【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 IHI(本社・東京都江東区)は、パームヤシ空果房(EFB)から燃料用ペレットを製造する工場において、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量と設備稼働率を、デジタル技術により可視化する実証事業を開始した。2025年1月まで実施する。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の「日ASEAN(東南アジア諸国連合)におけるアジアDX促進事業」で本事業が採択されため、実施を決定した。「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」は、ASEANの企業・機関と連携し、デジタル技術を活用して経済・社会課題の解決を目指す取組みを支援するもの。

IHIは2018年にマレーシアにIHIソリッド・バイオマス・マレーシア(ISBM)を設立し、搾油会社であるLKPPドミニオンスクエア社から提供を受けたEFBを原料として燃料用ペレットを製造する事業を行い、腐敗したEFBから発生する、温室効果ガス(GHG)となるメタンガスの削減に取り組んでいる。

今回の実証事業では、GHG排出量のさらなる削減を目指し、デジタル技術を活用して燃料用ペレットの製造時に排出されるCO2排出量と工場内の各設備の稼働状況を可視化する。稼働状況を分析することにより設備稼働率と生産性を向上させ、ペレット製造時のCO2排出量を削減していく。本事業の実証後には、LKPPドミニオンスクエア社に本技術を適用し、搾油工程におけるCO2削減も目指す。

IHIは、本事業で得られた技術や知見をASEAN諸国の様々な工場へ展開していくほか、顧客ニーズに適した様々なソリューションを提供することで、2050年までのサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に貢献していく方針だ。