メイバンク顧客、カンボジアでのQRコード支払いが可能に

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)とカンボジア国立銀行(NBC)がQRコードによる相互決済協定の第2期を開始したことを受け、マラヤン・バンキング(メイバンク)は顧客向けサービスを開始した。メイバンクの口座開設者はモバイルアプリを利用し、カンボジアでの買い物でQRコード決済が可能になった。

メイバンクのカイルサレ・ラムリ社長によると、メイバンクのMAEモバイルアプリ利用者は900万人余り。カンボジア以外でもアプリ利用者は、シンガポール、インドネシア、タイ、中国でQRコード決済が可能だ。メイバンクの顧客による、QRコードを利用した昨年の取引額は前年より83%増加した。

マレーシアとカンボジアの中央銀行間の合意第1期は昨年9月に開始され、カンボジアからの旅客はマレーシアの商店においてQRコードによる支払いが可能になった。
(エッジ、ビジネス・トゥデー、4月15日)

飲料のF&Nのネグリセンビランの酪農場に最初の乳牛到着

【クアラルンプール】 大手飲料メーカー、フレイザー・アンド・ニーブ・ホールディングス(F&N)のネグリ・センビラン州ジェマスのペルマイ・ダマイ総合酪農場(F&Nアグリバレー)に、最初の乳牛2,500頭がチリから到着した。

2,726ヘクタール超のF&Nアグリバレーは2023年に着工された。今回到着した乳牛は、ゲノム検査を受けたホルスタインで、チリ・サンティアゴから家畜輸送船で運ばれて来る間は牛のストレスを最小限に抑えるため、健康状態に細心のケアが施された。繁殖牛の単一輸入としては過去最大規模といい、ジョホール州パシル・クダンに到着後は、国内最大の現地検疫施設で1頭ごとに強制検疫期間が設けられるが、検疫検査局や税関などの協力で、3日以内に農場に到着したという。

当面は国内向けの生乳1億リットルを目標にしていく予定で、最終的には2万頭の乳牛を飼育し、国内外市場向けに年産2億リットルを目指す。
(ザ・スター、ザ・サン、ベルナマ通信、4月15日)

複数の企業が株式公開を延期、市場の不安定化で

【クアラルンプール】 複数の企業がブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)での新規株式公開(IPO)の延期を決めた。アブドル・ワヒド最高経営責任者(CEO)が今年の見通しに関する会議で明らかにした。米政権による関税措置の発表で市場が不安定になっているためだ。

アブドル・ワヒド氏によると、4月30日に上場予定だった韓国系クク電子傘下のクク・インターナショナルが上場計画の2カ月延期を決定。既に募集を開始していたため、投資家からの返金要求に応じている。化学品メーカーの韓国系OCIホールディングスもIPOに向けた作業を停止した。

ブルサの今年の上場目標数は60件で、アブドル・ワヒド氏は、引き続き目標達成を確信していると述べた。

マレーシアを含む世界各地の証券市場は一貫性を欠く米政権の関税政策、その結果としての不透明感から大きく変動している。

今年、既に上場を果たしたのは15社。米関税措置発表後、5社で初値が公開価格を下回った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、4月14日)

マレーシア国鉄、30年までに線路利用率80%達成を目標

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は、10州にまたがる1,655kmの線路網の利用率向上計画を発表し、2030年までに新型列車の導入と線路利用率の80%達成を目指す方針だ。モハメド・ラニ・ヒシャム・サムスディン最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

線路利用率は一定期間に線路が利用されている比率のことで、現在は30%程度にとどまっている。KTMBでは、インフラの改修と新型車両の調達により、保線作業のために使われない20%を除いた80%の達成を目指す方針で、これにより乗客数と貨物量の増加が見込まれるとしている。

首都圏クランバレーの複線1号線(KVDT1、ラワン―サラク・セラタン間)と複線2号線(KVDT2、セレンバン―ポート・クラン間)事業は2027年の完成予定。既存の線路は30年間使用されてきたため、線路の交換、バラストの交換、信号システムと架線の改良が必要だという。またゲマス―ジョホールバル・セントラル間電化複線化は年内に完成する予定だ。

KTMBは現在、首都圏クランバレーで26編成、北部回廊で7編成、そしてゲマス―パダン・ベサル間の高速電車運行サービス(ETS)に14編成を使用しているが、これも増強する計画。新型列車のリースと、耐用年数を迎えた車両のオーバーホールによってこれを実現する予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月13日)

3月の新車登録台数、プロドゥアが車種別トップ3を独占

【クアラルンプール】 道路交通局(JPJ)の最新登録データによると、2025年3月の新車登録台数トップ車種はダイハツ系プロドゥア「ベザ」(8,517台)で、2位は「アジア」(7,031台)、3位は「マイヴィ」(6,593台)とプロドゥアがトップ3を独占した。

4位以下はプロトン「サガ」(5,891台)、プロドゥア「アルザ」(3,815台)、ホンダ「シティ」(3,541台)、プロドゥア「アティバ」(3,154台)、ホンダ「HR-V」(2,676台)、トヨタ「ヴィオス」(2,360台)と日系車種が上位を占めた。

販売台数が増加傾向にある電気自動車(EV)だがトップ20にも入らず、最も売れたプロトン「e.MAS7」が737台にとどまった。EV販売の2位以下はBYD「シーライオン7」(303台)、BYD「M6」(281台)、BYD「アット3」(258台)とBYD強さをみせた。

年初3カ月では「ベザ」が2万3,335台でトップ。2位以下は「アジア」(2万1,223台)、「マイヴィ」(1万8,183台)、「サガ」(1万5,364台)で続いた。EVは20位以内にも入れず、「e.MAS7」の1,738台がトップだった。
(ポールタン、4月10日)

