閣僚月給20%削減、5G計画見直しなどを発表=首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された臨時閣議後の記者会見で、新政権の取り組みについて発表した。

経済が回復するまで、閣僚の月給を20%削減する。選挙時の公約に基づくもので、首相就任直後に自身の給与は受け取らないと発表していた。「1980年国会議員(報酬)法」によると、首相の月給は2万2,826.65リンギ、副首相は1万8,168.15リンギ、閣僚は1万4,907.20リンギ。

前政権が導入した5Gネットワーク計画については、透明性が足りないため見直しを行うとした。現在、5G回線は国営デジタル・ナショナル(DNB)による単独卸売制となっているが、各通信企業からその価格や透明性、国による独占について懸念が示されていた。

また、4桁の数字を当てる「4D宝くじ」について、来年以降、特別抽選を年8回に制限するとした。「4D宝くじ」の通常発売は週3回だが、政府は今年、それに加えて特別抽選を22回行う許可を出している。アンワル首相は、以前の希望同盟(PH)政権下では特別抽選が8回だけであったため、その回数に戻すとした。

一方、2023年度予算案については、改善を行う予定だとしたが、特定の項目についての撤回は考えていないと述べた。

来年度予算は早くて1月に再提出=ラフィジ

【クアラルンプール】 2日に発足したアンワル・イブラヒム内閣で初入閣したラフィジ・ラムリ経済相は、2023年度予算案について、国会への再提出が早くても1月初めになる見通しであることを明らかにした。

ラフィジ氏は今月19、20日に開催される初国会でまずは報酬に関する予算を提出し、その後1―2カ月かけて完全な予算案を国会に提出することになると言明。現在詳細に部分に関して検討を行っているとしたが、内容については時期尚早だとして言及を避けた。

来年度予算案は10月7日に前イスマイル・サブリ政権より国会に提出されたが、本格的な審議が行われないまま国会が同月10日に解散となり宙に浮いていた。当時のテンク・ザフルル財務相は通産相に横すべりし、財務相ポストはアンワル首相が兼任している。

またラフィジ氏は、経済相としてマレーシアを高所得国家にすることに注力していくと強調。成長が遅れ貧困者が多い州に重点を置き産業振興に力を入れていくとし、テクノロジーや知識経済だけでなく、持続可能な開発目標にも焦点を当てる必要があると述べた。その上で経済政策の見直しについては、向こう数週間から数カ月内に情報を公開していく考えを示した。

(エッジ、ベルナマ通信、12月5日)

アンワル内閣の陣容発表、副首相にザヒド元副首相起用

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム新首相は2日、新政権の閣僚人事を発表した。アンワル首相がすでに約束していた通り、総勢28人の閣僚のみのコンパクトな内閣となった。イスマイル・サブリ・ヤアコブ前政権では正副大臣ポストが67人分も設けられていた。

連携して与党連合・希望同盟(PH)を支えることになった国民戦線(BN)、サラワク政党連合(GPS)から、それぞれアハマド・ザヒド総裁(元副首相、UMNO総裁)、ファディラ・ユソフ前公共事業相(サラワク・ブミプトラ保守党=PBB党首補)を副首相に起用。汚職で裁判を抱えているザヒド氏の起用は反汚職を期待していた有権者や野党から批判を浴びかねない決断だけに一層透明性のある清廉な政権運営が求められそうだ。なおザヒド氏は地方地域開発相、ファディラ・ユソフ氏は農園一次産業相をそれぞれ兼任する。

要である財務相はアンワル首相が兼任する。PH構成党幹部からは、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首が農業食糧安全相、人民正義党(PKR)のラフィジ・ラムリ副党首が経済相、サイフディン・ナスシオン書記長が内務相、ニック・ナズミ・ニック・アハマド党首補が環境天然資源気候変動相、民主行動党(DAP)のアンソニー・ローク党首が運輸相に起用された。UMNOからはモハマド・ハサン副総裁が国防相に、カレド・ノルディン総裁補が高等教育相に起用された。

