【クアラルンプール】 メイバンク投資銀行の調査部門は、電気自動車(EV)の域内拠点を争う上でマレーシアはタイやインドネシア、シンガポールなどのライバルに遅れをとっているとするリポートを発表した。
メイバンク投資銀は、多くの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国がメガプロジェクト、投資、インフラを誘致するために、EVロードマップを段階的に策定していると指摘。「タイ、インドネシア、シンガポールが最前線に立っており、さまざまな税制優遇策を行なっている」とした上で、「逆にマレーシアとフィリピンは、EVの可能性を採用する上で地域の同業他社に後れを取っているようだ。マレーシアとフィリピンでは依然として内燃機関(ICE)に注力している」とした。
タイについては、2025年までにASEANのEVハブとなることを目指しており、それまでに電気自動車25万台、公共電動バス3,000台、電動バイク5万3,000台の電気オートバイを生産する目標を設定している。政府が50億バーツ(1億6,500万米ドル)以上のEVプロジェクトを実施する事業セグメントについて法人税を8年間免除するなどの優遇策を行なっている。という。
インドネシアについては、2025年までに自動車の最低20%を電気自動車にすることを目標としており、これまでにトヨタ(20億米ドル)、韓国・現代自動車(15.5億米ドル)などの投資誘致に成功、テスタと韓国LG化学からは新たにバッテリー向け投資(98億米ドル)の申請を受けているという。
シンガポールについては、2040年までにICE車両を段階的に廃止することを目指しており、EV関連のイニシアチブに今後5年間で3,000万シンガポール・ドル(9,163万リンギ)を投じる計画だという。
対照的に、マレーシアの国家自動車政策は、EVロードマップ(投資、インセンティブ)が曖昧であり、独ポルシェAGがマレーシア投資を計画している一方で、現代自はマレーシアのアジア太平地域本社を閉鎖しインドネシアに移転した。フィリピンのEVロードマップについては明確さと方向性も欠けているという。
(ボルネオ・ポスト、2月22日)