3月の航空旅客数、前年比5.8%増の705.3万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 空港運営会社、マレーシア・エアポーツ(MAHB)によると、2024年3月の国内空港における航空旅客数は前年同月比5.8%増の705.3万人だった。

けん引役となった国際線は前年同月比29.4%増の383.9万人、国内線は13.2%減の321.4万人。それぞれ新型コロナ感染拡大前の2019年同月の水準の85.8%、72.8%にまで回復した。航空各社による運航拡大、2023年12月に始まった中国とインドの観光客対象のビザ免除などが後押しした。

クアラルンプール新国際空港(KLIA)は13.9%増の429.2万人で、国際線が28.0%増の322.0万人、国内線は14.3%減の107.2万人だった。ターミナル1が26.7%増の234.1万人で、格安航空を扱うターミナル2は1.6%増の195.1万人。

一方、KLIAを除く国内空港は4.8%減の276.1万人となった。国際線は37.5%増の61.9万人、国内線は12.5%減の214.2万人だった。ペナン空港の国際線旅客は32.8万人となり、非ピーク月であるにも関わらず前月比で5%増加した。フライドバイがドバイからの直行便の運航を開始したことが貢献した。

米国務省の人権報告、「マレーシアでは大きな変化はなし」

【ペタリンジャヤ】 米国務省の民主主義・人権・労働局は22日、国連の世界人権宣言や国際協定で認められた人権に関して、2023年版国・地域別人権報告書を公表。マレーシアの人権状況に大きな変化はなかったとした。

報告書は、法執行当局による残虐な扱い、刑務所、留置所のひどい状況は引き続き存在し、表現の自由に対する制約も存在したと指摘。一例としてレインボーカラーのスウォッチの腕時計の押収を挙げた。マレーシア政府は、この腕時計はLGBTQ+運動を促進、常態化することで国益を損なう恐れがあるとしている。

報告書はレイプ、家庭内暴力について、強姦者への処罰で裁判所に一貫性が見られないことを指摘した。一方、多くの公立病院には、レイプや家庭内暴力の被害者が駆け込める危機対応センターがあることも取り上げた。

内外の人権団体は、政府からある程度の制約を受けながらも活動し、調査報告を発表している。しかし多くの人権団体が政府からのNGO認定取得で困難に直面しており、企業として登録している例が多くあるという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月23日)

リモートワークに適した都市ランキングでKLが世界22位に

【クアラルンプール】 グローバル人材採用プラットフォームのリモートが世界100都市を対象に実施したリモートワークに適した都市に関する調査で、クアラルンプール(KL)のリモートワーク地としての評価は、2022年の84位から22位に躍進した。

「ベスト・リモートワーク地」調査は、▽生活の質▽安全性▽インターネット・インフラ▽生活費▽インフレ率▽魅力▽開放性▽リモートワーカーへのインセンティブーーの8項目で100都市を評価したもの。KLは、リモートワーク向けビザやインセンティブプログラムの充実度においてトップ5を確保した。

リモートは、「KLの魅力は、安価な生活費、デジタルノマドにとって魅力的なインセンティブ、高速で信頼性の高いインターネットサービスなどを兼ね備えていることにある」と指摘した。

ランキングトップはマドリード(スペイン)で、マデイラ(ポルトガル)、トロント(カナダ)、オークランド(ニュージーランド)が続いた。アジアトップは東京の5位で、KLのほか8位の台北や18位のバンコクなど、アジアの他都市も上昇傾向にある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ザ・サン電子版、4月19日)

「国が誤った方向に進んでいる」が増加=イプソス世論調査

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソス・マレーシアが実施した最新の世論調査で、マレーシアが「正しい方向に進んでいる」との回答は53%となり、「誤った方向に進んでいる」(47%)を上回ったが、今年に入ってから「誤った方向に向かっている」が増加傾向にあることが分かった。

「マレーシア人は何を心配しているか?」と題するリポートによると、「正しい方向に進んでいる」は前回総選挙直後の昨年1月には74%に達していたが、その後徐々に下降を続け、ここ2カ月は続落している。一方で、「誤った方向に進んでいる」は2023年1月には26%だったが、その後徐々に上昇。ここ2カ月は続伸している。

