米のダンピング防止関税は域内に打撃=製造業連盟

【クアラルンプール】 米国商務省がマレーシアを含む東南アジア4カ国から輸入される太陽光電池に高率の反ダンピング関税を決定したことについて、マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は「製造拠点である域内に深刻な影響を与える」と懸念を表明した。マレーシアは太陽光電池や電池を並べたパネルを生産し、米国や欧州に輸出してきた。

マレーシア半導体工業協会のウォン・シューハイ会長は、ソーラーパネルを生産しているのは主に中国系企業で、生産拠点を、関税率の低い、より中立的な国に移転せざるを得なくなると述べた。

米商務省の措置は、中国企業が生産した不当に安い太陽電池が、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナム経由で米国に大量に輸入され、国内産業に悪影響を与えているとの苦情に対処したもの。マレーシアに対する関税率は34.4%。

ソーFMM会長は「メーカーの生産計画に支障が生じる。投資の再考も必要になる。関税回避のため生産拠点の移転を余儀なくされる企業も出る」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月23日)

イケア、ダマンサラ店の屋上に太陽光パネルを設置

【クアラルンプール】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは、セランゴール州のダマンサラ店の屋上1万2,000平方メートルに2,668枚の太陽光パネルを設置した。

今回の太陽光パネルの設置で、年間2メガワット時(MWh)の発電量が見込まれ、同店のエネルギー需要の25%を賄うとともに、年間約1,330トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するという。

イケア・マレーシア全体では、今回の分を合わせ2万枚超の太陽光パネルを設置し、年間発電量は6.3MWhに達した。また、イケアは2030年までに自宅への商品配送を全て持続可能な輸送手段で実現するという目標を掲げており、電気自動車を拡大していく。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、4月22日)

特区振興で中小企業を育成、メイバンクとジョホール州公社

【クアラルンプール】 マラヤン・バンキング(メイバンク)と、起業家育成にあたるジョホール州のペルバダナン・ウサハワン・ジョホール(PUJB)はジョホール・シンガポール経済特区にかかわる事業に関係する州の中小零細企業を支援することで合意し、覚書を交わした。融資のほか、訓練を施し、事業成長をアドバイスする。

メイバンクはシンガポールで65年間活動してきた実績があり、カイルサレ・ラムリ社長は「この提携は企業成長と特区への投資を促進する。6万余りの地元の中小零細企業が恩恵を受ける」と述べた。

特区はハラル(イスラム教に準じた)ビジネスを重視しており、メイバンクはイスラム式金融を提供する傍ら、食品、薬品、化粧品事業を手掛ける内外企業のハラル認証取得を支援する。このため特区デスクを開設し、融資、アドバイスを含むあらゆるサービスを提供する。

PUJBのモハマド・ラジ最高経営責任者(CEO)は「訓練、経営指導、技術取得支援を通じ、若者、女性、地域社会に活力を与える」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、4月22日)

ショッピーとTNGのスマホ決済、グーグルが統合

【クアラルンプール】 グーグルはマレーシアのアンドロイドOSユーザー向けに、電子マネーサービスのショッピーペイとTNG(タッチ・アンド・ゴー)eウォレットを決済サービスのグーグルペイにまとめた。東南アジアにおける初のeウォレット提携だ。

ユーザーはグーグル・クローム経由で、好みのeウォレットを利用しモバイルサイトでの決済が可能になる。グーグルペイを通じ、ショッピーペイ、TNG eウォレットへの入金もできる。加盟店での買い物でユーザーは支払い時に、グーグルペイかeウォレットのどちらでも選択でき、アプリの変更は不要だ。

このサービスが利用できる加盟店は、東南アジアで決済サービスを提供するフィウー(Fiuu)利用の店では、チキンのナンドーズ、USピザ、iPay88の利用店ではアルプロ・ファーマシー、TKベーカリー、バスチケットサービスのヨーヨー・バスなど。
(ビジネス・トゥデー、フィンテック・ニュース、報道資料、4月22日)

レンタルオフィス「シグネチャー」、メナラムルデカ118に開業へ

【クアラルンプール】 コワーキング・スペース(共同オフィス)のIWGグループ(旧リージャス・グループ)は21日、最上位ブランド「シグネチャー」の新センターを、クアラルンプール(KL)の超高層ビル「メナラ・ムルデカ118」に今年第3四半期にオープンすると発表した。

新センターは2フロアからなり、ワークステーション637台、会議室3室、コワーキングデスク31台、ビジネスラウンジを備える。IWGはメナラ・ムルデカ118について、マレーシアにおけるプレゼンスを強化するうえで理想的な立地としている。

IWGはシグネチャー以外に、リージャス、HQ、スペーシズのブランド名で、マレーシアで現在、45のセンターを運営している。KLだけでも16のセンターがあり、今年中にさらに4つのセンターの開設を予定している。また、メナラ・ムルデカ118は、国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の子会社が所有しているが、PNB物件では4番目のセンターとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、4月21日)

バティックエア、豪メルボルンと東ティモール・ディリに直行便

【クアラルンプール】 バティック・エアは、豪メルボルンとクアラルンプールを結ぶ直行便を7月12日に正式就航する。

同社は2022年12月から、メルボルン便を休暇シーズンに限った季節運航で行ってきた。当初の搭乗率は50%だったが、今年初頭には65%を超えてきたことから、両国間の旅行需要が高まっているとし、定期運航を決めた。

