RMCO下でのマレーシア再入国

危機管理サービスをワンストップで提供するTASKAL RESOURCES SDN.BHD.の代表壁田忠幸さん。MCO中は日本に一時帰国しており、7月11日にマレーシアに戻られた。マレーシア入国の際の空港での手続きの様子を伺った。

※本記事の情報は取材を行った7月14日時点のものとなります。
最新の情報については在マレーシア日本大使館のホームページをご確認下さい。

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使用エアライン:ANA 成田→KL

搭乗までの様子

搭乗前チェックインの様子

各国の政府から出されているガイドラインと照合する必要があるので、搭乗券を渡すまでに通常の手順よりも時間がかかった。

搭乗前のPCR検査確認は?

ANAの場合なかった。出国3日前にPCR検査必要などの案内もなかった。

空港の様子で通常と違ったこと
免税店が閉まっている所も多かった。タバコは特設売り場にて販売。
ビジネスクラスラウンジは閉鎖し、ファーストクラスのラウンジに統合されていて、食べ物も特別メニューになっていた。

搭乗・機内の様子
国際線では優先搭乗のアナウンスがされていた。ソーシャルディスタンスを取るような呼びかけは国内線の方が強い様子だった。乗客はビジネスクラスで40%ほど。エコノミークラスに搭乗している人はもっと少なかった。

乗客の様子
エアカナダとの共同運航だった。日本人の他、カナダに住むマレーシア人もいた。

KL空港到着後の手続き

1.アプリに情報入力

イミグレーションの手前での動く歩道の前で列に並び、アプリをダウンロードしているかの確認があり、アプリにログインした。

空港の柱にあるバーコードをアプリのカメラで読み取り、KLの入国者と認証される。

住所など個人情報、健康状態と自分以外のマレーシアでの緊急連絡先を入力した。スマートフォンで入力しやすいように緊急連絡先も含めてあらかじめ準備しておくと便利。

2.PCR未検査の場合抗原検査

PCR検査済みの列、未検査の列に分かれ、未検査のグループは抗原チェックがあった。
外国人は検査料RM120 検査後はイミグレ前にテーブルと椅子が用意されていてそこで1時間待機するよう指示があった。待っている間に検査代を清算し、1時間弱で名前が呼ばれた。陰性だと早く呼ばれる様子。
待っている間に自宅隔離についての書類配布と案内がある。

3.イミグレ手続き

検査が陰性だった人がイミグレ手続きへ進む。外国人は別室での対応だった。自動ゲートはクローズされていた。パスポート、検査結果の書類などのチェックがあった。普段と違うスタンプが押された。

1~3までで所要時間は2時間弱だった。前の方に並んでいたので、後ろに並んでいる人はそれ以上かかることも予想される。

自宅隔離について

書類が渡され、入国後14日間の自宅隔離についての案内があった。

リストバンドを着用し、毎日1回アプリで報告する必要がある。

質問は、食欲はあるか?コロナ感染者と接触していないか?など。

13日目に指定病院に行き検査を受け、合格すれば14日間の隔離が終了となる。

自宅隔離の規制に違反するとRM1000の罰金となる。自宅隔離中でも来訪者があればマスクをして対応する必要がある。

コロナ下での対応-ヒロフード・パッケージズ鈴木様

食品包装材の製造を手掛けるヒロフード・パッケージズ・マニュファクチャリングや食品輸入及び飲食店経営を手掛けるDOKAなど幅広くビジネスを手掛ける鈴木一郎さん。昨今の新型コロナウイルス「Covid-19」対策を中心にお話を伺った。

コロナ禍、主力の包装事業は大打撃

——鈴木さんは食品包装材製造や食品輸入、飲食店経営、ゴルフ練習場経営などいくつかのビジネスを手掛けておられます。新型コロナウイルスの影響はどうだったのでしょうか?

