【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、マレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長率が従来予想のプラス6.5ー7.0%を上回る可能性が高いとの見方を示した。第1、2、3四半期の経済成長率はそれぞれ5.0%、8.9%、14.2%のプラス成長となっている。

20日の下院議会における暫定予算に関する審議の中でアンワル首相は、新型コロナウイルス「Covid-19」がエンデミック段階に移行する中で経済活動が再開し、失業率も10月には3.6%に低下、年末における景気見通しもポジティブを維持していると指摘。ただ失業率は3.3%だったコロナ前の水準にはまだ戻っておらず、25歳未満の若年層の失業率が10%と高い水準にあることが懸念されるとした上で、地政学的紛争が世界的なインフレ圧力と経済成長の弱体化につながり、一次産品や食料価格の高騰がマレーシア人の生活費に悪影響を及ぼしていると述べた。

その上でアンワル首相は、国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率について2022年の3.2%から2023年には2.7%に減速すると予測していることに言及。「こうした世界的な影響に対処するために、連邦政府は国家全体の包括的な原則を採用している」とし、「すべてのセクターが政府に参加する必要がある。一次産品価格の上昇と政府の補助金によって大きな利益を上げた富裕層やコングロマリットも国民の幸福、特にB40とM40 (世帯所得の下位40%と中間層40%)のグループと零細商売の向上に貢献する必要がある」と述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、12月20日)