週4便で、クアラルンプール新国際空港(KLIA)発は土、日、水、木曜、メルボルン発は日、月、水、金曜。使用機材はエアバスA330-300型機で、ビジネスクラスが12席、エコノミーが365席となる。

また、東ティモールの首都ディリにもマレーシアの航空会社として初めて直行便を就航。6月6日から週2便(月、金曜)で、ボーイング737-800型機を使用し約4時間のフライトになる。
(ザ・サン、4月21日、バティック・エア発表資料)

不動産のホーフップが債務不履行、再び経営難の企業に

【クアラルンプール】 クアラルンプール郊外のブキジャリルにおける開発事業で知られる建設・不動産開発のホー・フップ・コンストラクションは債務不履行に陥り、資金ショートの状態を示す「PN17」に指定されたことをブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に通知した。

不履行額は1億1,269万リンギで、子会社のブキジャリル・デベロップメント(BJD)がインサス・クレジット・アンド・リーシングからの借入金を返済できなかった。ホー・フップは保証人だった。

ホー・フップは12カ月以内に経営正常化計画をブルサに提出しなければならず、これを怠った場合、上場停止、廃止を余儀なくされる。

ホー・フップは2010年にもPN17の指定を受けたことがあり、数年後、資産売却などを通じ指定を脱した。

今回の不履行額は保有資産(3億3,848万リンギ)の33.29%に相当する。
(マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、4月18日)

マレーシア航空、KLIA―豪ブリスベン直行便を11月に再開

【クアラルンプール】 マレーシア航空は18日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)と豪ブリスベンを結ぶ直行便を11月29日から、2年ぶりに再開すると発表した。週5便の運航となる。

KLIA発のMH135便は、午後8時40分(月曜と水曜を除く毎日)発で、翌日の午前6時45分ブリスベン着。ブリスベン発のMH134便は午前8時(火曜と木曜を除く毎日)発で、午後2時10分KLIA着となっている。

ブリスベンへの直行便は、事業見直しの一環として2023年3月に運航が中止された。今回、ニーズが高まっているとして復活を決めた。プロモーション運賃としてエコノミークラスの往復航空券で1,999リンギからの運航開始となる。予約は5月18日から。

またシドニーやメルボルンなどの豪州とニュージーランドへの一部路線に、エアバスの最新ワイドボディ機A330neoを導入し、快適性、燃費効率、客室設備を向上させる。さらにシドニーとメルボルンを週21便、オークランドを週10便に増便した。

親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)のイザム・イスマイル社長は、アジア太平洋地域のネットワークを強化し、主要なトランジットハブとしてのKLIAの地位を築くための幅広い取り組みの一環であることを強調。最近ではインドネシア・スラバヤ週14便、タイ・プーケット週21便、インド・トリバンドラム週5便に増便するなどの影響で、トランジット旅客数は約10%増加したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、4月18日)

東海岸鉄道線プロジェクト、全区間の工事進捗率が81%に

【パシル・プテ】 東海岸鉄道線(ECRL)プロジェクト(全長665キロメートル=km)は、2026年12月の完成に向けて順調に進んでおり、クランタン州コタバルからセランゴール州までの全区間の工事進捗率は3月時点で81.07%となっている。進捗率はトレンガヌ州内では90%、パハン州内では86%となっている。

クランタン州パシル・プテ駅の現地視察を行ったマレーシア・レール・リンク(MRL)のダルウィス・アブドル・ラザク最高経営責任者(CEO)は、同州政府がプロジェクトの円滑な実施、特に土地収用に関する問題の解決において重要な役割を果たしたと言明。「同州の43km区間の工事進捗率は88.86%に達し、プロジェクト全体の進捗に大きく貢献している」と述べた。

同州のトゥンジョンとパシル・プテの2駅の工事進捗率もそれぞれ69%と68%に達しており、2駅の工事は来年5月までに完了する予定。試験・試運転は2026年6月に開始される予定だ。

ECRLプロジェクトは、半島部東海岸のクランタン州、トレンガヌ州、パハン州を縦断し、西海岸のセランゴール州を結ぶ新線。コタバルからゴンバック統合ターミナルまでの区間は2026年12月に完成し、2027年1月に運行開始の予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、4月17日)

ガスパイプライン火災の全面復旧、最短でも7月1日の見通し

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツのガスパイプラインの大規模火災について、ペトロナス・ガス(PGB)による全面復旧は最短でも7月1日になりそうだ。

PGBの親会社の国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の発表によると、現在、関係当局による事故原因調査とともに、地盤安定化の工事やパイプラインの掘削など、復旧工事を進めている。全面復旧は規制当局の承認にもよると断ったうえで、早くて7月1日とした。

一方で、ガス供給再開を最優先とし、ペトロナス傘下のガス輸送業者ペトロナス・エナジー&ガス・トレーディング(PEGT)や、ガス供給業者のガス・マレーシアなどと緊密に連携し、段階的に復旧を進めている。

先週には、首都圏クランバレーへの天然ガス配給で重要な役割を担う、ガス・マレーシアのセルダン・シティゲート・ステーションが再開。火災で影響を受けたシティゲート・ステーション9つのうち、5つが復旧し、残り4つになっている。またこの再開で、火災の影響を受けた4つの発電所のうち、2つの発電所が運転を再開した。
(ザ・スター、エッジ、4月15日、ベルナマ通信、4月16日、ペトロナス発表資料)