日系企業アンケート、コロナ禍から回復傾向も非製造業で遅れ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)とジェトロ・クアラルンプール事務所は5日、2022年度在マレーシア日系企業アンケート調査を発表。生産・稼動状況は製造業の35.8%が「新型コロナ前の水準以上」、28.4%が「同等」と回答したのに対し、非製造業では「新型コロナ前の水準以上」が5.3%にとどまり、「同等」が45.3%と最も多かった。
同調査は毎年1回実施しているもので、今年は2022年1月19日から2月18日にかけてJACTIM加盟557社を対象に行い、174社から回答を得た。
生産・稼動状況が「コロナ前以下」という回答は、製造業では35.8%だったが、非製造業は49.3%に上り、非製造業の方が回復が遅れていることをうかがわせる結果となった
課題については、製造業では「労働力不足」を挙げた比率が66.3%と突出。「海外サプライヤーからの納品遅延」、「輸送に関する問題」もそれぞれ59.2%、57.1%と高かった。非製造業は「国内営業活動の制約」が52.6%と最も多く、対面での活動制限が足かせとなっている様子をうかがわせる結果となった。
2021年12月にマレー半島で起きた大規模洪水の影響については、最も被害が深刻だったセランゴール州では「取引先の被害が残る」と「被害を受けたが復旧済」とする回答が同率トップだった。具体的な課題としては「原材料や部材の調達」が20.7%と最も多く、これに「事業継続計画(BCP)の策定」が続いた。洪水の影響で、サプライチェーンへの影響が「出ている」と回答した企業は全体で21.1%、製造業では27.8%あった。影響が出ている場合の対応策としては、「原材料や部品の調達先の(一部)変更」が多く挙がった。その代替先としては「マレーシア国内」との回答が約6割、「海外で」とする回答も約3割あった。
今後の事業方針については、前回調査に続いて「事業拡張」が2割強を占め、マレーシアの中長期的の魅力については相変わらず「英語力」、「安全・治安」、「親日的」が上位を占めたが、前回2位だった「少ない自然災害」は大規模洪水の影響から5位に後退した。雇用環境の課題については、「賃金上昇」や「定着率」、「外国人労働者の採用」を挙げる声が多く、製造業では6割が外国人労働者の雇用再開を希望していることがわかった。

日系企業の景況感が大幅回復、8期ぶりにDI値がプラスに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)は5日、JACTIM会員企業を対象に実施した2022年上半期の景気動向調査を発表。「良好」から「悪化」を引いたDI値がプラス9.4ポイントに大幅回復。8期ぶりにプラスに転じた。
同DI調査は半年に1度行っているもので、今回は2022年1月19日から2月21日にかけて557社を対象に実施し、42.0%にあたる234社(製造業140社、非製造業94社)から回答を得た。
業況判断DI値は前期から30.0ポイントの大幅上昇となり、18年上期以来の数字となった。2021年後半から新型コロナウイルス「Covid-19」拡大防止のための行動規制が緩和されたことによる操業の完全再開、工場稼働率の上昇、半導体関連の需要増などが寄与した。下期についてもプラス20.5ポイントとさらに改善が進むと予想されている。
新型コロナの影響をあげる回答が、減少するも約7割あり、引き続き最大の要因となっている。前回調査で影響を与えるとされたマレーシア国内の経済動向、政治・政策、規制変動は、回答数が軒並み減少した。
従業員DIはマイナス36.3ポイントとなり、マイナス15.2ポイントだった前回から更に悪化。下期についてもマイナス33.8ポイントとやや改善が見込まれるも、従業員不足が続くと予想されている。
需給判断DIはプラス20.5ポイントとなり、2期連続のプラスとなった。来期についてもやや下がるものの14.1ポイントのプラスと予想されている。

デジタル資産市場、昨年210億リンギに成長=SC

【クアラルンプール】 マレーシアのデジタル資産市場は、パンデミックの状況下においても成長を続けており、昨年のデジタル資産取引所(DAX)における投資額は210億リンギに達した。
マレーシア証券委員会(SC)の2021年年次報告書によると、デジタル資産の総口座数は、2020年の19万件から2021年には76万件と4倍に増加。2021年末時点でのDAX暗号通貨の投資家の大半(62%)は35歳以下だった。昨年、非代替性トークン(NFT)がアーティストやコレクターの間で世界的に流行し、マレーシア国内でも音楽や絵画などの収集可能なアイテムがNFTとして販売されたという。
一方、今年の国内資本市場については、パンデミックによる不確実性や現在進行中の地政学的状況から引き続き厳しい状況が続くと予想。ただし、海外からの資金流入は続いているとし、2021年後半から株式市場に外国人の関心が戻っていることから、今年も同傾向が持続すると予測した。
企業は昨年、新規株式公開(IPO)や社債発行を通じて1,300億リンギ以上の資金を調達しており、代替金融では、株式投資型クラウドファンディングやP2P融資(金融機関を介さない直接融資)により、零細・中小企業が前年の6.4億リンギに対し149%増の14億リンギを調達した。ベンチャーキャピタル(VC)およびプライベートエクイティ(PE)投資は、前年の3億3,390万リンギから11億リンギまで増加。ファンドマネージャーによる資産運用額は、前年の9,055億リンギから9,511億リンギに増加し、そのうち最大を占めるユニット・トラスト・ファンドの純資産額は、前年の5,195億リンギから5,269億リンギまで増加している。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月29日)

