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飲酒運転による重大交通事故が続発したことを機に高まった罰則強化を求める声を受け、飲酒運転に対する罰則強化を盛り込んだ「2020年道路交通法(改正)」法案が8月26日、下院議会で可決された。

飲酒運転の罰則(初犯)はこれまでの罰金1,000リンギ以下から罰金1,000—5,000リンギに、死亡事故を起こした場合は禁固10年以上15年以下、及び罰金5万リンギ以上10万リンギ以下に、免許取り消し期間は10年にそれぞれ引き上げられた。飲酒運転の定義も強化され、呼気中のアルコール濃度はこれまでの0.35mg/Lから0.22mg/Lに、血中アルコール濃度が同0.8mg/ml(0.08%)から0.5mg/mlにそれぞれ引き上げられた。

これまでユルいと言われていた飲酒運転に対する罰則強化は妥当なところだが、同法案の審議の過程では、飲酒を禁忌としているマレー系議員からアルコール飲料の販売そのものに対する規制強化を求める声が次々と上がった。

イスラム原理主義政党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のアハマド・ファドリ・シャアリ議員(パシルマス選挙区)は、「アルコール飲料がなくなれば、厳格な法律を導入する必要なく、飲酒運転の問題を解決できる」と言明。暫定的な措置としては酒場の周辺での駐車を制限し、利用者が公共交通機関や配車サービスを使うよう仕向けることを提案した。

統一マレー国民組織(UMNO)のノー・オマル議員(タンジョン・カラン選挙区)は、米カリフォルニア州では午前2時から午前6時まで、シンガポールでは午後10時半から午前7時までアルコール飲料の販売を禁止している例を挙げ、アルコール飲料の販売時間を制限して24時間販売を禁止すべきと提言。酒場の前で警察官が店を出る者のアルコール濃度をチェックして車を運転させないようにすることを提案した。

ウィー・カション運輸相は、アルコール飲料の販売制限については住宅地方自治省の管轄だと回答。あくまで法改正は飲酒運転を取り締まるためのものだとし、非ムスリムの飲酒の権利に対する配慮をみせている。しかしアルコール小売の管轄官庁である住宅地方自治省のイスマイル・アブドル・ムタイブ副相は、「全国の食料品店におけるアルコール飲料の販売規則を見直す必要があることに同意する」と言明。「アルコール飲料の販売ライセンスは関税局の管轄下にあるが、アルコール飲料が地域社会にプラスの効果よりもマイナスの効果をもたらしていることを考えると、住宅地方自治省としては食料品店での販売規制を検討する必要があると考えている」と述べた。

すでにクアラルンプール市役所(DBKL)は、販売ライセンスの新規発行を凍結しており、再開するメドはたっていない。非ムスリムからは規制強化に対して批判の声が上がっている。

安定多数の議席をもたないムヒディン・ヤシン政権は、実質的にPASとUMNOという二大マレー政党に支えられている。マレー有権者受けする政策に偏ることは避け難く、アルコール飲料販売規制強化も避け難い情勢にある。

(マレーシアBIZナビ編集部)

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