医療観光推進でペナン州、インドネシアの航空会社と提携

【ジョージタウン】 ペナン医療観光センター(PMED)はインドネシアの格安航空シティリンクを経営するシティリンク・インドネシアと覚書を交わした。医療目的にインドネシアからペナンを訪れる客の増加につなげる。

PMEDは医療観光推進を目的にペナン州政府の主導で設けられた機構で、13の民間総合病院が加盟している。シティリンクはガルーダ・インドネシア航空の子会社。

PMEDのヨー・スーンヒン所長によると、州の医療観光収入は21年の6,600万リンギに対し、国境が再開された22年は2億8,500万リンギに急増した。
2022年1ー11月にペナン州を医療目的で訪れた外国人は14万4,975人で、54%をインドネシア人が占めた。

締結式に出席したチョウ・コンヨウ州首相は「医療観光ビジネスが回復しつつあることは、ペナン州が観光目的地として生き延びたことを証明するもの」と述べた。

新型コロナウイルス禍以前の19年にペナン州を医療観光目的で訪問した外国人は約48万人、関連収入は7億3,000万リンギで、マレーシア全体の医療観光収入の約50%を占めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月3日、ベルナマ通信、1月2日)

グラフェン技術のグラフジェット、クアンタンで新工場建設へ

【クアラルンプール】 グラフェン技術のグラフジェット・テクノロジーは、マレーシア・中国クアンタン工業団地(MCKIP)第3期で4億リンギを投じ、新工場を建設する計画を明らかにした。

20エーカーの統合工場(上流・下流含む)で、年間1万トンの黒鉛および60トンの単層グラフェンを生産する。グリーン、リサイクル、低炭素環境が特徴で、パーム核生産時に発生する廃棄物を単層グラフェンに変換する特許技術により、グラフェンや人造黒鉛を低コスト・高品質で自動大量生産する。年間売上高は36億リンギ、今後4年間で最大700人の雇用機会を創出する見込み。同社の新規株式公開(IPO)後、18ー20カ月以内の完工、操業開始は2025年第1四半期の予定。生産製品はアジア、欧州、米国の自動車や再生可能エネルギー企業向けに出荷する。

エイデン・リー・ピンウェイ最高経営責任者(CEO)は、新工場が川下の新エネルギー産業のイノベーションや投資をリードし推進することになるとし、マレーシアの新技術、未来材料、エネルギー産業の発展を促進する上で、重要な役割を果たすことになると言明。また、東海岸経済圏に生産工場を開発することで、地元に大きな経済効果を生み出すと述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月30日)

今年通年の経済成長は従来予想上回る可能性=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、マレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長率が従来予想のプラス6.5ー7.0%を上回る可能性が高いとの見方を示した。第1、2、3四半期の経済成長率はそれぞれ5.0%、8.9%、14.2%のプラス成長となっている。

20日の下院議会における暫定予算に関する審議の中でアンワル首相は、新型コロナウイルス「Covid-19」がエンデミック段階に移行する中で経済活動が再開し、失業率も10月には3.6%に低下、年末における景気見通しもポジティブを維持していると指摘。ただ失業率は3.3%だったコロナ前の水準にはまだ戻っておらず、25歳未満の若年層の失業率が10%と高い水準にあることが懸念されるとした上で、地政学的紛争が世界的なインフレ圧力と経済成長の弱体化につながり、一次産品や食料価格の高騰がマレーシア人の生活費に悪影響を及ぼしていると述べた。

その上でアンワル首相は、国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率について2022年の3.2%から2023年には2.7%に減速すると予測していることに言及。「こうした世界的な影響に対処するために、連邦政府は国家全体の包括的な原則を採用している」とし、「すべてのセクターが政府に参加する必要がある。一次産品価格の上昇と政府の補助金によって大きな利益を上げた富裕層やコングロマリットも国民の幸福、特にB40とM40 (世帯所得の下位40%と中間層40%)のグループと零細商売の向上に貢献する必要がある」と述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、12月20日)

ペトロナスが先行き3年間の活動を展望、強気を維持

【ペタリンジャヤ】  国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は19日、2023年から25年にかけての業務見通しを公表。海底、陸上油田の両部門とも良好との強気見通しを示した。脱炭素化に向けた企業努力も改めて強調した。

ペトロナスは強気見通しの根拠として、今年は原油価格が2021年と比べ上昇したこと、各国が経済活動を再開したことを挙げた。また生産停止中の自社油井のうち、改修対象を増やす。

