【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10日にテレビ演説を行い、国会を解散すると発表した。総選挙は解散後60日以内に開催することが憲法で定められているが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されている。

解散・総選挙の前倒し実施は、イスマイル首相が総裁補を務める与党連合第一党・統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド総裁(元副首相)らが唱えていたもので、野党はもちろん与党連合で共闘する統一プリブミ党(PPBM)や汎マレーシア・イスラム党(PAS)なども「2023年度予算案審議が控えている」、「経済政策や洪水対策など国内問題が山積している」などの理由で反対意見が上がっていた。

解散前の各党派の勢力は、国民戦線(BN)が中心となった与党連合が友党や与党寄りの無所属議員を含めて116議席、野党連合・希望同盟(PH)などの野党が103議席で3議席が空席となっている。

与党連合はBNの議席が第一党・UMNOを中心に41議席にとどまっているが、次期総選挙で過半数回復を狙っている。これまでBNと連立を組んでいた国民同盟(PN)はPPBMやPASなどは合わせて46議席だが、今後もBNと連立を維持していくかどうかは不透明。このほか地方政党であるマレーシア国民党(PBM、6議席)などが与党連合を支援している。

野党側の中核はPHで、民主行動党(DAP)、人民正義党(PKR)、国民信任党(Amanah)などで合計90議席を保有。与党連合を切り崩せるか、サバ伝統党(ワリサン)や祖国戦士党(ペジュアン)、マレーシア統一民主同盟(MUDA)など他の有力野党を糾合できるかが勝利のカギとなる。