スマートフォンの出荷台数、今年は横ばいに=IDC調査

【スバンジャヤ=マレーシアBIZナビ】  IT・通信・消費者向け技術に関する市場情報・アドバイザリーサービスの米インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)は、マレーシアにおける昨年のスマートフォンの出荷台数は前年比10.6%増加したが、今年は横ばいの1,200万台となるとの見通しを発表した。
同社が四半期ごとに公表している携帯電話市場に関するレポート「モバイル・フォン・トラッカー」によると、昨年はベンダー別の出荷台数で、韓国・サムスン電子と中国・小米科技(シャオミ)社を合わせたシェアはおよそ50%となった。
昨年出荷されたスマートフォンの28%が第5世代移動通信(5G)対応だった。2022年には5G対応のスマートフォンの出荷台数は36%に上昇し、2023年には50%に普及が加速することが予想されている。
しかし、マレーシアでは通信企業による5Gサービスの提供に遅れが出ている。先ごろ、政府は国策会社のデジタル・ナショナル(DNB)が単独で5Gネットワークを所有・運営する1社独占方式(単独卸売制ネットワーク、SWN)を採用することを決定、また政府がDNBの株式を30%、70%を通信事業者が保有することが決まったことから、5Gサービスの普及が促進されることが期待されている。

露のウクライナ侵攻、在馬日系企業72%が事業への影響見込む

【クアラルンプール】 パソナグループ(本社・東京都千代田区)は24日、マレーシアなど10カ国・地域に海外拠点がある日系企業を対象に実施した「ロシアによるウクライナ侵攻の日系企業への影響に関する緊急アンケート」の調査結果を発表。マレーシアでは24.0%が「影響がある」、48.0%が「やや影響がある」と回答し、72%が何らかの影響があると考えていることがわかった。
「影響はない」との回答は8.0%で、調査対象10カ国・地域中2番目に回答率が低かった。また「分からない」との回答は20.0%となった。
同調査は、パソナが、マレーシアの他、アメリカ、フランス、香港、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、インドでオンライン形式で3月11ー16日にかけて日系企業の海外現地法人を対象に実施したもので、699社のから有効回答を得た。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受ける時期としては、43.2%が「既に影響が出ている」と回答。「1カ月以内に影響が出ると予想される」が22.7%、「3カ月以内に影響出ると予想される」が26.8%、「3カ月以降に影響が出ると予想される」が6.5%となった。影響の原因としては「原材料の高騰」が最も回答数が多く、それに「物流コストの高騰」、「エネルギー価格の高騰」が続いた。影響に対して65.4%は「対策を講じていない」と回答。34.6%は「対策を講じている」と答え、具体的には「情報収集」、「在庫の確保」、「仕入先選定」、「物流網の確保」を実施していると回答した。

2月の航空旅客数は254.3万人、前年同月比7.9倍に

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 空港運営のマレーシア・エアポーツ(MAHB)によると、2022年2月の国内空港における航空旅客数は、前年同月比7.9倍の254.3万人だった。前月の274.4万人からは減少した。
国際線は前年同月比3.8倍の27.6万人で、国内線は9.1倍の226.8万人だった。
クアラルンプール新国際空港(KLIA)は98.0万人で、前年同月比7.5倍。国際線は3.8倍の26.9万人、国内線も11.9倍の71.2万人となった。
KLIAを除く国内空港は8.2倍の156.3万人となった。国際線は3.2倍の7,000人、国内線は8.3倍の155.6万人だった。
今後の見通しについてMAHBは、4月1日から国境が再開されることやワクチン接種率が高まっていることから、国際線を含めた利用者は増加すると予想した。乗客がスムーズに渡航できるように安全策などの準備を進めると表明。一方でロシアによるウクライナへの軍事侵攻により欧州線を中心に運航に影響が出ており、燃料消費量やコストも増加しているとした上で、国際線への影響を注視していくとした。