このほかの閣僚人事は次の通り。

◎外務相・・・ザンブリー・アブドル・カディル

◎通産相・・・テンク・ザフルル

◎教育相・・・ファドリナ・シデク

◎保健相・・・ザリハ・ムスタファ

◎公共事業相・・・アレクサンダー・ナンタ・リンギ

◎人的資源相・・・V.シバクマル

◎女性家族相・・・ナンシー・シュクリ

◎通信デジタル相・・・ファーミ・ファジル

◎地方行政開発相・・・ンガ・コーミン

◎科学技術相・・・チャン・リーカン

◎首相府相(法務・制度改革担当)・・・アザリナ・オスマン

◎国内取引物価相・・・サラフディン・アユブ

◎観光芸術文化相・・・ティオン・キンシン

◎青年スポーツ相・・・ハンナ・ヨー

◎起業家開発共同組合相・・・イーウォン・ベネディック

◎国民統合相・・・アーロン・アゴ・ダガン

◎首相府相(サバ・サラワク州問題)・・・アルミザン・モハマド・アリ

◎宗教問題相・・・モハマド・ナイム・モクタル

これに先立ちアンワル首相は、経費削減のため内閣をスリム化する意向を示しており、効果が期待できない特使の指名を控え、極力5年間の任期を全うする考えを示していた。なおアンワル内閣は5日に初閣議を開いて閣僚のムダ遣いをなくすための新たなル―ルを設ける方針だ。

全てのマレーシア人の権利を保証=アンワル新首相

【カジャン=マレーシアBIZナビ】 第10代首相に選出されたアンワル・イブラヒム首相は24日、就任後初の会見を開き、憲法に明記されている公的宗教としてのイスラム教の位置づけやマレー語の公用語としての特別な位置づけ、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の地位、統治者の地位などを保証しつつ、民族や宗教に関係なくすべてのマレーシア国民の権利を保証することを約束した。

アンワル首相は、政策の焦点を経済に置いているとした上で、貧困者の福祉が守られるよう経済回復に必要な措置をとっていくと強調。大連立政権は、総選挙で82議席を獲得して首位となった自身が率いる与党・希望同盟(PH)と30議席を獲得し第三勢力となった国民戦線(BN)、23議席を獲得し第四勢力となったサラワク政党連合(GPS)で組織するが、他の政党もすでに協力する意思を示していると述べ、良好なガバナンスや反汚職、すべてのマレーシア人のためのマレーシアという原則に従うことを条件にすべての人々を受け入れると表明した。

■12月の初国会で自身への信任投票を実施■
また73議席を獲得し第二勢力となった国民同盟(PN)を率いるムヒディン・ヤシン元首相がアンワル政権の正統性に疑義を申し立てていることについて、12月19日の開会を予定している初国会で、自身に対する信任投票に応じる考えを表明。支持を表明している下院(定数222)議員が過半数を上回る130ー140人に上っていると自信をみせた。
ムヒディン氏は自身への支持がアブドラ国王が名簿提出期限を延長する前にすでに過半数を超える115人に上っていたと主張。改めて国会で信任投票に応じるようアンワル氏に求めていた。

■副首相2人、東マレーシアからも起用■
閣僚人事については、東マレーシアで最大のGPSの協力が欠かせないとして、副首相に半島部と東マレーシアから1人ずつ指名する考えを示した。
前イスマイル政権で国会に提出されたまま宙に浮いている来年度予算案については、新たな予算案もしくは修正した予算案を年明けにも再提出する考えを示した。
アンワル首相はこのほか、28日(月)を休日とすると発表した。

岸田文雄首相は25日、アンワル首相に対して祝意を表する書簡を発出した。

アンワル氏が第10代目首相に就任、大連立政権を樹立へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 第10代総理大臣に先の総選挙で最大の政党連合となった希望同盟(PH)のアンワル・イブラヒム会長(元副首相、人民正義党=PKR党首)が選出され、24日、王宮で就任宣誓を行った。

