GST再導入論浮上、中小企業協会は「時期が悪い」と反対

【クアラルンプール】 物品・サービス税(GST)再導入論が浮上していることを受け、中小企業(SME)協会は新型コロナウイルス「Covid-19」による経済へのダメージからまだ回復していない状態での再導入は望ましくないとの考えを示した。
マイケル・カン会長は、もし来年GSTが再導入されれば事業運営に混乱を引き起こすだけでなく、事業者にコスト負担を強いることになると指摘。中小企業の業績回復にとって悪影響を及ぼすだろうと批判した。
その上でカン会長は、GSTが売上・サービス税(SST)より優れた税制であることは認識しているとし、ただ景気後退局面にあって企業が生き残りをかけて苦労している現時点での導入はタイミング的に適切ではないと指摘。再導入する場合には、2023年もしくは2024年に経済が回復した後にするべきとの考えを示し、税率についても3%程度の低率が望ましいとの考えを示した。
最近の調査によると、中小企業の約25%が操業を停止し、54%が行動制限による経済的影響のために一時的に閉鎖に追い込まれた
新型コロナ対策で財政赤字が拡大する中、財源確保のためにGST再導入論が浮上しており、財務省の副事務次官も3月のパネル討議の中で、税収拡大の選択肢の一つになると指摘したが、テンク・ザフルル財務相は現時点で再導入の予定はないと述べていた。
GSTは、2015年4月に当時の国民戦線(BN)政権によって6%の税率で導入されたが、2018年の総選挙で政権を奪取した希望同盟(PH)政権により廃止されていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月31日)

ペナン州のホテル、9月中旬に大部分が営業再開予定

【ジョージタウン】 ペナン州では、9月中旬までに州の全人口が少なくとも1回の新型コロナウイルス(Covid-19)ワクチンの接種を受ける見込みのため、ほとんどのホテルが9月中旬に営業を再開する予定だ。
マレーシア・ホテル協会(MAH)ペナン支部のラジ・クマル会長によると、ホテルの営業再開は認められているものの、まだ多くのホテルが宿泊客を受け入れていない。海岸沿いでいくつかのリゾートホテルが営業しているだけで、ほとんどは9月になってから再開されるという。予約数が少なく、稼働率の低い状態でホテルをオープンしてしまうと赤字になってしまうためだ。同氏は、宿泊客はまだ慎重になっているが、ペナンの全住民がワクチン2回接種を完了すれば、誰もが安心してホテルに泊まれるようになるだろうと述べた。
Mサミット191エグゼクティブ・ホテル・スイートのモウ・ウェイケン総支配人は、ワクチン接種済み顧客に魅力的なパッケージを提供することで、8月末連休中の稼働率は45%を確保したと語った。直前予約や飛び入り客でさらに稼働率が改善する可能性もあるという。
国家復興計画(NRP)第2フェーズ以降の州・地域では、ワクチン2回接種を完了した場合、居住している州・地域内でのホームステイやホテル宿泊などが認められている。ペナン州は現在第2フェーズに指定されている。
(ザ・スター、8月30日)

最新の事業者向けSOP、「企業を殺す」経営者連盟が批判

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、国家復興計画(NRP)においてフェーズに応じて出されている事業者向けの標準的運用手順(SOP)が以前より厳しくなっていることに経営者が困惑していると指摘した。
同会長は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種がまだ始まっていなかった最初の行動制限令(MCO1.0)の時でもオフサイトでの作業において隔離期間は3日だけだったが現在ではワクチン接種が完了した従業員であっても隔離期間が14日間に延長されているとして、規制を緩和するとの政府の発表に逆行していると批判した。
また同会長は、操業再開の条件として製造、建設、鉱業・採石セクターの雇用者に対し完全な予防接種やすべての従業員への2週間に1回の感染テストが義務づけられていると指摘。RTK抗原検査の費用は1回40リンギかかるので、従業員が1千人いれば毎月16万リンギも負担しなければならないと指摘し、キャッシュフローに悩んでいる企業が多い中、最新のSOPはむしろ企業を殺そうとしていると批判した。
(エッジ、8月26日)

建設コンサルの営業、第1、2段階の州でも許可

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 建設業開発局(CIDB)は、国家復興計画(NRP、PPN)の第1及び第2フェーズに指定されている州・地域における建設コンサルティング会社の営業が24日付けで許可されたと発表した。
標準的運用手順(SOP)に厳格に準拠することが条件で、建築、エンジニアリング、積算、その他の関連サービスを含むコンサルティングサービスに適用される。
営業再開にあたっては、コンサルティング会社は通産省の新型コロナウィルス「Covid-19」情報マネジメント・システム(CIMS)を通じて申請を行なう必要がある。
国家安全委員会(NSC)は23日付けで第1、2、3フェーズのSOPを改定し、規制緩和の条件となる接種ワクチンの種類にモデルナとシノファームを追加した。モデルナとシノファームのワクチンはファイザーやアストラゼネカ、シノバックと同様、2回接種後に14日経過したことをもって接種完了とみなされる。

