デング熱の感染者数が3.2倍に、死亡者も4.3倍の17人

【クアラルンプール】 アハマド・ザヒド副首相は、今年1月1日から3月25日までのデング熱感染者数が前年同期比3.2倍の2万6,222人、死亡者数も4.3倍の17人となっていると明らかにした。

州・地域別の感染者はセランゴール州が1万3,510人で最も多く、それ以下は▽サバ州(2,685人)▽クアラルンプール・プトラジャヤ(2,430人)▽ペナン州(2,113人)▽ジョホール州(1,758人)ーーとなっている。

デング熱感染者の急増を受けて対策を講じるために内閣委員会会合が28日に開催された。会合後の会見でザヒド副首相は、政府はホットスポット(感染多発地点)に非政府組織(NGO)やボランティア医師を派遣するなどの対策を実施していると言明。感染者ゼロを目指して、蚊を呼び寄せて駆除ができる「バイオジェル」の使用など、新たな対策の検討も行っていると明らかにした。また会合では、州レベルの対策委員会の設立についても同意したとし、感染者をゼロにすることができると確信していると述べた。

政府はデング熱対策および感染者支援に2億4,000万リンギを割り当てているが、追加の割り当ては行わない方針だ。
(ザ・スター、ザ・サン、3月29日)

国内銀行の資本や流動性は健全、景気後退でも懸念なし=中銀

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)のノル・シャムシア総裁は29日、国内銀行は十分な資本や流動性を維持しており、景気後退を想定した場合にも損失を吸収できる能力を有していると明らかにした。また国内の全銀行は規模に関わらず厳しい規制下にあり、他国で起きたような銀行危機はマレーシアでは起こらないとしている。

ノル氏は、中銀が毎年実施しているストレステストを通じ、銀行や保険・タカフル(イスラム保険)事業者を世界金融危機や2020年のパンデミック時よりも厳しい運用環境でテストした結果、総資本比率は最低限必要な8%を大きく上回る結果となり、国内金融機関の強さが確認されたと述べた。

BNMの「2022年下半期金融安定性レビュー」によると、国内銀行の総資本比率は2022年6月時点で18.4%、同年12月時点で18.8%。資本バッファーは規制最低値を超える1,348億リンギだった。総資産利益率は1.4%、自己資本利益率は12.4%に改善し、2022年12月時点の株価純資産倍率および株価収益倍もそれぞれ0.9、12.2とパンデミック前水準には及ばないものの上昇傾向にある。流動性に関しても、2022年12月時点の安定調達比率(NSFR)は118.2%、流動性カバレッジ比率(LCR)は154.0%となり、健全性を維持した。
(ザ・サン、ザ・スター、3月30日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月29日)

今年度予算案に追加の政策を発表=アンワル首相

【クアラルンプール】 2023年度予算案の第二読会が29日に行われ、アンワル・イブラヒム首相はいくつかの追加政策を発表した。

アンワル首相は、すでに発表した予算案に盛り込まれた政策で、恩恵を得ることができない人たちがいるとし、追加政策を導入することを決めたと説明。特にラマダン(断食月)やラマダン明けの祝日への支援が必要だとし、小規模ゴム農家や水田農家、漁師など85万人に対する追加の特別現金給付200リンギに1億7,000万リンギを割り当てると述べた。また自警団(RELA)や警察、消防のボランティアにも300リンギを支給するとした。

さらに28日にスティーブン・シム副財務相が打ち切りを発表していた国家教育貯蓄制度(SSPN)貯蓄者への最高で8,000リンギの個人所得税控除について、アンワル首相は国民からの反対や懸念の声が寄せられたとし、2024年まで延長することを決めたと述べた。今年度予算案は、全国民の幸福を確保するためにマレーシアを変えるという政府の決意を示すものであると説明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月30日、ベルナマ通信、3月29日)

プロトンが「X90」を発表、同社初のハイブリッド車

【スバンジャヤ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、同社初のハイブリッド車となる7人乗りスポーツ車(SUV)「X90」を発表した。

SUVとしては「X70」、「X50」に続くもので、吉利汽車「豪越」(フィリピンではオカバンゴ名称で販売)のリバッジ・モデル。タンジョン・マリム工場で組み立てられる。バリアントは、スタンダード、エグゼクティブ、プレミアム、フラッグシップの4種。排気量1.5リットルのTGDIエンジンと48V電気モーターシナジー(EMS)システムを搭載し、最大出力190馬力(PS)、最大トルク300Nmを発揮。燃費の向上、排出ガスの低減とパフォーマンスを両立させている。カラーはスノーホワイト、アーマーシルバー、ジェットグレー、シナモンブラウン、ルビーレッド、マリンブルーの全6色。価格は後日発表される予定。

リー・チュンロン(李春栄)最高経営責任者(CEO)は、ハイブリッド車導入は「マレーシアを次世代自動車のハブにする」という政府の目標に合致しているため、プロトンは今後もハイブリッド・モデルを増やす予定で、地元の自動車産業発展に向け主導的な役割を果たしていくと述べた
(ポールタン、3月29日、マレー・メイル、ベルナマ通信、3月28日)

エスプールとJバリュー、日本企業などのマレーシア進出を支援

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 エスプール(本社・東京都千代田区)は29日、マレーシアの日系企業Jバリューと業務提携契約を締結し、日本国内企業や自治体に対するマレーシア進出支援事業に取り組むと発表した。

エスプールはプロフェッショナル人材を活用した「タクウィル」サービスにて海外進出支援事業を展開するほか、子会社であるエスプールグローカルでは、自治体と連携して地方企業の台湾販路展開支援をしている。一方、Jバリューはマレーシアでのショッピングモール運営のほか、日本国内から現地への物流業務、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証コンサルティングなどの事業を展開しており、豊富な現地ネットワークを所有している。

今回の業務提携により、両社のノウハウや仕組みを活用し、企業向けにはマレーシアへの販路拡大、マレーシアにおける現地拠点開発、JCMクレジットの創出、自治体向けには地域商品の販売支援、日本国内への観光誘致などを行い、新たな販路を模索する企業・自治体に対しマレーシア進出支援のサービス提供を進めていく方針だ。