マレーシアから日本への一時帰国→入国・隔離生活インタビュー

2020年11月現在、コロナウイルス感染拡大の影響で、マレーシアに在住する外国人が一時帰国する際には、Exit and Return Passを申請し、許可されてから60日以内にマレーシアへ帰国後、14日間の隔離を行う必要があります。
10月7日にマレーシアを出国し、日本に一時帰国、10月28日にマレーシアへ帰国されたNIHON SPINDLE COOLING TOWERS SDN BHD のLUZHIFENG様にお話を伺いました。

※Lu様は中国の国籍を保有され、日本の大学を卒業し、現在永住のビザで東京にご自宅を持ちながら、同社マレーシアの現地法人の責任者として活動されています。

※本記事の情報は取材時点の2020年11月上旬現在のものです。最新の一時帰国の規定につきましては、在マレーシア日本国大使館やimmigrationにご確認頂けますようお願い致します。

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書類の申請

-必要だった書類の手続きを教えてください。

政府のホームページ、Myentryにオンラインで申請し、受理後に出入国許可書(APPROVAL LETTER FOR EXIT AND RETURN TO MALAYSIAが発行されます。

-実際に申請してどのくらいで受理されたのでしょうか?

9月9日に申請し、9月10日に受理された旨のメールが届きました。承認の返信があったのは9月18日です。

-書類はどんな場面で必要でしたか?

3つのシーンで提出しました。
1.搭乗チェックイン
2.出国審査カウンター 
3.入国審査カウンター

-航空券の予約はビザ承認後にしましたか?それとも事前に予約しましたか?

ビザ承認後に航空券の予約をしました。ビザが承認されて60日以内の帰国予定でスケジュールを組む必要があります。

マレーシア→日本 空港の様子

-マレーシア出国時の空港の様子はいかがでしたか?

 現在は出入国制限があるせいか、がらがらでした。10月7日の夜便でマレーシアを出発し、翌日8日に日本に到着しました。

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マレーシア到着後の入国審査

-日本滞在後、10/28にマレーシアに戻られました。空港では通常の入国審査と流れも異なったようですね。

大きく違うところは、入国審査が個室で行われること、検査があることやバスでの移動が必要となることです。

降機後 はまず降口ゲートで、全員集合し、バス乗り場へ向かいます。 

バス乗り場の手前で携帯アプリ MySejahteraのダウンロード及び個人情報の記入を求められました。 

入国審査場到着後は、検査に関する書類フォーム記入(個人情報、便名、座席など) し、喉と鼻の粘液サンプルを採集します。 

-入国審査に必要だった書類を教えてください。

1.旅券 
2.搭乗券 
3.出入国許可書。(APPROVAL LETTER FOR EXIT AND RETURN TO MALAYSIA) 
これらを準備していましたが、他に4.LoUも必要でした。

4.Letter of Undertaking and Indemnity 略称:LoU(到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書)

 事前記入と要求されるますが、入国審査手続き前に、専用カウンターがあり、その場で記入し、そこのスタッフに確認してもらうこともできます。

-次は宿泊費用の支払いですね。どのように支払うのでしょうか?

名前を呼ばれ、料金の支払いを指示されます。いったん、審査個室から出て、支払いカウンターへ 行きます。

私の場合4,950RMでした。カード、現金両方可能です。この領収書は、ホテルまで何回も提示させられます。 

-宿泊先のホテルとして、プレミアムホテルが選択できる制度が10/12に発表されましたが、Lu様の帰国時は選択しましたか?

私は選択せず、指定されるホテルに宿泊しました。費用の支払いを済ませた時に、こちらから質問してホテルを知りました。

支払い領収書を入国審査官に提示し、再度入国審査個室へ行って入国手続きを行います。(顔写真、指紋採取、入国スタンプ) 入国手続きが完了した後、個室を出て、通常の入国カウンターを通りました。

-入国審査からバス搭乗までの所要時間はどれくらいでしたか?

約3時間半でした。当日の混雑状況によって変わると思います。

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ホテルへの移動

-入国審査が終わると次はバスでの移動ですね。

はい、バス搭乗前には全ての荷物は噴霧消毒します。ホテルごとにバスに乗車します。

-ホテルにチェックインするまではどのくらいかかりましたか?

バスに搭乗してからホテルチェックインまで約2時間半かかりました。

-ホテルについてからの手続きはどんなことをしましたか?

MysejahteraアプリでホテルのQRコートスキャン、個人情報を入力します。空港で受領した領収書、Lou文書、搭乗券の提示も求められます。

ホテルでの隔離生活

-ホテルの中に置いてあったものを教えてください。

水のタンクとお茶のパック、電気ケトルが備え付けてありました。水は既定のものが無くなった場合有料で購入となります。

-ホテルの部屋に入ると一歩も出れないのですよね。連絡したいことがあるときなどはどうするのですか?

部屋に入った時点から14日の隔離が開始します。当日ホテル入居する携帯WhatsAPPグループに加入します。重要な連絡はこのグループ中で発信されます。

-食事についてはいかがでしたか?

通常のホテルでの滞在とは違い、色々な制限があります。大きいことが食事です。原則ホテルから支給されるものになります。ハラルなので、鶏肉や卵を使った料理が多かったです。

-フードデリバリーも許可されるようになったと聞きますが、利用されましたか?

デリバリーが到着してもすぐに部屋に届くわけではありませんでした。午後5時以降という時間制限がありましたので、お昼に暖かい食べ物を頼んでも、夜に冷めたものを食べることになってしまいます。夜の時間だけ利用しました。

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-その他、ホテルの滞在で困ることなどはありましたか?

部屋から出れず、洗濯機を使った洗濯はできないので、部屋の中で各自が洗う事になります。隔離生活は時間があるのでいいのですが。またシーツも部屋まで1週間に1回きれいなものをとどけてもらって、各自で交換することになります。

隔離13日目、二回目のPCR検査が行われます。陰性であれば、警察から隔離した証明書が発行されます。

CMCO下のマレーシアへの入国まとめ

  • 個室での入国審査と検査があり、バスでの移動が必要となる
  • 宿泊費用の領収書の提示を何度も求められる。  
  • LOU(Letter of Undertaking)の記載が必要となる。入国審査手続き前にカウンターで記入することもできる。
  • 隔離ホテルでは、食事や洗濯など通常のホテル滞在と条件が異なることもある。

本記事が、マレーシアから日本への一時帰国や、日本からのマレーシア入国を計画中の方に役立てば幸いです。

”マレーシア人は働かない”はウソ

本記事は、楽天トレードの最高経営責任者(CEO)三瀬和正さんへのインタビュー記事の後編です。
前編:ネット証券、ロックダウンが追い風に

なりすまし詐欺”対策、自社でも取り組み

——先ごろ御社の名前をかたった投資詐欺がありましたよね?ネット証券の人気を反映するような事件でしたが、あれはその後どうなりましたか?

三瀬:この間、証券委員会(SC)主催の産業活性化会議に参加し、他の金融業者と共に意見交換をしたのですが、他の会社も同じような事象が起きていて、業界全体で何かしないといけないということになりました。このミーティングの後にSCが発表したのですが、ワーキンググループを作って対処していくことになりました。今後こうした事例は増えていくと思いますので、自社での取り組みの必要ですが、やはり業界全体で取り組んでいかないといけない課題だと思います。

——すでに業界全体として動き出しているのですか?