保有するリグ(掘削装置)は2021年の16から今年は20に増えた。将来的に96の油井を掘削、評価、開発する計画だ。

生産油井のうち改修予定は21本で、生産量を増やすための措置を講じる。詰め物を注入し閉鎖する予定の油井は28本。

エネルギー市場の不確実性は続くとペトロナスはみている。また低炭素社会の到来に向け、エネルギー業界関係者は変化に柔軟に対応し、革新的技術を受容しなければならないとした。再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーへの移行は早ければ早いほど良いという。
(ザ・スター、ザ・サン、12月20日)

コンテンツ制作会社34社に助成金720万リンギ支給=MDEC

【クアラルンプール】 ファーミ・ファジル通信デジタル相は、マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)が今年、デジタルコンテンツやゲームの制作会社34社に総額720万リンギの助成金を支給したと明らかにした。

ファーミ大臣は17日開催の「マレーシア・デジタルコンテンツ・フェスティバル2022(MYDCF 2022)」の基調講演で、MDECのデジタルコンテンツ助成対象のアニメーション会社アニモンスタ・スタジオが制作したアニメ・シリーズ「メカアマト」が、東京アニメアワードフェスティバル2023の「みんなが選ぶベスト100」でマレーシア作品として唯一第4位にランクインするなど、国内アニメ制作が世界トップクラスのレベルにあることが証明されたとし、クリエイティブ産業強化に向け継続的な支援を約束すると言明。ハリウッドのピクサー・アニメーション・スタジオで働くマレーシア人クリエイターやマレーシア発のゲーム・アニメ企業レモン・スカイ・スタジオによるビデオゲームCG制作例を紹介し、海外で活躍したマレーシア人が帰国し、国内のクリエイティブ産業やデジタルコンテンツを充実させていることを誇らしく思うとした。また、パッション・リパブリック・ゲームズが制作した対戦アクションゲーム「ギガバッシュ」が国際的に注目を集めているとし、ビデオゲームを中心としたクリエイティブ産業の2022年末までの世界での売上は9,778億リンギに達すると予想した。

ファジル大臣は、通信デジタル省が、MDECを通じ外国人投資家を誘致し、地域のエコシステムをさらに活性化させていくとした上で、MDECも地元のエコシステム、ラリアン・スタジオ、バンダイナムコ、エクソラ、オーメンズ・スタジオなどのグローバル投資家間の協力を促進しており、今後より多くの合弁会社(JV)が生まれることを期待していると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月18日、エッジ、ベルナマ通信、12月17日)

電気料金値上げの詳細を発表、大規模利用者のみ値上げ

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ環境天然資源気候変動相は、2023年1月ー6月30日の電気料金の詳細を発表。大規模工場や大型ビルなどの中・高電圧契約(大規模電力利用者)に対し、1月1日から1キロワット時(kWh)あたり20センの割増料金を課すとした。

一般消費者向けの1キロワット時あたり2センの割戻金は維持する。また、農家や畜産業者、レストラン、食料品店、パン屋、小規模工場などの商工業者については、従来の1kWhあたり3.7センの割増料金を維持。そのため、マレー半島の電力利用者の90%以上が値上げの影響を受けないという。

ニック大臣は、電気料金維持のために107億6,000万リンギの補助金費用を拠出するとし、大規模電力利用者への割増料金を設定することで41億6,000万リンギが節約でき、その分を別の補助金に充てることができると説明。石炭やガスなどの燃料価格を考慮した上で電力の基本価格(BT)を設定する、不均衡価格転嫁(ICPT)により、今後電気料金の値上げが想定されるが、87億4,000万リンギの補助金を充て、消費者や小規模商工業者に対しては値上げを行わないようにするとした。燃料価格の大幅上昇により発電コストが高騰し、ICPTによる電気料金調整が、2022年1ー6月で70億リンギ、7ー12月で161億6,000万リンギに及んでいると指摘。万が一補助金をまったく支給しない場合、2023年1月ー6月に全電力利用者が1kWhあたり27センの追加料金を支払う必要があり、一方、大規模電力利用者を含む全利用者に対して補助を行うと政府の負担が大きくなりすぎるとし、今回の措置が当面最適だと考えていると述べた。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、12月16日)

電力料金、多国籍企業のみ値上げへ=アンワル首相

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は14日、中小企業(SME)や家庭向けの電力料金についてはこれまで通り据え置くが、輸出を行っている多国籍企業(MNC)などに限定して引き上げを実施する考えを明らかにした。

アンワル首相は国が多額の補助金を出すことで低く抑えられている電力料金について言及し、「国の財政は来年少なくとも300億リンギのマイナスの影響を受けると予想されるため、電力料金を引き上げる緊急性がある」と言明。大きな利益を得ている大企業には補助金を出すべきではないため、輸出を行っているMNCが引き上げの対象となると述べた。

