SOP順守とワクチン接種が最後の手段、医師会会長が見解

【ペタリンジャヤ】マレーシア医師会のM.スブラマニアム会長は27日、新型コロナウイルスの陽性反応者数の増加に歯止めがかからない状況について「標準的運用手順(SOP)の厳格な順守とワクチン接種の推進がウイルスとの戦いで残された手段。人との面会、不要な外出を回避すべきだ」と国民に自制を求めた。
また感染多発地域を特定する早期警報システムの情報を活用し、政府は感染者数の多い地域でワクチンの大規模接種を行うべきとした。
公共政策について研究、提言を行う独立シンクタンク「ガレン・センター」のアズルル・モハマド最高責任者は、断食明け祝祭の期間中、旅行自粛要請が守られなかったことはソーシャルメディアへの投稿から明らかで、これがクラスターを生んだと述べた。
複数の政治家、政府高官がSOP無視の行動をとったことにも失望を表明した。
(ザ・サン、5月28日)

新型コロナ重症患者が3倍増、病床ひっ迫する州も

【ペタリンジャヤ】 この数週間でカテゴリー4と5に分類される新型コロナ重症患者数が3倍に急増中だ。カテゴリー4は肺炎を生じ酸素投与が必要な状態、カテゴリー5は多臓器不全を伴う重症状態を示す。アダム・ババ保健相は、第二波までの重症患者数は全体の5%だったのに対し、現在起きている第三波の重症患者の比率は15%となっており、20—40歳の患者数も増加していると述べた。
公立病院のコロナ病床使用率も75%にのぼっており、特に首都圏クランバレー、ジョホール州、トレンガヌ州、クランタン州、サラワク州の病院では、病床使用率が最大に達している。そのため、一般病床のコロナ病床への転換や集中治療室(ICU)数の増加、軽症患者の一般病院への転院などの対策が取られているが、病床ひっ迫を防ぐために国民のステイホームへの協力が不可欠であるとアダム保健相は述べた。
保健省では、ワクチン供給アクセス保証特別委員会(JKJAV)と協議の上、ワクチン接種の義務化ないしはワクチン接種予約欠席者への罰則を検討している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、5月27日)

40%の在宅勤務規定、違反企業には罰金5万リンギ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大防止のため行動制限令(MCO)指定域で在宅勤務(WFH)規定が強化されたことに関連して、国家安全委員会(NSC)は、違反企業に対する取締権限を半島部労働局(JTLSM)に与える方針を固めた。

これまでは「1988年感染症予防及び管理法」に基づき保健省にしか処罰権限がなかったが、27日に開催されたMCO技術委員会でJTKSMに権限を持たせることで合意していた。M.サラバナン人的資源相によると、WFH規定に従わなかった場合、法人に対しては5万リンギ、個人に対しては1万リンギの罰金が科される。

WFH規定強化により、半島部とラブアンを対象に25日から民間企業で40%、公的機関で80%の在宅勤務が義務づけられたが、いまだ多くの雇用者が従業員に出社を強制しているとの訴えが人的資源省に寄せられていたという。

WFH規定に関しては港湾や空港などについては例外措置がとられている模様で、クラン港のコンテナヤード運営会社、ウエストポーツ・ホールディングスは先ごろ「ベルナマ通信」の取材に対し、全従業員の90%が個別に作業を行なっているため社会的距離に配慮する必要はないと説明。10%だけが在宅勤務対象のオフィス勤務であるため、全体でみると在宅勤務率が3—5%に過ぎないとしている。

新型コロナの感染者数は8290人、4日連続で過去最多を更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は28日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が8,290人となり、過去最多を4日連続で更新したと発表した。アクティブ感染者数は7万2,823人で、累計感染者数は54万9,514人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く2,052人だった。それに▽クランタン州(851人)▽クアラルンプール(KL、830人)▽ジョホール州(762人)▽サラワク州(698人)▽ケダ州(544人)▽ネグリ・センビラン州(520人)▽ペナン州(421人)▽ペラ州(405人)▽マラッカ州(380人)▽サバ州(308人)▽パハン州(254人)▽トレンガヌ州(207人)▽プトラジャヤ(44人)▽ペルリス州(8人)▽ラブアン(6人)ーーが続いた。新たに4,814人が回復し、累計治癒者は47万4,139人となった。死者数は61人増えて、累計で2,552人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は27日、新たに20カ所のクラスターを確認したと明らかにした。
コミュニティでは最も多い8カ所のクラスターを確認。また職場で7カ所、宗教活動で3カ所、教育期間と留置書でそれぞれ1カ所でクラスターが発生した。
州別では、ジョホール州とクランタン州でそれぞれ5カ所、セランゴール州で3カ所、パハン州、サラワク州でそれぞれ2カ所、KL、サバ州、ペラ州でそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。
ノール氏は職場関連のクラスターについて、4月1日から287カ所発生しており、うち132カ所が工場に関連していると言明。233カ所で陽性者を出し続けており、これまでに累計で1万6,785人の感染を確認したと述べた。