三瀬:まだ動いていないのですが、弊社としてもそこに頼っているわけにはいかないので、モニタリングするサービスにお金を払って詐欺サイトを見つけるような取り組みは行なっています。こうしたことに投資して投資家守る努力をしています。

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いかに収益確保するかが最重要

——マレーシア証券市場では外国人投資家が減っている代わりに、国内のリテール投資家が増えているというリポートがありますね。

三瀬:リテール投資家の比率ですが、MCOが発令される前は20%から25%だったんですが、このポーションが一気に上がって今では40%になっています。リテール投資家の数自体が増えたことから、相対的に外国人投資家の比率が下がっているということは言えるかもしれません。

——ヘルスケア株など株価が上がるものもあれば、MCOによる景気悪化で危ない会社も増えてますよね。今はコロナという要因が一番大きいと思いますが、今後のマーケット動向の御社の事業への影響についてはどうお考えですか?

三瀬:マーケットの先行き、マーケットの動きについては弊社事業にはあまり関係ないと思っています。 株式市場が良くなろうが悪くなろうが、経営トップとして収益を確保し続けていかないといけません。そう考えていくと弊社のビジネスとして最も大切なものはボリュームゲームなので、いかに口座開設数をいかに増やすか、いかにお客様を増やしてトレードして貰えるのかを考えてビジネスをやっていくことが大切になります。もちろん首都圏で発令されているCMCOが続けば、うちのビジネスにとってプラスであることは確かです。

日本人とローカルは変わらない

——ここから三瀬さんのパーソナルの話を伺います。ジョー・バイデンさんと同じ、米国シラキュース大学卒ということですが専攻は何だったんですか?

三瀬:大学での専攻は財務・会計・経済です。証券・投資に興味があって卒業後はそちらに行きました。帰国してからある投資顧問会社に入りましたが、その会社は後に楽天グループに買収されました。様々な部門を経験し、2016年4月からマレーシアで楽天トレードの立ち上げに携わりました。1年でシステムから顧客サービスまですべて作り上げました。

——ローカルのスタッフを雇うというのはマレーシアが初めてですよね?そこで何か気づいたことはありますか?

三瀬:毎日が気づきです。最初はスタッフを怒ったりしたこともあったのですが、今は「僕も分からないことが多いから教えてくれ、僕も吸収するから。だけど僕も君たちを底上げをしたいから持っているものを伝える」という姿勢。毎日が勉強です。

——日本人にはないローカルのいいところってなんでしょう?

三瀬:日本人が持ってるものは、彼らもポテンシャルとしてもっていると思います。その持ってるポテンシャルを引き出せるかどうかは、トップにかかってるのではないかと思います。下がダメだったら全て部門長の責任、引いては僕の責任です。

——多くの日系企業が離職率の高さに悩んでいます。せっかく育てても辞めてしまうといいます。そのあたりで何か対策は考えてますか。

三瀬:部門長とかシニアマネジメントと密接にコミュニケーションを取って、常にスタッフの変化を見極めていくのが大切だと思います。お客様も大切ですがスタッフが一番大切なので、辞めると言い出す前に話を聞いてあげることが必要かと思います。 

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部下の育成、トップが見本を見せること

——もうマレーシアには長くおられるので、あと数年で帰国ですか?

三瀬:弊社はそういうリミットはありません(笑)。後継者を育てないと僕はマレーシアを出られないと思っています。そこが一番の課題ですね。

——後継者というのは日本人ですかローカルですか?

三瀬:僕は後継者はやはりローカルだと思っています。弊社のシニアマネジメントは全てマレーシア人ですが、彼らの底力を上げていきたい。シニアマネジメントを底上げしていけば、下のスタッフも付いてくると思います。よくマレーシア人は働かないという人がいますが、僕はそれはおおいに間違ってると思います。基本的に真面目なので、言ったことはちゃんとやる。きちんと上が指導してきちんとした姿を見せれば、ローカルの持っているポテンシャルは大きいと思います。ただ何をやっていいか分からないので、トップがきちんとやることを見せる。そうすればついていくと思っています。

——マレーシアで余暇は何をされているのですか?

三瀬:マレーシアでは最初、あるソフトボール・チームに入ってプレイしていたんですが、月に1回だけ試合だけやっていても面白くないので、硬式野球チーム「レイダース」に入れてもらいました。野球は楽しいですよ、ヘタクソでも(笑)。日本人駐在員の方、是非「レイダース」に入って下さい(笑)

——野球はどれくらいやっていたんですか?

三瀬:野球は小学校4年生ぐらいからずっとやってましたが、高校1年の時にやめました。その後はしばらくやっていなかったのですが、30歳の時に日本の草野球チームに入り、それ以来続いています。

—MCOのためにあまり活動できない状況ですが、今後何かやっていきたいことはあるのですか?

三瀬:個人的には来年は社会貢献とかしたいなと思っていますね。何か子供たち向けにやりたいですね。

——子供向けの野球教室もいいですね。やっぱりそのためには「マレーシア楽天スタジアム」の建設ですか(笑)マレーシアは球場がないので、是非宜しくお願いします(笑)

ネット証券、ロックダウンが追い風に

新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大で打撃を受ける産業が多い中、医薬品、医療機器、など商品自体のニーズの高まりから業績を大きく伸ばした業界も少なくない。一方、対面販売が難しい中で商品そのもののニーズというより販売メソッドが利用者の支持を集めた業界も多い。オンライン証券も販売メソッドの優位性で業績を伸ばした業界だ。このほど楽天トレードの最高経営責任者(CEO)に就任した三瀬和正さんに話を伺った。

在宅機会増加で口座数も増加

ーーCEO就任おめでとうございます。今年創業3年目で黒字化したということなんですが、新型コロナ感染拡大防止のために今年3月に行動制限令(MCO)が発令されてから証券取引口座開設が急増したそうですね。

三瀬:MCOになったため家にいることが多くなり、皆さん手持ちに余裕があるのかもしれませんね。上昇傾向にあるヘルスケア関連株で儲けようとお客様が一挙に入ってきたということですね。弊社だけが1日以内で口座が開設できます。他の会社は1週間とか下手したら1カ月かかりますので、すべてオンラインでできる弊社に口座開設が殺到したということだと思います。そういう人たちがヘルスケア関連の銘柄をトレードした。マーケットもググッと上がりましたので、その追い風を受けて黒字化ができたということです。

ーー4月末時点でシェアが5%だったということですが、これは証券取引市場全体の5%ということでしょうか?

