厳格SOPを25日に施行、40%の在宅勤務を義務付け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大を受け現在半島部マレーシアとラブアンを対象に発令されている3度目の広域行動制限令(MCO3.0)における、標準的運用手順(SOP)が25日より厳格化され、民間企業の従業員の出社比率は60%に制限される。

昨年3月のような完全ロックダウンを求める声が医療関係者から上がっていたが、さらなる業強悪化を懸念する産業界に配慮してロックダウンは回避し、既存のSOPを厳格化するにとどまった。

関係省庁・機関に操業が認められている民間企業はこれまでどおりの営業が可能だが、社員4割の在宅勤務が求められる。また公務員に対しては8割に当たる75万人が在宅勤務を求められる。

ショッピングモール、スーパーマーケット、コンビニ、食料品店、理髪店、飲食店、屋台などについては、営業時間を午前8時から午後8時までに制限する。ショッピングモールを含む小売店での顧客の滞在時間は2時間を限度とするほか、入店人数も4平方メートル当たり1人に制限する。

新型コロナの新規感染者は今年1月末に5,700人まで増加したが、同月に発令した第二次MCO(MCO2.0)の効果で3月末には1千人を切るまで減少。しかしその後増加に転じ、5月20日には過去最高の6,806人を記録した。

ロックダウンが感染抑制の唯一の手段、ブログでマハティール氏

【クアラルンプール】マハティール前首相は、新型ウイルスの感染抑制にはロックダウン(都市封鎖)が必要との見解をブログで表明した。
感染対策に6,000億リンギを支出したとの政府発表に触れ「大変な額だが、感染拡大に対処できていない。MCO再導入は正しい判断だが、厳格に守られていない。人を少なくとも1カ月間、家に閉じ込める必要がある」と述べた。
この間の収入はなくなるため、政府負担で公営キッチンを設け各家庭に食事を届けることになるという。
ワクチンについては、ほかの国で多数に接種された実績があれば、マレーシアも受け入れるべきと述べた。
さらに、マスクの常時着用、手の頻繁な洗浄、ワクチン接種者も含めた頻繁な感染検査が必要だとした。
(マレーメイル、5月20日)

全国ロックダウンの再実施、73%が必要と回答=華字紙調査

【クアラルンプール】 華字紙「東方日報」が実施した新型コロナウイルス「Covid-19」対策に関する世論調査で、回答者の72.59%が昨年3月に発令された行動制限令(MCO1.0)と同様の全国的なロックダウンを再度発令する必要があると考えていることが分かった。
同調査は20日にインターネットを通じて新型コロナ対策に関する意見を聞いたもので、1万4,208人が回答した。回答者のうち22.65%はロックダウンはコロナ感染状況が深刻な州だけ行なうべきと回答。「再度のロックダウンは不要」は3.92%にとどまった。
また「経済よりコロナ対策が重要」は65.83%に上り、「経済とコロナ対策は同程度重要」との回答は32.76%にとどまった。また「経済とコロナ対策が両立できるか?」との設問には、「できない」との回答が46.69%を占め、「恐らくできる」は35.28%、「必ずできる」は10.76%だった。
過去1年間の政府のコロナ対策については、「10点満点で5点以上」が77.85%となった。
(東方日報、5月21日)

感染者増で保健省、感染者用病床数の増加を民間病院に要請

【クアラルンプール】保健省は20日、新型コロナウイルスの患者を収容する病床数を増やすよう民間病院に要請した。
保健省は、公立病院では集中治療室(ICU)の病床の70%以上がウイルス感染の患者で占有され、一般病棟でも70ー90%が感染患者用に使われているとし、民間病院はICUと一般病棟の両方で感染者用病床数を増やす必要があるとした。
マレーシア民間病院協会は最近、公立病院の収容能力がひっ迫していることから、感染者以外の患者を民間病院に委ねるよう求める声明を出していた
ケダ州では、回復の見込みのない慢性病患者をICUに収容しない方針を決めた。受け入れ能力不足が理由だ。
州保健業務監督者のモハマド・ハヤティ氏によると、ウイルス感染患者、ウイルス以外の重症患者のどちらをICUに入れるかの選択を医師は迫られるケースがあり、慢性病を抱え回復の見込みのない患者はICUに収容しない方針を州として決定したという。
(マレーメイル、フリー・マレーシア・トゥデー、5月20日)

