電気自動車ブーム、充電設備不足が障害に

【クアラルンプール】 電気自動車(EV)ブームが勢いを増しており、9月までの今年のEV登録台数は2万6,928台と昨年通年の2万1,789台を上回った。国産ニューモデルの投入もあり、ブームは続く見通しだ。しかし充電設備不足が課題だ。

RHBインベストメント・バンクのアナリスト、イフタール・ハキム氏によれば、3月時点でEVの充電専用駐車スペースは4,161カ所にとどまっている。計画中のスペースは4,477カ所だが、早期完工の見通しは立っていない。今年末の政府目標は1万カ所。

送電能力が問題で、特に急速充電が可能な直流充電設備の場合、必要電力量が多く、設備改善に相当の経費が掛かる。このため、ショッピングモールやコンドミニアムでの充電設備の整備が進んでいないという。

輸入完成車に対する免税措置は2025年末でなくなるため、年末は駆け込み需要が見込める。新車ではプロトンが安価なハッチバック「e.MAS5」を投入。プロドゥアも今月、初のEVモデルを売り出す。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月20日)

ETS西海岸線が12月12日に全線開通、1日12往復を予定

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)高速電車(ETS)サービスのジョホール州内の複線化工事が11月末までにほぼ完了し、ETS西海岸線は12月12日に全線開通する。アンソニー・ローク運輸相が22日、会見で明らかにした。

複線化工事は、ジョホール州のセガマットとジョホールバルを結ぶ全長192キロメートル(km)の区間で、89億リンギが投じられた。2016年12月の着工から9年にわたる工事となった。すでに段階的に運行を開始しており、KL―セガマット間は3月15日から1日4往復で、クルアンまでは8月30日から1日2往復で運行してきた。

全線開通後は1日12往復が予定されるが、そのうちKLセントラル―ジョホールバル間が8往復、パダン・ベサル(ペルリス州)―ジョホールバル間が2往復、バタワース(ペナン州)―ジョホールバル間が2往復となる。

開通前日の12月11日にはイブラヒム国王(ジョホール州スルタン)による開通イベントも予定されている。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、11月22日、ザ・スター、ールタン、11月21日)

ペナン島発の豪華クルーズ船「ペナン・プリンセス」を近く就航へ

【ジョージタウン】 ペナン島発の豪華クルーズ船「ペナン・プリンセス」が近く就航する。同事業を共同で行うオーシャンワールド・クルーズ・ホールディングス・グループとベト・プリンセス・クルーザー・コーポレーションは21日、覚書に署名した。

高級レストランによる飲食とマラッカ海峡遊覧ツアーを一体化したクルーズ船で、こうした豪華観光クルーズ船の運航は州内で初めて。海上ウェディング、企業イベント、文化体験などといった様々な娯楽・文化活動の新たなランドマークとなることも期待されている。

署名式に立ち会ったペナン港湾委員会(PPC)のヨー・スンヒン委員長は、「ペナンの観光商品の魅力を高めるだけでなく、地元企業やサプライチェーンにもビジネスチャンスを創出するだろう」と言明。新たな雇用機会の創出、海上サービス、物流、食料供給を含む関連サプライチェーンの発展が促進されるといった大きな経済効果も期待されると述べた。購買力の高い観光客をより多く誘致するとともに、ペナンでの滞在期間を延長させる効果も期待されるという。
(マレー・メイル、11月21日)

ミスターDIYとワトソンズ、世界的なブランディング賞を受賞

【クアラルンプール】 ブランド力に優れた企業を称える「第20回ワールド・ブランディング・アワーズ」の表彰式が17日、大阪市立美術館で開催され、マレーシアからはミスターDIYとワトソンズがリージョナル部門で受賞した。

アワーズの主催はロンドンに本拠を置く非営利組織ワールド・ブランディング・フォーラム(WBF)。ロンドン以外で初の授賞式開催となった今年は、66カ国から1092以上のブランドが「ブランド・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされた。

リージョナル部門は、3つ以上の地域市場かつ4カ国以上で影響力があるブランドに贈られるもので、ミスターDIYとワトソンズは、ほかの世界的な18企業とともに選出された。

また、ナショナル部門で、政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)、ZUSコーヒー、スナック菓子の「マンチーズ」が受賞。乳製品部門のブランド・オブ・ザ・イヤーでは「ファームフレッシュ」が2022年に続き3度目の受賞となった。
(ザ・スター、11月18日、ベルナマ通信、11月19日、WBF発表資料)

KLのガーデンインター、1億リンギ規模のスポーツ複合施設完成

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)のガーデン・インターナショナルスクールは1億リンギを投じて建設したスポーツ複合施設をオープンした。

ガーデンを運営するテイラーズ・スクールズによると、施設は5階建て延べ20万平方フィートで、8年をかけて建設が進められてきた。国際大会規模のプールやサッカーコート、屋内バスケットボールコート2面、フィットネス・ジムエリアなどを備える。

さらに第2期工事として、8,500万リンギを投じ舞台芸術センターの建設も予定している。これらの施設は、一般開放も検討されているという。

ガーデンは1951年創立で、来年創立75周年を迎える伝統校。イギリス式のカリキュラムを採用し、1996年からモントキアラにメインキャンパスを構えている。テイラーズ・スクールズは、テイラーズ・エデュケーショングループ傘下でマレーシアとシンガポールで計6校のインターナショナルスクールを運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、11月12日)