三瀬:証券マーケットの中でリテールが占める割合が4割を占めますが、そのリテール・マーケットの中で弊社のシェアが5%ということです。今はシェアがさらに上がって6.7%になっています。弊社は法人は受け付けていません。

ーー今後も口座数は増えてきそうなんでしょうか

三瀬:弊社のビジネスモデルというはお客様をいっぱい集めてトレードして貰うというものです。口座開設数が増えていかないとビジネスが成り立たないのですが、コロナの影響もあって今も口座数は増えています。

特筆すべきはミレニアル世代参入

ーー従来型の証券取引と比べてネット証券取引の大きな特徴というのは何でしょうか

三瀬:フタを開けてみて僕もびっくりしたんですが、弊社のお客様の80%が40歳以下なんです。もっと熟年者が入ってきてくれるのかと思っていたのですが、ミレニアムと言われる若い世代が入ってきているのが特徴的です。全体の80%が華人なのですが、約60%未満以上が投資経験がない、もしくは投資経験3年未満のビギナーが入ってきていますので、新しいお客様を開拓したということができると思います。

ーーマレーシアが低金利であるというのは影響あるのでしょうか。投資先として株式を選ぶようになったとか?

三瀬:低金利はそれほど影響ないと思います。まずはお客様の頭には株で儲けたいというのがあるので、マーケットがホットであるということで入ってきていると思います。

ーーミレニアム世代が多いということは、ネットリテラシーが高いということが影響しているんでしょうね?

三瀬:こちらの人はほとんどがスマートフォンを使っていますね。 弊社は日本のスマートフォン用のプラットフォームを導入しているのですが、スマホを使った取引が全体の7割ぐらいでしょうか。ネット取引のいいところは取引手数料が安いということでしょうね。うちは最安の手数料を提供させて頂いています。

ーー御社はなぜ他社より安い手数料でできるのですか?

三瀬:なぜ安い手数料で出来るかと言うと、人件費を抑えたり、他のコストを抑えたりしているからです。他の証券ブローカーは社員がいっぱいいてマニュアルワークも多いし、対面の証券マンによる営業をやっています。うちと同じ手数料を提供するのは難しいと思います。

——御社は対面の証券マンが必要ない業態なので、スタッフはシステムエンジニアが中心ということになりますか?

三瀬:ITチームが半分を占めます。しかし何も投資家に情報を与えないというのもおかしいので、リサーチチームが毎日マーケットのアップデートをしたり、優良銘柄を探してきてお客様に月に2、3回推奨銘柄として紹介したりしています 。いわゆるスモール・ミッド・キャプ株をメインに、ファンダメンタルを見ながらリコメンドしています。

人気手数料の安さで業界をリード

——御社がプラットフォームとしている口座は「キャッシュ・アップ・フロント」と「コントラ」、「マージン」の3種類ですね。

三瀬:「キャッシュ・アップ・フロント」は日本でいうところの現物取引で、例えばお客様が1,000リンギを入金するとその範囲で株の売買取引ができます。特徴的なのは「コントラ」で、これはレバレッジを効かせることができます。例えば、お客様が1,000リンギを入金すると最高で5倍の5,000リンギまで株を買うことができます。ただしこの口座では2日以内に決済しないといけません。ショートタームの取り引きをする人、デイトレーダー向きですね。「マージン」に関しては、日本でいえば証券担保ローンのようなもの。お客様は株券や現金を担保として差し出すとファイナンサーからいくらまで取引していいよという許可が出ますので、その範囲で取引ができるというものです。これは決済期限がないので長い期間キープすることができます

——どの口座の利用が多いのですか?

三瀬:口座の数的には「キャッシュ・アップ・フロント」が多いのですが、「コントラ」がすごく人気があります。例えば日計り取引(その日に買った銘柄をその日のうちに売ること)ですが、買いの分の手数料しかかからない。片道半額です。他社でもやっていることろはありますが、元々の手数料が高いので弊社の方が優位です。

——三つの口座の割合はどれぐらいですか。

三瀬:弊社の口座は全部で14万5,000口座あるのですが、「キャッシュ・アップ・フロント」が11万5,000口座で、「コントラ」は約3万口座です。ただ「コントラ」はレバレッジ聞かせて大量に売買する人が多いのでトレーディングのボリュームは「キャッシュ・アップ・フロント」には及ばないもののかなりのポーションを占めています。

本記事は後編に続きます。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(後)

本記事は、日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんへのインタビュー記事の後編です。
中編:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(中)
前編:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

バーチャルツアーの未来

——高齢化社会が進めば当然、リアルツアーに参加したくても参加できない超高齢者がどんどん増えます。障害者だけでの問題ではないですよね。

壁田:ご指摘の通りです。私がこの考えに至るヒントをくれたのは当社が実施したバーチャルツアーの参加者です。参加後のアンケート回答に「このバーチャルツアーをプライベートでやってもらえませんか?」という声がありました。リアルでは飛行機に乗って海外旅行出来なくなった高齢のおばあちゃんと一緒に家族旅行をしたいというのでした。

旅行業界も他の産業と同様に時代の変化に揉まれ試行錯誤を繰り返しながら今の形に辿りついています。この期に登場してきたバーチャルツアーにはどん意味や価値あるのでしょうか?それとも無いのでしょうか。少なくても当社が実施するバーチャルツアーを少しでも良いものにしたいとする動機はこんなところにあったりします。

——今現在では商品として未成熟なバーチャルツアーでお金をとるのは難しいかもしれませんが、テクノロジーの発達しだいで今後どうなるかわからないですよね。5Gになればネット速度が上がるのでオンライン動画の使い方ももっと変わってくる。

壁田:とても楽しい想像ですね。「はい皆さんランチです」とマレーシアのバーチャルツアー添乗員(MC)が画面か参加者へ声をかける。日本からの参加者のご自宅に「ナシレマ」がタイムリーにデリバリーされる。そんな未来は決して遠くなくて、今はその入り口に立っているかもしれません。リアルツアーに参加できない人にとってもよりリアルに近い体験ができる日やってきそうな気がしますね。

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——ラフレシアを見に行くバーチャルツアーで、実際にラフレシアの花のクサい臭いがしたら面白いですよね。

壁田:ニオイのデジタル化ですね。ますますバーチャルツアーの可能性を感じますね。

——ユーチューバーが世界中いたるところに行って動画に上げていますよね。バーチャルツアーは専門ガイドが丁寧に解説してくれるという点ではユーチューブとは差がありますが、どれだけ付加価値が付けられるかですね。

壁田:昨今影響力のあるユーチューバーを使い、商品造成や告知をしてもったりしている旅行会社もあるようですね。ユーチューバーとして稼げる人が企業案件として旅行会社と組み、旅行会社代わって実質上の販売者になっているわけです。時代に沿った当然の流れですし集客機能としては見習うべき点が多いです。一方で「ツアーを作って運営する」や「サービスの対価を頂戴している」等、の考えに基づく伝統的な「おもてなし」の本質や精神を忘れないようにしたいとも思います。

——その第一段階がオンライン旅行の出現でした。より安く航空券やホテルを手配し、ユーチューブの案内に従って自分で行くという形が若者を中心に主流になりつつあります。一方では「この人が添乗員をするから参加する」というようなツアーもいまだに人気を博しています。

壁田:昨今はリアル・トラベルエージェントがオンライン・トラベルエージェント(OTA)に市場を奪われる構図となっています。コロナ禍ではリアル、OTAともどちらもダメージは大きいのですが、OTAは「人の力」に支えられるところがリアルに比べて少ない分、「困難な時期を乗り越える」ことだけを考えると有利ですね。逆にリアル・トラベルエージェントは正念場と言えます。ここで淘汰されるようではポスト・コロナでもOTAとの戦いには勝てないのだと感じます。

—リアル・トラベルエージェントの在り方は将来的に変わっていくのでしょうか?