鈴木:感染拡大防止に向けて行動制限令(MCO)が3月18日に発令されてから、食品輸入部門と飲食、ゴルフ練習場のすべてが操業ストップしました。包装材部門については、政府が発表した必需品・サービスに対する規制除外措置を受けて操業が認められました。包装資材がないと食品などを消費者に届けられないといった流通面の問題があるので、政府が製造を認めています。

——当初の規制除外申請は、MIDA(投資開発庁)に申請して許可を得るという形でスタートしました。

鈴木:除外項目について政府からガイドラインが出ていたのですが、いろいろな業種がダメモトで申請に押し掛けたみたいで、それでMIDA(投資開発庁)の受け付けサイトがパンクしたんですね。弊社はパンクする直前に申請したのでサイトに入れましたので、申請に間に合いました。MIDA(投資開発庁)は締め切った後は一切許可を出さなかったので、中には資格があるのに申請が間に合わずに認可を受けられなかった会社もあったようです。

——包装材製造に関する稼動許可はおりても稼働率が制限されました。

鈴木:生産は当初は半分以下に落ち込みました。飲食店のイート・インはダメですがテイク・アウェイが認められたので、国内におけるテイク・アウェイ用包装材の需要は増えましたが、弊社の包装材の約80%が海外向けでしたので、海外向け輸出が落ち込んだために大きな影響を受けました。米国市場はそれほどではなかったのですが、豪州、欧州向けは一時ほとんどゼロになってしまいました。それが足を引っ張って全体の売り上げが落ちました。

製品あってもダンボールがない

——サプライチェーンの関係でプラスチック素材原料が滞ったり、完成した製品の配送が滞ったりするという問題があったと聞きます。

 鈴木:当初は問題が起きました。原料は海外から一部入れていますが、それ以外はほとんど国内で調達していますので原料調達に関する問題はありませんでしたが、製品が出来てもそれを入れるカートンボックスが無いという状況が起きました。カートンボックス業者の中には必需品の申請をしていないところもあったので需要がパンクする状態となりました。弊社では5社くらいのカートンボックス業者にお願いをしているのですが、申請したのは1社ぐらいだったのではないでしょうか。スペックに応じて分けて発注していましたので、製品に合うカートボックスが足りないという事態が起きました。

——物流はどうでしたか?

鈴木:物流は概ね良好でした。他社も使っていますが自社で配送トラックを何台かもっているので、それで配送を賄ったので大きな問題はありませんでした。

——半分以下しか人員が使えませんでしたが、どのように対策されましたか?

鈴木:管理部門を中心に基本は在宅勤務にしました。出社する従業員を通常の半分以下にしなければならないということだったので、なるべく人員を製造部門に割り当てました。外国人労働者を在宅にしてローカルスタッフを出すという形です。ローカルの幹部スタッフは全員出勤にしました。有給休暇をとらせるとか無給休暇をとらせるというとことは一切していません。ただし稼動時間も短くなったのもあって、残業はなくなりました。残業がなくなった以外、手当てはカットしていません。

新たなビジネスの兆し

——規制はかなり緩和されましたが、いちおう8月末までが復興のための行動制限令(RMCO)となっていますが。

鈴木:売り上げが減少したままの状態が続けば厳しくなりますね。今は内部留保から出して凌いでいますが、この先数カ月が大変になると思います。我々中小企業はそれほど余裕がないので、8月末というラインがさらに伸びるようなことになると厳しいですね。どれだけ市況が戻ってくるか。売り上げの大半を占める輸出については、最悪の時に比べると多少は戻ってきていますが、回復の角度がどの程度かによりますね。

——国内需要はどの程度戻ってきているのでしょうか? 鈴木:国内需要については通常に戻ってきていますね。飲食業界ではコロナの関係で社会的距離をとることが求められる中、新しいビジネスが産まれてきています。MCO発令当初はつぶれてしまった飲食店も多かったですが、もし生き残ろうと思えば規模を縮小するか、新たな形態のビジネスに乗り出す必要があります。イート・インができないのでテイクアウェイをやるようになっています。マーケットが広がっているなと感じる部分でもあります。

 やっぱり現場の人間関係

——DOKAでは日本酒輸入に力を入れておられますが、アルコール飲料については輸入規制が厳しくなっていると聞いています。ビジネスの上で何かと規制が問題になります。

鈴木:輸入車の輸入許可証(AP)と同じような輸入枠があるんですね。またライセンスをとってもいくらでも輸入できるわけでもない。ちょっとでも以前のものと違うとはねられてしまいます。ボトルサイズやラベルデザインが変わると新たに申請しないといけない。

——マレーシアでは許認可などで大変な時もあるかと思いますが、企業トップとして何か政治的な働きかけはされることはあるのでしょうか?

