【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 IHI(本社・東京都江東区)は26日、同社のシンガポール法人であるIHIアジア・パシフィック(IHI AP)が、JERA(本社・東京都中央区)のグループ会社であるJERAアジアとの間で、マレーシアでの火力発電所の脱炭素化に向けた燃料アンモニアの利用導入・拡大などに関して、共同提言活動を検討・実施する基本合意書(MoU)に調印したと発表した。

IHIとJERAは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、JERAの碧南火力発電所4号機における燃料アンモニア20%混焼技術の確立に向けた実証事業や、アンモニア混焼率50%以上に向けた混焼率向上の実証事業に取り組んでいる。両社はマレーシア政府が掲げる、温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに2005年比で45%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標に貢献し、さらに東南アジア諸国(ASEAN)へも展開が進むことを期待し、マレーシアの火力発電所における燃料アンモニア利用を共同で検討し、提言活動を行っていくことと決めた。

IHIは、現在マレーシア国内で稼働中の火力発電ボイラ設備容量の50%以上(7,100MW)の納入実績があり、今後必要とされる脱炭素化実現に向けて取り組みを行っている。2021年にはマレーシア国営石油ガス会社ペトロナス子会社および大手電力会社TNBグループ子会社と、石炭火力へのアンモニア混燃技術の適用やカーボンフリーアンモニアのサプライチェーン構築に向けた検討を実施している。また、豪州などにおいてグリーンアンモニアのサプライチェーン構築についての検討にも参加しており、燃料アンモニアの製造から利用までのバリューチェーンでの提案活動を展開している。

IHIは同事業を通じて世界全体、ASEANでのカーボンニュートラル実現に向けた具体的な方法を示し、持続可能なエネルギートランジションを推進する。また、カーボンニュートラル燃料の多様な利用モデルを示すことで、燃料アンモニアを含めたカーボンニュートラル燃料の社会実装の早期実現と質の高いインフラ提供によるグローバルな環境負荷の低減に貢献していく方針だ。

JERAは、世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供するグローバル企業として、再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤を提供することで、マレーシアをはじめアジアを中心した世界の健全な成長と発展に貢献していく方針だ。