壁田:普遍だと思います。最終的には「お客様の心をどうやって満足させられるのか?」、これは永遠の挑戦です。人の心を人の力を使って満足させようとするのがリアル・トラベルエージェントです。簡便な機能や低価格で満足を迫るオンライン・トラベルとの役割分担はより一層明確になっていくでしょう。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(中)

本記事は、日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんへのインタビュー記事の中編です。
前編はこちら:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

明確な生き残り戦略の不在

——「物販」ではなくマレーシア国内旅行はどうでしょう?マレーシア政府は日本の「Go To」みたいに国内旅行を奨励していますが。

壁田:マレーシア版Go To トラベルと日本のそれとの根本的な違いにつてのコメントは控えさせていただくとして、残念ながら弊社にとってこの施策は必ずしも有効なものになっていません。このセグメントに限って言えば当社の主力事業から外れているのです。それでも無策な物販に走るよりはと言う事で不得意ながらも対策を講じ一定の成果を収める事は出来ました。

——御社にとり国内旅行は今後見通しがたちますか?

壁田:難しいですね。この分野を得意としている旅行会社はそもそも存在しているわけで彼らのノウハウはしっかりしています。このコロナ禍で必要に迫られて対策した付け焼刃的なものではありません。それでもこうした競合先と戦い、勝ち残るために必要なものは何なのか?を考えられたことはコロナ禍中の数少ない幸いと言えるでしょう。

——アウトバウンドもインバウンドもダメ。物品も国内旅行もダメというないない尽くしの中、旅行会社のサバイバル戦略はどのようなものなのでしょうか?

壁田:この期に自信をもって明確な戦略を語れる旅行会社がありますかね(笑)人の暮らしに彩りを加えたり、人生を演出する「旅」を提供するのが我々本来のあるべき姿だと思うのです。そんな理想を未来に繋げるためにもなりふり構わず生きのびなければいけない、個人的にはそう考えています。

——確かに会社がつぶれてしまってはビジョンも何もないですよね。日本の本社の方から具体的なサジェスチョンや指導はあるのですか?

壁田:日本の本社や地域統括会社からは広範囲な情報提供やアドバイスが入ります。ただしそれを鵜呑みにしているだけでは国情が違う現地法人責任者としての存在価値はありませんので現地、現場の実態にあった取捨選択と判断の連続になります。

バーチャルツアーの登場

——そうした中、バーチャルツアーが巷にあふれていますね。先日、某バーチャルツアーに参加したのですが、事前学習という位置づけであり、テレビでいうところの「番組宣伝」という感じがしました。「ポスト・コロナ」に向けてツアーを宣伝するという感じですね。無料だったから文句はないのですが、有料では無理じゃないかと思いました。

壁田:「番組宣伝」だけならバーチャルツアーにせず、ユーチューブ等の録画放映でもいいですよね。そもそも「何もやらないよりいい」とか「会社の宣伝にはなる」、「顧客の引き止めになれば」という軽いノリでやり始めたところが大半だと思いますよ。

——金がとれる商品にするなら、ユーチューバーが行けないような場所とか、余程特殊なツアーでないとだめですね。中には儲けようというのではなく将来に向けて実験的にやっている会社もあるでしょうが、参加者からアンケート貰ってその先のビジネス可能性を考える機会を得るという意味ではいいのではないでしょうか?

壁田:ご利用者側の貴重なご意見として参考にさせて頂きます。一方の旅行会社側では軽いノリで始めたのとは裏腹に相当な労力をかけ商品を作っているという実態があります。そもそもバーチャルなのに何故に労力が掛るのか、です。当たり前ですが、コロナ禍前まではリアルな旅行商品の造成・販売をしていてリアルなツアー運営しかしたことのない旅行会社のスタッフが対応しているからに他なりません。「バーチャル」上だけで完結させるデジタルコンテンツの製造者となり、ツアーという名称ながらリアルな添乗員業務と勝手の違う「オンラインイベントのMC」的役割を担う等、全てが初めての経験です。この状態で世に出した「バーチャルツアー」です。ご参加いただいたお客様の反応も決して甘くありません。

ただし、この状態を嘆いているだけでなく、リアルとバーチャルの2つのツアーの役割の違いを明確にし、旅行業者としてのビジョンを利用者に提示する事ができるなら、それはそれで意味がある事だとも考えるわけです。

——将来的には当然リアルツアーが復活する訳ですものね。

壁田:リアルとバーチャル、それぞれのツアー価値とはそもそも何なのでしょうか? 特に現状のバーチャルツアーは旅行業界として確固たるビジョンやコンセンサスができておらず、たまたまコロナ禍という環境の変化でにわかに登場してきたものです。これを一過性の商品として片付けるのか、旅行業界の新基盤に育てていくのか?そんな議論があって良いのではと思います。

——壁田さん個人はバーチャルツアーについてどうお考えですか?

壁田:個人的にはリアルとバーチャルの融合が望ましいと考えます。ここで視点を少し変えてみたい。皆さんがリアルであれバーチャルであれ、旅行商品を購入する事ができる、すなわち「健康で一定の経済力がある」という前提と錯覚に陥っていないかということです。身体的(年齢や体力、障害の有無)、経済的条件からリアルツアーの参加を見送ってきた人はいなかったのでしょうか?バーチャルツアーはリアルでの参加を難しくしていたこの類のハードルを自然に下げ、そして取り除いていると考えられませんか?誰もが予想できなかったコロナによりバーチャルツアーが市場にあふれている。これを旅行業界が提供する新しい選択肢として考える事が出来たならどうでしょう。このように見えにくいところにも目を配らせる事が出来るのが旅行業界本来の底力です。今はそれどころではないのかも知れませんが・・・。

——リアルツアーに参加できない人を新たな市場と捉えるわけですね

壁田:バーチャルツアーは広義での社会貢献にもなりえます。このようにあらゆる角度から可能性を検討する必要があります。今儲かるのか?コロナ問題が終われば不要なコンテンツなのか?バーチャルツアーをより良いものに継続育成していく必要はないのか?参加者にも積極的な理解を求めていく旅行会社側の姿勢が問われる事にもなります。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大で壊滅的な打撃を受けている旅行業界。いつ終息するかも分からない先行き不透明な状況にあって、生き残りを模索する一方で、将来的な「ポスト・コロナ」を見据えたビジョンが求められている。日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんに話を伺った。

業態の脆弱性が浮き彫りに

——コロナの流行でマレーシアの旅行業界ではどのような影響が出ているのでしょうか?

