY」の展示を行うとしている。

テスラ地域ディレクターのイザベル・ファン氏は、「ハイランド」の発売に伴い、パビリオン・クアラルンプールおよびジョホール州のサンウェイ・ビッグボックスに設置している既存の充電設備に加え、さらに多くの急速充電設備の設置を計画していると言明。具体的には、首都圏クランバレーに5カ所、北部に2カ所、南部に2カ所など、国内12カ所に設置する予定だとした。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、ベルナマ通信、10月19日)

リンギが最安値を更新、一時的に1ドル=5リンギの可能性も

【クアラルンプール】 マレーシアの通貨リンギは19日、対米ドル為替で1米ドル=4.7703リンギと過去最安値を更新した。前回の最安値は、アジア通貨危機が発生した25年前の1998年で、1米ドル=4.725リンギだった。対米ドル相場で今年、円に次ぐ大幅下落となっている。

リンギ下落はイスラエル・ハマス紛争などを背景に、安全資産としての米ドルに資金が流れているためで、最大の貿易相手国である中国の経済減速もあって、マレーシアの輸出が9月まで7カ月連続して減少したことも要因となっている。

サンウェイ・ビジネス・スクールのイア・キムレン教授は、一層の利上げ観測を背景に米ドルは値上がりを続けており、1米ドル=5リンギまでリンギは下がる可能性があると指摘。ただ米経済の基礎的条件は弱まっており、米ドルが現在の水準を維持することはできず、景気の冷え込みとともに下落し、リンギを含むほかの通貨が米ドルに対し値上がりしていくと述べた。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ教授も同様に、1米ドル=5リンギまで下落する可能性があるとの意見だが、これは地政学的な不確実性とより安全な市場に投資が向かうための一時的なものだとし、長期的には4.0-4.5リンギの範囲で推移するとみている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月19日)

マレーシア人訪日者数、9月も大幅増の2万7500人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年9月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は2万7,500人となり、前年同月比で9.3倍、前月比で43.2%増となった。

JNTOによると、日本の水際規制緩和、ムハンマド生誕祭の祝日等の影響もあり、訪日外客数は大幅に増加した。また、2019年同月比ではマイナス4.4%となった。コタキナバルー成田間の復便、クアラルンプールー関西空港間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1ー9月では25万8,300人となり、前年同期比で22.3倍となったものの、2019年比では16.5%減となった。

9月の世界全体の訪日者数は、前年同月から10.6倍の218万4,300人となったが、2019年同月からは3.9%減となった。年初9カ月では1,737万4,300人となり、前年同期比16.9倍、2019年比マイナス28.8%となった。

JNTOは、個人観光再開から1年が経過し、訪日外客数は堅調に回復をしているところで、今後も、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客」の実現に向け、市場動向を綿密に分析しながら、訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとした。

22年の合計特殊出生率、過去50年間で最低の1.6人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は17日、2022年の人口動態統計を発表。2022年の合計特殊出生率(TFR)は、15から49歳の女性1人あたり1.6人となった。前年の1.7人から低下し、過去50年間で最低となった。

人口を長期的に一定に保つための人口置換水準はマレーシアでは2.1人だが、1970年から2012年までは水準を上回っていたものの、2013年から水準を満たさない状況が継続している。

民族別ではマレー系の出生率が最も高く、2.1人。一方、華人の出生率は全民族中最低の0.8人となった。州・地域別では、トレンガヌ州(2.9人)、クランタン州(2.7人)、パハン州(2.1人)を除き、すべての州・地域で出生率が人口置換水準を下回った。

2022年の出生数は42万3,124人で、2021年の43万9,744人に比べ3.8%減少した。そのうち男児が21万8,345人、女児が20万4,779人だった。州・地域別では、セランゴール州がトップで8万3,658人だった。死者数は20万6,525人で、前年比8.0%減少した。男性が11万7,790人、女性が8万8,735人だった。死者数もセランゴール州が1位となり、3万2,861人が死亡した。