PHを含めた連立政権には第三の政党連合、国民戦線(BN)のほか、第四の政党連合、サラワク政党連合(GPS)やサバ国民連合(GRS)、そして最後までPH主導の連立政権への参加に抵抗していた第二勢力の国民同盟(PN)も合流する意向を示しており、最終的にこれらを糾合した大連立政権を樹立することになる見通しだ。大連立の大所帯を運営するにあたって、アンワル新首相は閣僚ポストを各勢力にどのように配分するか早速手腕が試されることとなる。

19日に行われた総選挙では下院(定数222)でPHが82議席、PNが73議席を獲得したが、いずれも過半数に届かなかった。このため両勢力は過半数掌握に向け、30議席を獲得したBNやサバ・サラワク州の地方政党と水面下での連立交渉を進めていたが、カギを握るBNがいずれの勢力とも連携しないと宣言したため両勢力共に決め手を欠き膠着状態に陥っていた。

打開に向けて仲介に乗り出したアブドラ国王が、各勢力の代表と面会して大連立を持ち掛けたことで事態が動き、方針を巡って内部対立が起きていたBNがPH支持に方向転換したことで過半数獲得のメドがたった。

アンワル氏は1947年8月10日生まれの75歳。イスラム青年組織のリーダーを経て1981年にBNを率いる統一マレー国民組織(UMNO)に入党。すぐに頭角を現して、当時のマハティール・モハマド内閣で文化青年スポーツ相、農業相、教育相などを歴任し、1991年に財務相、1993年には副首相に就任した。しかし1997年に打ち出した縁故主義打破などを謳った改革がマハティール首相の逆鱗に触れ、1998年9月に解任され、同性愛容疑で逮捕・投獄されるという政治的弾圧を受けた。

アンワル氏不在の間は、妻のワン・アジザ氏ら支持者が人民正義党(KEADILAN、後のPKR)を結成。華人系野党・民主行動党(DAP)などと野党連合PHを結成し勢力を拡大し、さらには打倒BNを掲げて仇敵のマハティール氏とも和解を実現し、2018年の総選挙ではついに政権奪取に成功した。アンワル氏はこれに合わせて国王から恩赦を受けて出獄し、PKR党首となってPH政権を支えた。

PH政権で首相となったマハティール氏とは総選挙前に1年後に政権を譲るとの密約があったが、マハティール氏が約束を先延ばししたことで両者の溝が深まり、マハティール氏支持者らがアンワル氏とDAPの排除を目指して野党となったUMNOや汎マレーシア・イスラム党(PAS)を取り込んで政変を起こし(2020年のシェラトン・ムーブ)、アンワル氏は首相になれないまま再び野党の身となっていた。

落選のマハティール氏、今後は執筆活動に注力

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 19日に投開票が行われた第15回総選挙で落選したマハティール・モハマド元首相(祖国戦士党=ペジュアン会長)は23日、長い沈黙を破って声明を発表し、今後は執筆活動に注力していく考えを明らかにした。

総選挙ではペジュアンが中心となって結成した新たなマレー系政党連合・祖国運動(GTA)として合計125選挙区に候補者を擁立したが、すべて落選。マハティール氏は前回総選挙と同じケダ州ランカウイ選挙区から出馬したが、得票率はわずか6.8%で5人の候補者の中で4位に沈んだ。

マハティール氏はフェイスブックへの投稿で、「選挙での敗北は悲しいが、国民の決定を受け入れる」と表明。今後ペジュアンができることは新政権の行動を監視することだと述べ、総選挙の勝者がどの政党連合であるにしろ、直ちに政権を樹立し国が抱える問題を解決することを期待するとした。

また自身の今後の活動については、「英国植民地時代に起きたことを含め、マレーシアで起きた多くの出来事がまだまだ記録されていない」と述べ、マレーシアの歴史と出来事について執筆することに集中する考えを示した。