企業の86%が新型コロナと共存するため準備=E&Y調査

【クアラルンプール】 アーンスト・ヤング・コンサルティング・サービス(EY)によると、86%のマレーシア企業は、「新型コロナウイルス「Covid-19」と共存するために準備を進めている」と答えた。
同社は、昨年10ー12月にかけて大企業および零細・中小企業(MSME)計500社を対象にオンライン形式で、新型コロナ対策について「ビジネスパルス調査」を実施した。
ニューノーマル(新しい常態)に適応するための短期計画として、企業の85%は「従業員の安全性向上と柔軟な働き方の採用、標準的運用手順(SOP)の実施」を行っていると回答。77%は「テクノロジーの導入を行っている」と答えた。
今後の展望として、43%は「今後1ー2年で事業は新型コロナ感染前の水準に回復する」と答え、先行きを楽観視していることがわかった。
行動制限令中には、大企業の48%、MSMEの37%が「テクノロジーの採用やデジタル化によるプラス影響があった」と回答。その一方で、財務(大企業44%、MSME63%)とサプライチェーン(大企業54%、MSME44%)にマイナス影響があったことが明らかになった。
また今後の最優先事項として、74%は「従業員のスキルアップ」、74%が「デジタル化」に注力すると答えた。
(ザ・スター、ザ・サン、3月24日、エッジ、3月23日)

昨年下半期の不動産販売戸数、前期比16.81%増加

【クアラルンプール】  マレーシア不動産・住宅開発業者協会(REHDA)が実施した調査によると、2021年下半期の不動産販売戸数は前期比16.81%増の5,303戸となった。
内訳は住宅物件が5,281戸と大半を占めて、残り22戸は商業物件だった。住宅物件で最も人気だったのは2階・3階建てのテラスハウスで2,213戸で、それにアパート・コンドミニアム(961戸)、サービス付きアパート(804戸)、平屋のテラスハウス(660戸)が続いた。
一方で、供給戸数は1万665戸で、前期比8%減少した。供給物件でも住宅物件が1万631戸と多くを占めた。
同調査はマレー半島の会員企業124社の不動産開発業社を対象に実施したもので、回答企業の54%は「住宅物件が売れ残っている」と回答。また40%が「商業物件が売れ残っている」と答えた。64%が「築2年以上の物件となっている」と回答。売れ残りの主な理由としては、「ローン申請の拒否」、「低需要・低金利」、「未発売のブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)向け物件」が挙げられた。
今年については、51%が「新規物件の発表を予定している」と回答した。その一方で新型コロナウイルス「Covid-19」や行動制限令(MCO)の影響、当局の承認遅延、売れ残り物件が多いことなどの理由から新規物件の発表には市況が良くないと答えた。
(ザ・サン、3月17日、エッジ、3月15日)

2月の自動車販売、前月比で8%増に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア自動車協会(MAA)の発表によると、会員企業による2022年2月の自動車販売台数は4万3,722台となり、前年同月比で0.6%の増加となった。前月比では8%増となった。

2月の販売は乗用車が3万8,823台で前年同月比0.7%増、商用車は4,899台で同0.1%増となった。生産台数は前年同月比13.5%増の5万1,291台となった。乗用車は14.9%増の4万7,445台、商用車は1.3%減の3,846台だった。

MAAは2月の販売台数が前月比で8%増となったことについて、自動車各社が予約待ちの納車をスピードアップしたことが要因となったと分析。3月については、同月締め年度末に向けて自動車各社が販売を強化していること▽営業日数が多いことーーにより2月実績を上回ると予想している。

なお1―2月の販売台数は8万4,303台で、前年同期比9.7%増となった。乗用車は6.6%増の7万2,491台、商用車は33.2%増の1万1,812台だった。生産台数は11.1%増の9万4,252台となった。

今年通年の小売業売上高予想、RGMが6.3%に上方修正

【クアラルンプール】 小売業調査会社リテール・グループ・マレーシア(RGM)は、今年通年の小売業売上高予想を6.3%に上方修正した。昨年11月には6%としていた。
RGMは、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者が2月11日に2万人を超え、自動車の交通量が減少したが、今年第1四半期の小売業の売り上げは、旧正月と標準的運用手順(SOP)の緩和により、16.5%増加すると予想した。
業態別の第1四半期の売上高は、デパートが29.9%、デパート兼スーパーマーケットが28.2%と大幅に増加する見込みだ。またミニマーケット・コンビニでは9.5%増となるが、スーパーマーケット・ハイパーマーケットでは6%減となるという。
セクター別では、衣料・服飾が34%、パーソナルケアが20.5%、子供・ベビー服が14.3%、薬局が12.3%と2桁成長が見込まれている。家具・住宅改修、電子・電気製品についても、それぞれ14.0%となるが、写真、フィットネス機器、中古品、楽器、テレビショッピングなどは19.2%減少する見通しだ。食品・飲料(F&B)では31.2%が見込まれるが、キオスクや屋台での売り上げは1.9%の微増に止まるという。
一方で昨年通年の売上高は2.3%マイナスとなり、2020年のマイナス16.4%からは回復した。
RGMは、新規陽性者が多い状態が続いていること、入院率が高いことを依然懸念しているとし、小売業者を再び悩ませていると懸念を表明。必需品や消費財の価格が上昇していることで、多くの飲食店では値上げが実施されていると明らかにした。
(ザ・サン、3月10日、ボルネオポスト、3月9日)