一部の企業は米国への輸出を停止、関税めぐる混乱で

【クアラルンプール】 米政府による相互関税措置を受け、マレーシアの一部の輸出業者は米国向け輸出を停止した。しかし関税の影響を受けていない産業部門もあり、これまでどおり輸出を続けている。

影響を受けているのは家具、繊維、電気・電子製品のスペアパーツ製造業者で、家具輸出業者によると、輸入側は関税が一体いくらになるかわからず、輸出業者に出荷停止を要請してきた。輸出業者にとっても、商品が米国の港湾に留め置かれ、輸入業者から代金が支払われない状況は望まないという。

半導体は相互関税の適用外で、マレーシア半導体産業協会によれば、米への輸出を停止している企業はない。米国向け電気・電子製品輸出は1,200億リンギ(昨年実績)で、うち半導体が560億リンギだった。

ゴム手袋メーカーも対米輸出は停止していない。マレーシアに対する相互関税率(24%)は競争相手の中国やほかの手袋輸出国と比べ低く、マレーシアは優位な立場にある。
(エッジ、4月10日)

米関税措置、マレーシアなどは有利に=ムーディーズ

【クアラルンプール】 格付け会社のムーディーズ・レーティングスは、米国の相互関税はアジア太平洋諸国の信用格付けにマイナスだが、マレーシア、インド、フィリピンなど関税率がそれほど高くない国は米市場でのシェアを拡大する可能性があるとの分析を示した。

マレーシア、インド、フィリピンに対する相互関税率は10-30%で、対米輸出で貿易転換効果が見込める。インドなど巨大な国内市場を持つ国に対し企業は参入を図り、これらの国に生産拠点を移すことで経費の抑制を図ると予想されるという。

ムーディーズは、10%の「一律関税」の対象であるニュージーランド、豪州、シンガポールも関税措置の影響を免れないと指摘する。関税措置から直接受ける影響は少なくても、シンガポールの場合、世界貿易の減速にさらされる。豪州、ニュージーランド、インドネシアは中国が最大の貿易相手国で、中国の需要減で同国への一次産品輸出が減少するという。
(ザ・サン電子版、ザ・スター電子版、4月9日)

プロトン、3月の販売台数が前年同期比9.6%増

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、先ごろ発売した電気自動車(EV)「e.MAS7」と輸出の伸びに支えられ、3月の販売台数が1万3,918台となり、前年同月比9.6%、前月比23.9%増となったと明らかにした。

車種別では、Aセグメント「サガ」が6,154台でトップ。「e.MAS7」は797台、Cセグメントセダン「S70」は2,125台、スポーツ車(SUV)の「X50」、「X70」、「X90」はそれぞれ1,858台、835台、302台。Bセグメントセダン「ペルソナ」は1,482台、Bセグメント・小型ハッチバック車「アイリス」が337台だった。

輸出台数は417台で、前年同月比211%増となった。

1ー3月の販売台数は3万5,068台となった。同期の市場総需要量(TIV)は推定18万4,652台で、シェアは推定18.9%。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ジグホイールズ、マレー・メイル、ボルネオポスト、4月11日)

マレーシア人によるカンボジアでのQRコード決済が可能に

【クアラルンプール】 マレーシア中央銀行(BNM)とカンボジア国立銀行(NBC)は8日、QRコードによる相互決済協定の第2期を開始した。これにより、マレーシア国民はカンボジアにおける買い物で、カンボジアの標準QRコードをマレーシアのアプリで読み取る決済が可能になる。

昨年9月に開始された第1期では、カンボジア人旅行者はマレーシアで、カンボジアのアプリを利用し、マレーシアのドゥイットナウQRコードをスキャンする支払いが可能になった。

第2期の開始により、両国で700万余りの商店がQRコード決済の恩恵を受けることになる。開始式はクアラルンプールで開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ行われた。

BNMのアブドル・ラシード総裁は「さらに多くの商店で相互決済が利用できるようにする」とした。

NBCのチア・セレイ総裁は「第2期の開始は、国境を越えた取引を簡単にするだけでなく、観光、金融包摂、域内統合の可能性を解き放つもの」と述べた。

昨年のASEANにおける国境を越えたQRコード決済は520万件で、前年の4倍。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、BNM報道資料、4月8日)

銀行系アナリスト、通年の経済成長予想を下方修正

【クアラルンプール】 米国政府がマレーシアからの輸入品に4月9日から24%の「相互関税」を課すと発表したことを受け、複数の銀行系アナリストがマレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長率予想を下方修正している。

CIMBは、米国がマレーシアにとり第3位の貿易相手国であることから、両国間の貿易関係に混乱をもたらす恐れがあると指摘。2024年のマレーシアの対米貿易黒字が724億リンギだったとし、「相互関税」により対米輸出が大幅に減速するとみられることに加えて、輸出収入の減少が家計支出と民間投資を鈍化させ、経済減速にさらに拍車をかけるとの予測から、通年の経済成長予想を1.0ポイント下方修正し4.0%とした。

RHBインベストメント・バンクは、これまで対米貿易黒字が比較的小さいと考えられてきたマレーシアで「相互関税」が現実化したことが経済の下振れリスクを大幅に高めているとし、成長予想を5.0%から4.5%に下方修正。「マレーシアのGDPは0.4%引き下げられ、さらに米国による中国への関税引き上げにより、(中国による緩和政策がないと仮定した場合)さらに0.7%引き下げられる」とし、関税問題・貿易問題がさらに深刻化した場合には経済成長率が4.0%の方に引き下げられるリスクがあると述べた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月5日)