壁田:マレーシアに限らず世界全体の旅行業界がかつて経験した事のない、まさに未曾有の危機に直面しているのは間違いないことです。いずれの旅行会社も売り上げがゼロまたはそれに近い状況となり、旅行産業という業態の脆弱性が浮き彫りになりました。それぞれが生き残りをかけた対策を講じていますが、実際は各社毎の企業体力に寄るところが大きいと言えるでしょう。

——政府の支援体制はどうでしょう。

壁田:世界観光ランキングでもトップ20に入る上位国であり、観光立国と言われるマレーシアですが今般のコロナ禍において、現時点では観光業に対する特別な支援は少なく、他の産業同様に企業努力が求められています。今後、日本の「Go To トラベルキャンペーン」のような分かりやすい施策に発展していく事を期待をしています。

——マレーシアは3月18日というかなり早い時期に行動制限令(MCO)を敷くという思い切った厳しい措置をとりましたが、効果がそれに見合っていない印象です。解除どころか年末まで延長となってしまいました。

壁田:仮に先月(9月)にRMCOが解除されていれば「あの早い時期でのロックダウンは英断だった」という評価になったと思うのですが、結果的に12月末まで延長されたことでガッカリした方も多かったのではないでしょうか。ここまで我慢に我慢を重ねてきた我々の希望は奪われ、もう一段踏み込んだ費用圧縮の対策に追われる事になりました。もし8月末で終わっていれば・・・もしは無いですが各社とも進む道が大きく変わっていたと思います。

「ゼロよりまし」の功罪

——御社サンライズ・ツアーズ&トラベルのお話をお願いします。

壁田:弊社は日本旅行のマレーシア総代理店です。クアラルンプールを本拠地にした総合旅行社でありインバウンド事業は主にマレーシアを訪れる日本人のお客様を、アウトバウンド事業は在馬日系企業の業務渡航や団体旅行のお手伝いを中心にサービス展開をさせていただいております。

——インバウンドとアウトバウンドではコロナの影響はどのように違いますか?

壁田:当社のインバンド事業は日本からの来馬顧客をメインに取り扱うため、マレーシアのRMCOの解除時期に限らず、日本国内における海外旅行需要復活の時期が大きな鍵になります。一方、アウトバウンド部門ですがマレーシアのRMCOが年末まで延長された影響は甚大です。来年早々の市場の戻りに期待をし、その準備をするより手立てがありません。インもアウトも本年いっぱい動きのない(収入が見込めない)この状態、そしてこの時間をどうやって乗り越えるかは目下の課題です。

——アウトバウンドについては、ベトナムとかタイ、中国、豪州、ニュージーランドといった感染を抑え込んだ国を対象に「グリーンゾーン」国として観光渡航も解禁していこうという動きがあり、マレーシアの観光大臣もそうした交渉を他国と進める意向を示しています。

壁田:市場回復過程で「グリーンゾーン」渡航制度が確立され、段階的に渡航国が増えるのは喜ばしい事ですが、必ずしもそれだけでは十分とは言えません。もちろん一部のビジネス需要の回復は小さな光であり希望です。しかしながら一般的な旅行者にも、そして旅行業界にとってもより分かりやすい対策が投入される事を心から期待しています。

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——MCO延長のため年内は回復が期待できなくなりました。そうした中、生き残りのために物品販売をやっている旅行会社もあると聞きます。

壁田:「収入ゼロよりは何でもやって少しでも収入を得よう」という考えに基づいて実施しているところは多いようです。各社毎の判断ですからそれをとやかく言うつもりはありません。ただ、ポスト・コロナでもその分野に進出していくつもりで本気でやっているものと、言葉通り手当り次第にやっているものが混在しているように感じます。

——これまでにも現地のおみやげを車内販売する旅行会社が多くありましたが、これはガイドさんが観光のついでに売る訳です。本業(旅行)があるからプラスアルファの儲けになるからいいのでしょうが、本業が無いのに売るという事になれば勝手が違うし、経費も余計にかかってしまいます。

壁田:はい、付帯販売と呼ばれるものですね。たしかに主力商品であるツアーと比べると「付帯=オマケ」的な存在ではありますが、旅行全体を輝かせる名脇役だとも言えます。そこにはしっかりとしたストーリーがありました。ですから脇役だけを必死で売るような事は無かったのですし、旅行に直接関係ないものであればなおさらです。

——まったく本業と関係の無いものを売っている旅行会社もあるようですがいますが、これでは将来には繋がらないですよね。

壁田:旅行業はその歴史の中で常に形態を変えてきました。旅行という形の無い商品を取り扱う我々にとって、売るものが変化していくことに大きな戸惑いはありません。ただし今般のコロナ禍中で「生き残りの為に迫られた急激な変化」は、「ゼロよりマシ」「売れれば何でもいい」等、ストーリー性のない無策な物販に走ったものと、コロナ問題が明けた後も本業の旅行商品と融合できる(させる)戦略的ものとに大別されていると思います。

※本記事は中編・後編に続きます。

モノ作りには従業員教育が欠かせない

上田鍍金の現地法人、ウエダ・プレーティング・マレーシア顧問の青木弘さん。33年の長い在マレーシア歴を誇る青木さんに、マレーシアでの従業員のマネジメントについてお話を伺った。
インタビュー前編記事はこちら
日系企業の親睦団体に貢献の33年

最初はマレーシア従業員のみでスタート

——操業当時と今では業務環境は変わりましたか?

青木:当初は外国人労働者を使っていなかったです。そもそも我々は外国人労働者を使いたくてマレーシアに投資した訳ではないですから。当時の人口は今の半分の1,600万人しかいなくて、失業率は10%程度はあったと思います。人が必要という噂を聞きつけて人が集まる。看板を出さなくても人が集まる状況でした。それが1990年代になってどんどん外国企業が進出してきました。半導体などの電子関連が早かったです。当時は国民車プロトンも年間5百台程度しかつくっていない頃です。日給はわずか8リンギ、月給だと200リンギです。今では1時間の残業代が11リンギです。このままでは他の国に比べて競争力が維持できるのかということですね。

——そのうち外国人労働者も雇わざるを得なくなるわけですね

青木:マレーシア人だけでやろうと思ってやってきましたが、1995年ぐらいになってからですが、ハリラヤ(断食月明け大祭)休みが終わっても社員が戻ってこないんです。顧客は大手企業が多くて弊社のめっきが止まると何百人の会社のラインをストップさせてしまいます。日本から生産要員を応援に来て貰い生産をしたこともありました。

それで困ってインドネシアから労働者を雇うようになりました。最初は30人来ましたが、よく働いてくれるので良かった良かったと思っていましたが、2、3年経つと帰ってしまう。これでは技術が残らない。我々はモノ作りなので職人が必要なのですが、職人さんの技術者が残ってくれないのです。シャアラムの立地がいいのですが、立地がいいということは人を採用するという点では競争が激しいことを意味します。中小企業にとっては不利です。

技術継承には低離職率が重要

——マレーシアにおける労務管理について。

青木:かつては社員を全面的に信じていたので、盗難保険を社員にかけてくださいと保険屋さんに言われ、「なんてことを言うんだと」激怒して追い返したことがあります。しかし中には悪い者もいるんです。弊社は貴金属を扱うのですが、外部のプロからそそのかされた社員による窃盗が起きるのです。おかげで今では工場はカメラだらけです。また組合についてですが、弊社は家庭的にやっているので組合設立の動きはないと思っていたんですが、一部の社員が化学労連からそそのかされて設立されそうになったことがあります。