半導体不足、マレーシアのコロナ感染急増で深刻化

【クアラルンプール】 マレーシアでの新型コロナウイルス(Covid-19)感染者数の急増によって、自動車メーカーを苦しませている半導体不足やその他の部品の調達難がさらに深刻化する恐れがある。
近年、半導体メーカーのインフィニオン・テクノロジーズ、NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスが生産拠点を構えるなど、マレーシアは半導体製品の検査と最終加工における重要な拠点となっているが、現在、コロナ感染の拡大によりロックダウンが実施されているため、生産能力が大幅に低下している。
最近、規制緩和により、ワクチン接種を条件に営業再開が許可されたが、現場は依然として不安定なままだ。工場で感染が発覚した場合、衛生管理のために2週間ほど操業停止する必要があるが、デルタ変異株は特に感染力が強く、感染を防ぐのが難しい。半導体製造の中でも検査・最終加工の過程は、自動化されておらず多くの人員を必要とするため、特に感染の影響を受けやすいという。
フォードは先週、「マレーシアでのコロナ感染拡大による半導体関連部品不足」を理由に、人気のピックアップトラック「F-150」の生産を一時的に停止すると発表した。トヨタ自動車も先週、14の工場で生産を停止すると発表したが、これは、特にタイ、ベトナム、マレーシアからの部品供給がコロナの影響を受け滞っているためだ。インフィニオンは8月の決算説明会で、マレーシアでの製造上の制約が今期の売上に引き続き影響を与える可能性が高いと述べた。操業停止による損失額は数百万ユーロにのぼるという。STマイクロ社は最近、ジョホール州ムアルの組立工場の操業を11日間停止したが、それにより第3四半期の売上高と粗利益率に影響が出るという。
マレーシアは、スマートフォンから自動車まで様々な製品に搭載されている積層セラミックコンデンサー(MLCC)の重要な生産拠点でもあり、ロックダウンによりMLCCの供給も滞っている。日産自動車とゼネラルモーターズは、マレーシアでの操業停止により部品不足が深刻化しているとし、日産は8月にテネシー州スマーナ工場の生産ラインを2週間停止した。
自動車メーカーは半導体不足によって今年だけで1千億ドル以上の損失を被ると予測されている。最終的な損失額は、マレーシア政府が今後どれだけ効果的な感染症対策ができるかによって決まると見られている。
(ブルームバーグ、8月24日)

産業界、イスマイルサブリ新政権に経済活動の再開を要請

【ペタリンジャヤ】 産業界は、先ごろ就任したイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相率いる新政権に対し、民間部門の経済回復を促進させるために、まだ事業活動が認められていないセクターにおける経済活動の再開を許可するよう求めている。
マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、経済活動再開が景気回復につながり、雇用創出や、企業および消費者の信頼感を高めることができると述べた。特に事業所の98%以上を占める中小企業(SME)や零細企業の事業継続のためには、事業再開を許可し、賃金補助金や無利子ローンなどの支援が必要だと主張。また政府や政府関連企業(GLC)による雇用創出や大規模プロジェクトの再開も景気活性化には必須だとした。
マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長も、より多くの経済活動の再開を許可することで収入を生み出し、ビジネスコストを下げることが重要だと強調。購買力の向上や生活費を引き下げるための対策を講じて、国民の幸福度を向上させることも必要だと述べた。またビジネス環境を整えるとともに、政策をよりシンプルで透明性の高いものにするべきだと主張。「信頼性、明確性、一貫性、確実性」という4つの方針に基づいていなくてはならないとした。
マレーシアSME協会のマイケル・カン会長は、SMEや零細企業に対する助成金給付や融資の提供など、前政権にも多くの提案をしたと言明。SMEは1年半以上苦しい状況にあり、対策がなければさらに事業が閉鎖され、失業者増えると予想。SMEは手持ち現金が非常に少ない状態にあるとして、店舗などの資産を売却する時にかかる税金や手数料の免除も求めた