鈴木:ビジネスマンとして努めて政治には関わらないようにしています。特に根回しのようなことはしません。実際ライセンス取得手続きなどはなかなか進まないですが、時間をかけてもいいから現場レベルで人間関係をつくっていく。それが僕の基本です。日本人は勘違いをしがちですが、我々は外国人であり、軒先を貸してもらってビジネスをやらせていただいているという意識を持ち続けることが必要だと思います。

海外在住の日本人へのメッセージ

パナソニック・マネジメント・マレーシアの副社長で、最近までマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)の会頭を務めていた井水啓之さん。マレーシアに23社あるパナソニック・グループ会社を束ねる司令塔として、マレーシアの4年間を含めてこれまで複数の国で働いて来られた井水さんに日本人が海外で働く上での助言をいただいた。

日本人とマレーシア人はいい組み合わせ

マレーシアで素晴らしいなと思うところは大きく二つあって、一つは豊富な日本食など日本と変わらないレベルの生活を送るためのいろいろな環境が整っており、しかもコストが安いことですね。

日本人とマレーシアという組み合わせもなかなかいいものがあって、生真面目でルールを守る日本人とおおらかさのあるマレーシア人、でもアジアに共通するセンシティビティというか、シャイな部分など共有しているし、いい組み合わせではないかと思います。

私個人として気をつけている点ですが、自分が外国人であるということ、常に謙虚にマレーシア人から学びたいという気持ちを大切にしています。マレーシアは親日的な国ですし、マレーシアから教わることも多いです。

世界を俯瞰する

二つ目は、自分の目標でもあるのですが、世界を知る、俯瞰するということ、世界で起こっていることを客観的に歴史や宗教も踏まえて自分なりに理解するということが、ここにいるとやりやすいという点です。

一部の大メディアに情報を依存しているような状態にあった日本における生活に比べて、もっとフレキシブルに広い見方や考え方に接することができるようになりました。
是非もっとたくさんの日本の皆さんにマレーシアに来て頂いて、マレーシアからみた世界、日本を学んでいただきたい。そうすればより豊かな人生を送れるんじゃないかなと思います。
マレーシアに来て4年半になりますが、私はマレーシアが大好きですしマレーシアに感謝しています。

政府と企業の距離の近さ

もう一つのマレーシアのいいところは、政府と企業の距離が近いということです。私は4年間マレーシア政府とダイレクトなコミュニケーションを続けてきましたが、今回の新型コロナウイルス「Covid-19」のような状況にあって凄く役に立っています。

新型コロナ感染対策では標準的運用手順(SOP)を巡って大変でした。日本は省令を決めようとするなら、几帳面に関連するものをみんなで議論して詰めていきますが、マレーシアは事前調整をせずに先にボーンと発信してから、産業界の声を聞きながら、調整していく傾向があります。

つまり、マレーシアの良いところは、産業界と直接、会話をするところです。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でみてもそこは素晴らしい点だと思います。大臣にも直接会えるし、事務次官とも会える。こちらの話を聞いてくれる。政府と距離が近い。これは素晴らしいと思います。

日本人の価値観を伝える

そうはいっても価値観や仕事の進め方が日本人とマレーシア人では大きく違います。やはりそういうところで我々がお手伝いできるところがあるかと思います。日本で勉強してきた5Sの重要性とか、意味をマレーシア人に伝えていきたいですね。内村鑑三や松下幸之助が言っていたことですが、まず道徳が良くなければ政治が良くならない。政治が良くならなければ経済が良くならない。
第二次世界大戦以降、日本人は経済が良くならないと道徳が良くならないと思い込んでいるかもしれませんが、経済を良くしようと思えば政治が良くならないといけないと思います。

その政治を良くしようと思ったら、やはり国民の道徳観、モラルが非常に大事であり、日本人の強みは昔からそこにあったはずなんです。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が大事だというのはその辺りの考え方に立脚している訳なんですが、道徳観念が、しっかりしていないとアウトプットが出て来ないと思います。

確かに合理化などは進んでいくと思いますが、人間としての価値観とか産業人、企業人としての心がけのようなものをもっていないといけないと思います。なので我々の役割はこうしたことを伝えていくことだと思います。またそうしていけばマレーシアはもっと良い国になるのではないかと思いますね。