プロトンの新EV「e.MAS5」、予約台数が1万台を突破

【クアラルンプール】 国民車プロトンの電気自動車(EV)販売子会社、プロトン・ニューエナジー・テクノロジー(プロネット)は、同社2車種目のEVであるBセグメント・ハッチバック「e.MAS5」の予約台数が1万台を突破したと明らかにした。

「e.MAS5」の予約は10月4日に受付を開始し、10月30日に正式発表した。予想通り予約は半島中央部が最も多く、次いで半島南部と半島北部となっている。東マレーシアと半島東海岸からの予約も増加傾向にあるという。

ディーラーによると、「e.MAS5」の予約客のほとんどは同モデルをメイン車両として選んでいる「ワーキングプロフェッショナル」で、多くが1,000リンギの追加割引が適用される「パワー・トレード・イン」プログラムを利用して既存車両を下取りに出している。また初めて自動車を購入する人や、EVをセカンドカーとして購入する世帯も増加しているという。

「e.MAS5」のバリエーションは「プライム」と「プレミアム」の2種で、公式価格はそれぞれ事前予想を大きく下回る5万6,800リンギ、7万2,800リンギに設定。さらに発売記念として各車3,000リンギの割引を適用する。
(ポールタン、マレーシアン・リザーブ、11月12日)

MM2Hプログラム、TRXに初のワンストップセンターを開設

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラム初のワンストップセンターが12日、クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」の「ジ・エクスチェンジ106」内に開設された。

同センターは民間企業のSTFグループの子会社であるSTFレべニュー(MM2H) が運営。STFの国際業務担当ディレクター、ジョナサン・ロー・チューンワイ氏は、TRXにワンストップセンターを設立したのはMM2Hプログラム申請手続きを合理化し、参加者に快適で効率的な体験を提供するためと説明した。

開所式に合わせてSTFと不動産開発を手掛けるリバーツリー・グループの間で戦略的パートナーシップ契約が締結された。パートナーシップに基づき両社は国際的な投資家を地元の不動産に誘致し、ビザ取得支援と長期滞在支援を行う。

観光芸術文化省によると2025年7月現在、MM2Hプログラムへの新規申請を3,300件以上記録しており、推定3億リンギの外国資金の誘致と4億3,000万リンギを超える不動産投資が行われている。開設式典には観光芸術文化省のシャハルディン・アブ・ソホット事務次官が出席した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、ベルナマ通信、11月12日)

エアアジア、セナイー昆明線を12月14日就航

【クアラルンプール】 格安航空エアアジアは、ジョホールバル(JB)のセナイ空港と中国雲南省昆明長水国際空港を結ぶ直行便を12月14日に就航すると発表した。週14便を運航しているクアラルンプール―昆明線を補完する。

週3便の運航で、セナイ発は月・水・日曜日、昆明発は月・火・木曜日の出発となる。往路のAK1380便はセナイ発が21時20分、昆明着が翌1時25分、復路のAK1381便は昆明発が深夜2時30分、セナイ着が6時45分となっている。

就航記念として、セナイ発昆明行き片道469リンギ、昆明発セナイ行き片道678人民元からのプロモーション料金を提供する。旅行期間2025年12月14日から2026年3月28日までが対象で、2025年11月23日までエアアジアMOVEアプリもしくはエアアジアのホームページ(airasia.comから購入できる。
(ビジネス・トゥデー、11月11日、エアアジア発表資料)

プロドゥアが累計生産台数550万台に到達、11月末にEV発表へ

【ラワン】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は、創業32年目で累計生産台数が550万台に到達し、アンワル・イブラヒム首相やザフルル・アジズ投資貿易産業相を招いて11日、記念式典を開催。同社初の電気自動車(EV)を11月末に発表する予定であることを明らかにした。

550万台目となったのは、2年連続でベストセラーモデルとなったAセグメントセダンの「ベザ」。1993年の創業以来の投資額は累計134億リンギに達した。プロドゥアはまたマレーシア国内の自動車産業の発展に大きく貢献しており、国内ベンダーからの調達額が累計1,161億リンギ近くに達し、今年だけでも108億リンギの調達を計画している。

アンワル首相は同社初のEVに言及し、「今月末に予定されているEV発表の日程については一両日中に決定する。内閣に対してはプロドゥアの発表を国家の重要課題として位置付けるよう指示する」と言明。「発売されるEVは手頃な価格で、国の基準を満たし、経済を刺激する効果も期待できる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、11月11日)

マレーシア・リンギ値上がりは続く、エコノミスト見通し

【クアラルンプール】 マレーシア・リンギの値上がりが続いている。7日の為替市場での終値は1米ドル=4.172リンギで、24年10月以来の高値だった。堅調な内需と外需環境の改善が主な理由だ。

ブルームバーグの取材に回答した20数人のエコノミストによる年末相場予想の中央値は同4.18リンギで、2026年末は4.1リンギ。米国の関税措置がより明確になったことで、外需見通しが明るさを増したことが影響した。

年初からの対米ドルでの値上がり幅は7%で、昨年同様、域内通貨で最大の上昇幅。リンギはインドネシアルピアに対し10.8%、ベトナムドンに対し10.55%上昇した。

バンク・ムアマラット・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストは、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は政策金利を2026年を通じ2.75%に維持するとみており、米国との金利差が縮小するためリンギ資産への投資が増加すると予想している。

三菱UFJ銀行は、中国人民元の持ち直し、マレーシア産パーム油に対する米国のゼロ関税、希土類の対米輸出におけるマレーシアの戦略的役割もリンギを支えているとした。
(エッジ、11月7日)