中国カンシノワクチン、初回20万回分がマレーシアに到着

【クアラルンプール】 中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)の350万回分のカンシノ製ワクチンのうち、最初の20万回分が20日マレーシアに到着した。
科学技術革新省(MOSTI)の発表によると、20万回分のカンシノ製ワクチン(完成品)は、MASカーゴが北京からMH361便で空輸し、20日7時50分にクアラルンプール国際空港に到着したという。
カンシノ製ワクチンは1回接種ワクチンで、農村地域など2回の接種が困難な地域の住民に接種する。6月15日、条件付きで保健省から登録を承認された。保健省に350万回分を納入予定で、うち50万回分は接種可能な完成品として輸入。残りの300万回分についてはバルクで輸入し、ソリューション・バイオロジクスが国内工場で充填する。
1回接種ワクチンでは他に米ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンも条件付きで承認を受けている。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、8月20日)

復興計画第2期の指定地域、流通&販売は営業再開可能に

【クアラルンプール】 国内取引消費者行政省は18日、国家復興計画(NRP)第2フェーズに移行した州・地域における流通・販売セクターにおける標準的運用手順(SOP)をさらに緩和すると発表した。
国取省によると、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種の完了率が成人人口の50%に達していない場合でも、第2フェーズに移行すればすべての流通・販売セクターの営業再開が認められる。
従業員がワクチン接種を完了した従業員の詳細を提出する必要はなく、国取省からの承認は不要だが、最新版の新型コロナ・マネジメント・システム(CIMS3.0)を通じて申請する必要がある。申請証明書は必要な場合に提示が必要になるため、保管しておく必要がある。
18日時点で第2フェーズに移行しているのは▽ペナン▽ペラ▽クランタン▽トレンガヌ▽パハン▽サバ——の6州。ペルリス、サラワクの2州と連邦直轄地ラブアンはすでに第3フェーズに移行している。
ムヒディン・ヤシン首相(現在は暫定首相)は15日、第2フェーズ指定地域を対象にサービス関連の11業種について16日付けで営業再開を認めると発表していた。営業再開が認められるのは▽写真店▽中古品店▽花屋▽手工芸品・土産店▽アンティークショップ▽玩具店▽カーペット店▽クリエイティブコンテンツに関するビジネス及び機器販売▽アウトドアスポーツ店▽化粧品店▽電子たばこ店——。
(ベルナマ通信、8月18日)

経済は低迷、フィッチ調査部門がGDP予想を下方修正

【ペタリンジャヤ】フィッチ・ソリューションズは、年内のマレーシア経済は低迷するとの予想から、通年の実質国内総生産(GDP)増加率予想を4.9%から0%へ下方修正した。
第2四半期のGDPが前期比2%減とフィッチの当初予想を下回ったためで、「経済活動の制限を厳しくしたことで経済が縮小した。景気けん引役の個人消費は昨年並みか昨年を下回る」とした。
通年の個人消費予想を3%増から2%減に、総固定資本形成を4%増から1.5%増に、それぞれ下方修正した。需要減退を受け企業は設備投資に乗り出す必要を認めないからだ。財政ひっ迫のため追加の景気刺激策は年内、期待できないという。
米国、シンガポール同様、マレーシアでもワクチン接種へのためらいから接種ペースが鈍る可能性があり、年内の集団免疫の達成は困難で、全国規模のロックダウンはほぼ年内、続けられるという。
(ザ・サン、8月17日、マレー・メイル、8月16日)

一部サービス業の営業再開を容認、電気店&理髪店など

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン ヤシン首相は15日、国家復興計画(NRP)第1フェーズ適用地域における標準的運用手順(SOP)を見直し、16日付けで現在禁止されている11のサービス関連セクターの営業再開を認めると発表した。
営業再開が認められるのは▽洗車▽電気・電子販売店▽家庭・台所用品販売店▽家具店▽スポーツ用品店▽自動車アクセサリー店▽自動車販売店▽朝市・農業市場▽衣料・装飾店▽貴金属宝飾店▽理髪店・ビューティサロン——。
また第2フェーズに分類されている地域についても、11のセクターの営業再開を認める。営業再開が認められるのは▽写真店▽中古品店▽花屋▽手工芸品・土産店▽アンティークショップ▽玩具店▽カーペット店▽クリエイティブコンテンツに関するビジネス及び機器販売▽アウトドアスポーツ店▽化粧品店▽電子たばこ店——。
いずれのフェーズにおいても、入店する顧客は新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの2回の接種を完了することが条件となっており、入店の際にデジタル接種証明書を提示する必要がある。
またレクリエーション活動についても、SOP厳守を条件に第1フェーズ指定地域については▽ジョギング▽サイクリング▽エクササイズ——といった個人スポーツを目的とした公園におけるレクリエーション活動を認める。