新型コロナの感染者数は6493人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は21日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が6,493人となり、過去最多となった前日からは減少したと発表した。アクティブ感染者数は5万2,106で、累計感染者数は49万8,795人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く2,163人だった。それに▽クアラルンプール(KL、641人)▽サラワク州(612人)▽クランタン州(467人)▽ケダ州(434人)▽ジョホール州(406人)▽ペラ州(382人)▽ネグリ・センビラン州(370人)▽ペナン州(302人)▽マラッカ州(165人)▽パハン州(161人)▽サバ州(144人)▽トレンガヌ州(139人)▽ラブアン(84人)▽プトラジャヤ(20人)▽ペルリス州(3人)ーーが続いた。新たに4,508人が回復し、累計治癒者は44万4,540人となった。死者数は50人増えて、累計で2,149人となった。 保健省のノール・ヒシャム事務次官は20日、同日に確認された死者数が59人となり、5月18日に確認された47人を上回り、過去最高になったと言明。またこれまでで最も多い24カ所のクラスターを確認し、2日連続で過去最高を更新したと明らかにした。
職場では最も多い9カ所のクラスターを確認。またコミュニティで7カ所、宗教活動で6カ所、教育機関と感染すると重症化するリスクが高いグループでそれぞれ1カ所のクラスターが発生した。
州別では、サバ州で4カ所、ジョホール州、マラッカ州、ペナン州、セランゴール州で3カ所、ケダ州、サラワク州、パハン州でそれぞれ2カ所、クランタン州で1カ所のクラスターが発生した。

厳格なSOP発表、40%の在宅勤務義務付け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は22日、現在発令されている3度目の全国的な行動制限令(MCO3.0)における標準的基準(SOP)の厳格化の詳細を発表した。

 新型インフルエンザ(Covid-19)の新規感染者が過去最高レベルに増加していることを受け、21日に開催された国家安全委員会(NSC)会議で決定した。5月25日から実施する。産業界に配慮して、全面的なロックダウンは回避した。
 民間企業に対しては、出社人数を通常の6割以下とし、残り4割には在宅勤務を義務付ける。営業(操業)時間についても、午前8時から午後8時までとする。これまでは午前6時から午後10時まで認められていた。
 公務員については、80%にあたる75万人を在宅勤務とする。
 鉄道やバスなどの公共交通機関については、利用者数を定員の半分以下とする。運行頻度も減らす。
 営業時間の午後8時までの制限は、薬局を除きあらゆる事業所、ショッピングモール、商店にも適用する。薬局は午後10時まで営業を認める。
 新型コロナの新規感染者は今年1月末に5,700人まで増加したが、同月に発令した第二次MCO(MCO2.0)の効果で3月末には1千人を切るまで減少。しかしその後増加に転じ、5月20日には過去最高の6,806人を記録した。
 各地の医療体制が逼迫する状況を受けて、連邦政府は制限令の厳格化に向けて検討に乗り出していた。

完全ロックダウンは回避へ、22日にも制限強化を発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 首相府は21日夜に声明を発表し、新規感染者が増加傾向をみせている新型インフルエンザ(Covid-19)の抑制に向け、現在行われている全国的な行動制限令(MCO3.0)の標準的運用手順(SOP)を強化し、社会活動及び一部の経済活動を厳しく制限する方針を明らかにした

同方針は同日、ムヒディン・ヤシン首相が議長となって開催された国家安全委員会(NSC)会議で、各州の状況を鑑みて決定された。一部で懸念されていた、昨年3月に発令されたMCO(MCO1.0)と同様な完全なロックダウンの実施は回避される見込みとなった。

厳格化の詳細については22日にイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)が会見を開いて発表する。現在のMCO3.0の実施期間は5月12日から6月7日までとなっている。

新型コロナの新規感染者は今年1月末に5,700人まで増加したが、同月に発令した第二次MCO(MCO2.0)の効果で3月末には1千人を切るまで減少。しかしその後増加に転じ、5月20日には過去最高の6,806人を記録した。セランゴール州は特に深刻で、全感染者数の三分の二を占めている。

各地の医療体制が逼迫する状況を受けてアダム・ババ保健相はより厳格なMCOの実施に向けて検討していることを公表。これに対し産業界からは、経済的影響から完全なロックダウンは回避すべきとの声が上がっていた。