——マレーシア人は簡単に会社を辞めて他社に移ってしまうと聞きます。

青木:欧米企業に引き抜かれるという話を聞きますが、欧米は高いポジションをいきなり与えてプレッシャーをかけるが、日本企業は段階的に昇進させるやり方でやれるとみれば上げるという積み上げ型ですね。ジョブホッピングは退職金制度がないことが一つの要因かもしれません。離職率を下げるためにはやはり待遇改善しかないでしょうね。


——待遇改善といっても賃金とバランスがとれていればいいですが・・・

青木:競争力があるものをきっちり作って利益を出し、我々としては賃金を上げて社員も会社も喜び夢の持てる潤いのある企業でありたいと望んでいます。外国人労働者を雇用するようになって人がコロコロ入れ替わると不良品が出やすくなり、そうすると競争力が落ちます。技術の継承ができず、不良品が増加するという問題が起きます。

——最後はやはり教育の問題ですね。

青木:マレーシア人は部下にあまり教えない傾向があります。マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)も30年前から社員教育の重要性を唱えて、生産効率のアップや社員教育が重要だと言っていましたが、マレーシアではあまり改善していないです。素朴で純真でいい人が多いと思いますが、倫理・礼儀作法のほか、「何が大事なのか。きちんと守るべきこと、利益を出すために何をすべきか」などを教える必要があると思います。

日系企業の親睦団体に貢献の33年

1987年に来馬され、日本企業の親睦団体である「シャアラム三水会」の発展、また中小企業の親睦団体「一華開」の設立に尽力された上田鍍金の現地法人、ウエダ・プレーティング・マレーシア顧問の青木弘さん。昨年9月には、日本とマレーシアとの経済関係促進に大きく貢献されたということで外務大臣表彰を受けた。33年の長い在マレーシア歴を誇る青木さんにお話を伺った。

「一華開」を設立、「中小企業を強く」

—青木さんが来られた33年前と比べるとマレーシアは随分変わったでしょうね?

青木:私が来た時にはまだマラヤ共産党(MCP)がゲリラ活動をしており、ちょっと山の中に行くと軍が守っているような状態でした。そういうこともあってか10人以上集まっての会議はいけないと言われていましたね。外国企業ということで特に厳しい取締りはなかったし特に目をつけられるというようなことはなかったのですが、大人数で集まる時は届けないといけないと言われていました。会社のあるセランゴール州シャアラムも当時はジャングルがあちこちにあるような状態でした。

——青木さんが設立に関わり今でも会長を務めておられる「一華開」について。

青木:日系中小企業の経営者が集まって勉強会を開催し、中小企業の会社を強くしようの主旨で1997年に設立しました。その頃はアジア通貨危機などいろいろなことがありましたが、立場の弱い中小企業は何かあればすぐにコケてしまう。最初は4社ぐらいではじめましたが、募集していませんが希望者が増え、今では30社ぐらいになりました。

——「一華開」という名称について。

青木:日本企業の親睦団体としては「三水会」や「一水会」がすでにあったのですが、単純に”一”に”火曜日の会”では面白くないというのでこの字にしました。先ごろ頂いた外務大臣表彰の際に「一華開」という会の名前を宮川真喜雄前大使にお話ししたところ、すごい言葉ですねと褒められました。

※注

「一華開」の会合は累計で272回ほどになります。最初は日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所の方に講演をお願いしていたのですが、向こうの方から勉強になるからといって会員になって頂きました。



——最近はどのような活動をされていますか?

青木:中小企業の中間管理職の人たちを育成をしなければならない、各社から社員を数名出してもらって毎月1日、5カ月間にわたって会員企業の工場で研修を行なっています。外部から講師をよんで中間管理職はどうあるべきか、部下をどうやって指導していくべきか利益を出すにはどうすべきかなどを指導しています。10数年前は5Sや改善を日本から指導者に来て貰っていました、今回は約20人ぐらいが参加しています。どこの会社でも困っているのは社員の教育です。いかにマレーシア人を教育して育ってもらうかということが課題ですね。

——「一華開」のいいところは?

青木:「一華開」がなぜ長続きするかというと、みんな集まって顔と顔を合わせて意見を言い合い情報交換をするところですね。マイクを通じて話をするとなかなか皆なしゃべらない。組織の大きさもあるかも知れませんが、大きな組織は皆に意見を出させるための工夫が必要でしょう。

三水会の発展にも寄与

——「一華開」設立の前には「シャアラム三水会」の発展に寄与されました。

青木:「シャアラム三水会」は1989年、セランゴール州シャアラムにある日系製造企業が集まって始まりました。当時は情報が少ないので、給与額や社内規定をどうしたらいいのかといった情報交換をやっていました。当初はそれぞれの会社に集まってやっていました。だんだんシャアラムの会社が多くなって「三水会」という形になりました。今では70社ぐらいになりました。

三水会の会員はみな大きい会社なので、人が3年5年で入れ替わります。人が入れ替わるということは自分の会社外との繋がりが断たれてしまいます。私は長くいるので「道案内」だと思ってやっています。

——当時のシャアラムはどうだったのですか?

青木:会社は金属メッキを行なっていますが、進出した当時のシャアラムはジャングルだらけで、車もあまり通らない場所でした。そのうちに工場が集まってくると道路は渋滞するようになるし、信号もないので危ない。水道も電気も止まるようになりました。それで三水会がシャアラム市政府などに道路を広げて欲しいとか、信号を付けて欲しいとか様々なインフラ改善を申し入れを行い、実現に繋げてきました。

——政府との関係強化により、インフラ改善の陳情などで尽力されました訳ですね。

青木:今回の新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大防止のために発令された行動制限令(MCO)が緩和された際に、フル操業再開にノーと言ったシャアラム市政府との間に立ってくれたのがインベスト・セランゴール公社(ISB)です。三水会は以前からISBとは毎年やりとりしていたんで、50%の稼動では困るということをISBからシャアラム市政府の方に言ってもらって制限を解除してもらいました。

稼動50%でもダメ

——その新型コロナですが、御社への影響はどれぐらいあったのですか?

青木:コロナの売り上げへの影響は8割ぐらいでおさまりました。3〜5月は赤字になりましたが、受注残があってそれを作っているので6月は一気に回復しました。MCOの最初の段階は稼動できませんでしたが、医療関連の顧客からの依頼で第2段階から稼働率50%で再開しました。回復度合いは製品によって異なり、自動車向け生産はまだ回復していませんね。

——稼動時間を制限されると困る?