ロックダウン詳細発表、一部業種除き操業停止

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相とノール・ヒシャム保健省事務次官は30日に共同記者会見を行い、6月1日付けで発令される全国規模のロックダウンにおける標準的運用手順(SOP)について詳細を明らかにした。
通産省が発行していた業務のための地区・州を跨いだ移動の許可証は、5月31日いっぱいで無効となる。6月1日以降については、関係各省庁が新たに許可証を発行する。
必需業種以外の操業は禁止する。製造業及び製造関連サービスで許可されるのは医薬品、医療機器、衛生用品、個人用防護具、防火機器、食品・飲料、電気・電子、石油・ガス・潤滑油、化学品、機械・装置、航空部品の製造および航空機メンテナンスで、包装材と印刷は食品・飲料や医薬関連目的のみ認められる。ただし出社人数は通常の60%以内とする。
また自動車(部品含む)、鉄鋼、セメント、ガラス、セラミックについては、製造機械維持のための運転を認める。その他の製造業は操業は禁止となる。
このほか許可されるのは、▽農業▽農園▽漁業▽飲食店(持ち帰り&デリバリーのみ)▽薬局▽スーパー&コンビニ▽食品・飲料▽獣医▽水道▽エネルギー▽保安・セキュリティ▽廃棄物処理・清掃▽陸運・空運・海運▽ドック・空港・輸送関連▽通信・メディア・電話・インターネット▽金融・保険・証券▽質店など小規模金融▽Eコマース▽燃料▽宿泊(隔離目的のみ)▽眼鏡店▽金物店・ホームセンター▽建設・重要なインフラ▽林業――。
 ▽店内飲食▽農業市場、夜市など▽ネットカフェ▽撮影活動▽公営賭博・宝くじ▽スパ、マッサージ店など▽ヘルス・美容院▽ネイルサロン▽理髪店▽家具店▽洗車店▽文具店▽カー用品店▽服飾店▽スポーツ用品店▽花屋――は営業停止となる。
ショッピングセンターは飲食店及びスーパーマーケット、食料品店、必需品のセクションを除いて営業停止となる。移動は同じ地区内の半径10キロメートル内で、車1台に2人までの乗車を認める。移動目的は食料品や医薬品などの必需品の買い物などに限定する。午後8時以降の外出は慎むよう求める。

完全ロックダウン、6月1日より二週間実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 首相府は28日夜に声明を発表し、新規感染者が8千人を突破した新型インフルエンザ(Covid-19)の抑え込みに向け、6月1日より再び完全ロックダウンを実施すると発表した。期間は6月14日までの2週間。
同日行われた国家安全委員会(NSC)会議で決定した。期間中は必需経済セクター&サービスのみ操業が認められ、その他の経済活動、社会活動は禁じられる。操業可能な必需経済サービス&サービスのリストは後にNSCが発表する。
二週間の第1フェーズの間に感染者の大幅削減に成功した場合には第2フェーズに移行し、大人数・密集を伴わず、社会的距離を保てる経済セクターについて再開を認める。第2フェーズの期間は4週間で、その後は第3フェーズに移行し、多くの社会活動を制限した上でほぼすべての経済活動を厳しい標準的運用手順(SOP)順守の条件付きで認めている現在の行動制限令(MCO)に戻す。
各フェーズの次の段階への移行については、新規感染者数に基づく保健省によるリスク評価と、国の医療システムの対応能力によって判断する。完全ロックダウン実施に伴い、財務省は新たな経済支援策を実施する予定。
新規感染者急増による医療への逼迫で、政府内からも完全ロックダウンの必要性を求める声が高まっていた。そうした中、政府は経済への影響を配慮し、現在行われているMCO3.0を維持したままSOPの強化で乗り切ろうとしたが、感染拡大を抑えることは出来なかった。
新型コロナの新規感染者は今年1月末に5,700人まで増加したが、同月に発令した第二次MCO(MCO2.0)の効果で3月末には1千人を切るまで減少。しかしその後増加に転じ、5月28日には過去最高の8,290人を記録した。最近では重症者の比率が増加する傾向にあり、死者も連日60人前後出ている。