マハティール氏は総選挙に出馬するにあたって、これが最後の選挙になると述べており、97歳という高齢もあって事実上の引退となる見込みだ。

18ー20歳の投票率は75%で全体上回る=Undi-18

【クアラルンプール】 選挙権年齢の18歳への引き下げ運動を主導していたUndi-18によると、年齢引き下げによって新たに有権者となった1820歳の第15回総選挙における投票率が75%に上ったと推定され、全体の投票率73.89%を上回った。全体の投票率は2018年の前回総選挙の82.3%を下回った。

 18ー20歳の有権者人口は144万人で、選挙委員会が1月17日に発表した全有権者名簿の記載人数2,103万人の6.9%を占めている。18ー21歳の有権者数はセランゴール州が28万495人で最も多く、これにジョホール州(17万6,618人)、サラワク州(13万3,015人)が続いた。
Undi-18の共同創始者のサルマ・ピライ氏は、18ー20歳だけを見れば全有権者の6.9%に過ぎないが、18ー40歳の若者世代が全有権者の51%を占めていることが重要だと指摘。若者の票が選挙結果に大きな影響をもたらしたとし、特に若い政治家を選ぶ傾向が強まったことへの意義を強調している


マレーシア国際イスラム大学のトゥンク・モハル・トゥンク・モハマド・モクタル氏は、18ー20歳の投票傾向を分析するには時期尚早だと指摘。無党派の若者主導のイニシアチブ、Yポリティクスのロー・カームン氏は、2020年の政変を機に政策を考える新たな若者組織が誕生したが同時に多くの若者が政治から距離を置き始めたとし、既存の政治制度へのネガティブなイメージが若者の政治参加を加速させるのどうかは分からないと指摘している。
(ザ・サン、11月23日、SAYS、11月20日)

アブドラ国王が23日にも次期首相を決定へ、各勢力と面会

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アブドラ国王は22日午後、先の総選挙で最大勢力となった希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム会長(元副首相)と第二位の勢力となった国民同盟(PN)のムヒディン・ヤシン前首相を王宮に呼んだ。翌23日には第三の勢力である国民戦線(BN)の議員30人全員を王宮に呼んで個別に意見を聞く予定で、その上でアンワル氏とムヒディン氏のどちらを首相に指名するか最終決定する方針だ。

国王との面会後、アンワル氏は記者会見を開き、次期首相が誰になるかまだ決まっていないと述べた上で、「国王は人種、宗教、地方に基づく、より包括的な安定政府の形成を望んでいると述べ、そうすれば政府は国民の抱える問題の解決や経済復活に専念できるようになると述べた」と明らかにした。

一方、ムヒディン氏は、国王よりPHと協力するよう求められたが、PN内部での合意に基づき拒否したことを明らかにした。

19日に実施された総選挙では下院(定数222)選でPHが82議席、PNが73議席を獲得したがいずれの政党連合も過半数に届かず、過半数掌握に向けてサバ・サラワク州の地方政党やBNなどと水面下での連立交渉を進めていた。しかし22日になってBNが最高幹部会議を開催し、どの政党連合とも連立せずに野党にとどまることを全会一致で決定したことで、膠着状態となることが決定的となっていた。

次期首相推薦者名簿の提出期限を24時間延長=アブドラ国王

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アブドラ国王は21日、各政党や政党連合に求めていた組閣に向けて各陣営が確保した下院議員名簿の提出期限について、22日午後2時まで24時間延長すると発表した。政党や政党連合からの要請を受けたためだと説明している。

19日に投開票が行われた第15回総選挙では、下院議会(定数222)選挙においてアンワル・イブラヒム元副首相(人民正義党=PKR党首)率いる希望同盟(PH)が82議席でトップとなったが、ムヒディン・ヤシン前首相率いる国民同盟(PN)が73議席で肉薄しており、共に過半数に届かなかった。両陣営とも過半数獲得を目指して各政党と連立交渉を行っており、共に過半数獲得のメドがたったと主張している。