青木:金属部品をメッキ処理する前に850℃まで温度を上げて熱処理をするんです。これを焼鈍といいます。いったん温度を上げたものを下げ、また上げたりしなければならない。いったん機械を停めると経費もかかるし、温度を急に落とせば伸びたり縮んだりして設備がおかしくなってしまいます。いまだにダメなものもあります。半導体とか弊社のような熱処理の会社などは50%稼動だとダメなんです。

——MCOで移動が禁止となり、必需品・サービス以外は出社禁止となって給料支払いを巡ってひと騒動ありましたよね。

青木:通産省は最初、給料はオンラインで払えばいいと言っていました。しかし個人のパソコンにはそのようなデータや仕組みを入れている会社はありません。最後には分かってくれましたが、その辺りの現場のことがあまりよく分かっていないのかなと感じました。

——製造業はまだしも回復の兆しが見えていますが、観光産業などは先行きが見えません。

青木:今回のコロナでは、進出間もない体力のない中小企業がより大きな打撃を受け、家賃だ人件費だと資金繰りに窮しています。お金がないのかもしれませんがマレーシア政府には投資誘致より中小企業の支援をして頂きたいです。一方、日本政府に関しても、海外に進出している日系企業の支援をやって貰いたいです。観光をはじめサービス業は海外進出が増えています。せっかく海外に進出している企業が撤退しないように考えて欲しいですね。
※編集部注・「一華開五葉」は禅の創始者・達磨大師の詩の一部で「一輪の花が五葉の花びらを開きやがて果実が実る」を意味する。

マレーシアでのビジネスのコツ

世界的に定評のあるマレーシアのハラル(イスラムの戒律に則った)認証制度にいち早く着目してハラル物流認証を獲得したマレーシア日本通運。マレー系社員の多い日系物流会社の社長として陣頭指揮をふるう早瀬彰哉さんに海外ビジネスのコツを伺った。

ハラル認証、マレー社員の満足度に寄与

——これまでの海外赴任のご経験について。

早瀬:マレーシアに来てから3年になります。マレーシアに来る前は大阪にいました。海外ではドイツ、シンガポール、香港に赴任したことがあり、マレーシアは4カ国目です。マレーシアはトップとしての赴任なので、これまでと違った仕事の上でのやりがいを感じます。

——マレーシアが他の赴任地と違う点はハラル物流を真っ先に開始した点ですね。

早瀬:当社は2014年にハラル物流の認証をとったのですが、外資企業では当社が初めてでした。ハラル戒律を守る高付加価値な物流を実現し、顧客に安心、安全な物流を提供するという目的です。またハラル物流を通じて世界とイスラム社会とつなげていく思いで取り組んでいます。一方この取り組みにより、マレー系社員の満足度を上げる事に大きく役立っています。
当社は物流ということでマレー系従業員の割合が多いので、ハラル認証をとることでムスリム文化を大切にしている会社だという事が強調されることになっています。

——御社は日本でもハラル認証をとっていますね。

早瀬:日本通運はグローバルでハラル物流に力を入れています。日本でも東京や大阪、福岡の倉庫でハラル認証をとっているのですが、その際にはマレーシアの社員が日本に行って指導しています。今日本で流れている全国CMにハラル物流に関するものがあります。その中にプトラジャヤのピンクモスクの前をハラルトラックが通るというシーンがあるのですが、わざわざ日本から広告代理店を呼んで撮影しました。

「相手を理解する」がキーワード

——仕事で特に意識しておられることは?

早瀬:まず、社員の幸せということを考えています。社員が楽しく働ける会社にしたいです。それから長期的に会社の経営を考えようと思っています。どうしても我々の立場だと3、4年で交代することになりますが、会社が10年先、20年先、50年先も存続するために中長期の視野に立った経営に心がけています。その考えを社員に発信する、姿勢を見せる様にしています。目先の業績も大事ですが、長期的に会社を大きくしようという意識を持ち、次の社長の時にも継続していくことが大切だと考えています。

——マレーシア人従業員とうまく付き合うコツを教えて下さい。

早瀬:マレーシア人は基本的に日本を好きなので働きやすいです。そこで我々の方もそれに甘えることなく少しでいいから彼らのことを勉強する。マレー語で挨拶できるようにするとか、ナシレマを食べるとか(笑)簡単なことでいいと思います。赴任してすぐに部屋で隠れてナシレマを食べていたんですが。いつの間にか社長がナシレマ食べているって社内中に広がりました(笑)おかげで色々な従業員がここのナシレマがおいしいと言ってよく買ってもらいました。

また会社のパーティとか社員旅行に行った際カラオケを勧めらると、なるべくマレー語とか中国語の歌をカラオケで歌います。日本の歌でも喜ぶのですがマレー語だとその3倍は喜んでもらえます。私はシティー・ヌールハリザの曲が好きで何曲か歌ってみました。マレーシアのことに興味がある姿勢、相手の文化を理解するとか尊重することで従業員との距離がぐっと近くなります。

——マレーシア人社員の特徴は?

 早瀬:当社の社員だけかも知れないですが、けっこう会社のことが好きなように見えるんです。日本ではあまり社員旅行とかやらないですが、マレーシアでは社員旅行の参加率は90%以上です。1泊して次の日は運動会みたいなものをやるんですが、それもほとんど参加します。私が入社したころのような、昭和の日本の社員のようです。夜のダンスタイムになっても一番最後までマレー人の女性が残って踊っていたりしますね。普段はイスラム教の戒律もあり、旅行を本当に楽しみにしている様にみえます。

——華人とマレー系の違いは?

早瀬:チャイニーズは能力に対してこだわりがあって、昇給にあたっては「自分はこれだけやっているのに、なぜあいつより」といったように、能力とか他人よりどれだけ働いたかという点を主張してきますが、マレー系は「子供ができたから」とか「子供を大学に行かせるため教育費がかかる」といったように自分の仕事ではなく泣き落とし的な話が多いです(笑)。

それぞれの民族の考え方を理解した上でいかにうまく働いてもらうかのマネージメントが重要だと思います。単に我々のスタンダートを押し付けるだけではうまくいきません。「日本の企業は優れているから言う通りにやりなさい」と頭ごなしに言ってもうまくいかない。相手を理解するというのがキーワードになると思います。

チャイニーズの考え方はグローバルスタンダードに近く、また企業経営には必要な人材でもありますが、仕事を外れて個人の生活、人生で考えると、マレー人と比べてどちらが幸せなのかと、最近になって考える様にもなりました。日本もある意味で多様化が進んでいますのでマレーシアでの管理や経営を経験することはマレーシア以外でも役に立つと思います。

昔の日本人の苦労に触れる

——ところで余暇では旅行されるのがお好きとも伺っていますが・・・

早瀬:仕事柄いろんな所に行く機会もあり、マレーシアには13の州がありますが、サバ州以外の州はすべて行きました。首都圏クランバレー周辺はあまり違いがないですが、コタバルとかトレンガヌは全く違う世界があります。観光地ではなく歴史がある場所によく行きますね。ペナンとかマラッカも好きですが、個人的に田舎の街を歩くのが好きです。

またマレーシアには昔から日本人がきていました。会社や商店経営もありましたが、ゴム農園、錫採掘で働いたり、からゆきさんとか マレーシアで働いていた日本人は多かった様です。そうした日本人が建設した鉄道の跡とか当時の日本人会や戦前に進出していた会社の古い建物などを見に行くのが好きです。

現在我々日系企業の駐在員としてマレーシアで恵まれた環境の中で働いていますが、明治時代以降に色々な目的でマレーシアに住んでいた先人の大変な苦労があって今の我々があるんだと感じます。

コロナ下での対応-マレーシア日本通運 早瀬様

新型コロナウイルス「Covid-19」感染抑制対策として、マレーシア政府は社会・経済活動を厳しく制限した行動制限令(MCO)を3月18日付けで発令。国境が閉鎖され国内移動が制限された中で試行錯誤しながら物流を守ったマレーシア日本通運社長、早瀬彰哉さんに苦労話を伺った。

「物流は止めてはならない」

——3月18日にMCOが発令されました。

早瀬:弊社は物流業者ということで必需サービスというカテゴリーになりましたので規模を縮小した上でですが、事業が続けてこられました。企業理念に「運輸の使命に徹して」とありますが、「物流は止めてはならない」という思いを持って、業務を続けてきました。

——急な発表だったので混乱はなかったですか?

