空コンテナ不足、経済活動制限が主因

【クアラルンプール】海運業で空コンテナ不足が発生しており、貨物の海上輸送に支障が出ている。
クラン港で荷役サービスを提供するウエストポーツ・ホールディングスのルーベン・グナナリンガム代表によれば、多くの国で経済・社会活動を制限した結果、小売業で物が売れず、倉庫の多くは在庫の山で、コンテナからの荷降ろしができない。トラック運送業者も港湾における混雑のためコンテナ運び出しが思うに任せなかった。
コンテナは1回の輸送利用が約50日で、年5ー6回利用されるのが普通だったが、パンデミック発生後は回数が減少した。貨物を積載したままのコンテナが増えたためで、空コンテナ不足が起こった。
最も空コンテナ不足が深刻だったのは昨年12月で、港湾では混雑が発生した。混雑は現在、解消されたが、いつでも再発の可能性があるとし、グナナリンガム氏は港湾からの速やかな貨物引き取りを荷主に要請した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月22日)

電気自動車競争、マレーシアはライバルに遅れ=リポート

【クアラルンプール】 メイバンク投資銀行の調査部門は、電気自動車(EV)の域内拠点を争う上でマレーシアはタイやインドネシア、シンガポールなどのライバルに遅れをとっているとするリポートを発表した。
メイバンク投資銀は、多くの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国がメガプロジェクト、投資、インフラを誘致するために、EVロードマップを段階的に策定していると指摘。「タイ、インドネシア、シンガポールが最前線に立っており、さまざまな税制優遇策を行なっている」とした上で、「逆にマレーシアとフィリピンは、EVの可能性を採用する上で地域の同業他社に後れを取っているようだ。マレーシアとフィリピンでは依然として内燃機関(ICE)に注力している」とした。
タイについては、2025年までにASEANのEVハブとなることを目指しており、それまでに電気自動車25万台、公共電動バス3,000台、電動バイク5万3,000台の電気オートバイを生産する目標を設定している。政府が50億バーツ(1億6,500万米ドル)以上のEVプロジェクトを実施する事業セグメントについて法人税を8年間免除するなどの優遇策を行なっている。という。
インドネシアについては、2025年までに自動車の最低20%を電気自動車にすることを目標としており、これまでにトヨタ(20億米ドル)、韓国・現代自動車(15.5億米ドル)などの投資誘致に成功、テスタと韓国LG化学からは新たにバッテリー向け投資(98億米ドル)の申請を受けているという。
シンガポールについては、2040年までにICE車両を段階的に廃止することを目指しており、EV関連のイニシアチブに今後5年間で3,000万シンガポール・ドル(9,163万リンギ)を投じる計画だという。
対照的に、マレーシアの国家自動車政策は、EVロードマップ(投資、インセンティブ)が曖昧であり、独ポルシェAGがマレーシア投資を計画している一方で、現代自はマレーシアのアジア太平地域本社を閉鎖しインドネシアに移転した。フィリピンのEVロードマップについては明確さと方向性も欠けているという。
(ボルネオ・ポスト、2月22日)

新政策「マイデジタル」を発表、デジタル経済を促進へ

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は19日、2030年までのデジタル経済促進を図り、青写真「マイデジタル」を発表した。「第12次マレーシア計画(12MP)」や「シェアード・プロスペリティー(繁栄の共有)ビジョン2030(WKB2030)」などの国家成長政策を補完するものになるという。
「マイデジタル」は3期に分けて実施する。第1期(2021ー2022年)ではデジタルの利用促進を加速させるため基盤を強化する。第2期(2023ー2025年)ではデジタル変革を促進に注力し、民間や企業など幅広いデジタルの利用を強化する。第3期(2026ー2030年)では、引き続き長期的な成長維持を目指すと共に、デジタル・コンテンツやサイバー・セキュリティ分野での域内のトップを目指す。
3期に分けた取り組みを通して、デジタル経済が国内総生産(GDP)に占める割合を2025年までに22.6%に引き上げる計画だ。87万5,000社の零細企業や中小企業にeコマースの導入を推奨し、50万人分の雇用を創出することを目指す他、今後5年間で5,000社のスタートアップ企業を創出する。
また「マイデジタル」により、700億リンギ相当の国内外からの投資を誘致し、2030年までに生産性を30%引き上げる計画だ。公共部門においては2022年までに全ての機関でキャッシュレス決済を導入し、メインの支払い方法として使用してもらえるようにする。
一方で政府は、ハイパースケール・データ・センターとクラウドサービスを構築、管理するために、マイクロソフトとグーグル、アマゾン、テレコム・マレーシア4社をクラウドソリューションプロバイダー として、条件付きで承認した。4社は今後5年間で120億ー150億リンギを投資する予定だ。
ムヒディン首相は、「マイデジタル」や第5世代(5G)ネットワークの導入により、向こう10年間で150億リンギの投資を見込んでいると言明。特別目的事業体による様々なプロジェクトが実施され、10万5,000人の雇用創出に繋がると見込んでいると述べた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月20日)

ワクチン第一陣が到着、前倒しで24日に接種開始へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、第一陣のワクチンの到着が早まったことから、26日を予定していた接種を24日に前倒しで開始すると発表した
プトラジャヤ・ヘルスクリニックで24日にムヒディン・ヤシン首相や保健省のノール・ヒシャム事務次官のほか、続いて医療従事者や最前線で働く治安維持関係者なども接種を受ける。
すでに最前線の57万1,802人がワクチン接種登録を行なっており、57.3%を医療従事者、42.7%を軍人、警察官、刑務官、税務署員、消防署員、自警団などが占めた。
米ファイザー製のワクチンの第一陣は、21日午前10時過ぎにマレーシア航空(MAS)便で無事にクアラルンプール新国際空港(KLIA)に到着した。またペナン空港にも同日、1万6,000回分のワクチンが到着した。中国・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のワクチンは2月27日に到着する予定。

新型コロナの感染者数は2192人、セランゴールで910人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は22日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から2,192人増加したと発表した。アクティブ感染者数は3万2,076人で、累計感染者数は28万5,761人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く910人だった。それに▽クアラルンプール(KL、303人)▽サラワク州(221人)▽ジョホール州(211人)▽ペラ州(148人)▽ペナン州(135人)▽サバ州(110人)▽ネグリ・センビラン州(64人)▽クランタン州(28人)▽ケダ州(26人)▽マラッカ州(14人)▽プトラジャヤ(7人)▽パハン州(7人)▽トレンガヌ州(4人)▽ペルリス州(4人)ーーが続いた。ラブアンのみゼロだった。新たに3,414人が回復し、累計治癒者は25万2,623人となった。死者数は6人増えて、累計で1,062人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は21日、新たに6カ所のクラスターを確認したと発表した。全てが工場、建設現場、労働者の宿舎など職場に関連するクラスターだった。
ジョホール州で5カ所、ペナン州で1カ所のクラスターが発生した。
これまでに確認されたクラスター数は1,074カ所。新たに6カ所のクラスターが終息し、現在継続中のクラスターは510カ所となった。