「好ましい政治家」ムヒディン首相がトップ=世論調査

【クアラルンプール】 O2マレーシアがこのほど実施したオンライン世論調査でムヒディン・ヤシン首相個人を「好ましい」と考えている有権者の比率は51.1%となり、依然として人気トップ政治家であることを伺わせる結果となった。ただ昨年6月調査での65.8%から、11月調査では52.5%、今回は51.1%と人気は下降傾向にある。
同調査は「政治とリーダーシップの問題に関するマレーシア有権者の国民感情」と題する調査で、3月26日から4月9日にかけて実施し18歳以上の1,582人から回答を得た。
二番目に「好ましい」との回答率が高かったのは汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首(33.9%)で、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長は30.2%、人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム党首は26.3%、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首は22.4%、統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド党首は10.6%となった。ハディ、サブの両氏の人気派ほぼ横ばいで、リム、アンワル、ザヒドの3氏の人気はやや回復している。
また首相経験者であるマハティール・モハマド前首相は33%、ナジブ ラザク元首相は27%だったが、両氏ともに人気は上向き基調にある。
党派別の人気では、「次期総選挙での投票先」としては野党連合・希望同盟(PH)が36%と最も高く、与党連合・国民同盟(PN)の31%を上回った。このほか国民戦線(BN)は22%、サイド・サディク前青年スポーツ相が設立した新党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)は11%だった。
(ベルナマ通信、5月19日、O2マレーシア発表資料)

首都圏のICU入院患者、2週間前から94%増加=保健省

【クアラルンプール】 保健省のノール・ヒシャム事務次官は19日、首都圏クランバレーの医療施設において、集中治療室(ICU)の入院患者が2週間前と比較して94%増加したと明らかにした。
ノール氏が行ったフェイスブックの投稿によると、セランゴール州やクアラルンプール (KL)、プトラジャヤのICUの79%に新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が入院している。新型コロナ患者を受け入れている病院は、増え続ける感染者のためにICUの病床を増やしたが、新型コロナの感染者以外の患者が適切な救急救命処置を受けることができなくなっているという。
ノール氏は首都圏クランバレーでは医療体制が逼迫していると言明医療従事者など最前線でコロナ危機と戦うフロントライナーの疲労も懸念していると述べた。その上で、国民に対して標準的運用手順(SOP)の順守と不要不急以外は外出しないよう呼びかけた。
(ベルナマ通信、エッジ、5月19日)

完全ロックダウン実施の可能性、産業界は続々反対表明

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染者が急増しているセランゴール州などを対象に政府が完全ロックダウン実施の検討に入ったことを受け、産業界からは経済への影響を懸念して実施に反対する声が上がっている。
国・地域を代表する商工団体からは、マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)のほか、マレーシア商工会議所(EUROCHAM)、マレーシア・米国商工会議所(AMCHAM)、マレーシア国際商工会議所(MICCI)などが反対を唱えている。
業界団体からは、マレーシア建築資材卸売業者協会(BMDAM)、マレーシア鉄鋼連盟(MISIF)、マレーシア化学工業評議会(CICM)、マレーシア自動車コンポーネント部品製造業者協会(MACPMA)、マレーシア製靴協会(MFMA)、マレーシア半導体工業会(MSIA)、マレーシア医療製品工業会(AMMI)——の7団体が反対の声を上げている。
マレーシア経営者連盟(MEF)は、行動制限令(MCO)を厳格化すること自体は賛成だが、完全ロックダウンは反対するとしている。またマレーシア中小企業(SME)協会は、昨年3月に実施された制限と同程度のロックダウンが行なわれた場合、40%近くのSMEが倒産する恐れがあるとして反対している。調査によると、中小企業の91%が何らかの影響を予想しており、37.5%がビジネスが半減すると予想しているという。
新型コロナの新規感染者は1月末に5,700人まで増加したが、第二次MCOの効果で3月末には1千人を切るまで減少。しかしその後増加に転じ、5月20日には6,806人を記録した。セランゴール州は特に深刻で、全感染者数の三分の二を占めている。この状況を受けてアダム・ババ保健相は17日、より厳格なMCOの実施に向けて検討していることを公表。タキユディン・ハサン首相府相(法務担当)は、21日の国家安全委員会(NSC)会議で方針が決まる見通しだと明らかにした。