一方、マレーシア国民への負担が増えることから、提案されているような一元的な電力料金の値上げは実施せず、一般家庭や中小企業、農業関連産業、食品メーカーに対しては値上げを実施しないと述べた。新たな料金については近くニック・ナズミ・ニック・アハマド環境天然資源気候変動相が発表する予定。

政府は今年1月、電力の基本価格(BT)を決定するインセンティブ・ベース・レギュレーション(IBR)に基づき家庭向け電力料金を年内据え置くと発表。電気料金は家庭向けには1キロワット/時(kWh)当たり2センの割り戻しを、非家庭向けには3.7センの課徴金を課している。

EUの森林破壊製品に対する輸入規制、MPOBが非難

【クアラルンプール】 マレーシア・パーム油委員会(MPOB)は、欧州連合(EU)が6日に発表した、森林破壊製品に対する輸入規制が国内パーム油業界に影響を及ぼすと述べた。

EUは、パーム油、牛肉、大豆、コーヒー、ココア、木材などの製品が2020年12月以降の森林破壊により開発された農地で生産されていないことを確認する義務(デューデリジェンス、適正評価)を企業に課すことで合意に達している。

MPOBのアハマド・パルヴィーズ・グーラム・カディル長官は、EU規制は発展途上国を狙い撃ちしており、また、デューデリジェンスにより管理・生産コスト上昇が予想されると述べた。さらに、菜種やヒマワリのような他作物は対象外であるため差別があるとし、小規模農家はEU市場から排除される可能性があると強調した。
アハマド長官はまた、マレーシアは独自の持続可能なパーム油基準(MSPO)制度に従ってパーム油を生産しており、MSPOは今年、国際基準に沿ったものに改訂されたと指摘。国内パーム油産業は60以上の規制、法律によって管理され、国内で最も厳しい規制下にある産業であるとし、森林破壊に関与していないのは、その厳しい規制により保証されていることをEUは認識すべきだとした。さらに、「グローバル・フォレスト・ウォッチ2021」のデータからもわかるように、2017ー2020年まで4年連続で国内の原生林破壊が減少しているのは、国内企業が森林破壊をしていない証拠だとし、EUに対し、個別国の状況に応じて規制を考えるべきだと苦言を呈した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月14日)

BYDとサイムダービー 、EV普及に5億リンギを投資

【クアラルンプール】 中国・比亜迪汽車(BYD)と、同社の電気自動車(EV)販売独占契約を締結しているサイム・ダービーの自動車販売・組立部門、サイム・ダービー・モーターズ(SDM)は、向こう2年間で5億リンギを投じる計画だ。

両社が8日に共同で発表した声明によると、5億リンギはショールームの開設や充電施設の設置に割り当てる。1カ所目のショールームは、近くクアラルンプール(KL)の「TREC KL」にオープンする。その後、来年上半期までにセランゴール州のアラ・ダマンサラやペナン、ジョホールなどにオープンする。来年末までに国内のショールーム数を20カ所とし、2024年にはさらに40カ所に増やすことを計画している。

また両社は同日、「アット3」を発表した。BYDが独自開発したEV専用のプラットフォーム「eプラットフォーム3.0」を採用したスポーツ多目的車(SUV)。バリエーションは、バッテリー容量49.92キロワット時(kWh)で航続距離410キロメートル(km)の「SR」、バッテリー容量60.48kWhで航続距離480kmの「ER」の2つで、価格は「SR」が14万9,800リンギ、「ER」が16万7,800リンギから。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、ザ・スター、12月9日、ポールタン、12月8日)

米マテル、プロトン車ミニカー化とペナン工場拡張を発表

【ペナン州ブキ・メルタジャム】 米玩具メーカーのマテルは、ミニカーブランドの「ホットウィール」で国民車メーカーであるプロトンの「サガ」1/64スケール・モデルを発売すると発表した。2023年末に出荷を開始し、世界で販売する。

スティーブ・トツケ社長兼最高商務責任者(CCO)はマレーシア進出40周年記念式典で、「サガ」は初の国民車でありマレーシアの経済成長に重要な役割を果たしたとし、ホットウィール版「サガ」の発売は、ホットウィールの国内発売40周年を記念するものだと言明。今後も世界中のあらゆる年代のファンに高品質のミニカーを提供し続けていくと述べた。

また、現地法人であるマテル・マレーシア(MMSB)が来年ペナン工場を拡張し、2025年までにホットウィールの年間生産数を20%増の5億台以上にする計画も発表した。MMSBは現在、世界最大のホットウィール製造工場を運営しており、平均生産能力は週約900万台、年間約4.4億万台。現在の従業員数は約3,900人だが、工場拡張により10%増の約4,300人とする計画だ。

(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月7日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、12月6日)