PNのハムザ・ザイヌディン書記長は21日、すでに112人分を超すムヒディン氏を次期首相に推薦する旨の宣誓書(SD)を提出したと明らかにした。ムヒディン氏は20日、22議席を獲得したサラワク政党連合(GPS)のアバン・ジョハリ党首と会談。アバン氏はPN及び30議席を獲得した国民戦線(BN)、6議席を獲得したサバ国民連合(GRS)と新政権樹立に向けて協力していくと述べていた。

一方、アンワル氏は21日、アハマド・ザヒド総裁(元副首相)やイスマイル・サブリ・ヤアコブ総裁補(暫定首相)らBN幹部と連立への参加を巡って話し合いを行った。ザヒド総裁は同日、国王に名簿提出期限延長を求めたのがBNであることを公表。他の政党連合との連立交渉の時間を必要としたことを明らかにした。

総選挙で希望同盟が首位も過半数とれず、国民同盟が肉薄

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 第15回総選挙が2選挙を除いて19日に行なわれ、即日開票されたが、定数222のうち過半数を獲得した政党連合はなく、政権樹立を向けた連立結成を巡る駆け引きが活発化している。

国民戦線(BN)、国民同盟(PN)、希望同盟(PH)の3政党連合による接戦が予想されていたが、PHが共闘先を含めて82議席を獲得して首位となり、続いてPNが73議席と躍進した。PHとPNはいずれも過半数に満たないため、連立相手を模索する必要がある。

連立政権結成に向けた動きの中でがぜん注目を集めているのは、22議席を獲得したサラワク政党連合(GPS)、6議席を獲得したサバ国民連合(GRS)といったサバ・サラワク州の地方政党で、PHとPNのどちらの陣営が取り込めるかが焦点となる。「キングメーカー」となることで今後は一層サバ・サラワク州の発言力が高まりそうだ。

イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相が所属するBNは30議席と惨敗したが、サバ・サラワク州の地方政党の動向しだいで連立政権への協力をちらつかせることで存在感を示す可能性がある。

アンワル・イブラヒム会長(人民正義党=PKR党首)率いるPHは、汚職を嫌う若者・知識層を中心としたマレー・リベラルや非マレー勢力の支持を集めたが、前回2018年総選挙から大幅に議席を減らし過半数に届かなかった。政権を樹立するためには他の党派との連立を組む必要があるが、PH構成党の民主行動党(DAP)がマレー系諸政党から敵視されていることがネックとなっている。ただアンワル氏は提携先を明らかにすることは避けた上で「連立を組む準備は出来ており、過半数を超えている」と述べた。

ムヒディン・ヤシン前首相率いるPNは、当初は劣勢が予想されたが選挙戦後半で挽回。特に構成党であるイスラム原理主義政党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)が49議席と大幅に議席を増やしたことが寄与した。ムヒディン氏は王宮から政権樹立に向けた前提条件を知らせる手紙を既に受け取っていると公表。「PHやBNは歓迎しないがその他の政党は受け入れる」と述べ多数派工作に自信を示した。

批判を浴びながら早期解散・総選挙を強行した国民戦線(BN)は、改選前の41議席から30議席に大幅に議席を減らした。汚職で訴追を受けている身ながら傲慢な発言が続くアハマド・ザヒド総裁(元副首相)が居座っていることでかねてから指摘されてきた「汚職と古い体質」が変わらないと頼みのマレー有権者にもノーを突き付けられた格好だ。ザヒド総裁には所属する統一マレー国民組織(UMNO)党内からも批判の声が多く、辞任圧力が強まりそうだ。

マハティール・モハマド元首相が率いる祖国戦士党(ペジュアン)は116人もの候補者を擁立したにも関わらずマハティール氏本人やムクリズ党首も含めて全敗した。マハティール氏は97歳という高齢もあり引退を余儀なくされそうだ。