コロナ禍でメンタル破壊?、昨年は1,080人が自殺未遂

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」禍が長期にわたっていることから、うつ病、不安症などメンタルヘルスを病むマレーシア人が増加している。

アダム・ババ保健相によると、昨年1年間で1,080人が自殺を試み、公立病院で治療を受けたという。メンタル面での問題の原因は失業、収入減、家庭内での衝突、人間関係の問題などに関するものだった。

ボランティア団体、マーシー・マレーシアによると、昨年3月25日以降、悩み相談のホットラインに14万5,173件の相談が寄せられた。うち85.5%が精神衛生上の問題に関する悩みで、急性ストレス、不安、うつ病、虐待、自殺願望に関するものだった。

(ザ・スター、東方日報、5月23日)

ファーマニアガ、シノバック製ワクチンを追加注文

【クアラルンプール】 薬品大手ファーマニアガは、中国の北京科興中維生物技術(シノバック・ライフ・サイエンシズ)製の新型コロナウイルス 「Covid-19」ワクチンの需要が今後増加することが見込まれるとして、追加で1,000万回分を追加注文する計画だ。
ズルカルナイン・モハメド社長は、世界保健機関(WHO)がシノバック製ワクチンの緊急使用を承認したことから、今後世界的に需要が増加する可能性があるとし、需要が増加する前に発注すると説明した。
すでにシノバック社から受領した100万回分のワクチンについては、国家医薬品規制庁(NPRA)から出荷承認を受けた。同社の完全子会社であるファーマニアガ・ライフサイエンスが、充填および最終製剤化を行なっており、5月23日までに188万9,800回分のワクチンを製造した。
マレーシア政府は集団免疫を達成させること目指し、ワクチン接種プログラムの加速化を図っていることから、同社は1カ月当たり200万ー300万回分の生産量を増やす準備も進めているという。
(ザ・サン、5月25日、エッジ、5月24日)

LRT事故対応で批判殺到、財務省が運営会社会長を解任

【クアラルンプール】 財務省は27日、公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアのタジュディン・アブドル・ラーマン会長を解任すると発表した。タジュディン会長は24日夜に起きた軽便鉄道(LRT)衝突事故での対応を巡って批判を浴びていた。
事故発生当日にはウィー・カション運輸相やプラサラナの最高経営責任者(CEO)が現場や病院にいち早く駆け付けたが、タジュディン氏は姿を現さず、翌日になってようやく現場視察に訪れた。
事故当日現場に来なかった理由について、タジュディン氏は「ある会社とミーティングを行なっていたため事故に気付くのが遅れた。翌25日には2回目のコロナワクチン接種を控えていた」と釈明。「2編成の列車がキスしただけで大したことは無い」など冗談を飛ばした上で、追及する中国系メディアに対しては人種差別的な発言を行なった。タジュディン氏の不遜な態度は動画で拡散、批判の声が殺到していた。
タジュディン氏は統一マレー国民組織(UMNO)最高評議会メンバーでペラ州パシル・セラ選挙区の現職国会議員。2020年3月のムヒディン・ヤシン政権樹立に際しての報奨人事として、同年5月11日にプラサラナの会長に就任していた。
LRTケラナジャヤ線の事故はその後の調査で、試運転の列車運転士が誤って逆方向に車両を走らせたたため、乗客が乗っていた列車の線路に入り正面衝突したことが判明している。これによって47人が重傷、166人が軽傷を負った。なおプラサラナは、見舞い金として乗客213人全員に一律1,000リンギを支給するとしている。

ワクチン接種予約を欠席、7州だけで5.2万人以上

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの接種予約を取ったものの予定日時に現れなかった者が、7州だけで5万2,771人以上に上ることが明らかになった。

ウトゥサン・マレーシア紙によると、接種予約日時に欠席した者はケダ州が1万827人で最も多く、これにパハン州(1万人)、クランタン州(同)、ペラ州(9,009人)、ネグリ・センビラン州(6,323人)、ムラカ州(3,612人)、ペルリス州(3,000人)が続いた。ケダ州では予約者3万100人のうち、未接種者が約35%にものぼっている。

欠席理由については、接種日の確認忘れのほか、別の場所におり接種センターが遠くて行けない、別の種類のワクチンが希望だから、夫婦で一緒に行ないたいから、同行者がいないから——といった理由も挙げられた。また中にはギリギリになってからの日時変更依頼、保健当局からの確認電話に出ないといった例もあったという。

ワクチンは保管庫から一度取り出した後はただちに接種する必要があり、保存が効かない。予約があるにも関わらず接種に来なければ、用意されたワクチンは無駄になってしまう。

(マレー・メイル、5月27日)