早瀬:MCO発令時点では、必需サービスのカテゴリーが不明確な部分がありました。また、どうしたら感染しないかといったスタンダードがあまり無かったので、コロナに対応するSOPは走りながら考えていこうということでやってきました。当初のオペレーションは通常の2〜3割ぐらいでした。最初は必需品を扱う顧客だけでしたが、その後、必需品のカテゴリーが増えたり、MITIから許可を得た顧客の荷物など、徐々に取り扱いが増えてきました。

——取締りも始まるし、最初は状況がよく分からず不安だったのでは?

早瀬:物流については医薬品や食品などの必需品は規制外だったので、とりあえず初日は状況をみて、顧客にも聞いてみてから対応を決めようと思いました。
道路封鎖など不透明な状況があったので、とりあえず行ける人は出社することとし、警察に止められたら必需サービスと説明出来るよう社員に会社のレターを持たせて出勤してもらいました。

——その後の対応は?

早瀬:MCOの内容が少しづつはっきりしてきた段階でそれに合わせた対応をとったので、顧客から依頼を受けても運べないという事態は避けられました。当社は航空輸送や海上輸送、陸上輸送、倉庫などやっていますが、最も影響があったのは航空輸送ですね。海上輸送は船会社の減便が一部ある程度でしたし、陸運は自社トラックを保有しているので支障があったといってもトラックが警察によく止められるぐらいでした。

チャーター便飛ばして対応

——航空貨物の問題とは?

早瀬:航空貨物は貨物便が少し飛んでいましたが、人が動かないので旅客便がほとんど飛ばない。これには困りました。当初は医薬品やマスクなどの医療関係の緊急輸送が多かったのですが、貨物を空港に止めない為に当社で飛行機をチャーターし、5、6月で合計30機ぐらいを中国や日本に飛ばして、緊急貨物が止まらないようにしました。

——海運では港の作業が滞ったと聞きました。

早瀬:海運ではクラン港で輸入貨物が止まりました。政府は必需品でなければ運んではいけないと言っていたのですが、何度か期間を限定して港から輸送してよいという特別措置がとられたので、混雑はしましたが荷物が動くようになりました。ただ運び出しても工場が動いていないので製造できないという問題、店舗が閉まっているので販売できないという問題があって、港に置いておけない荷物のための倉庫の手配が大変でした。当社の倉庫も可能な限り提供しました。

——輸送量が減って輸送料金に変動はあったのですか?

早瀬:物量が減っているので海上輸送も便数は減りました。通常は物量が減ると料金が下がるのですが、今回は輸送能力の低下により航空輸送も海上輸送も料金は上がりました。顧客からは「なぜなんだ」と質問を受けることもあり、フォーワーダー(利用運送業者)として間に立って説明するのに苦労しましたね。

——輸送料金が上がるのは顧客にとっては負担ですね。

早瀬:国内だけで完結すればいのですが、国際貿易では相手がある話です。サプライチェーンの問題ですね。例えば中国では経済が復活しているのに物が送れないということになってしまいます。他の国が供給しているのにマレーシアからは供給できないと、マレーシアから買ってくれなくなって顧客をとられてしまうので、費用はかかっても送らないといけないお客様もありました。普段以上に輸送モード、輸送ルートなどリードタイムとコストをみながら最適な提案が求められる場合が多かったです。

  警察への説明で苦労

——倉庫については?

Eコマース商品や医薬品は認められていましたが、警察が何度も査察に来ました。「何をやっているのか」と聞かれ、必需品のオペレーションであると説明して帰ってもらいました。翌日にもう一度警察に出頭して説明しろと言われたケースもありました。警察官も運輸省の指示とか通産省の認可など、不明確な事も多く、よく分かっていなかったのではないかと思いますね。

——警察になんらかの通報があったのかもしれませんね。

早瀬:従業員に出社を求める際にも、単に「シフトで会社に出て来い」ではなく「我々は社会のために物流を動かさないといけない。必要な仕事であり、我々がいないと困る会社もある。だから我々は出社するのだ」ときちんと説明するように各現場に指示しました。他の日系企業からは社員に出勤させるのが難しいという話を聞きましたが、当社の場合は社員が出社を拒むという話はなかったです。感染リスクのある中で働いてくれた事はありがたいと思っています。

働き方を見直す機会に

——勤務体制はどうなりましたか?

早瀬:当社の場合は、総務とか経理とか管理系と営業系は基本的に在宅勤務としました。現場で貨物を扱ったり物を運ぶ者だけが仕事の量に応じて出社していました。最初は取扱量が通常の2割程度だったので、従業員を3つぐらいにチームに分け、3日間ぐらいで完全ローテーションにしていました。感染防止のため各チームどうしはまったく接触させないようにしました。もし感染者が出てもそのチームを外せばいいという訳です。4月ぐらいまではそれでまわしました。

——そのうち規制が緩和されて取扱量が回復してきますね。

早瀬:4月に入り取扱量が5割ぐらいに回復すると2チームに分けて対応しましたが、5月ぐらいになると7〜8割ぐらいになっていましたので、こんどはチーム分けができなくなりました。そうなるともし感染者が出ると、隔離の必要があるため荷物を止めてしまうことになります。顧客には「シフトを組まないと感染者が出た場合に配送が遅れるリスクがあります」と説明していました。とりあえず今は感染しないようにやるしかないので、倉庫の中でもエリアを分けてその中で作業するようにして、できるだけ接触を減らし他の従業員にうつさない工夫をしています。

——社員が在宅勤務に慣れてしまったりしませんか?

早瀬:会社に来ざるを得ない社員については、シフトを組んで半分ずつにしようと言っても、結構みんな会社に来るんですね。居心地がいいんでしょうかね(笑)。逆にこうしたことがあったので、コロナが収まったから在宅勤務をすべて止めようというのではなく、 感染防止の為にも在宅勤務できる人は在宅勤務を続けるといったように、会社に来ることが仕事ではなく、仕事の内容と目標を明確にしていくという社内全体の働き方を見直す機会にはなりましたね。

——振り返ってみられて政府の対応や御社の対応について採点は?

早瀬:政府のMCOの発表は非常に急で、日本とか他の国に比べて当初の制限は厳しかったです。何がベストだったかというのは難しいですが、政府の対応はそれなりに良かったと思います。産業活動を正常化するために産業界からの声に耳を傾けてうまく対処してきたと思います。当社の対応については、航空機など輸送インフラが減るなどの逆風の中にあって物流を止めずに顧客の要望に応えてかなりうまくやれたと思います。事業としては、多くのトラックと運転手を抱えた中で仕事が激減した陸上輸送部門が大きな影響を受けました。