中・長期的なビジョンの大切さ

私は30年間人事をやってきました。大きな事業構造改革に人事責任者として関わる仕事が多かったんですが、合併・買収(M&A)も3回経験しましたし、新しい工場展開、工場の閉鎖、人員削減などをずっとやってきました。そうしたことをやってきて、その時々にそれなりにやり遂げたという達成感は確かにありました。

しかし今考えると目先のことをやってきたのではないかと思うんです。人事の分野で事業を小さくしたり、統合したりといったことをやってきましたが、いざ振り返るとなんだったんだろうなと思うことが多々あります。

そういうことを踏まえて、反省点としては中長期的なビジョンをもって進めてこられなかったという点があります。この会社をどういう会社にしたいのか、そうした会社にするには人事がどうあるべきなのか、何をもって達成したのかという評価基準、KPIを設定して、中長期的ビジョンに立って人事マネジメントができなかったと感じています。

文化と組織と人の掛け算

事業が強くなるというのは、「文化」と「組織」と「人」の掛け算ではないかと思うんです。多様性のある文化と自立した多様な知見をもった人が集まって能力を如何なく発揮して、共に助け合いながらモノを作っていく、競争していくという価値を創出できるような会社であったのかと。そういうことについてもっと目指すべきではなかったのかなと思います。

パナソニックではベーシック・ビジネス・フィロソフィ(BBP=経営理念)と呼んでいるのですが、会社の経営理念というものが唯一、グループ全体をグローバルで束ねていけるものなんですね。この価値観をしっかりローカルの人たちと共有することはとても大事なことなんです。実際それなりにローカルの幹部が育っている会社はうまくいっています。やはりローカルを動かすのは現地の習慣や言語でみてもローカルです。

日本人は、技術は教えられるかもしれませんが、マネジメントするのは簡単ではない。やはりしっかりしたローカルを育てて、彼らに任せて経営していくというのが大事です。技術移管も大事なんですが、それだけではしっかりした経営はできないと思います。

そして我々は日々の仕事を通じてヴァリューを教える。お金を稼ぐよりコンプライアンスを守る、ルールを守ることの方が大事なんだと教えないといけない。なぜそれが大事なのかということを教えることが日本人の役割ではないかと思います。

コロナ下での対応-パナソニック・マネジメント 井水様-

パナソニック・マネジメント・マレーシアの副社長の井水啓之さん。マレーシアに23社あるパナソニック・グループ会社を束ねる司令塔として、新型コロナウイルス「Covid-19」対策に奮闘した日々について伺った。

ようやく稼動再開も最初は出荷のみ

——新型コロナウイルス感染拡大では、マレーシアに23社あるパナソニック・グループ会社を束ねる司令塔として対応に追われたと思いますが、3月18日に発令された行動制限令(MCO)では厳しく行動・活動が制限され、操業再開が認められたのは必需品・サービスに関してのみでした。

井水:我々の事業は電気電子産業(E&E)に所属しており、突然のMCO発令によって全てのグループ会社が稼動できなくなりました。最初は23社が各社ごとに操業認可を申請することにしましたが、操業再開の許可がでたのは製造会社1社だけで、しかも、製造でなく医療業界向けの出荷業務についてのみの許可でした。

——その後、MCOが延長されると同時に、段階的に規制が緩和されます。

井水:MCOが延長されたために改めてグループとして政府にアプローチし、二週間後のMCO2.0からは製造業者10社について稼動許可をもらいました。稼動といってももちろん限定的なもので、工場設備を維持していくために最低限の設備メンテナンスや出荷業務等の稼働許可を得ただけです。必需品・サービスである医療業界向け事業は、製造事業についても限定的に認めてもらいました。

——扱っているものが会社によって様々なので対応も違ってくる?

井水:会社によって対応がかなり違いました。販売会社などは事業再開が出来たのは一番、最後でした。


感染スクリーニング問題に直面

——現在は100%稼動ではないが23社すべて動いている?