懸念内容については、「金融と政治の汚職」が50%でトップとなり、前年同月比では1ポイント下がったが、前月から3ポイントアップした。これに「インフレ」(38%)、「失業」(32%)、「貧困・社会的不平等」(31%)、「税金」(23%)と続いた。特に税金に対する懸念は前年比で12ポイントも増加しており、2023年10月に発表された2024度予算案で政府がキャピタルゲイン課税や高額物品税(HVGT、贅沢税)などのいくつかの新税が盛り込まれたことが影響したとみられる。

イプソス・マレーシアは、「近いうちにマレーシアの方向性について悲観的なマレーシア人の方が多くなるだろう」と指摘。調査結果は政府による物価対策や政府高官の汚職事件の処理に対する懸念を背景に、国の運営方法に対する満足度が継続的に低下していることを示唆しているとしている。
(マレー・メイル、エッジ、4月18日、イプソス発表資料)

第1四半期のGDP成長速報値、プラス3.9%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は19日、2024年第1四半期(1ー3月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。すべてのセクターで改善したとして前期(10ー12月期)のプラス3.0%を上回るプラス3.9%と予測した。正式発表は5月17日を予定している。

セクター別では、牽引役のサービス業は、前期のプラス4.2%からプラス4.4%にやや加速。卸売・小売業、輸送・倉庫、ビジネスサービスのサブセクターが貢献し、金融・保険も回復した。

前々期に0.1%、前期に0.3%とマイナス成長が2期続いた製造業は、植物性・動物性油脂、食品加工が減速したものの、非金属鉱物製品、卑金属・金属加工品、輸送機器・その他製造・修理の伸びが貢献し、1.9%のプラス成長に復帰した。

農業はアブラヤシや畜産が伸びたものの林業・木材・漁業の減速が影響して、前期のプラス1.9%からプラス1.3%に減速した。 鉱業・採石業は天然ガスの生産増に下支えされて前期のプラス3.8%からプラス4.9%に加速した。

一方、建設業は非住宅建設が減速したものの、土木や特殊建設、住宅建設の成長により前期のプラス3.6%からプラス9.8%に大幅加速した。

IMF、マレーシアのGDP成長予想を4.4%に上方修正

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)は、2024年のマレーシアの実質国内総生産(GDP)成長見通しを従来予想の4.3%から4.4%に上方修正した。マレーシアの2023年のGDP成長率は3.7%だった。

IMFは「着実ではあるが遅い、乖離の中での回復力」と題した最新の世界経済見通し(WEO)の中で、2025年についてもマレーシアのGDP成長率は4.4%にとどまると予想。消費者物価上昇率については今年は2.8%、来年は2.5%、経常収支については今年はプラス2.4%、来年はプラス2.7%になるとした。また失業率については、今年・来年共に3.5%と予想している。

世界経済の成長率について、IMFは依然として高水準の借入コストや財政支援の打ち切りといった短期的な要因と、新型コロナ・パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻、弱い生産性の伸び、地域分断の進行といった長期的な影響の両方により、歴史的基準に比べれば拡大ペースは低いと指摘。昨年3.2%だった経済成長率が2024年と2025年も同じペースを維持すると予想した。
(ザ・スター、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、4月17日)

マレーシアのグリーン投資、昨年10億米ドルに急増=米調査

【クアラルンプール】 マレーシアの2023年のグリーン投資は、前年比326%増の10.3億米ドル(49.2億リンギ)に急増した。東南アジア全体では前年比20%増の63億米ドル(301億リンギ)となり、マレーシアは16.3%を占めた。

コンサルティング会社の米ベイン・アンド・カンパニーは、グリーン投資のジェンゼロ、スタンダード・チャータード銀行、シンガポール政府系投資会社テマセクと共同で作成した「東南アジアのグリーン経済2024」リポートの中で、電力、特に再生可能エネルギーがグリーン投資の中心となっているが、2023年はグリーン・データセンターへの投資の増加や廃棄物管理への投資が増加したと述べた。