井水:そうですね。ただし、建築事業については稼動のレベルには、至っておりません。グループ2社が建築事業に携わっていますが、人材確保、外国人労働者のスクリーニング、標準的運用基準(SOP)の問題などで苦労しています。

——大勢の外国人労働者のスクリーニングは問題になっていますね。

井水:各社によって状況が違いますが、製造業については先に稼動を優先させ、外国人労働者のスクリーニングは後に回すということになりました。
建築については稼動前にスクリーニングしなければならないということだったので、こちらはスクリーニングを行なって陰性判定を受けた方々からオペレーションに携わって頂きました。


規則の解釈の相違で混乱も

——州によって運用が厳しかったり、中央政府と地方政府の方針・解釈が違っていて困っている企業も多かったと聞きます。

井水:地域によって違いますが、中央政府と地方政府の方針、SOPの解釈が異なることはありました。
パナソニック・グループは規模が大きく影響が大きいだけに、各方面からいろいろ心配していただきましたが、規模の問題については、正々堂々と中央政府にお願いし、地方政府に説明して頂きました。これにはかなりの時間がかかりましたが、最終的に認めてもらいました。

——中央と地方で解釈が異なる事例では、企業規模のほかにどのようなことがありましたか?

井水:最初に14項目のSOPが出たのですが、その2項目に国内需要を優先的に満たすことが条件とありました。
よく読めば国内需要を満たせば輸出も認められると解釈されるのですが、地方政府から「可能なのは国内向けだけで輸出向けはダメ」といわれるケースがありました。

——他には?

井水:3つ目はレッドゾーン(感染者が出ている地域)の取り扱いの問題でした。レッドゾーンはロックアウトである強化行動制限令(EMCO)とは違うのですが、州政府から「レッドゾーンでは稼動再開はダメ」といわれたことがありました。

——事実上の国境封鎖となったためにヒトの移動、駐在員や家族の移動に影響が出ていますね。

井水:日本人出向社員の帰任者の後任として赴任予定だったが来れなくなって日本で待機している日本人や外地間転勤で各国にて待機頂いている方々等、パナソニック・グループで数十人の規模に及んでいます。それと同時に帰任予定の人の日程も遅れました。年齢が高い人など、感染が心配だということで一時帰国したままマレーシアに戻って来れない駐在員や家族もいます。


影響は決算や製品開発にも

——人が動かないことで具体的にどのような影響が出ましたか?

井水:4月からの新組織体制を構築できないことや、新製品の立ち上げなどに大きな影響が出ました。

——操業がストップしたことによる逸失利益はかなりな額だったのでしょうね?

井水:特に、4月は売上が激減し、グループ全体ではかなりの損失が出ています。それから2019年度末決算業務が遅れたことで、パナソニック・グループの連結決算に遅れが生じ、迷惑をかけてしまったことが一番申し訳なかった点ですね。
各部門からデータを収集して経理が整理をし、外部の監査法人の監査を受け、本社に提出した数字をまとめて初めて決算が終わるんですが、その一連の手続きに相当、遅れが生じました。

——R&D活動にも影響ありますね。

井水:R&Dが止まったことによって次年度の製品開発に影響がでました。マレーシアにはR&Dを手掛けるグループ会社が数社あり、次の製品開発のスケジュールが押してしまうことになりました。


状況をチャンスに変える発想を

——現時点でみて、マレーシア政府に対してこうして欲しかったというのはありますか?

井水:あまりにもMCO発令が突然だったので、本当にこれで良かったのか、政府には、政策全体の総括をして欲しいと思います。特に、ASEAN諸国の中では、最も規制が厳しいのがマレーシアで、マレーシア経済、国民全体に相当な負の影響が生じているように感じています。
われわれ現場サイドはやることはやったと思います。食堂のテーブルについたてを立てたり、ビニールシートを間に敷いたりして実に真面目に感染防止対策をやっています。これは日系企業らしいなと思いますね。
感染源が海外にあるため、国境管理を厳しくするのは理解できますが、マレーシア国内の経済や雇用面は深刻な打撃を受けており、同じレベルの統制は回避すべきと政府にも意見を伝えています。

——企業によっては今回の新型コロナ騒ぎを受けて、サプライチェーンや生産拠点などのストラクチャを見直そうという動きも出ているようですね。

井水:マクロ経済としてみた場合には、そういうことは起こると思います。マレーシアにとってはこの状況は逆に、チャンスにしていかなければならないと思います。以前のルックイースト政策の時のような外資誘致、国内合理化投資支援策を中期的な視点でもっと大胆に進めるように政府に期待したいと思います。