具体的には、ヌサジャヤ・テックパークへの2億8,000万米ドル(13億4,000万リンギ)、クライへの2億5,000万米ドル(11億9,000万リンギ)の投資など、ジョホール州のデータセンターへの大規模な投資が貢献した。

リポートでは、国内グリーン・エネルギー開発を加速させるため、混合金融の導入の推進や自然エネルギー規定の整備、工業団地の推進を継続することが重要だとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、4月16日)

フォーブス長者番付、クオック氏がマレーシア人1位を堅持

【クアラルンプール】 米経済誌「フォーブス」は15日、2024年版のマレーシア長者番付を発表。精糖業で財をなしたロバート・クオック氏がトップを堅持した。推定純資産は115億米ドル。

2位はクエック・レンチャン氏(ホンリョン・グループ)で、推定純資産は88億米ドルだった。3位はテー兄妹(パブリック・バンク)で、推定資産額は54億米ドル。4位はリー・ヨーチョー氏とリー・ヨーセン氏(IOIグループ、53.5億米ドル)、5位はクーン・ポーキョン氏(プレスメタル、53億米ドル)だった。IOIグループは初のトップ5入りとなった。

6位以下は、▽アナンダ・クリシュナン氏(マキシス、48億米ドル)▽フランシス・ヨー氏(YTL、47億米ドル)▽ジェフリー・チア氏(サンウェイ、24億米ドル)▽リム・コックタイ氏(ゲンティン、22億米ドル)▽チア・ソンクン氏(QLリソーシーズ、18億米ドル)ーーが続いた。

フォーブスによると、マレーシアの株式市場は前年比で9.0%成長したが、リンギ安が一部相殺したため、上位50人の総資産額は2%増の834億米ドルにとどまったという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、4月16日、フォーブス発表資料)

2023年の電子決済取引件数、23.7%増の115億件

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は、2023年の電子決済取引件数は前年比23.7%増の115億件に達したと発表した。

BNMは20日に発表した「2023年版経済・金融レビュー」の中で、2023年の一人あたりの取引数は前年比20.4%増の343件、カードや電子マネー、金融プロセス・エクスチェンジ(FPX)による銀行口座引き落としなどの小売決済総額は17%増の5,920億リンギに達したとし、電子決済普及に向けた官民一体の活動が功を奏したと述べた。BNMも決済サービスの安定性や社会的信用の維持に向け、決済インフラや規制・監督体制の強化などの取り組みを行っているとし、「2026年までに国民一人あたりの電子決済取引の年成長率を15%以上にする」という金融部門青写真の目標は達成できる見込みだと述べた。

(ザ・サン電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月20日、バンクネガ発表資料)

今年のマレーシア経済、景気上昇の見込み=ニッセイ基礎研究所

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンクタンクのニッセイ基礎研究所は19日、「東南アジア経済の見通しー輸出底打ちで再び緩やかな回復軌道に復帰」と題したレポートを発表した。

同社経済研究部准主任研究員の斉藤誠氏によると、東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)の2024年の経済は、輸出と製造業が持ち直して景気回復局面が続くものの、サービス業の増勢が鈍化して実体経済は盛り上がりに欠ける展開となるという。

マレーシア経済については、2024年は堅調な内需と輸出の回復により景気が上向くと予想している。外需は半導体需要の回復により電気・電子(E&E)セクターが持ち直して輸出が回復に向かい、外国人観光客の増加によるサービス輸出の持続的な拡大も見込まれる。民間消費は観光業の回復などが下支えとなるが、インフレの加速により増勢が鈍化する見込みだ。

投資は東海岸鉄道線(ECRL)など進行中のインフラ計画の進展などが追い風となる一方、サービス税率引き上げなどの財政再建を行う計画であるため、景気のサポートは限定的だとしている。

金融政策については、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が利上げを段階的に実施した後、現在は据え置いている状態だが、今後もインフレ加速の動向を見極めつつ、年内は現行水準を維持すると予想。2024年の実質GDP成長率はプラス4.2%に上昇する(2023年はプラス3.7%)と見込まれるという。